シミ取りのレーザー治療後に出来た「かさぶた」はキレイに治るのか 不安の声に医師が回答
気になるシミをレーザー治療で取ったのはいいけれど、治療をしたところにかさぶたができてしまうことがあります。果たして、このかさぶたはきれいに治るのでしょうか? 自然にはがれるのを待てばよいのでしょうか? かさぶたができる理由や対処法など、広尾皮フ科クリニックの和泉達也先生に教えてもらいました。
監修医師:
和泉 達也(広尾皮フ科クリニック 院長)
1987年慶應義塾大学医学部卒業。静岡県清水市立病院(現・静岡市立清水病院)、国家公務員等共済組合立川病院などを経て、1997年練馬総合病院皮膚科医長就任。同年、皮膚の老化の研究で博士号取得。2005年広尾皮フ科クリニック開設。皮膚科全般の臨床経験に加え、皮膚の老化の研究にも携わってきた経歴を生かし、現在は一般皮膚科と美容皮膚科の診察を行っている。特に、美容皮膚科の処置は、「皮膚に美容的な処置をすることは、皮膚の健康のためにとても良いことである」という考えのもと行っており、単に老化現象や美容の問題として捉えるのではなく、皮膚の問題を深層から追求している。
シミは一体、どうして作られるの?
編集部
そもそもシミは、なぜ作られるのですか?
和泉先生
一言でシミといっても、実際は種類がいくつかあります。もっとも一般的なのが「老人性色素斑」というシミ。これは主に紫外線によって作られ、境界線がくっきりしているのが特徴です。そばかす程度の小さなものから、500円玉ほどの大きなものまでいろいろあります。
編集部
紫外線によってシミが作られる仕組みを教えてください。
和泉先生
肌ではメラニンという色素が作られ、有害な紫外線から肌を守る働きを担っています。しかし、強い紫外線を浴びることによって、表皮細胞のDNAが破壊されてしまうと、細胞自体が変質してしまいます。本来、皮膚にはターンオーバーという新陳代謝の仕組みがありますが、細胞自体が変質するとターンオーバーがうまく働かなくなってしまいます。その一方、強い紫外線を浴びると、メラニンが過剰に生成されてしまうことになり、これがターンオーバーによってうまく排出されないと、シミになってしまうのです。
編集部
本来なら皮膚の新陳代謝によってシミが排出され、新しくきれいな皮膚が生まれるところなのに、いつまでも残ってしまっているのですね。
和泉先生
そうです。紫外線のほか、加齢もシミの原因になります。肌の排出機能が衰え、うまくターンオーバーできなくなり、シミが残ってしまうのです。
編集部
老人性色素斑以外にも、シミはあるのですか?
和泉先生
あります。厳密にいうと、シミとはちょっと違うのですが、患者さんからの相談で多いのが、肝斑です。あとは、炎症後の色素沈着やにきびあと、あざなどのご相談も多いですね。
編集部
レーザー治療は、そのシミに対してどのように働きかけるのですか?
和泉先生
レーザー治療では、特定の波長を持ったレーザー光線を患部に当てます。このレーザー光線は正常な皮膚は通り抜け、シミの部分の細胞に吸収されます。すると、そこに熱が発生し、表皮細胞を細かい粒子に分解してかさぶたになります。そのあと、正常な皮膚が再生され、シミのないきれいな状態になるという仕組みです。
レーザー治療後のかさぶた。ちゃんと治る?
編集部
レーザー治療を行ったあと、傷跡は目立たないのですか?
和泉先生
レーザー治療を行ったあとは、軽い火傷のような状態になっています。そのため、少し赤くなったり、ヒリヒリしたりするかもしれません。しかし、数日するとそうした違和感は落ち着き、患部に薄いかさぶたが作られます。その際はかさぶたがこすられたり、刺激を受けたりしないように絆創膏で保護してください。
編集部
かさぶたはその後、どうなるのですか?
和泉先生
1週間〜10日くらい経つと、ポロポロとこぼれるように、自然に剥がれます。無理に剥がそうとすると傷跡になってしまうので、剥がさないように気をつけましょう。
編集部
かさぶたが剥がれたあとは、どうなるのですか?
和泉先生
かさぶたがはがれると、今度は新しい皮膚が再生します。そして、数か月かけて次第にシミが薄くなり、きれいな肌に生まれ変わります。
編集部
かさぶたは必ずできるのですか?
和泉先生
よほど弱い出力でない限り、ほとんどの方にかさぶたはできます。かさぶたと聞いて、擦りむいたときなど、傷跡にできる大きくて分厚いかさぶたを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、レーザー治療後のかさぶたはそれよりもっと細かくて薄く、小さな点状の場合もあります。そのため「目立つのではないか」などはあまり心配しなくても大丈夫です。
レーザー治療の注意点
編集部
レーザー治療を受ける上で注意点はありますか?
和泉先生
レーザー治療と一言でいっても、さまざまな種類があります。たとえば、老人性色素斑 には「Qスイッチルビーレーザー」や「ピコレーザー」を使うのが一般的ですし、小鼻のまわりの赤みや赤ら顔には「ロングパルスYAGレーザー」がよく使われます。このように、その人の状態によってレーザー機器を使い分けることで、初めて効果が発揮されます。レーザー治療を行いたい場合は、しっかりカウンセリングを受け、納得してから治療をはじめましょう。
編集部
レーザー治療を受けられない人はいますか?
和泉先生
大抵の人は問題ありませんが、薬や光線に対して強いアレルギーのある方、妊娠中の方、重度の糖尿病や高血圧症の方、出血傾向のある病気をお持ちの方、光に反応しててんかん発作を起こしたことのある方などは、医師にご相談ください。
編集部
レーザー治療を受けたあと、注意すべきことはありますか?
和泉先生
レーザー治療後に擦ったり刺激を与えたりしないこと、それから、日焼けにも注意しましょう。こすって刺激を与えたり、日焼けをしたりすると、皮膚に炎症が起こり、色素沈着の原因になります。またレーザーを当てたところは1週間くらいテープで保護し、メイクは避けましょう。
編集部
最後にメッセージをお願いします。
和泉先生
紫外線によるシミの場合、その状態に合ったレーザーを照射して、その後、きちんと手当を行えば、大抵の場合、きれいに取り除くことが可能です。頑固なシミでも、しっかり照射すれば、1回で取り切れることもあります。もちろん、シミの治療をしたあとは、再発させないように塗り薬を使うなど、きちんとした対処が必要です。そうしたケアを怠ると、せっかくシミを取っても、4〜5年経ってから再びシミが出てきてしまうということがあります。シミがなくなった、きれいな状態をキープするために、正しいケアを続けるようにしましょう。
編集部まとめ
せっかくシミ治療を行ったのだから、かさぶたの跡もきれいに治したいものです。そのためには、触ったり、いじったりせず、きちんと治るのを待つことが大切のようです。きれいな肌を取り戻すために、治療後のケアも入念に行いましょう。
医院情報
所在地 | 〒150-0012 渋谷区広尾5-25-5 広尾枡儀アネックスビル1・2F |
アクセス | 東京メトロ日比谷線 広尾駅 徒歩5分 広尾病院前バス停(新橋→渋谷方面)目の前 |
診療科目 | 美容皮膚科、一般皮膚科 |