ドライアイの根治が目指せる「IPL」 治療のメリット・デメリットとは

公開日:2021/10/31  更新日:2021/10/29

数あるドライアイ治療の選択肢のなかで、近年とくに注目されているのがIPLです。「どんなメリットがあるのか」「デメリットやリスクはないのか」という点が気になっている人も多いでしょう。そもそもドライアイにはどんな治療法があり、IPLはどんな人に適しているのでしょうか。日本眼科学会認定専門医で、さくやま眼科院長の柞山健一先生に話を聞きました。

柞山健一

監修医師
柞山 健一(さくやま眼科 院長/日本眼科学会認定眼科専門医)

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国立琉球大学卒業、横浜市立大学大学院修了。横浜市立大学附属病院、横浜市立みなと赤十字病院勤務を経て、東戸塚記念病院医長、国際親善総合病院医長、岡田眼科副部長などを歴任。2020年5月にさくやま眼科を開院する。日本眼科学会認定眼科専門医に加え、医学博士号・麻酔科標榜医などの資格を多数保有。日本眼科学会・日本緑内障学会の学会員としても活動している。

ドライアイの根治も可能なIPL

メリット

編集部編集部

IPLによるドライアイ治療のメリットは何でしょうか?

柞山健一柞山先生

いくつもありますが、根治を目指せる、痛みが少ない、ダウンタイムがない、施術時間が短い、簡便でリスクが少ないというのが代表的なところです。

編集部編集部

「根治を目指せる」とは、どういうことですか?

柞山健一柞山先生

これまでのドライアイの治療は、毎日点眼を複数回行わなければならないといった、継続が必要な対症療法が主でした。IPL治療は、マイボーム腺の正常な機能を取り戻すことで、ドライアイの原因を直接治すことができる治療法です。繰り返すことで、効果を上げていく治療法ですが、施術間隔は3~4週間ごと程度です。4回以上行うのが良いとされています。その後も、症状に合わせて追加で施術することも可能です。

編集部編集部

他の治療法では根治は目指せないのでしょうか?

柞山健一柞山先生

涙点閉鎖術と呼ばれる、涙点プラグや涙点焼灼術といった、涙点から鼻へ抜けていく涙の流れをせき止める治療がありますが、これらの目の中に涙を溜めるという治療法なら、ある程度持続的な効果を得ることができます。しかし、ドライアイの原因を直接治しているわけではなく、涙が溜まり過ぎてしまうことによる流涙や、プラグによる異物感などが出てしまうといったデメリットがあります。

編集部編集部

施術の「痛み」は、どの程度でしょう?

柞山健一柞山先生

痛みはほとんどありません。輪ゴムで軽くはじかれるような軽い痛みが出ることはあります。

編集部編集部

「ダウンタイム」は全くないのですか?

柞山健一柞山先生

ありません。施術後から、アイメイクをして帰れますし、洗顔や入浴なども当日から通常どおりできます。

編集部編集部

「施術時間」はどのくらいでしょうか?

柞山健一柞山先生

1回10分程度です。これは照射時間のみなので、診察の時間は別に必要です。しかし、トータルで計算してもかなりの短時間で終わります。

IPLにデメリットはあるのか

デメリット

編集部編集部

続いて、デメリットは何でしょう?

柞山健一柞山先生

デメリットは主に、保険を適用できない、ドライアイの原因が「マイボーム腺機能不全」でなければ効果を期待しにくいということです。

編集部編集部

「保険を適用できない」と費用はどのくらいでしょうか?

柞山健一柞山先生

クリニックによって幅がありますが、1回8000円程度が相場といえます。初診料や診察料など、そのほかの費用も確認する必要があります。

編集部編集部

他の治療法は保険を適用できるのですか?

柞山健一柞山先生

はい。「液体コラーゲンプラグ」などの主な治療法は、ほとんどが保険を適用できます。

編集部編集部

「原因がマイボーム腺機能不全ではない」割合は、どのくらいですか?

柞山健一柞山先生

ドライアイの原因の8割程度は、マイボーム腺機能不全が関与していると考えられています。そこから逆算すると、原因にマイボーム腺機能不全が関与していない割合はそれほど多くはないと考えられます。

IPLとほかの治療法との比較

ほかの治療法との比較

編集部編集部

そもそも、ドライアイ治療にはどのような選択肢があるのでしょうか?

柞山健一柞山先生

点眼治療、手術、温罨法(おんあんぽう)、リッドハイジーン、IPLなどが挙げられます。メインとなるのは点眼治療で「水分補給、保水作用、涙の質の改善、抗炎症作用」などの作用があります。

編集部編集部

「手術」はどのようなものでしょう?

柞山健一柞山先生

手術は「涙点閉鎖術」といい、涙点プラグ(液体コラーゲンプラグ、固体涙点プラグ)、涙点焼灼術などがあります。涙点プラグは、涙の出口(涙が鼻に流れる部分)に栓をするものです。

編集部編集部

「温罨法」とは何ですか?

柞山健一柞山先生

眼の周辺を温タオルなどで温めることで、マイボーム腺の詰まりを改善するものです。特別な道具は必要なく、ご自宅でできます。

編集部編集部

「リッドハイジーン」とは?

柞山健一柞山先生

洗浄によってまぶたを清潔に保ち、マッサージをすることでマイボーム腺の詰まりを改善するものです。リッドハイジーン専用の洗浄剤もあります。

編集部編集部

「効果」はどれが強いのでしょう。

柞山健一柞山先生

効果は症状の原因によっても異なるため、比較は難しいです。持続時間のおおよその目安は、涙点焼灼術が半永久的、個体プラグは抜け落ちない限り効果は持続するが、そこそこの頻度で栓が抜けてしまう、液体コラーゲンプラグは2~3か月、IPLは1か月~半永久的となります。

編集部編集部

IPLの「1か月~半永久的」という期間の幅は、どういう意味でしょう。

柞山健一柞山先生

「繰り返すことで、効果を高めていく治療」という意味で、そう表現しました。繰り返しの頻度や間隔については、最初に説明したとおりです。マイボーム腺の詰まりは繰り返し発生することはありますが、治療を続けるうちに効果の持続期間は長くなっていく傾向があります。

編集部編集部

治療法の選択に迷ってしまいそうです。

柞山健一柞山先生

IPL以外の治療法はすべて、症状を取り除く「対症療法」で、IPLのようにマイボーム腺の正常な機能を取り戻す、原因を直接治す「根治療法」ではありません。ただドライアイ治療は自覚症状の改善がとても重要な疾患であり、点眼等の「対症療法」も治療をしていく上で非常に重要な位置を占めています。また温罨法やリッドハイジーンは、ご自宅で簡単にできますし、マイボーム腺機能不全の予防法としての効果も期待できます。効果の持続時間だけでなく、患者さんの病状や生活スタイルなどを考慮して、治療を選択し、また組み合わせていくことが大切であると考えています。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

柞山健一柞山先生

ドライアイの患者さんの8割は、マイボーム腺の異常を抱えているとされます。今回紹介したIPLは、このマイボーム腺の正常な機能を取り戻すことで、ドライアイの根治を目指せる治療法です。比較的簡便でリスクも少なく、導入しやすいでしょう。「点眼治療を受けているのによくならない」「点眼でまあまあ良くなったけどこんなものなのかな?」など、ドライアイの症状でお悩みの方は、ドライアイの原因をはっきりさせ、IPLを含めた点眼以外の治療法について、ぜひ一度専門医にご相談いただければと思います。

編集部まとめ

ドライアイの治療の基本は点眼ですが、点眼治療に限界を感じたら、ほかの治療法も検討してみてはいかがでしょうか。IPLはドライアイの根治を目指せる数少ない治療法の1つです。「ドライアイ自体を完治させたい」と考えている方は、一度治療を検討してみるといいでしょう。

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