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ほくろを除去したい! どんな治療法があるの?

 更新日:2023/03/27

見た目が気になるほくろ。審美系の医療機関では自費診療となることが多いようですが、はたして保険診療でも除去してもらえるのでしょうか。その場合、どのような方法が用いられるのでしょう。「医療法人社団久信会」理事長の増岡先生を取材しました。

増岡 宏昭

監修医師
増岡 宏昭(医療法人社団久信会 理事長)

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東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部附属病院皮膚科勤務を経た2007年、東京都中央区に「やえす日本橋ヒフ科」開院。系列医院を都内に3院構え、皮膚病から審美まで幅広い診療にあたっている。2004年には法人化とともに現職へつき、グループ全体の総院長へ。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。

レーザー・電気メス・メス、それぞれの特徴

レーザー・電気メス・メス、それぞれの特徴

編集部編集部

ほくろの除去手術には、どのような進め方があるのですか?

増岡先生増岡先生

医療機関によっても違うでしょうが、おおまかには、「レーザーで膨らみを削る」、「電気メスで取り去る」、「メスで摘出して縫合する」の3パターンでしょうか。

編集部編集部

どの治療法で進めるのか、患者側から選べるのですか?

増岡先生増岡先生

基本的には、ほくろの大きさや状態によって、医師から提案させていただきます。悪性が疑われるような病変や“完全に取り除きたい”ほくろは、メスによる手術が第一選択肢になります。他方、患者さんの希望する方法で問題ない場合は、リクエストを優先します。

編集部編集部

レーザーと電気メスの違いがよくわかりません。

増岡先生増岡先生

分かりやすく例えるとしたら、レーザーが「点」で、電気メスは「面」といえます。レーザー光の直系は1mmほどですから、照射範囲が限定的で、手術しやすい印象です。他方の電気メスは、患部に当たっている部分が比較的広く、患部の周囲にも熱がおよびやすいです。この電気メスには、医師の技術の熟練度が求められますね。

編集部編集部

“完全に取り除きたい”という部分も気になります。

増岡先生増岡先生

ほくろの奥には、メラニン色素を生みだす「母斑細胞(ぼはんさいぼう)」があります。母斑細胞を残したままほくろだけ切除すると、再発するかもしれません。この母斑細胞をレーザーや電気メスだけで取りきるのは難しいので、やはりメスでの除去が確実といえます。ただし、レーザー手術は簡便なので、小さなほくろなら、再発を覚悟の上で繰り返すという考え方もあるでしょう。

メスを入れないと保険適用にはならない

メスを入れないと保険適用にはならない

編集部編集部

ほくろ除去には、保険が適用されるのでしょうか?

増岡先生増岡先生

メスを使った手術が、保険診療の対象になります。メスを使っていれば、レーザーなどと組み合わせても保険が適用されます。逆に、レーザーだけの手術は自費になるのですが、そういう“国の決まり”だと思ってください。

編集部編集部

保険適用の場合の手術費用は?

増岡先生増岡先生

3割負担として、1箇所あたり約9000円です。5~10分ほどで終わるので、入院費などは要りません。他方、自費のレーザーは、各医療機関によって価格が違うでしょう。

編集部編集部

自費のレーザーをわざわざ希望する患者さんって、いるのですか?

増岡先生増岡先生

いらっしゃいますよ。おそらく「メスを使った手術」そのものに対して、怖さや抵抗感をもっている人だと思われます。また、縫合と抜糸を伴うような症例の場合、その後1年くらいは傷跡が残ります。見た目の問題からレーザーを選ぶ人も少なくありません。

悪性腫瘍の可能性を確実に摘んでおく

悪性腫瘍の可能性を確実に摘んでおく

編集部編集部

ところで、ほくろから毛が生えていると「がん」だと聞きますが?

増岡先生増岡先生

それは間違いです。むしろ、毛が生えていれば正常な組織ですので、「がんではない」という見方をします。もっとも、毛の有無とは関係なしに、ほくろの組織を病理検査に回して調べる必要があるでしょう。当院比で100例に1例ほどの確率ですが、悪性腫瘍が見つかっています。

編集部編集部

自分が気にならなかったら、ほくろは放置していてもいいのですよね?

増岡先生増岡先生

普通のほくろなら放置していても構いません。問題は「普通なのか悪性腫瘍なのかどうか」ですが、大きさが一定の状態であれば、普通のほくろとみていいでしょう。悪性腫瘍の場合、比較的わかりやすいスピードでほくろが拡大していきます。

編集部編集部

ほくろに関連して、「メラノーマ」という用語を耳にします。

増岡先生増岡先生

メラノーマは、メラニン色素を産生するメラノサイトががん化したものです。主な見分け方は4種類あり、「形が左右対称ではない」、「色に濃淡があり、境界が不鮮明である」、「縁がギザギザで不均一である」、「直径が6mm以上になっている」の各項目が挙げられます。

編集部編集部

ほくろの除去治療とは別に、調べてもらうことだけってできるのでしょうか?

増岡先生増岡先生

もちろんです。専門医による「ダーモスコピー検査」をすれば、かなりの確率で正確に鑑別できます。また、全身のほくろが一斉にがん化するようなことはありません。心配な箇所だけ診断すれば、まず大丈夫でしょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

増岡先生増岡先生

急速に拡大する組織のことを「腫瘍」と呼びます。ほくろに見えていた部分が拡大していたら、早々に調べてみましょう。背中や足の裏などは、なかなか目が届かないので要注意です。ただし、ほくろであっても、徐々に拡大するタイプがあります。いずれにしても保険診療で除去できますので、気になるようなら早めに調べ、処置してみてはいかがでしょうか。

編集部まとめ

ほくろは、保険診療で除去できるとのことでした。ただし、制度の決まりとして、「メスを入れる必要」があります。費用を問わないとしたら、電気メスやレーザーのみによる除去が選択肢として加わります。もし、色の黒い組織がみるみる拡大していたら、悪性腫瘍を疑ってみましょう。目の届かない背中や足の裏などを、定期的にチェックしてみてください。

医院情報

医療法人社団久信会 やえす日本橋ヒフ科

医療法人社団久信会 やえす日本橋ヒフ科
所在地 〒103-0028 東京都中央区八重洲1-5-17 八重洲香川ビルディング3階
アクセス JR「東京駅」 徒歩3分
診療科目 皮膚科、美容皮膚科

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