PFCバランスの計算はどうすればいい? 管理栄養士に求め方や活用方法を聞く
ダイエット法のひとつとして、最近注目されているPFCバランス。健康的に無理のないダイエットを行うためには、カロリーを制限するだけではなくこのPFCバランスを整える必要があります。PFCバランスについて、日常での活用方法とあわせて「管理栄養士」の端場さんに詳しく伺いました。
監修管理栄養士:
端場 愛(管理栄養士)
安田女子大学家政学部管理栄養学科卒業。学生寮やクリニック、介護老人保健施設などで幅広い世代の栄養管理に従事。栄養と体の関係を多くの人に分かりやすく伝えるために、フリーランスのライターとして活動中。簡単かつ今よりちょっと健康になれるレシピ開発を得意とする。
PFCバランスの大切さを知る
編集部
PFCバランスとは何ですか?
端場さん
PFCバランスとは、摂取カロリーのうちP=Protein(たんぱく質)、F=Fat(脂質)、C=Carbohydrate(炭水化物)を、どれくらいの割合で摂取するのが理想的かを比率であらわしたものです。年代や性別、目標摂取カロリーなどで比率は変わってきますが、厚生労働省によって定められている理想バランスは、P(たんぱく質):15%(13~20%)、F(脂質):25%(20~30%)、C(炭水化物):60%(50~65%)になります。
編集部
PFCについて、それぞれもう少し詳しく教えてください。
端場さん
まず、Pのたんぱく質は1gで4kcalあり、筋肉や内臓、血液など体をつくるもととなる栄養素になります。たんぱく質が不足すると筋肉量が減ってしまったり、肌や髪が乾燥したりといった症状があらわれる可能性があります。逆に摂りすぎると、内臓に負担をかけたり、脂肪として蓄積されて太ってしまったりするので摂り過ぎもよくありません。
編集部
F(脂質)はどういった働きがありますか?
端場さん
Fの脂質は、ホルモンや細胞膜をつくる重要な栄養素です。また、1gで9kcalあり、体脂肪となってとどまる性質を持つので、三大栄養素の中でも最も高いエネルギー源になります。脂質が不足するとホルモンバランスが乱れたり、便秘になったりします。逆に摂りすぎると、肥満の原因となったり、脂質異常症を引き起こしたりするので、摂取量には気をつけなければなりません。
編集部
C(炭水化物)の働きも教えてください。
端場さん
Cの炭水化物は1gで4kcalあり、脳や筋肉の大切なエネルギー源になります。特に、脳にとって唯一のエネルギー源となるので、生きていく上で欠かせない栄養素になります。また、炭水化物は糖質と食物繊維の2種類に分けられ、不足すると集中力が低下したり、腎臓に大きな負担がかかったりといった症状があらわれます。逆に摂りすぎると、脂肪に変換されて肥満の原因になったり、生活習慣病をひきおこしたりするので注意が必要です。
PFCバランスを整えることが健康への第一歩
編集部
PFCバランスを整えるメリットについて教えてください。
端場さん
PFCバランスを人それぞれに合った比率にすることで、必要な栄養素がバランスよく摂れるのがメリットです。つまり、体調管理や体型管理がしやすくなります。無理な食事制限をするよりも、PFCバランスがとれた食事をすることで、ダイエット効果も期待できます。
編集部
PFCバランスのダイエット効果について詳しく教えてください。
端場さん
PFCバランスを設定する際は、まず自分に合った目標摂取カロリーを計算します。しかし、カロリーを制限するだけでは、普通のダイエットと同じです。PFCバランスも設定することで、ダイエット中に不足しがちなたんぱく質も摂れるので、健康的に無理なく痩せられます。たんぱく質が不足すると筋肉が分解され、基礎代謝量まで落ちてしまうので、かえって痩せにくい体質になってしまうのです。
編集部
PFCバランスは、日常でどのように活用したらいいのでしょうか?
端場さん
食品を選ぶときはカロリーだけでなく、成分値もチェックするのがおすすめです。その理由は、同じ量でも、食品によって含まれる栄養素が異なるからです。たとえば、同じ重さ(100g)の梅干しのおにぎりと、かつおのたたきを比べてみます。おにぎりは炭水化物が約34.8gと多いですが、かつおのたたきは約3.6gと少なめです。たんぱく質を比べた場合、おにぎりは約2.7gと少なめですが、かつおのたたきは約15.1gと多くなっています。このように、食品の成分値も意識することで、PFCバランスを整えやすくなります。
PFCバランスの計算方法
編集部
その人に合ったPFCバランスはどうやって設定するのでしょうか?
端場さん
たとえば、理想のPFCバランスを、1日の目標摂取カロリー1600kcalで設定する場合は、以下の計算式になります。
たんぱく質(1g/4kcal)15%の場合:60g
1600×0.15=240kcal
240kcal÷4kcal=60g
脂質(1g/9kcal)25%の場合:44g
1600×0.25=400kcal
400kcal÷9kcal=44g
炭水化物(1g/4kcal)60%の場合:240g
1600×0.6=960kcal
960kcal÷4kcal=240g
編集部
1食ごとにPFCバランスを守るべきでしょうか。
端場さん
1食ごとにPFCバランスをきっちり守る必要はありません。毎食気にしていると続かないので、1日トータルでPFCバランスが整っていれば大丈夫です。また、毎日必ずPFCバランスを守らないと意味がないのかというとそうではありません。体にはPFCの栄養素がそれぞれ蓄積されているので、1日くらいの食事に左右されることはありません。健康的な食事をするための目安というように考えると、続けやすいのではないでしょうか。
編集部
毎回、計算をするのは大変ですよね?
端場さん
先ほど、計算式を紹介しましたが、毎回計算するのは大変なので、食事管理アプリなどを活用してみてはいかがでしょうか。最近では、PFCバランスが計算できるアプリがあるので、使ってみるのもおすすめです。
編集部
PFCバランスの注意点があれば教えてください。
端場さん
持病がある場合は、そちらの治療方針を優先してください。PFCバランスを設定する際は、医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。
編集部
最後に読者へのメッセージがあれば。
端場さん
PFCバランスは毎日きっちり守らないといけないものではありません。「どんな栄養バランスになっているかな」とチェックするためのツールと考えてください。PFCバランスを整えることで、きっと以前よりも健康的な食生活になるはずです。
編集部まとめ
自分に合ったPFCバランスを知ることで、無理なく健康的な体づくりができると分かりました。やはり、栄養バランスのとれた食事をすることが基本のようです。また、アプリなどを上手く活用するのもひとつの手段です。PFCバランスが、健康的な食生活を考えるきっかけになるといいですね。
ダイエットに関する症状についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。