亜鉛が肌や髪にいいって聞くけど本当? 摂取するとどんな効果があるの?
「亜鉛を摂取すると肌や髪にいい」と、しばしば耳にします。はたして、亜鉛は私たちの体にどのような効果をもたらしているのでしょうか。また、亜鉛が不足すると体に危険なのか、どのような食材から亜鉛を摂取することができるのかも知りたいところです。今回、「管理栄養士」の坂本圭子さんに、亜鉛について教えてもらいました。
監修管理栄養士:
坂本 圭子(管理栄養士)
病院や介護老人保健施設、保健センターで働いた経験を経て、フリーに転身。現在はアレルギーやヴィーガン対応のレシピ提案、トレーニングジムの食事指導、執筆、サプリメントの企画開発などに携わっている。
亜鉛は味覚を保ち、成長を促す
編集部
亜鉛とは、どのような働きをする栄養素ですか?
坂本さん
亜鉛は、体内のエネルギーをつくり、新陳代謝を促し、免疫細胞に影響を与えるミネラルの一種です。体内の働きを正常に保ってくれる、重要な栄養素と言えます。
編集部
亜鉛を摂取すると、体にどのような効果がありますか?
坂本さん
「味覚を正常に保つ」、「抗酸化作用」、「成長や発育を促す」、「うつ状態の緩和」などが、亜鉛の主な効果として挙げられます。また、亜鉛を摂ることでタンパク質の代謝が促され、髪や肌のターンオーバーにつながるのです。その意味で、髪や肌にいいということなのでしょう。
編集部
なるほど。1日の摂取目安量は?
坂本さん
男性だと11mg、女性だと8mgが1日の推奨量と言われています。なお、何日分かまとめて一気に摂るのではなく、毎日適量摂るのが望ましいです。
不足・過剰摂取のどちらも要注意
編集部
亜鉛が不足すると、どんなリスクがありますか?
坂本さん
まず、「味覚障害」が代表的な症状として挙げられます。亜鉛は味覚の形成に関わっているため、不足すると味の感度が低下したり、味を感じなくなったりするのです。また、「免疫機能の低下」も亜鉛不足の症状の一つです。免疫機能が低下することで、感染症や肺炎になる可能性があるので要注意です。ほかにも、子どもだと「成長障害」、大人の場合は「脱毛」や「肌のただれ」などが考えられます。
編集部
不足しがちなとき、どうしたらいいのでしょうか?
坂本さん
基本的に食べ物から摂りやすい栄養素の一つですが、もし不足している場合はサプリメントでも摂ることが可能です。ドラッグストアや薬局などで購入することができ、1日の摂取量の目安なども、きちんと記載されていますよ。
編集部
逆に、摂りすぎると危険なケースはありますか?
坂本さん
「1日に40mg以上」摂取すると危険と言われています。サプリメントでつい摂りすぎてしまうことも考えられるので、注意が必要です。亜鉛の摂り過ぎで、吐き気や嘔吐、食欲不振、下痢や頭痛などの症状が現れることがあります。気づかずに摂取を続けてしまうと、泌尿器や生殖器系にも影響を与えるので、気をつけましょう。
亜鉛はビタミンCと一緒に摂取するのがおすすめ
編集部
では、亜鉛はどのような食べ物に含まれているのですか?
坂本さん
亜鉛は、赤身肉や豆、ナッツ、全粒粉や乳製品、カニや生牡蠣など魚介類などに含まれています。肉や魚介類は普段から口にする機会も多いと思うので、普通の食生活を送っていれば自然と摂れていることがほとんどなのです。あまりに不足しすぎることは少ないと考えられます。
編集部
おすすめの摂取の仕方はありますか?
坂本さん
亜鉛は、腸管での吸収率が低い栄養素です。ただし、ビタミンCと一緒に摂取すると、吸収率が上がると言われています。そのため、亜鉛の含まれている食材は、緑黄色野菜と一緒に食べたり、ビタミンCを含んでいるレモンやユズ、カボスなどをかけたりして食べるといいと思いますよ。
編集部
逆に、効果が薄れてしまう食べ方はありますか?
坂本さん
添加物は亜鉛の吸収を妨げてしまいます。インスタント食品やファストフード、加工肉ばかり食べていると、亜鉛が不足してしまうかもしれません。栄養に偏りのないバランスのいい食事を心がけてみてください。
編集部まとめ
亜鉛には、「味覚を正常に保つ」、「成長を促す」、「免疫機能を上げる」といった、私たちの体にとって重要な役割を持つ栄養素でした。また、適切な量を摂取することで、肌や髪にもいいとのこと。赤身肉や豆など日々、食べているようなものに含まれているため、不足することは少ないそうですが、足りない場合はサプリメントでも補うことができます。ただし、添加物と一緒に摂ると吸収率が下がるため、注意しましょう。