いくら不妊治療しても失敗…もう諦めるしかないの?
様々な方法があるにもかかわらず、100%成功する方法は存在しない「不妊治療」。不妊治療を長くおこなっている人の中には、いつまで続けるべきか、もう諦めた方がいいのか、と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。また、年齢的なタイムリミットも耳にします。デリケートな不妊治療に関する疑問を、「メディカルパーク湘南」の田中先生に教えてもらいました。
監修医師:
田中 雄大(メディカルパーク湘南 院長)
慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部産婦人科学教室入局。川崎市立川崎病院、大田原赤十字病院(現・那須赤十字病院)、大和市立病院などで勤務した後、2009年、神奈川県藤沢市に「湘南IVFクリニック」を開業、2012年に「メディカルパーク湘南」へ移転・名称を変更。不妊治療をはじめとする産婦人科領域全般をひとつのクリニックでおこなっている。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医、母体保護法指定医。
年齢ではなく個々の体の状態で相談を
編集部
不妊治療が成功しない原因は、やはり年齢にあるのでしょうか?
田中先生
患者さんにもよく聞かれる質問なのですが、そうとも限らないのです。実際に、当クリニックでは46歳で妊娠された方もいるので、一概に年齢だけで線引きはできないのが実情ですね。そのため、年齢を理由に不妊治療を諦めるのは、早計かもしれません。
編集部
では、年齢以外となると、どのようなことを基準に不妊治療の「できる・できない」を判断しますか?
田中先生
患者さんの体の状態をチェックしながら、不妊治療ができるのかを判断しています。例えば、40歳を過ぎても卵巣年齢が若い人もいる一方で、30歳で閉経している人もいます。このように、体の状態は一人ひとり違いますよね。40代後半だからといって諦める必要はなく、排卵があれば妊娠する可能性があるかもしれません。
編集部
なるほど。不妊の原因は人それぞれ異なると思いますが、主な原因はなんですか?
田中先生
不妊の原因は、検査をしても異常が見つからない、つまり原因不明のことが多いですね。もちろん、女性側ではなく、男性側になにかしらの原因があることもあります。原因がわからない場合は、あまり原因追求に固執せずに、今後どのように治療をしていくかの対策に重きを置いています。
自然妊娠で難しければ体外受精を
編集部
では、実際にどのような不妊治療をおこなうのですか?
田中先生
まずは「自然妊娠」を目指します。自然妊娠とは、いわゆるタイミング法のことです。タイミング法は、排卵日に合わせて性行為をおこなう方法です。また、自然妊娠と近い方法で、人工授精も視野に入れます。人工授精は、排卵時期に合わせて精子を子宮に注入する治療方法です。
編集部
自然妊娠だと、妊娠する確率はどれくらいですか?
田中先生
当クリニックの場合、人工授精で妊娠した方の75%は、4回以内の治療で成功しています。もし卵巣や卵管に異常があれば、自然妊娠の確率を上げるために手術をする場合もあります。それでも妊娠が難しい場合は次のステップとして、「体外受精」を検討します。
編集部
どれくらいを目安に、体外受精を検討し始めるのですか?
田中先生
これも人によりまちまちですが、人工授精を6回おこなっても成果がでない場合を、体外受精に移行するタイミングとして考えることが多いですね。ただ40歳以上の場合、3回で移行、もしくは最初から体外受精をすることもあります。患者さん本人の希望や状態に合わせて、決めていくことが大切ですね。
気持ちが乗ったときが治療の始めどき
編集部
どのような状態になったら、不妊治療を始めた方がいいですか?
田中先生
基準としては1年間妊活をしても妊娠しなかったら、不妊治療をした方がいいと言われています。ただ、こういう治療は、「不妊治療をしたい」と思ったときがやりどきです。逆に40代でもやりたくないのであれば、無理におこなう必要はないと思います。
編集部
なるほど。積極的な気持ちが大切なのですね。
田中先生
少しでも迷っている人は、敷居を高く感じずに、まずは気軽に相談にお越しください。相談に来たからといって、必ずしも治療をしなければいけないわけではなく、話を聞くだけでも大丈夫です。ブライダルチェックを兼ねて来る方もいますし、そのおかげで病気が見つかることもあります。少しでも今後の妊娠に不安がある人は、まずアクションを起こすことが大事です。
編集部
話を聞いた上で、「じゃあ1年経っても妊娠しなかったら始めよう」でもいいのですね。
田中先生
そうですね。いつまでに妊娠したいと、自分の中で後ろを決めておくと、始めどきがわかりやすくていいでしょう。軽い気持ちで治療を始め、少し挑戦して辞めて、またおこなうといった中途半端な治療をしてしまうと、成果も出にくいですし費用もかかります。不妊治療を一度やると決めたら、しっかりと取り組むことをおすすめします。
編集部まとめ
妊娠を諦めるかどうかは年齢だけでなく、体の状態がどのようにあるかも大きな要因です。それぞれの状況を見ながら、続けるべきか、諦めるべきか決めるそうです。また、体だけなく、自分自身が不妊治療を積極的におこないたいと思う気持ちも重要です。諦めるときがあるとすれば、あらゆる手段を試して、失敗した後になるでしょう。
男性不妊についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。
医院情報
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アクセス | 横浜市営地下鉄、相鉄線、小田急江ノ島線「湘南台駅」 徒歩5分 |
診療科目 | 産科、婦人科、乳腺外科、不妊治療科 |