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肝斑の原因は日焼けじゃない!? これってホント?

 更新日:2023/03/27

日差しの強い日は気になるのがUVケア、すなわち美肌対策です。「Original Beauty Clinic GINZA」の佐藤先生によると、シミと肝斑(かんぱん)は同列に語れないとのこと。はたして肝斑に、日焼け以外の原因はあるのでしょうか。肝斑の仕組みを詳しく解説していただきました。

佐藤先生

監修医師
佐藤 玲史(Original Beauty Clinic GINZA 院長)

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東京医科歯科大学医学部医学科卒業。大手美容外科の各院で院長や顧問などを歴任後の2020年、東京都中央区銀座に、“人にもともと備わっている美しさを引き出してあげたい”という思いを込めた「Original Beauty Clinic GINZA」を開院。日本美容外科学会認定専門医。日本美容外科学会(JSAS)、日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会、国際抗老化再生医療学会、日本再生医療学会の各会員。

肝斑の原因は、大きく4つ

肝斑の原因は、大きく4つ

編集部編集部

肌全体がくすんだように見える肝斑、この正体ってなんですか?

佐藤先生佐藤先生

残念ながら、肝斑の正体ははっきりわかっていません。特徴としては、ある程度の広がりをもった色素沈着で、正常な肌との境目が比較的はっきりしていること。一方、ポツポツ状の斑点はいわゆる「シミ」で、紫外線が主な原因です。

編集部編集部

肝斑の原因も、やはり紫外線なのでしょうか?

佐藤先生佐藤先生

「おそらく正しいであろう」とされている原因は、紫外線を含めて4つあります。肌への摩擦女性ホルモンの乱れ紫外線喫煙習慣に代表される肌ストレスの4つが主な原因です。

編集部編集部

これら4つの原因は、エビデンスが示されているレベルのものですか?

佐藤先生佐藤先生

そこまでの因果は解明されていません。ただし、現実に「肝斑は男性よりも女性のほうが多い」「ピルの服用によって肝斑が増えたり減ったりする」などの症例は確認されています。そのことから、女性ホルモンの乱れが関連しているのだろうと“推測される”レベルです。ほかの3つの因果関係も同様ですね。

編集部編集部

つまり、日焼けが「全く関係ない」ってことでもないと?

佐藤先生佐藤先生

紫外線が肝斑のトリガーであることは、十分に考えられます。ただし、UVケアをしているだけでは肝斑を防ぎきれません。シミと肝斑を混同していると、十分なスキンケアができないでしょう。

手っ取り早い対策は「摩擦の回避」

手っ取り早い対策は「摩擦の回避」

編集部編集部

肝斑ができやすい人っているのですか?

佐藤先生佐藤先生

20代から40代の女性が顕著で、閉経を機に自然治癒する症例も散見されます。つまり、肝斑は高齢者ほど出にくいはずなので、「くすみ」と混同しないようにしてください。「くすみ」は老化現象の一種と思っていただいていいと思います。「くすみ」には、お肌への血流不足から生じる栄養不足や新陳代謝の悪化などが関係しています。

編集部編集部

そもそも、肝斑は予防できるのでしょうか?

佐藤先生佐藤先生

上に挙げた4つの原因に注意することである程度は予防できます。ただし、女性ホルモンの乱れは事実上、避けられないと思います。ホルモン剤の処方も考えられますが、生理の周期を乱すほか、乳がん・子宮がんリスクを高めてしまう副作用が心配です。

編集部編集部

ビタミンCなどのサプリが美肌に有効という話を聞きますが、肝斑には効果がありますか?

佐藤先生佐藤先生

ビタミンCには、メラニンの生成をブロックする作用がありますので“有効”です。ただし、経口で服用する市販品と、医院などでおこなう高濃度ビタミンC点滴などでは、その効果が断然に違います。お薬の目的は、その成分を血中に届けることですから、注射に分があるのです。おなかの中から血管に届くビタミンCが一部なのに対し、注射はダイレクトに運ばれます。

編集部編集部

ほか、化粧品やファンデーションの注意点を教えてください。

佐藤先生佐藤先生

肌への摩擦を考えると、「塗るファンデーション」より、粉状の「はたくファンデーション」がいいでしょう。メイク落としも、「こすり落とすタイプ」より、「浮かせて、洗い流すタイプ」を推奨します。タオルも同様で、「こする」のではなく、「押さえる」ようにしてください。摩擦防止を意識するといいでしょう。

迷ったら、クリニックで正しいアドバイスを

迷ったら、クリニックで正しいアドバイスを

編集部編集部

最後は治療方法です。ホルモン剤を使わないとしたら?

佐藤先生佐藤先生

お肌の炎症を抑える「トラネキサム酸(商品名・トランサミン)」の処方が中心になります。加えて、症状により、高濃度ビタミンC点滴や、トラネキサム酸と同様の効果が望めるL-システインの処方・点滴も検討します。最近、「白玉点滴」や「白玉注射」と呼ばれている治療方法は、このL-システインを用いています。

編集部編集部

レーザーによる外科的な処置はやらないのですか?

佐藤先生佐藤先生

出力の強いQスイッチルビーレーザーやQスイッチYAGレーザーでの肝斑治療は、もはや下火になりつつあります。何回も繰り返していると、炎症を防ぎきれないからです。そこで、照射時間を短くした「レーザートーニング」が出現しました。しかし、その効果や副作用については、もう少し時間をかけて評価していきたいですね。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

佐藤先生佐藤先生

肝斑の原因として“確実に避けられる”のは摩擦です。正しいスキンケア方法を皮膚美容科などにご相談いただき、日々、実践してみてください。日々の悪習が肝斑の元ですので、まずは正しい知識を身につけましょう。治療するかしないかは、その次に考えていただければ結構です。

編集部まとめ

肝斑は日焼けによって誘発されるものの、ほかにも原因が考えられるということでした。そのうち、女性ホルモンの乱れは、薬などの副作用やリスクを考慮すると、確たる手だてが望めません。セルフケアをするなら、肌への摩擦と喫煙習慣に代表される肌ストレスに集中してみてはいかがでしょうか。

 

シミに関する症状についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。

医院情報

Original Beauty Clinic GINZA

Original Beauty Clinic GINZA
所在地 〒104-0061 東京都中央区銀座1-6-8 DEAR GINZAビル4F
アクセス 東京メトロ「銀座一丁目駅」6番出口 徒歩1分
東京メトロ「京橋駅」3番出口 徒歩3分
東京メトロ「銀座駅」C8出口 徒歩5分
診療科目 皮膚科、美容皮膚科、美容整形外科

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