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不妊症はなぜ起こる? 不妊症の裏側に隠れている病気について教えて!

 更新日:2023/03/27

不妊症にはさまざまな原因が考えれらます。年齢を気にする人もいれば、婦人科系の病気なのかもしれない……と不安になる人も多いのではないでしょうか。そこで、不妊症は何が原因で起こるのか不妊症を起こす病気はあるのか、田園都市レディースクリニックの河村先生に伺いました。女性だけでなく、男性が原因の不妊症についても教えていただきました。

河村 寿宏

監修医師
河村 寿宏(田園都市レディースクリニック あざみ野本院 院長)

プロフィールをもっと見る
東京医科歯科大学医学部卒業後、東京医科歯科大学医学部附属病院で臨床研修、都立大塚病院産婦人科などに勤務。Glostrup Hospital,University of Copenhagen、Center for Clinical & Basic Researchに留学後、東京医科歯科大学附属病院の産婦人科病棟医長、賛育会病院、日産厚生会玉川病院産婦人科医長を務める。2000年に田園都市レディースクリニックを開院。不妊治療専門クリニックとして、夫婦にとって最も有効な不妊治療ができるように取り組んでいる。日本産科婦人科学会専門医・指導医、日本生殖医学会生殖医療専門医、日本東洋医学会漢方専門医の資格を有する。

30代後半からは卵子の老化が不妊の原因に

30代後半からは卵子の老化が不妊の原因に

編集部編集部

はじめに、不妊症はなぜ起こるのか原因を教えてください。

河村先生河村先生

不妊症の原因は年齢や病気、体質と多岐にわたります。不妊症治療において、「なにが不妊の原因なのかを特定する」ことがとても重要です。そのため、検査で原因を把握して適切な治療を行います。

編集部編集部

女性に多いイメージがありますが、不妊症は女性だけに問題があるのでしょうか?

河村先生河村先生

いいえ、男性側にも問題はあり、不妊症の原因は男女により異なります。割合としては、女性41%、男性24%、夫婦両方24%の割合で不妊症の原因があると言われていますね。

編集部編集部

女性の不妊原因にはどのようなものがありますか?

河村先生河村先生

全ての女性に共通する大きな要因の一つとして加齢が挙げられます。年齢を重ねるにつれ、不妊になる人は増えていきます。その原因は卵子の老化で、病気ではなく自然現象です。特に30代半ばから急速に進み、40代でさらに進みます。

編集部編集部

卵子の老化を止めることはできないのですか?

河村先生河村先生

残念ながら卵子の老化を止めたり、治療したりすることはできません。そのため老化が進む前に、不妊治療を始めることが大切です。加齢が原因による不妊の場合、とにかく時間との勝負になります。段階を踏んだ治療よりも、体外受精などをオススメしています。

不妊は特別なことではない、早めの相談を

不妊は特別なことではない。早めの相談を

編集部編集部

男性側の不妊の原因を教えてください。

河村先生河村先生

精子を造る機能に障害がある「造精機能障害」が最も頻度が高いですね。男性不妊の約80%が、造精機能障害と診断され、精液中に精子が存在しない「無精子症」精液の中に精子はいるけれど、その数が少ない「乏精子症」精子の運動率が低下する「精子無力症」などの症状が見られます。

編集部編集部

造精機能障害はどのように改善していくのでしょうか?

河村先生河村先生

基本的には、薬物療法で改善を図ります。また、造精機能障害の原因が精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)などの疾患であれば、手術により不妊が改善されるケースもあります。

編集部編集部

他にも男性不妊の原因はありますか?

河村先生河村先生

ED(勃起不全)射精障害も、男性不妊の原因と言えるでしょう。これらも基本的には薬物療法で治療をしていきます。

不妊の原因が病気の場合、治療が必要

不妊の原因が病気の場合、治療が必要

編集部編集部

先ほど卵子の老化は病気ではないと言っていましたが、病気が原因となる不妊症はありますか?

河村先生河村先生

卵管異常排卵障害ホルモン異常子宮筋腫子宮内膜症など多岐にわたります。卵管異常があると、卵管が詰まって卵子と精子が受精できなくなり、妊娠ができなくなる場合があります。原因の一つである性病のクラミジアは内服薬で治すことができますが、感染していたことにより癒着や卵管異常が起きていることがあります。

編集部編集部

卵管異常はどのように治すのですか?

河村先生河村先生

卵管異常は内服薬で治療することができず、外科的治療を行います。腹腔鏡(ふくくうきょう)で子宮内の癒着を剥がす、または詰まった卵管を広げる治療を行い、自然妊娠を待ちます。ただ40代の方には手術後の自然妊娠よりも、最初から体外受精を行う場合が多いですね。

編集部編集部

他の病気についてはどうでしょうか?

河村先生河村先生

卵巣から卵子がうまくでてこない状態を、排卵障害と言います。内服、または注射の排卵誘発剤を使用すれば、排卵を促すことが可能です。ただ、誘発される卵子の数がコントロールできないのがデメリットで、双子でもそうですが、三つ子以上になると早産や後遺症のリスクが一層高くなるため、当院では排卵可能な卵胞が3個以上出来た場合は、原則的に妊娠を見送ります。

編集部編集部

ホルモン異常は治すことはできますか?

河村先生河村先生

例えば高プロラクチン血症では、週に一度の内服薬などで、ホルモン量を適正範囲内に抑えることができます。また、甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンを補充しますし、甲状腺機能亢進症では甲状腺ホルモンを正常値に下げていきます。

編集部編集部

子宮筋腫や子宮内膜症はどうでしょうか?

河村先生河村先生

病気自体を薬で改善することは可能です。ただ、薬を服用すると排卵が止まってしまうため、妊娠できなくなってしまいます。そのため、病気の治療と不妊治療、どちらを優先させるか決める必要があります。子宮筋腫は大きさも妊娠に影響しますがそれ以上にどこに出来ているかが重要です。発生場所、大きさが問題なければ、妊活を優先します。子宮内膜症も妊娠すると月経が停止することにより、子宮内膜症という病気が軽快してくるため、病気の状態により妊活を優先させることがあります。

編集部編集部

不妊かもしれないと悩んでいるけれど、治療に来ていない方はまだたくさんいると思います。そのような方に、メッセージをお願いします。

河村先生河村先生

タイミング療法、人工授精、体外受精など、現在ではたくさんの不妊治療の選択肢があります。昔に比べて、不妊は治療ができるものになりました。6組に1組の夫婦は不妊症と言われており、今や特別なことではないので、心配しすぎずに来院していただきたいですね。妊娠にとって年齢は大きな要素になるため、躊躇せずに早めに相談に行くことをオススメします。

編集部まとめ

不妊の原因には病気と関係するものも、たくさんありました。しかし先生いわく、妊娠や出産には年齢が大きく影響するそうです。年齢を重ねるにつれ、時間を無駄にせずに早く治療をすることが大切です。不妊は現代では特別な病気ではありません。気軽に一度、相談してみるとよいかもしれません。

医院情報

田園都市レディースクリニック

田園都市レディースクリニック
所在地 〒225-0011 神奈川県横浜市青葉区あざみ野1-5-1
アクセス 東急田園都市線、横浜市営地下鉄ブルーライン「あざみ野駅」東口より徒歩3分
診療科目 婦人科/不妊治療

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