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【漫画付き】手がふるえるときは何科に行ったらいいですか?

 更新日:2023/03/27
【漫画付き】手がふるえるときは何科に行ったらいいですか?

字が揺れてしまってうまく書けない、写真を撮るときに手ぶれが目立つ、知らず知らずのうちに手がカクカク動いている。こうした「手のふるえ」はなにが原因で、いずれ重篤な事態へ発展していくものなのでしょうか。受診先の選び方も含めて、「くまがい内科・脳神経内科クリニック」の熊谷先生へ取材しました。

熊谷先生

監修医師
熊谷 智昭(くまがい内科・脳神経内科クリニック 院長)

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日本医科大学医学部医学科卒業。同大学の付属病院にて臨床研修後、神経内科助教、脳神経内科医長・講師などを務める。北村山公立病院(山形県)神経内科医員、東京都立多摩老人医療センター(現・多摩北部医療センター)神経内科医員などを務める。2019年に神奈川県横浜市に「くまがい内科・脳神経内科クリニック」開院。大学病院や地域の基幹病院で培った神経内科専門医としての経験を、地域医療に生かしている。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本神経学会神経内科専門医・指導医、臨床研修指導医、認知症サポート医ほか。

なにもしていないときのふるえか、なにかをしているときのふるえか

なにもしていないときのふるえか、なにかをしているときのふるえか

編集部編集部
手のふるえが止まらないときは、どこを受診すればいいのでしょう?
熊谷先生熊谷先生

神経内科(脳神経内科)」です。「整形外科」と勘違いされる方がいらっしゃるのですが、整形外科は、主に骨や筋肉、関節などの異常を診る科目なので、「ふるえ」とは違います。なお、脳や神経系ではなく、代謝の異常などでふるえが起こっていることも考えられますが、入り口としては内科を専門とする「神経内科(脳神経内科)」で構いません。

編集部編集部
手のふるえは、脳や神経とどう関わっているのですか?
熊谷先生熊谷先生
ふるえの多くは、意図しないで起きる「不随意運動」に含まれます。筋肉の動きを統制できていないとなると、やはり、脳や神経の異常を疑うべきでしょう。「ご高齢者にみられるようなふるえ」に限らず、「緊張や怖さで起こるふるえ」も同様です。
編集部編集部
具体的な原因として、何が考えられるのでしょう?
熊谷先生熊谷先生
ふるえのことを医学的には振戦といいます。なにもしていないときのふるえを「静止時振戦」といって、主にパーキンソン病が原因と考えられます。カップなどを持ち上げるときなど、随意運動時のふるえを「運動時振戦」といい、本態性振戦や小脳疾患、脳血管障害などで見られます。重力に対抗して姿勢を維持しているときのふるえを「姿勢時振戦」といい、本態性振戦甲状腺機能亢進症などで見られます。本態性振戦は、原因不明、もしくは特定の原因によらないふるえのことをいいます。
編集部編集部
原因不明って、怖いですね?
熊谷先生熊谷先生
捉え方ひとつですが、明らかな異常がどこにもみられないわけですから、生活に支障のない限り「治療は不要」という考え方もできます。加えて、本態性振戦にはふるえ以外の症状、たとえば発熱や動悸(どうき)などを伴いませんので、様子見でも構いません。もちろん、ふるえで困っているようでしたら、治療が可能です。

湯飲みをもつとお茶がこぼれるタイプ

湯飲みをもつとお茶がこぼれるタイプ

編集部編集部

まずは、本態性振戦から詳しく教えてください。どのように診断していくのですか?

熊谷先生熊谷先生

最も重要になってくるのが、まずは該当する病気であるか否か判別です。甲状腺の異常や低血糖、アルコール中毒など、何かしらの原因が特定できれば、原因疾患の治療に進みます。あらゆる可能性を除外していって、該当する原因がないとなれば、本態性振戦と診断します。なお、小規模の振戦は誰でももっているとされ、加齢によって筋肉が衰えてくると、より顕著になってきます。

編集部編集部
除外診断だけで見分けるのでしょうか?
熊谷先生熊谷先生
いえ、除外診断と併せて、固有の特徴もありますので、確認していきます。まずは、「なにかをするときにふるえて、ふるえのほかに症状がないこと」ですね。また、主に手に、比較的左右対称に現れます。加えて、首のふるえや声のふるえが現れる場合もあります。一方、パーキンソン病の場合は、主に手や足に現れ、左右差が認められます。
編集部編集部
その原因は「不明」なんですよね?
熊谷先生熊谷先生
はい。明らかな原因のないことを「本態性」といい、イメージとしては体質のようなもので、ふるえを統制する機能が一般よりも弱い状態といえるでしょう。ただし、本態性振戦からパーキンソン病に進行していく場合もありますので、経過観察が必要です。なにもしていないときのふるえが伴ってきたら要注意ですね。
編集部編集部
完治はできるのですか?
熊谷先生熊谷先生
原因が特定できない以上、対症療法となります。アロチノロールというβ遮断薬(交感神経の働きを抑え、ふるえを弱める薬)を用いた薬物療法が一般的で、保険も適用しています。しかし、「ふるえがピタっと止まる状態」まではもっていけず、生活に支障が出ないレベルを目標にします。薬物療法効果が今一つの場合、電気を使った手術療法もあり、その効果は比較的良好ですが、合併症の問題もあり、適応は慎重に検討する必要があります。

リラックスしているときにふるえる

リラックスしているときにふるえる

編集部編集部
続いて、静止時振戦についてもお願いします。
熊谷先生熊谷先生
静止時振戦は、ほとんどがパーキンソン病によるものと考えてよいと思います。パーキンソン病とは、神経伝達物質のドーパミンが減少する病気で、結果として運動障害を起こします。加えて、認知症との関連も広く知られています。
編集部編集部
一言で静止といっても、いろいろなニュアンスがありそうです。
熊谷先生熊谷先生
そうですね。意味合いとしては「リラックスしている無意識な状態」のことで、ヨガのような“静止したポーズ”のことではありません。意図した動作なら、見かけが止まっていたとしても動作時です。他方、歩いているときなどに無意識にブラブラさせている手は、静止時に含まれます。日本語の「静止」とは若干、ニュアンスが違うかもしれません。
編集部編集部
パーキンソン病の治療方法について教えてください。
熊谷先生熊谷先生
薬物療法で用いられるのは、足りていないドーパミンを補う薬、あるいはドーパミンが出やすくなる薬などです。また、ふるえとは関係ありませんが、パーキンソン病そのものの治療方法として、リハビリなどの運動療法も効果的です。
編集部編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
熊谷先生熊谷先生
パーキンソン病が命に関わることは少ないものの、転倒や重篤な事故などの恐れは十分に考えられます。また、運動障害が原因でうまく飲みこめず、窒息や肺炎を起こすこともありえるでしょう。したがって、原因疾患の深刻さでいえば、静止時振戦のほうが問題です。この区別はなかなか難しいので、自己診断で本態性振戦などと決めつけず、ぜひ、医師の診断を受けてください。

編集部まとめ

手のふるえが気になったら、「神経内科(脳神経内科)」を受診しましょう。たとえホルモンバランスのような代謝系が起因していたとしても、「神経内科(脳神経内科)」で判明するそうです。また、日本語の「静止」と医学的な「静止」はニュアンスが異なりますから、自己診断は避け、専門家の診断を仰ぎましょう。「本態性振戦なら治療は不要」という記載を散見しますが、そもそも該当するのかどうかは、医師が判断することです。素人判断はやめてください。

医院情報

くまがい内科・脳神経内科クリニック

くまがい内科・脳神経内科クリニック
所在地 〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町30-1パークコート山下公園302号
アクセス みなとみらい線「元町・中華街」駅徒歩1分
JR京浜東北根岸線「石川町」駅徒歩10分
バス「山下公園前」下車徒歩2分
診療科目 一般内科、脳神経内科

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