【漫画付き】なんで水虫は毎年繰り返し発症するの?
夏になると、治ったと思った水虫が再発してしまう。もしかしたら、そんな悩みを抱えていませんか。また、家族の中で、犯人捜しをしていないでしょうか。間違った詮索より、正しい対策を取りましょう。その方法を、「鎌倉かまりんヒフクリニック」の福永先生に教わりました。
監修医師:
福永 有希(鎌倉かまりんヒフクリニック 院長)
浜松医科大学卒業。横浜市立大学附属病院皮膚科入局後、おもに神奈川県内の総合病院や皮膚科へ勤務。2018年、神奈川県鎌倉市に「鎌倉かまりんヒフクリニック」開院。皮膚の発信する「かまってちょうだい!」というアラートに耳を傾けるべく、日々の診療にあたっている。日本皮膚科学会皮膚科専門医。日本美容皮膚科学会、日本アレルギー学会、神奈川県皮膚科医会、日本痤瘡研究会の各会員。
再発の原因が自分にある場合
編集部
夏になると治ったはずの水虫が再発します。どうしてでしょう?
福永先生
治りきっていないことが多いようです。水虫は症状を感じなくても皮膚の角質層に原因菌が潜んでいることがあります。まだ菌が残っている状態で治療をやめてしまうと、夏の高温多湿とともに再び増殖してしまうのです。
編集部
薬の使用は、どれくらいの期間するものなのでしょうか?
福永先生
「見た目がきれいになってから数ヶ月」が目安です。おおむね半年くらいと考えておくと良いでしょう。水虫の原因菌が爪に入り込んでいる場合は1年くらい注意が必要です。せっかく治療するなら、医師のOKが出るまで頑張ってみてください。
編集部
かゆみを感じないところにも、水虫菌はいるのでしょうか?
福永先生
水虫だから「かゆい」とは限りません。水虫の原因菌に対する皮膚の防御反応をかゆみとして感じる人もいますが、少数派です。ほとんどの方は、かゆみをあまり感じていないので、気づかないうちに水虫が広がってしまうのです。
編集部
やはり、薬の継続使用が一番だと?
福永先生
そういうことですね。皮膚のターンオーバーの周期にあわせて、水虫の治療は少し長めに、と考えてください。外用薬の場合、両足全体に塗るようにしましょう。1箇所だけと思っていても、水虫菌は足全体に広がっている可能性があります。
編集部
靴や靴下も気になってきました。
福永先生
靴下は洗濯をすれば大丈夫です。靴は風通しをよくして保管すること、除菌スプレーなどをかけておくのも効果的です。毎日同じ靴ではなく、清潔にした違う靴を履くようにするのも大事です。
再発の原因が自分以外にある場合
編集部
自分の家の床なども、再感染の原因になったりしますか?
福永先生
なります。水虫がなかなか治らない原因の一つです。床に限らず、バスマットやスリッパなど、足の触れるところは注意が必要です。洗濯、除菌スプレーなどを活用し、家族でスリッパなど足の触れるものを共有しないことが大切です。また、温泉やジムなど、素足で歩くような場所には水虫菌がたくさん落ちています。持ち帰ってしまうリスクがありますので、靴を履く前に除菌シートで拭いたり、帰宅してから足を洗うなどの対策を心がけてください。
編集部
うわっ、きりがないように思えます……。
福永先生
たとえ水虫菌がついてしまっても、それを24時間以上放置しないことが大切です。皮膚の表面についた菌は洗い流す程度で簡単に落とせます。長時間放置すると菌が角質層内部に入り込んで繁殖を始めますので、帰宅の際の「水際作戦」を心がけてください。
編集部
そう考えると、治療には家族の協力も必要ですね?
福永先生
そうですね。例えば、お子さんがスイミング教室などで水虫菌をつけてきて、床からお父さんの足に付着、そのまま出張に出かけて長時間足が蒸れた状態で水虫を発症する、といったパターンはあると思います。水虫対策は家族そろってやりましょう。
意外と知らない水虫のトリビア
編集部
かゆみ以外の、水虫の症状を教えてください。
福永先生
水虫というだけあって、水疱ができることもあります。ほかに、足の皮がむける、足指の間が白くふやける、かかとがカサカサになる、爪が白く濁るなども水虫のサインです。
編集部
水虫と季節は関係あるのですか?
福永先生
水虫の原因菌はカビの一種ですので、夏の高温多湿で増殖しやすくなります。他方、冬は寒くて乾燥するので水虫を治すチャンスでもあります。しかし、肌を乾燥させすぎるとバリア機能が失われて菌に対する抵抗力が弱まってしまいますので、適度な肌の保湿ケアは必要です。
編集部
ほか、思い違いやトリビアなどはありますか?
福永先生
水虫は足だけと思われがちですが、頭皮や体など、全身のどこにでも発症しますので要注意です。また、水虫が怖いからといってゴシゴシ一生懸命に肌を洗うのは逆効果になります。洗いすぎて常在菌のバランスが乱れたり、バリア機能が傷ついた肌では、水虫が角質層に入り込みやすくなります。日々、適度な清潔とお手入れを心がけ、肌の健康をキープしましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
福永先生
水虫を翌年に持ち越さないために、家族そろっての対策と長めの治療、そして普段からの予防対策を続けてください。
編集部まとめ
なんだか、家全体が水虫菌のすみかのように思えてきました。除菌スプレーの宣伝は、あながち大げさとも言えないのですね。まずは、塗り薬を長期にわたって使い続けること。そして、感染経路や菌の持ちこみに注意すること。とりあえず、この2点から始めてみましょう。また、洗濯を通してほかの衣服に感染することはないとのことですので、安心してください。
医院情報
所在地 | 〒248-0006 神奈川県鎌倉市小町2-15-11 |
アクセス | JR湘南新宿ライン・江ノ島電鉄線 鎌倉駅 徒歩3分 |
診療科目 | 皮膚科 アレルギー科 小児皮膚科 形成外科 美容皮膚科 |