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【漫画付き】いざというときにAEDを使えるか不安…正しいAEDの使い方と使うべき状況を教えて!

 更新日:2023/03/27
【漫画付き】いざというときにAEDを使えるか不安…正しいAEDの使い方と使うべき状況を教えて!

最近は色々な場所でAEDを見かけることが増えました。AEDという言葉はよく聞きますが、実際にAEDを使ったことはありますか? いきなり使うのも難しければ、どのような状況で使っていいかもわからないですよね? そこでAEDの使い方について、田無循環器クリニックの末定先生に教えてもらいました!

末定 弘行

監修医師
末定 弘行(田無循環器クリニック 院長)

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東京医科大学医学科卒業後、同大学の外科学第二講座(心臓血管外科)に入局。その後、田無第一病院(現・西東京中央総合病院)循環器科部長、副院長を経て、2016年に田無循環器クリニックを開院。長年、外科だけでなく循環器内科診療に携わってきた経験を活かし、地域のかかりつけ医として尽力している。日本循環器学会専門医、日本外科学会専門医、日本胸部外科学会認定医などの資格を持つ。病院勤務中は東京都CCUネットワークの加盟施設の責任者として循環器救急医療に従事。2006年から14年に亘り西東京市医師会が主催するAEDとBLS講習会のディレクターを務めている。

AEDは心臓を正常に動かすための医療機器

AEDは心臓を正常に動かすための医療機器

編集部編集部

AEDとはどのようなものですか?

末定先生末定先生

AEDとは「Automated External Defibrillator」、日本語で「自動体外式除細動器」と呼ばれるものです。「自動体外式除細動器」という名前の通り、心臓に強い電気刺激を与えて心室細動という不整脈を止める治療を行います。心室細動になると心室が小刻みに震え、血液を絞り出すことができなくなってしまいますが、除細動を行うことで心臓の動き(働き)を元に戻すことができます。

編集部編集部

名前だけ聞いても難しいですね……。

末定先生末定先生

心臓は右心房と右心室、左心房と左心室という4つの部位で構成されています。心房も心室も右心房のてっぺんにある洞結節というところから規則正しく出る電気に刺激されて規則正しく血液を絞り出すように動いています。その速さは、健康な人なら安静時60回/分前後で、運動すると速くなり180回/分になります。洞結節以外の場所からも電気が出ることがあり、その電気も心室に伝わり、左心室から送り出される血液の流れに乱れが生じるのが不整脈です。心筋梗塞が起こった時や、遺伝的な心臓の病気がある人には、心室の一部から500回/分の電気が出続け、左心室が小刻みに震えて血液を送り出せなくなってしまう心室細動という不整脈が起こります。

編集部編集部

つまりそれにより、心臓が正常に動かなくなったということですか?

末定先生末定先生

その通り。つまり、細動が起こった心臓を正常に戻すためAEDが必要なのです。とにかくできることを素早くやる、というのを最優先してください。

脳死を防ぐために早めの除細動が必要

脳死を防ぐために早めの除細動が必要

編集部編集部

その治療は救急車が着く前に、まわりにいる人が行わなくてはダメなのですか?

末定先生末定先生

心臓が血液を送れなくなると、当然脳にも血液がいかなくなります。脳に血液がいかないと脳の細胞は壊れてしまい、わずか数分で脳死状態になってしまいます。時間が経ってから心臓は蘇生できたとしても、脳は3秒以上血流が途絶えると機能を失い、意識がなくなり呼吸が止まります。1分、2分と時間が経つにつれ脳の細胞が壊れていき、10分経つとほぼすべての脳細胞が壊れ、脳死状態となります。このとき、脳幹だけが助かれば植物状態となります。119番通報して救急車が到着するのは平均で7分、早くて2,3分なので、救急車の到着を待たずにAEDを含めた救命措置を始めることが重要です。

編集部編集部

そうなのですね。でも人が近くで倒れても、必ず心臓が悪いとは限りませんよね?

末定先生末定先生

そうですね。意識のない人を見つけたら、AEDを使う目安は息が止まっているかどうかです。息がとまっていたら、まず一時救命措置(BLS)である胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始するとともにAEDを取りに行き、AEDが届いたら直ちに装着してAEDで心電図をとりましょう。そうすると心電図を自動解析して、心室細動になっているときは「除細動が必要です」とアナウンスがされます。

編集部編集部

AEDが自動解析までしてくれるのですね。そのアナウンスが流れたら、どうしたらよいのでしょうか?

末定先生末定先生

指示に従いスイッチを押せば、電気が流れてショックを与えます。成功すればそれで心臓の動きは正常に戻ります。失敗した場合は再度「除細動が必要です」とアナウンスが流れますので指示に従って対応しましょう。

編集部編集部

AEDを行うときに気をつけることはありますか?

末定先生末定先生

災害現場などで大事なのは、二次被害が起きない安全な場所で行うことです。濡れた場所で行うと感電してしまうので、注意してください。また電気ショックを与える人に触っていると、感電してしまうので気をつけてください。

AEDの講習会に参加しよう

AEDの講習会に参加しよう

編集部編集部

では基本は倒れている人が息をしていなかったら、AEDで心電図をとるということですか?

末定先生末定先生

はい。流れとしては、下記の通りです。

・息をしていないのを確認

・BLS(心臓マッサージ)を開始するとともにAEDを取りに行く

・AEDを装着する

・AEDで心電図をとる

・除細動が必要であれば行う

・息をしていないのを確認

・BLS(心臓マッサージ)を開始するとともにAEDを取りに行く

・AEDを装着する

・AEDで心電図をとる

・除細動が必要であれば行う

息をしている人には決して使用しないでください。また、AEDを行うにしても、救急車はその前に必ず呼んでください。

編集部編集部

でも実際にAEDで処置をして、なにかあったらと思うと不安です。

末定先生末定先生

救命活動でAEDを使用した場合、もしなにかあっても使用者が罪に問われることはありません。前述のとおり、使用方法については自動音声でアナウンスが流れますので、慌てず指示に従いましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあればお願いします。

末定先生末定先生

地域や消防署で行う講習会などは、ぜひ皆さんに受けてほしいです。本来は医師が行う医療行為ですが、一刻を争うための救命処置として一人でも多くの人ができるようになれば、より助かる人が増えると思います。

編集部まとめ

「一人でも多く脳に後遺症を残さないで助けるために、AEDを含めた一時救命措置(BLS)を行うことは大切です。ぜひ講習を受けて、たくさんの人にきちんと使えるようになってほしいです」と末定先生からメッセージをもらいました。使い方や状況がわからなければ、やはり躊躇してしまうAED。緊急性を理解して、正しい使い方を覚えることが重要です。

医院情報

田無循環器クリニック

田無循環器クリニック
所在地 〒188-0012 東京都西東京市南町5-1-8 田無クリニックモール1F
アクセス 西武新宿線「田無駅」より徒歩3分
診療科目 循環器内科、循環器外科、内科

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