【漫画付き】ほくろを自分で除去したいけど、「もぐさ」や 「除去クリーム」って、使っても大丈夫?
いわゆる病気とはいえない「ほくろ」。医院での治療という発想がなかなか持てず、民間療法を試してみたいと考える人も多いだろう。しかし厚生労働省は、こうした風潮に警告を鳴らしている。なぜ危ないのか。医院の治療なら安全なのか。「ほくろ」の最新事情を、みやもと美容クリニックの宮本先生に伺った。
監修医師:
宮本 英治(みやもと美容クリニック 院長)
藤田保健衛生大学医学部卒業。藤田保健衛生大学医学部形成外科入局後、一般医院の勤務を経て医学博士取得。2015年には、愛知県海部郡に「みやもと美容クリニック」開院。内面からきれいになることで、精神や肉体の健康が保てるよう、正しい知識に裏付けられた医療サービスを提供している。日本形成外科学会専門医。国際形成外科学会、日本頭蓋顎顔面外科学会、日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会、日本美容外科学会(JSAPS)の各会員。
ほくろは、最初から黒い色をした固有の細胞組織
編集部
ほくろの正体って何なのですか?
宮本先生
「母斑細胞(ぼはんさいぼう)」という細胞の塊です。もともと黒い色をしていて、しみの原因となるメラニンとは全く異なる存在です。医学的に「母斑性母斑」や「色素性母斑」といいますが、両者の違いはほとんどありません。
編集部
大きさや盛り上がり方など、いろいろな「ほくろ」を見かけます。
宮本先生
平らで小さい点みたいなほくろや、ドーム状に丸く膨らんだほくろなど、さまざまですよね。これらは、母斑細胞が皮膚のどの層にあるのかによって変わってきます。皮膚の層は、上から順に「表皮」「真皮」と分かれているのです。
編集部
そもそも、どうしてできてしまうのでしょう?
宮本先生
遺伝的な要素もありますが、ほくろの多くは日焼けがきっかけで増えてきます。シミの正体であるメラニンは日焼けによってできますが、それと同様、母斑細胞も日焼けに誘発されます。
民間療法のはらむリスクについて
編集部
ほくろを取るとき、「もぐさ」を使ったおきゅうがいいと聞きますが?
宮本先生
たしかに、ほくろの表面が熱の作用によって取れてくることは考えられます。いわゆる「やけど」をしている状態ですね。ただ、皮膚の深いところに存在する「ほくろ」にも有効かというと疑問です。皮膚の表面がやけどしたところで、すべては取り切れないでしょう。
編集部
浅いほくろなら取れそうですか?
宮本先生
うーん、可能性はありますけれども、やけどのような後遺症が心配です。仮にやけど跡が残ってしまったら、それはそれで目立つでしょう。お勧めはできません。
編集部
続いて、「除去クリーム」の効用はどうでしょう?
宮本先生
ちまたでいう「除去クリーム」とは、おそらく、アルカリ性のクリームのことだと思います。化学薬品の作用で、やけどと同じような状態にすることができるんですね。しかし、「もぐさ」と同じ事が考えられます。厚生労働省からも、「もぐさ」や「除去クリーム」に関する注意喚起が出ているくらいです。
編集部
カッターなどを使って自分で取るのは論外ですよね?
宮本先生
もちろんです。毛細血管を傷つけますので、かなりの出血があると思います。また、清潔とはいえないカッターなどを使うと、感染症のリスクも考えられるでしょう。化膿したり、傷跡が残るといった、別の問題が生じます。
医院での治療は何が違うのか
編集部
医院では「ほくろ」の除去ができるのですか?
宮本先生
ほくろ専用のレーザーがあるクリニックなら可能です。レーザーも基本的には「焼く」わけですが、跡が残らないよう、細心の注意を払って施術します。
編集部
レーザー以外の方法はあるのでしょうか?
宮本先生
切除して縫う方法もあります。ただし、小さなほくろの場合は、逆に縫い跡が目立ちかねません。レーザーで焼くほうが好ましいでしょう。
編集部
大きかったり深かったりしたら、物理的な切除を検討するわけですね?
宮本先生
ケース・バイ・ケースですが、あまりに大きな場合や形がいびつな場合は、メラノーマなどの皮膚がんかもしれません。そうなると、切除よりも検査を優先します。
編集部
施術回数は1回で済みますか?
宮本先生
先ほどお話ししたように、優先すべきは「なるべく跡を残さない」ことです。そうなると、再発の可能性をゼロにすることは難しいでしょう。もちろん、アフターケアが非常に重要なので、ケア方法のご指導はいたします。
編集部
受診先としては何科になるのでしょう?
宮本先生
形成外科や皮膚科で、なおかつ日本形成外科学会か日本皮膚科学会に所属している医師のいる医院がいいでしょう。技術や経験を豊富に習得されているはずです。
原則として自費診療となる価格について
編集部
ほくろの除去には保険が効きますか?
宮本先生
審美目的の場合、保険は効きません。例外は、皮膚がんなど「悪いできもの」の可能性が疑われ、細胞の検査を要したときだけです。この場合、良性か悪性かの検査の結果を問いません。
編集部
普通のほくろだったとしても、保険適応になると?
宮本先生
はい。検査をしていればの話です。その代わり、細胞の検査をするには、切除して縫うしか方法がありません。レーザーだと細胞を焼いてしまいますからね。そうなると、「悪いできもの」を疑うケース以外の審美目的では、実質、自費によるレーザー治療となることが多いです。
編集部
わかりました。自費の場合、相場はいくらくらいなのですか?
宮本先生
一般的には、大きさと個数によります。1ミリから2ミリくらいの小さなほくろで5000円前後、3ミリから4ミリで1万円前後といったところではないでしょうか。
編集部
その費用は「ほくろ1個あたり」ですよね?
宮本先生
そうなります。ただし「定額プラン」を実施している医院もあります。当院でも「ほくろ、シミ、いぼ、全て気になるものを取って5万円」というプランをご用意しています。詳しくは、お問い合わせください。
編集部まとめ
ほくろによる見た目で悩んでいたら、やはり、専門医師のいる医院を受診したほうが良さそうです。また、正式な医療機関とはいえないエステの利用は、慎重に判断しましょう。とくに顔のほくろは、衣服で隠せる体の一部と異なり、施術跡が目立ちかねません。
医院情報
所在地 | 〒497-0034 愛知県海部郡蟹江町本町9-48 |
アクセス | 近鉄名古屋線「蟹江駅」徒歩5分 JR関西本線「蟹江駅」徒歩15分 蟹江インターチェンジから車で10分 |
診療科目 | 美容皮膚科・美容外科 |