市販の目薬は要注意! 眼科医が勧めるドライアイの対策方法とは?


市販薬は余分な成分が入っていないものを選ぶ

編集部
ドライアイに市販の目薬はダメって本当ですか?
池上先生
市販薬には、本来の目的と違う成分が入っているものがあるため、安易に市販薬を使用することはお勧めできません。たとえば防腐剤の塩化ベンザルコニウムは、目薬を日持ちさせるために使われていますが、消毒薬にも使われている成分です。これが入った市販薬を使用すると、症状が悪化してしまうことがあります。
編集部
効果がないというより、悪化させてしまうのですね!
池上先生
そうですね。また、目をスーッとさせる成分は一瞬気持ちよいだけで、薬効成分はありません。目の充血を改善する血管収縮剤が入った点眼薬は、現在は使用しない傾向にありますので使用は控えたほうがよいでしょう。
編集部
充血を改善する点眼薬はなぜダメなのですか?
池上先生
「充血に」と書いてある市販薬には、血管収縮剤(※)が使用されている場合があります。血管収縮剤には、充血して赤くなった白目の部分の血管の周囲を取り巻いている筋肉を引き締めることで、瞬時に白くする作用があります。ただ、3~4時間して血管の筋肉がゆるむと、また元に戻ります。そこでまた目薬を差す。それの繰り返しで根本的な治療にはなりません。
編集部
充血を抑える効果も一時的なんですね
池上先生
それどころか、収縮を繰り返すうちに血管の周りの筋肉が太くなり、白目の部分が常にピンク色っぽくなってしまいます。ですから私は、血管収縮剤入りの点眼薬を使っている患者さんには、理由を説明して使用をストップしてもらっています。見た目を白くする即効性があるので、継続使用する傾向があり、注意が必要です。
編集部
市販薬で余分な成分が入っていない目薬はないのですか?
池上先生
市販薬でも「ソフトサンティア®」という商品はおすすめです。これは涙に近い成分で作られ、余分なものが一切入っていないうえ、値段も安価です。ただし、防腐剤が使われていないので、使い始めたら10日ほどで使い切る必要があります。
ドライアイの原因・症状を解説

編集部
そもそもドライアイとはどういう状態なのでしょうか
池上先生
涙が乾きやすくなり、目が疲れやすい、かゆみや異物感、物がかすんで見えるなど、不快感が続く状態です。涙が乾くのは、涙の量や成分のバランスが崩れているということ。涙が少なくなったり、蒸発する量が増えたり、涙の成分が変化したために起こるなど、原因はいろいろです。
編集部
原因について詳しく教えてください
池上先生
さまざまな原因がありますが、一般的には、加齢とともに涙の量が減って乾きやすくなります。個人差がありますが、更年期の症状として眼が乾きやすくなることもあります。私が診た患者さんは、更年期のころにはかなり重症でしたが、更年期が過ぎたら、かなり改善しました。年齢に関係なく、疲れると発症することもあります。季節では、湿気の多い夏よりは空気が乾燥した冬に症状が出る方が多いですね。免疫系の病気が原因のこともあります。有名なシェーグレン症候群は、涙だけでなく口の中などあらゆるところが乾く分泌系の病気で、目の乾きが重症化することがあります。
編集部
パソコンやスマホが原因となることもありますよね
池上先生
パソコンやスマホを熱中して使っていると、まばたきが減るため、目が乾きやすくなります。意識してまばたきするようにしましょう。予防のためには、ディスプレイを見下ろすように下のほうに置くことを推奨します。見上げる位置だと目を見開くため、乾きやすくなってしまいます。
編集部
コンタクトが原因になることもありますか
池上先生
コンタクトも原因になります。とくにソフトレンズは、涙を吸ってしまうため目が乾きやすくなります。症状がひどいときは、眼科医に相談して、乾きにくい素材のコンタクトレンズに変更する、一時的に使用をストップするか、目の乾きを改善する点眼薬を併用して様子をみることを推奨します。
点眼薬以外のドライアイ改善法

編集部
点眼薬を使わないでできる改善方法はありますか
池上先生
症状が軽いうちは、暖めるだけで改善することがあります。お風呂で、温めたタオルをよく絞って眼の上に乗せてしばらくおきます。暖めると、油の成分の分泌が促されて涙の液層を保護するため、乾きが改善されます。眼の疲れもとれるので、一石二鳥です。最近は温熱効果で目の疲れをとるアイマスク商品が販売されていますが、目の乾きにも効果が期待できます。
編集部
眼科ではどのような治療で、改善するのですか?
池上先生
重症ドライアイには、「涙点プラグ」という治療法があります。上下のまぶたにあり、涙の出口である「涙点」という孔にシリコン製のふた(栓)をして、涙を排出しなくする方法です。普通の人だと涙があふれてきますが、極度のドライアイで角膜障害がひどい人には効果があります。涙点はまぶたの上下に2つありますから、ふた(栓)を1個にするか2個にするかは、症状によって判断します。この方法は、外来で簡単にできます。
編集部まとめ
市販の目薬には、目の乾きの治療とは関係のない成分や、症状が悪化してしまう成分が含まれているとのこと。とくに、次の3つの成分が入っているものは要注意です。・日持ちさせるための防腐剤 ・スーッと爽快になる成分 ・目の充血を瞬時に改善する血管収縮剤
市販薬を選ぶときは、余分なものが入っていない「ソフトサンティア®」がおすすめとのこと。また、目を暖めることで改善することもあるので、暖かいタオルを目の上に乗せる方法や、市販の温熱効果のあるアイマスクを使用する方法も試してみるのもよさそうです。 パソコンやスマホのヘビーユーザーは、まばたきの回数を増やすよう意識するだけでも、改善するかもしれません。 それでも悪化する場合は、角膜障害がひどくなる前に、早めに眼科を訪れるのが最善の策といえます。
医院情報
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| 診療科目 | 一般眼科・小児眼科 |



