「更年期かな?」で済ませないで|女性に増える甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症の見逃しやすいサイン

最近、「疲れが取れない」「体重が急に増えた」「イライラする」という症状に悩んでいませんか?仕事や育児による疲れ、更年期によるものと見過ごされやすいこういった不調の背景には、甲状腺機能の異常が隠れているかもしれません。
甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症は、特に20〜50代の女性に多く見られる病気ですが、症状が更年期障害や産後の体調不良と似ているため、気づかないうちに進行してしまうケースがあります。
本記事では、放置すれば心臓や骨、妊娠・出産にも深刻な影響を及ぼす可能性がある甲状腺の異常を早期に発見し、適切な対処につなげるための知識をお伝えします。
監修医師:
皆川 晃伸(わかば甲状腺クリニック)
埼玉医科大学 医学部 卒業
平成10年04月
埼玉医科大学 内分泌内科・糖尿病内科入局、及び同大学院入学
平成15年03月
学位記授与(医学博士)
平成17年10月
伊藤病院 就職
平成20年05月
埼玉医科大学病院 内分泌内科・糖尿病内科 就職
平成26年04月
鶴ヶ島池ノ台病院 入職
令和6年11月
わかば甲状腺クリニック 開設
目次 -INDEX-
甲状腺とは?体調不良と見逃されやすい“代謝の要”

甲状腺は喉ぼとけのすぐ下にある小さな臓器で、蝶が羽を広げたような形をしています。一見すると目立たない存在ですが、身体全体の代謝をコントロールする重要な役割を担っています。
甲状腺が分泌する甲状腺ホルモンは、心臓の拍動や体温の維持、エネルギーの産生、さらには脳の働きや肌の状態に至るまで、全身のあらゆる細胞に影響を与えます。いわば、身体のエンジン出力の調整役のような存在といえるでしょう。
甲状腺ホルモンの役割
甲状腺からは主にサイロキシン(T4)が分泌され、体内でより活性の高いトリヨードサイロニン(T3)に変換されます。これらのホルモンは血液を通じて全身に運ばれ、細胞のエネルギー代謝を促進します。適切な量が分泌されることで身体は正常な体温を保ち、心拍数も安定し、精神的にも落ち着いた状態を維持できます。
一方で、このホルモンの分泌量が多すぎたり少なすぎたりすると、身体のさまざまな機能に支障をきたします。
例えばホルモンが過剰になれば心臓が過度に働き、不足すれば身体全体の動きが鈍くなってしまいます。このように、甲状腺ホルモンは私たちが日常生活を送るうえで欠かせない調整役なのです。
甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症はなぜ見逃されやすいのか
甲状腺機能の異常は、症状が多岐にわたるため甲状腺の病気だと自覚しにくいという特徴があります。
例えば、疲労感や体重の変化、気分の浮き沈みといった症状は、誰もが日常的に経験するものなので「最近忙しいから」「年齢のせいかも」と自己判断してしまい、受診が遅れてしまいがちです。特に30〜50代の女性は仕事や育児、家事に追われ、自分の身体の変化に注意を向ける余裕がないことも少なくありません。
また、更年期と症状が重なりやすい年代でもあるため、ホルモンバランスの乱れを更年期障害と混同してしまうことがあります。さらに、産後の女性は育児疲れで片づけてしまい、甲状腺の異常に気づかないまま数年が経過してしまうこともあります。
健康診断の検査値の見方:TSH・FT3/FT4とは?
甲状腺機能を調べる際には、血液検査で「TSH」「FT3」「FT4」という数値を確認します。
TSH(甲状腺刺激ホルモン)は脳の下垂体から分泌されるホルモンで、甲状腺にホルモンを作るよう指令を出す役割を持っています。例えば、甲状腺ホルモンが不足するとTSHを大量に分泌したり、逆に甲状腺ホルモンが過剰になるとTSHの分泌が抑えられます。そのためTSHの値は、甲状腺機能の低下や亢進の可能性を探るための重要な判断材料の一つだといえます。
FT4とFT3は、甲状腺ホルモンのうち、たんぱく質と結合せずに血液中で実際に作用しているホルモンの量を示す数値です。
これらの値を組み合わせて判断することで、甲状腺の働きが正常かどうかを見極めることができます。健康診断でこれらの数値に異常が見つかった場合は、速やかに受診することが大切です。
【甲状腺機能亢進症】“身体がフル回転”しすぎる異常の症状

甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態を指します。身体の代謝が異常に活発になるため、アクセルを踏み続けているかのように心臓や神経、筋肉などがフル稼働してしまいます。
代表的な病気としてバセドウ病が知られており、20〜40代の女性に多く見られます。初期には落ち着きがなくなる、気持ちが高ぶるといった感覚から始まることもあり、異常だと気づきにくいのが特徴です。
目立つ身体の変化:頻脈・発汗・体重減少
甲状腺機能亢進症の典型的な症状として、まず挙げられるのが動悸や頻脈です。安静にしているときでも心臓がドキドキと速く打ち、階段を上っただけで息切れがするといった状態が続きます。暑がりになり、夏でもないのに大量の汗をかくケースもあります。これは、身体の代謝が過剰に活発になり、熱が多く産生されるためです。
また、食欲は旺盛なのに体重が減っていくという現象も見られます。食べているのに痩せていく状況は、身体が異常な状態にあることのサインだといえます。
さらに、筋力が低下して疲れやすくなる、手の震えが現れて字を書くときやコップを持つときに気づくというケースもあります。
心の変化:不安・イライラ・睡眠の乱れ
身体的な症状だけでなく、精神面にも影響が現れます。理由もなくイライラしたり、些細なことで怒りっぽくなったりするのは、甲状腺ホルモンが神経系に作用しているためです。
不安感や焦燥感に襲われることもあり、じっとしていられないような落ち着きのなさを感じる方もいます。また、夜になってもなかなか眠れない、眠りが浅くて何度も目が覚める、朝早く起きてしまうといった睡眠障害も見られます。
こうした症状が続くと精神的な疲労が蓄積し、気分の落ち込みを感じることもあります。
見逃しやすい亢進症のサイン
甲状腺機能亢進症には、見逃されやすいサインもあります。
- 生理周期の乱れや月経量減少
- 皮膚がやわらかくなる
- 髪が細くなる
- 爪が割れやすくなる
ほかにも、バセドウ病に特徴的な眼球突出(目が前に出て見える症状)がありますが、自分では変化に気づきにくいことがあります。
これらの症状は単独では甲状腺の異常と結びつきにくいため、複数の症状が重なったときには甲状腺の診療を専門とする医師の診察を受けることが重要です。
【甲状腺機能低下症】“身体のエンジンが落ちる”異常の症状

甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの分泌が不足し、身体の代謝が全体的に低下する病気です。代表的な原因の一つに橋本病(慢性甲状腺炎)があります。
亢進症とは逆に、身体のエンジンが弱まり、すべての動きがスローダウンしてしまうような状態です。初期症状は「疲れやすい」「やる気が出ない」といった曖昧なものが多く、加齢や生活習慣の乱れと混同されやすいのが特徴です。
身体の変化:疲労感・体重増加・寒がり
甲状腺機能低下症では慢性的な疲労感を感じるようになり、十分に睡眠を取っても疲れが取れず、朝起きるのがつらい、日中も常に眠気に襲われるといった状態が続きます。また、食事量は変わらないのに体重が増える、むくみが取れないといった変化も現れます。これは、代謝が低下しているためエネルギーの消費が減り、体内に水分がたまりやすくなることなども関係しています。
さらに、寒がりになって夏でも手足が冷たい、暖房をつけていても寒いと感じることがあります。皮膚が乾燥してカサカサになる、便秘がちになる、髪の毛が抜けやすくなるといった症状や、声がかすれたり動作が緩慢になったりすることがあります。
心の変化:無気力・集中力低下・抑うつ気分
精神面では、何をするにもやる気が起きない、物事に関心が持てない、楽しいと感じることが減ったといった無気力感が続くことがあります。集中力や記憶力が低下し、仕事や家事でミスが増える、約束を忘れるといったことも起こります。
こうした症状はうつ病と似ているため、精神科を受診してうつ病と診断されるケースもあります。しかし、甲状腺機能低下症が原因である場合は甲状腺の治療を行わなければ十分な改善を得られない可能性があるので、もし症状が改善しない場合は、甲状腺の検査を受けることが推奨されます。
気分の落ち込みや意欲の低下が長引くときには、気持ちの問題と片づけず、身体的な原因がないかを確認することが大切です。
生理・妊娠への影響
甲状腺機能低下症は女性の生殖機能にも影響を与え、月経周期が乱れたり、月経量が増えたりすることがあります。また、排卵がうまく行われず不妊の原因となることもあるため、妊娠を希望している方にとっては、甲状腺機能の低下が壁となる可能性があります。
さらに、妊娠中に甲状腺機能低下症が適切に管理されていないと、流産や早産、胎児の発育不全といったリスクが高まります。妊娠初期の赤ちゃんは自分で甲状腺ホルモンを作ることができないため、母体から十分なホルモンを供給してもらう必要があります。そのため、妊娠を計画している段階で甲状腺機能をチェックし、必要に応じて治療を開始することが重要です。
甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症を放置するリスク

甲状腺の異常は、症状が軽いうちは「少し体調が悪いだけ」と思ってしまいがちですが、放置すれば身体全体に深刻な影響が及ぶおそれがあるため、早期発見と適切な治療が重要です。
更年期や産後の不調と誤解されやすい見逃しリスク
甲状腺機能の異常は、更年期障害や産後の体調不良と症状が似ています。例えば、ホットフラッシュ(ほてり)や動悸、イライラ、疲労感、無気力感といった症状は、どちらにも共通して見られます。そのため、40代以降の女性は「更年期だから仕方ない」と自己判断してしまったり、産後の女性は育児疲れや睡眠不足と考えてしまいがちです。
出産後には、一時的に甲状腺機能が変動する産後甲状腺炎という病態も存在するため、不調が続く場合には、甲状腺の検査を受けることが推奨されます。
放置するとどうなる?長期的な影響
甲状腺機能亢進症を放置すると心臓に大きな負担がかかり続け、心房細動や心不全といった深刻な心疾患を引き起こす可能性があります。また、長期間にわたりホルモン過剰の状態が続くと骨密度が低下しやすくなり、若い年齢でも骨粗しょう症のリスクが高まります。
一方、甲状腺機能低下症が適切に治療されない状態が続くと動脈硬化が進行しやすくなり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇します。また、コレステロール値が高くなることもあり、生活習慣病の悪化につながることがあります。さらに、重度の低下症では稀に、意識障害や低体温を伴う粘液水腫性昏睡という命に関わる状態に陥ることもあります。
妊娠を希望する女性にとっては、不妊や流産、胎児への影響といったリスクも気になるところでしょう。
こうした長期的な影響を避けるためには、早期に診断を受けて適切な治療を開始することが求められます。
受診の目安と診療科の選び方
それでは、どのような症状が現れたら受診すべきなのでしょうか。
まず、以下のような症状が複数当てはまる場合には、甲状腺の検査を受けることをおすすめします。
- 動悸や息切れが続く
- 急激な体重の増減がある
- 疲労感が取れない
- イライラや気分の落ち込みが続く
- 生理周期が乱れている
- 手の震えや声のかすれがある
また、遺伝的な要素もあるため、甲状腺疾患の家族がいる方は一度検査を受けることも検討してみるとよいでしょう。一般内科でも血液検査は可能ですが、詳しい診断や治療のためには、内分泌内科や甲状腺について専門的な診療を行っているクリニックを選ぶのがおすすめです。
初診時には、これまでの症状の経過や家族歴、服用中の薬などを整理しておくとよいでしょう。
甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症はわかば甲状腺クリニックにご相談を

甲状腺は小さな臓器ですが、全身の代謝を支える重要な存在です。ホルモンの分泌が過剰でも不足していても心身にさまざまな不調が現れますが、早期に適切な治療を始めればコントロールすることができます。更年期やストレス、加齢による変化だろうと片づけてしまわず、小さな違和感に目を向けて検査を受けることが、これからの健康を守る第一歩だといえます。
埼玉県坂戸市のわかば甲状腺クリニックは、甲状腺疾患を専門的に診療しているクリニックです。ここからは、甲状腺をはじめとする内分泌疾患に精通した医師が診療しているわかば甲状腺クリニックについて紹介します。
日本甲状腺学会 専門医による質の高い診療
甲状腺疾患は症状が多様で、診断や治療に高度な専門知識が求められます。わかば甲状腺クリニックの院長は日本甲状腺学会 専門医や日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医、日本内科学会 総合内科専門医といった資格を持つ内分泌疾患のスペシャリストです。
数多くの甲状腺疾患の患者さんを診療してきた経験を活かし、バセドウ病や橋本病といった代表的な疾患はもちろん、甲状腺腫瘍や亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎など、幅広い病態に対応されています。診療では、患者さん一人ひとりの症状や生活背景に合わせた丁寧な診療を心がけているそうです。
また、埼玉医科大学病院といった専門医療機関と連携しており、より高度な検査や治療が必要な場合には紹介するなど、患者さんが安心して長く通えるクリニックを目指してきめ細やかなサポート体制を整えられています。
一般内科から生活習慣病など幅広い相談に対応可能

わかば甲状腺クリニックは、日本内科学会 総合内科専門医である院長が一般内科の診療にも対応しています。「原因がよくわからないから受診した」という場合でも、内分泌疾患の可能性も考慮して診療してもらえるのは心強いポイントではないでしょうか。
甲状腺疾患は生活習慣病との関連が深く、甲状腺機能低下症では高コレステロール血症や動脈硬化のリスクが高まり、甲状腺機能亢進症では心房細動や骨粗しょう症のリスクが上昇します。こうした合併症を含めた総合的な健康管理や専門的な治療だけでなく、予防接種や各種健診を含む普段の健康チェックも一つのクリニックで完結できる点が、わかば甲状腺クリニックの強みだといえます。
不調の背景まで丁寧に確認して長期的に体調管理をサポート
甲状腺疾患の治療は、一度の受診で終わるものではありません。特に甲状腺機能低下症では、ホルモン補充療法を長期にわたって続ける必要があります。また、甲状腺機能亢進症でも、薬の量を調整しながら経過を見守ることが重要です。
わかば甲状腺クリニックでは、患者さんの症状やライフスタイル、妊娠・出産の予定なども考慮しながら、個別に治療計画を立てるといいます。例えば、妊娠を希望している方にはTSH値を適切に管理して妊娠・出産をサポートしたり、更年期の女性には、ホルモン補充療法との兼ね合いを考慮した治療計画を立てたりするそうです。
定期的な血液検査やエコー検査で病状の変化を細かくチェックし、必要に応じて治療内容を見直すことで、長期的な体調管理に努められています。
甲状腺の不調は、放置すれば身体全体に影響を及ぼします。「もしかして」と思った方は、患者さんの不安に寄り添い、安心して日常生活を送れるよう丁寧なフォローアップを心がけている、わかば甲状腺クリニックに相談してみてはいかがでしょうか?
わかば甲状腺クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間・費用
東武東上線 若葉駅西口より徒歩4分
埼玉県坂戸市関間4丁目12−8 ソライエ若葉ステーションヴィラ1階
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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| 9:00~12:00 | ⚫︎ | ⚫︎ | ⚫︎ | - | ⚫︎ | ★ | - | - |
| 15:00~18:00 | ⚫︎ | ⚫︎ | ⚫︎ | - | ⚫︎ | - | - | - |
★:9:00~13:30



