喉の性病検査|喉に感染しやすい性感染症・症状・検査キットについて解説
性病は、喉に感染することがあることをご存知でしょうか。感染予防をせずにオーラルセックスをすると、感染リスクが高くなるといわれています。
しかしデリケートな問題のため、病院に行きにくい・対面せずに検査したい方もいるでしょう。
本記事では、喉に感染しやすい性感染症や症状について解説します。喉に気になる症状がある方や感染に心当たりがある方は、ぜひ参考にしてください。
監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
目次 -INDEX-
喉の性病検査について
性病というと、性器に感染するイメージをお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、オーラルセックスによって性器から喉に感染し、喉が性感染症(STD)にかかることがあります。
コンドームを使用せずにオーラルセックスをすると、喉が性感染症にかかるリスクが高くなるといわれています。
尿道炎になった患者さんのうち90%以上の方が性交渉の際にオーラルセックスをし、そのうち99%以上の方がコンドームを使用していないという調査結果もありました。
喉は性感染症にかかっても症状が出ない場合があり、注意が必要です。気付かないままオーラルセックスをすると、相手に性感染症をうつしてしまうリスクがあります。
喉が性感染症にかかっている可能性がある方は、性病検査を受けましょう。
喉の性病検査では、疑われる病気によって喉の分泌物のPCR検査・細菌培養検査・血液検査を行います。
性病検査は、医療機関・保健所・自治体の検査室などで受けられます。喉の性病検査に対応している医療機関は、耳鼻咽喉科や性感染症専門のクリニックです。
耳鼻咽喉科の場合は性病検査に対応していないこともあるので、検査が可能か事前に確認しましょう。
保健所では、無料かつ匿名で性病検査を行っているところがあります。夜間・女性専用の検査日を設けている場合もあるので、プライバシーが気になる方におすすめです。
ただし、保健所の性病検査は日程が限られており、予約も必要です。また、匿名・無料の検査の場合は検査結果の証明書が発行されません。
証明書が必要な場合は、対応している医療機関で有料の性病検査がおすすめです。
検査できる性感染症の種類は医療機関・保健所によって違うので、性病検査を受ける際は事前に確認しましょう。
喉に感染しやすい性感染症は?
性感染症にはさまざまな種類がありますが、なかでも淋菌・クラミジア・単純ヘルペス・梅毒は喉に感染しやすいといわれています。
喉の性感染症は、誰でもかかりうる病気です。以下では、喉に感染しやすい性感染症の特徴を解説します。
淋菌感染症
淋菌という細菌が原因の性感染症で、性行為以外で感染することはほとんどありません。
日本国内では、性器クラミジア感染症に次いで患者数が多い性感染症です。1999年以降患者数が増加しており、20代が多く感染している傾向にあります。
淋菌感染症の患者数が多いのは、感染しても症状が出ないケースが多く、本人も気付かないうちに感染を広げてしまっていることが原因の一つです。
また、淋菌の性器感染がある患者さんの10~50%は、咽頭感染も合併しているという調査結果があります。
喉に感染して症状がなくても、喉から相手の性器に淋菌をうつしてしまうリスクがあるため注意が必要です。
特に、女性の性器感染を放置すると不妊の原因となることがあります。
淋菌は弱い細菌ですが、淋菌に感染するとHIVに感染しやすくなるという研究報告も出ています。
淋菌感染症は内服薬が効きにくいため、抗菌薬の注射が一般的な治療法です。淋菌感染症は何度も再感染する可能性があるので、しっかり治療し感染予防することが大切です。
クラミジア感染症
クラミジア・トラコマティスという細菌による性感染症です。
日本国内で患者数が多い性感染症であり、10代・20代の感染者が多く、男女ともに咽頭感染も増えています。
クラミジア感染症は、自覚症状がない患者さんが多いといわれている病気です。
性器感染した場合、症状がなくても10~20%の患者さんは喉にも感染しているという報告があります。
クラミジア感染症の治療方法は、抗菌薬の内服です。男女ともに感染しているケースが少なくないので、再感染を防ぐためには両者の治療が重要です。
単純ヘルペス感染症
単純ヘルペスウイルス(HSV)が原因の感染症で、単純ヘルペスウイルスには1型(HSV-1)と2型(HSV-2)があります。
1型は口唇ヘルペス・2型は性器ヘルペスを引き起こしますが、1型は口と性器が接触して性器に感染し、性器ヘルペスを引き起こすこともあります。
1型・2型いずれも、症状が出る方は感染者のうち10%程度です。
単純ヘルペス感染症は、口唇ヘルペス・性器ヘルペスにかかった経験のある方とのオーラルセックスで感染する場合があります。
口唇ヘルペス・性器ヘルペスに感染したことがあると、症状がなくても患部周辺にウイルスが存在している可能性があるのです。
単純ヘルペスウイルスは感染力が強く、無症状であってもほかの方に感染します。
特に2型に感染すると、HIVへの感染リスクが約3倍高くなるといわれているため注意が必要です。
単純ヘルペス感染症は症状から診断し、症状がある場合は抗ウイルス薬を内服して治療します。
梅毒
梅毒トレポネーマという細菌が原因の性感染症です。
男性は10代~50代まで幅広い年代がかかっていますが、女性は20代~30代を中心に感染しています。初期は症状が軽く、気付かないこともあるでしょう。
口の中に感染すると、小豆程度の大きさのしこりや痛みの少ないただれができるのが特徴です。次に、痛み・かゆみの少ない発疹が体に広がっていきます。
梅毒は感染後に症状が消えることがありますが、感染力は残っています。放置すると、治りにくくなったり後遺症が残ったりする場合があるため注意が必要です。
適切に治療しないと、数年~数十年かけて臓器や骨などに深刻な影響を与えることもあります。
また、妊婦が感染すると胎盤を通じて胎児に感染し、早産・死産や神経・骨などの異常を引き起こすリスクが高まります。
梅毒の診断方法は、採血による抗体検査です。梅毒と診断されれば、ペニシリン系などの抗菌薬の内服・注射で治療します。
性感染症が喉に感染した場合の症状
喉の性感染症にかかると、どのような症状が出るのでしょうか。症状を知っておくと、喉の性病検査を受けるかどうかの判断材料の一つになります。
以下では、性感染症が喉に感染した場合にみられる症状を解説します。
発熱
喉が性感染症に感染すると、発熱症状が出ることがあります。淋病やクラミジアが喉に感染すると、一部の感染者が発熱するといわれています。
また、喉に初めて単純ヘルペスウイルスが感染した場合も、38~40度程度の発熱がみられることがあるでしょう。
喉の痛み
喉の痛みは、喉の性感染症で現れる症状の一つです。
淋菌感染症・クラミジア感染症の一部の感染者には喉の痛みがあり、喉の腫れ・咳・頸部リンパ節の腫れがみられることもあります。
風邪の症状との区別が難しく、気付かないうちに悪化して咽頭炎・扁桃炎になるケースも少なくありません。
クラミジア感染症では、滲出性中耳炎を併発するケースもあります。
初めて喉に単純ヘルペスウイルスが感染した際や梅毒が咽頭感染した場合も、喉の痛み・違和感が現れることがあります。
性感染症による喉の痛みが強い場合は、摂食障害を引き起こすことがあり注意が必要です。
唇や粘膜のただれ・潰瘍
喉が性感染症にかかると、唇や粘膜のただれ・潰瘍がみられることがあります。
喉の単純ヘルペス感染症では一部の感染者が口唇炎・歯肉口内炎を併発し、痛みのある水ぶくれや潰瘍ができます。
梅毒に感染した際も、唇や粘膜に痛みの少ないただれ・潰瘍ができることがあるでしょう。
病気によっては無症状のこともある
喉の性感染症は、病気によっては症状が出ないことが多いのも特徴です。
淋菌感染症・クラミジア感染症の咽頭感染で症状が出る方は少数で、多くの感染者は無症状です。
また、単純ヘルペス感染症も初めて感染した患者さんの約90%は無症状といわれています。
症状がなくても喉に感染している可能性があるため、感染が心配な方・性器の感染も疑われる方は、喉の性病検査を検討するとよいでしょう。
喉への感染が調べられる検査キット
喉の性病検査は、耳鼻咽喉科・性病専門クリニック・保健所などで受けられます。しかし、性感染症はデリケートな問題です。
なかには、対面せずに性病検査をしたい方もいるでしょう。プライバシーが気になる方には、喉への感染が調べられる郵送の検査キットがおすすめです。
自宅に届くので誰にも会わずに検査したい方におすすめ
郵送の検査キットは自宅に届いた検査キットを使用し、検査物を入れて返送すると感染しているかどうか調べられます。
検査物は自分で採取する必要がありますが、自宅で行えるので誰とも会わずに検査できるのがメリットです。
対面する必要がなく、いきなりクリニックを受診するのに抵抗がある・周りの目が気になる方も、利用しやすいのではないでしょうか。
郵送で提出する検査物は、感染を調べる病気によって異なります。喉の分泌物を採取する場合は、咽頭をぬぐう採取キットが届きます。
梅毒の感染を調べる場合は血液検査を行うので、専用キットによる採血が必要です。
検査キットは自分で簡単に採取できるようになっており、詳しい説明書も入っているのでスムーズに採取できるでしょう。
うがいで簡単に検査できるタイプもある
喉の性病検査ができるキットには、うがいで簡単に検査できるタイプもあります。
うがいで検査するタイプであれば、検査物を自分でうまく採取できるか不安な方でも利用しやすいでしょう。
喉の淋菌感染症・クラミジア感染症は、うがい液を使用した検査が可能です。
うがいでの性病検査では、10~20秒程度ガラガラうがいをした後のうがい液を提出します。うがい液のPCR検査を行い、淋菌・クラミジアに感染しているか調べられます。
正しく検査するため、検査を行う1時間前からは飲食・うがい・歯磨きなどは避けましょう。
キットによって調べられる病気が異なるため事前によく確認する
郵送で喉の感染を調べられる検査キットは、インターネットで購入できます。ただし、検査キットによって調べられる病気は異なります。
そのため、どの病気を調べられるのかよく確認し、感染の心配がある病気が調べられる検査キットを選ぶことが大切です。
また、正しく検査するため、感染したと思われる日から一定期間経ってから検査しなければいけない病気もあります。
検査キットで性病検査を行う際は、調べたい病気が検査できるのか事前によく確認しましょう。
編集部まとめ
本記事では、喉に感染しやすい性感染症・症状や検査キットを解説しました。喉の性感染症は症状が出ないこともありますが、放置すると悪化するリスクがあります。
また、本人が気付かないうちに相手にうつしてしまうこともあり注意が必要です。喉に違和感がある・感染が疑われる場合などは、喉の性病検査を受けましょう。
対面せずに検査したい方は、検査キットの利用がおすすめです。感染拡大や症状悪化を防ぐためにも、喉の性感染症が心配な方は早めに検査を受けて治療しましょう。
参考文献