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統合失調症の症状とは?原因・治療方法・早期発見の重要性について解説

 更新日:2024/01/16
統合失調症 症状

統合失調症は、日本人の100人に1人程度はかかる珍しくない病気です。私たちにとって身近な病気で近年では研究も進み、発症とストレスの関係も明らかになって新しい治療方法も出てきています。

家族に急に統合失調症と思われる症状が現れて、どうしたらいいかわからない・治療を受けさせたいけど薬物治療に不安があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。統合失調症は医療機関を受診してしっかり治療を行えば、症状を改善できる病気です。

この記事では統合失調症の症状・治療方法などを紹介しています。早期発見の重要性についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

窪田 彰

監修医師
窪田 彰(錦糸町クボタクリニック)

統合失調症の症状とは?

統合失調症の症状
統合失調症の主な症状には幻覚・妄想・思考の混乱や行動・意欲の欠如などがあります。これらは一般的に陽性症状・陰性症状・解体症状・認知機能障害の4つに分けられます。症状の現れ方は人それぞれです。突然発症する場合もあれば、数週間・数年かけてゆっくり症状が現れていくこともあります。
仕事・対人関係など日常生活に大きな支障が出ることが多いですが、引きこもり・睡眠障害・被害妄想など軽い症状から始まる場合もあります。

陽性症状

陽性症状とは正常な精神状態が歪むことで生じる症状です。自身が認知・体験したことに対して間違った解釈をして、それを思い込むことで起こります。主な症状は下記の2つです。

  • 妄想
  • 幻覚

妄想・幻覚によって無規律な言動をしたり、突然興奮して騒いだりすることがあります。妄想には「他人が自分の悪口を言っている」「自分を監視している人がいる」といった現実的なものから、「体に受信機が埋め込まれている」「電波に攻撃されている」など非現実的なことまでさまざまです。
幻覚は「体に寄生虫がいる」「部屋に知らない人が一緒に住んでいる」といった感覚的なものもありますが、統合失調症では「テレビで自分を呼ぶ声がする」「自分に批判的な意見が聞こえてくる」など、幻聴として現れることが多いようです。

陰性症状

陰性症状とは正常な精神状態が低下したり、なくなったりすることで生じる症状です。主な症状は下記の通りです。

  • 感情鈍麻
  • 非社交性
  • 快感消失
  • 発言の減少

感情鈍麻とは感情表現が減少することです。嬉しいこと・悲しいことがあっても感情が表に出ることはなく、反応を示さなくなります。また、人と目を合わさなくなる傾向があります。
非社交性は他人への興味を失う状態で、快感消失は喜びを感じなくなる状態です。周囲の人や自分が好きだったことへの興味も失い、目的意識もなく時間を費やすことになり心が空虚になることで言葉を話す回数も減ります。

解体症状

解体症状は会話・行動に障害が生じて、日常生活・周囲とのコミュニケーションが難しくなります。主な症状は下記の2つです。

  • 思考障害
  • 行動障害

思考障害は会話内容が支離滅裂になり、矛盾が生じるようになります。話題が次々に変わるのも特徴の1つです。行動障害では子どもっぽい行動・目的に合わない行動・不適切な行動をするようになります。行動障害が悪化すると激しい興奮・拒絶といった緊張病性の症状が生じる場合があります。

認知機能障害

統合失調症の症状によって認知機能に障害が出る場合があります。判断力・集中力・記憶力が低下して物事を覚えていられないことが多くなり、計画を指示通りに進められなかったり集中できなくなったりします。

統合失調症の原因

統合失調症の原因
統合失調症の原因は現在でも明らかになっていはいません。近年の研究では遺伝的な素因やストレスといった外的要因が組み合わさって発症すると考えられています。

遺伝的な素因

遺伝子には統合失調症を発症させる因子が含まれている可能性があります。その因子が含まれる遺伝子の保有者は統合失調症を発症しますが、保有していない方は発症しないことが判明しています。つまり、統合失調症を発症させる因子を保有していれば、統合失調症になる可能性があるということです。
ただ、遺伝が直接的な原因であったり、遺伝的な素因だけで統合失調症を発症したりするという根拠はありません。

ストレス

ストレスへの耐性には個人差がありますが、統合失調症を発症する方はストレスに弱い傾向があるといわれています。また、発症に関係しているとされているのが、ドーパミン・セロトニンといった脳内の神経伝達物質です。過度なストレスによってドーパミンが大量に分泌されたり、セロトニンが低下したりすると精神状態が不安定になって統合失調症を発症しやすいのです。
妊娠中はホルモンバランスの変化が起こります。また、便秘・お腹が張るといった身体的ストレス、出産・子育てへの不安など精神的ストレスも生じます。そのため、精神が不安定になりやすく、妊娠中に妊娠期うつ病になる方もおられます。うつ病以外にも不安障害・統合失調症といった精神疾患の発症リスクが高まるといわれています。

統合失調症の治療方法

統合失調症の治療法
統合失調症は自然治癒が難しく、再発率が高い疾患です。そのため、一時的に改善したように見えても、適切な治療を受けないと再び症状が現れることが多いのです。統合失調症は薬物治療を中心に精神療法・リハビリテーションを組み合わせて治療を行います。統合失調症が疑われる場合は、できるだけ早く精神科がある医療機関を受診するようにしてください。
薬物療法・精神療法・リハビリテーションのいずれも医師・看護師・心理士など医療チームとの相性・信頼関係が良好であれば、より良い治療効果を期待されます。そのため、医師・看護師・心理士・作業療法士などが複数いる医療機関では、相性がよいスタッフを見つけやすいでしょう。
一般的な統合失調症の保険診療では、治療費用の目安は初診は3割 2,500~3,000円(税込)程度・再診は3割 1,500円(税込)程度・診断書の料金は3,300円(税込)ほどです。注射・検査などで追加料金がかかる場合もあります。自由診療によるカウンセリングも可能です。

抗精神病薬

統合失調症の基本となるのが抗精神病薬による薬物療法です。抗精神病薬には下記の2種類があります。

  • 定型抗精神病薬
  • 非定型抗精神病薬

従来型である定型抗精神病薬は、脳内の神経伝達物質であるドーパミンに作用するものです。統合失調症の妄想・幻覚といった陽性症状を改善する効果があります。非定型抗精神病薬はドーパミンだけではなくセロトニンにも作用する働きがあります。
そのため、陽性症状に加えて快感消失・非社交性などの陰性症状、認知機能障害の改善も可能です。抗精神病薬の主な副作用は下記の通りです。

  • 手がふるえる
  • じっとしていられない(アカシジア)
  • 体がこわばる

副作用が心配で薬物治療を受けるのをためらったり、途中でやめてしまい、病状が再発する患者さんも多くみられます。そのため、これらの副作用を抑える薬を併用したり、医師が量を調節したりすることで副作用が現れないよう努めています。ただ、症状の程度・治療期間は患者さんによって異なるため、抗精神病薬の副作用を感じたら遠慮なく医師に相談することが大切です。

精神療法

精神療法は、患者さんと医師・家族との良好な関係を築き、安心できる環境をつくることでストレス・苦痛を軽減する治療です。統合失調症の精神療法の種類は下記の通りです。

支持的精神療法は患者さんが抱えている心の悩み・苦痛について医師・カウンセラーと話をする治療です。医師・カウンセラーが患者さんの話に共感・アドバイスすることで問題の解決を図ります。力動的精神療法は病状の背景にある個人や家族間のストレスを理解することによって安心できる環境を作ります。認知行動療法は病状による認知の歪みを改善して、適切な行動をとれるように学習していくためのものです。
集団精神療法は医師・カウンセラーと話すだけでなく、患者さん同士のグループで悩みについて話し合って考え方・行動・心理的問題の改善を図ります。精神療法では医師・カウンセラーが問題を解決してくれるのではなく、医師・カウンセラーと対話することで患者さん自身の自分への理解度・問題を解決する能力・ストレスへの対処能力を高めることが大切です。

リハビリテーション(デイケア、ナイトケアなど)

リハビリテーションは社会・仕事・学校などへの参加・復帰を手助けすることが目的です。医療施設によって異なりますが、デイケアやナイトケアにおいてスポーツ・創作活動・趣味活動・料理・パソコン学習などのプログラムがあります。これらのプログラムによって、日常生活リズムの改善・健康な体力作り・対人関係のスキルアップ・仲間作りなどを行います。

統合失調症の早期発見のためには

統合失調症早期発見
統合失調症に限らず精神疾患は早期発見して早期治療することが大切です。発症してから治療を開始するまでの精神病未治療期間(Duration of Untreated Psychosis)が短いほど治療効果が高く、回復も早いといわれています。音や人の視線に敏感になったり、強い不安・緊張が続いたりする場合は、早めに一度精神科を受診することをおすすめします。
ただ、統合失調症は、患者さん自身では気づきにくい疾患です。家族や友人が急に日常生活・対人関係に支障をきたしたり、ふさぎ込むようになったりしたら統合失調症や、うつ病などの可能性があるので、まずは話を聞いてあげましょう。

統合失調症の治療なら錦糸町クボタクリニックへ

錦糸町クボタクリニック
錦糸町クボタクリニックでは、基本的に4人の医師で診療体制を組んでいます。薬物療法とカウンセリング、リハビリテーションを重視した臨床経験が豊富な医師による、患者さん一人ひとりに適した治療を行っています。医師のほかにも看護師・作業療法士・精神保健福祉士・公認心理師などが在籍しており、デイケア・ナイトケアによるグループ活動も行っています。

服薬でなく、月1回の注射の治療も可能

錦糸町クボタクリニックでは、月に1回の注射で非定型抗精神病薬であるエビリファイやゼプリオンといった薬剤を投与する、統合失調症の治療法にも対応しています。効果が持続し3か月に1回の注射で良いゼプリオンTRIも取り扱っています。

最初は内服薬から始めますが、薬の量を調整して適応量を定めてから注射の治療に切り替えることが可能です。経口薬と違って毎日飲む必要がなく、効果が安定し、飲み忘れを防止できるのがメリットです。

エビリファイ・ゼプリオン・ゼプリオンTRIは、脳内の伝達物質ドーパミン・セロトニンに作用して統合失調症の症状を改善します。

抗精神病薬によって、手足のふるえ・眠気・集中力の低下などの副作用が出る場合があります。

薬剤の量・種類によって多少異なりますが注射1回の料金目安は保険適用、3割 6,000~18,300円(税込)程です。【ゼプリオンTRIは3ケ月に1回で3割:20,000~40,500円(税込)程です。】自立支援医療を使用すれば1割負担になります。また、医療高額療養制度が使えます。

多機能型精神科診療所による幅広い支援

錦糸町クボタクリニック室内
錦糸町クボタクリニックでは同じ施設でデイケア・ナイトケアも行っています。リワークプログラム・パソコン講座・スポーツ・音楽など、豊富なプログラム・レクリエーションを実施しているのが特徴です。

デイケア・ナイトケアに参加したい方は、まずは医師に相談してみましょう。費用の目安はショートケア3割 1,200円(税込)程度、デイケア3割 2,300円(税込)程度、ナイトケアは3割 1,800円(税込)ですが、負担を軽くする制度があります。

錦糸町クボタクリニックのある墨田区では自立支援医療制度を利用すると原則1割負担となります。自立支援医療の負担上限月額は世帯収入などによって5つに区分され負担軽減されています。

  • 生活保護
  • 低所得1(区市町村民税非課税世帯で、御本人又は保護者の収入が年80万円以下の方):1か月あたり2,500円。それ以上は無料
  • 低所得2(区市町村民税非課税世帯で、御本人又は保護者の収入が年80万円を超える方):1か月あたり5,000円。それ以上は無料
  • 中間所得層(区市町村民税課税世帯で、所得割が年23万5千円未満の方)
  • 一定所得以上(区市町村民税課税世帯で、所得割が年23万5千円以上の方)

生活保護を受けている方は0円となり、負担はありません。低所得1・低所得2に分類される方の負担上限月額はそれぞれ2,500円(税込)・5,000円(税込)です。

中間所得層に分類される方は医療保険の自己負担限度額、一定所得以上ある方は公費負担の対象外となります。

豊富な臨床経験による適切な診断・治療計画

錦糸町クボタクリニックでは医師4人体制で診療をしており、女性医師も在籍しています。そのため、統合失調症の治療をするにあたって相性のよい医師を見つけやすい環境だといえるでしょう。

臨床経験が豊富な医師が適切な診断を行い、患者さんに適した治療計画を立てます。訪問診療・訪問看護にも対応し、墨田区内に通所のリハビリテーション事業所もあり、幅広く地域の方の生活を支えているクリニックです。

錦糸町クボタクリニックの基本情報

アクセス・住所・診療時間

JR線・半蔵門線 錦糸町駅より徒歩2分

東京都墨田区錦糸3-5-1 錦糸町北口ビル3階~9階

診療時間
9:30~12:00
14:00~17:00

休診日:日曜・祝日
◎ 16:00~19:00
▲ 9:30~11:30
■ 13:30~14:30

参考文献

この記事の監修医師