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性病検査は無料で受けられる?性病検査のメリット・デメリット

 公開日:2024/05/21
性病検査は無料で受けられる?性病検査のメリット・デメリット

HIV(エイズ)、梅毒クラミジアといった性病は、誰でも感染するリスクのある性病です。多くの場合は早期発見・早期治療によって良くなりますが、治療が遅れると重篤な症状を引き起こすこともあります。

性病にかかっているかどうか気になるけれど、どこで検査できるかわからなかったり、費用面が気になったりで検査を受けずにいる方も多いのではないでしょうか。性病検査は無料で受けられるのか、検査方法ごとのメリット・デメリットもご紹介します。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

性病検査が受けられる場所

性病検査が受けられる場所

性病検査は、自治体の保健所、クリニック、検査キットによって検査することができます。それぞれの特徴と受けられる検査内容などをご紹介します。

各自治体の保健所

市区町村などの各自治体では、HIV、梅毒クラミジア、淋(りん)菌、B型肝炎、C型肝炎などの性病検査を受けることができます。
HIVは全国の保健所で無料・匿名で検査が可能です。梅毒クラミジア淋病などの性病検査を受けられるかは、各自治体によって異なります。HIVとセットでないと受けられない、事前予約が必要など、自治体によって検査項目や条件が異なっているため、保健所での性病検査を希望する場合は、事前に各自治体のホームページなどで詳細を確認しておきましょう。

クリニック

クリニックでは、HIV、梅毒クラミジア淋病などさまざまな項目の性病検査が可能です。診療時間の中から自分の都合の良い日時に受診できます。オンライン診療・検査の場合は、自宅にいながら受診が可能です。
検査は性病科、泌尿器科、婦人科などで受けることができます。検査の際には予約が必要な場合もあるので、事前にクリニックで受診方法を確認しておくことをお勧めします。

市販の検査キット

市販の検査キットでは、多くの種類の性病検査が可能です。3種類セットや5種類セットなど、まとめて複数種類の性病検査をすることもできます。市販の検査キットの場合は、オンラインで購入し、届いたキットの説明に従って検体を採取し、郵送する形式が一般的で、結果についてはWEBで確認することも可能です。事前にオンラインで検査方法をチェックしておくと良いでしょう。

自治体の保健所での性病検査

自治体の保健所での性病検査

自治体の保健所では、自治体ごとに定めた日時で性病検査を行っています。自治体の保健所で性病検査を受けるメリットとデメリットをチェックしておきましょう。

保健所で検査するメリット

各自治体の保健所は、無料で検査を受けられるのがメリットです。HIV検査は全国の保健所で無料かつ匿名で検査可能なので、性病検査を受けたいけれど費用面が不安という場合は、保健所で検査を受けることをお勧めします。

保健所で検査するデメリット

保健所では、検査を実施している日時や検査内容があらかじめ定められています。したがって、都合が合わない場合や希望の項目の検査が受けられない場合もあるのがデメリットです。また、検査結果が陽性であっても治療はできません

クリニックでの検査

クリニックでの検査

クリニックなどの医療機関では、さまざまな項目の検査が可能です。女性の場合は婦人科、男性の場合は皮膚科、泌尿器科、性病科で検査を受けられます。

クリニックで検査するメリット

クリニックでは、あらゆる種類の性病検査ができることがメリットです。自分の都合に合わせて予約や受診ができるので、受けたいときに検査を受けることができます。また、検査結果が陽性の場合は、そのまま治療に移ることも可能です。気になる点がある場合は、すぐに医師に相談できるのもクリニックならではのメリットです。

クリニックで検査するデメリット

クリニックでは本名で受診するため、匿名での検査はできません。また、多くの場合は対面での検査が必要です。
検査する場合は有料かつ自費診療となることがほとんどで、相場としては3000円から10000円の検査費用がかかります。なお、すでに性病の症状がある場合、医師の判断により検査を実施した場合などは健康保険が適用されることもあります。

市販の検査キットでの検査

市販の検査キットでの検査

市販の検査キットは、配送されたキットで検体を採取し郵送するだけで検査結果がわかるというものです。市販の検査キットで性病検査をする場合のメリットとデメリットをチェックしておきましょう。

市販検査キットで検査するメリット

市販検査キットは他の人と接することなく検査が可能です。時間や場所の指定もないので、自分の都合が良いときに、自宅など好きな場所で検査をすることができます。検査可能項目も多く、同時に複数種類の検査ができるのもメリットです。キット内容によって内容や値段が異なるので、自分の予算や希望に合ったキットを購入できます。

市販検査キットで検査するデメリット

市販検査キットのデメリットとしては、検査結果が陽性であっても治療することができない点が挙げられます。陽性となった場合は、別途医療機関を受診しての治療が必要です。
また、検査キットは自費購入が必要で、保険適用もありません。検査内容にもよりますが、1項目であれば約3500円、5項目では約10000円のキット購入費用がかかります。

保健所で無料で検査が受けられる性病の種類

保健所で無料で検査が受けられる性病の種類

各自治体の保健所であれば、無料で性病検査が可能です。自治体によって条件は異なりますが、保健所にて無料で検査が受けられる主な性病の種類としては、梅毒クラミジア淋病、HIV、B型肝炎、C型肝炎が挙げられます。これらの性病について特徴などを紹介するので、思い当たる点や気になることがある場合は、まずは自治体による無料検査を受けてみましょう。

梅毒

梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌が原因となる感染症です。主に、性器と性器、性器と肛門、性器と口の接触など、粘膜や皮膚が梅毒の病変部位と直接接触することで感染します。梅毒早期発見・早期治療をすれば抗菌薬治療によって完治が可能です。
ただし、治療せずに放置してしまうと、病気が進行して脳や心臓に重大な合併症が起きることもあります。また、妊婦が梅毒に罹(り)患した場合は、流産や死産のリスクや、赤ちゃんが梅毒にかかった状態で生まれてくる先天梅毒のリスクがあります。

クラミジア

クラミジア感染症は、クラミジアという細菌により引き起こされる感染症です。クラミジアは無症状であることも多い病気ですが、男性の場合は、およそ2~3週間の潜伏期間の後に尿道炎(クラミジア性尿道炎)を引き起こし、排尿痛や尿道の不快感、かゆみ、膿(うみ)が出るなどの自覚症状が現れることもあります。女性の場合は、ほとんど自覚症状はありませんが、放置してしまうと子宮頸(けい)管炎、子宮内膜炎、卵管炎につながることもあります。また、子宮外妊娠や不妊、流産、早産などのリスクも上がるほか、出産の際には赤ちゃんにクラミジアが感染してしまうこともあるため注意が必要です。

淋病

淋病淋菌感染症と言い、淋菌という細菌が引き起こす感染症のひとつです。淋菌は感染者の粘膜に存在しているため、主に性交やオーラルセックスなどの性行為によって感染します。
淋病にかかると、男性の場合は淋菌性尿道炎を引き起こします。男性の尿道に感染した場合は、2~9日の潜伏期間の後に、膿のような分泌物や排尿時の痛みが現れることがあります。女性の場合は、子宮頚頸管に感染しても無症状であることがほとんどです。症状がある場合は、おりものの量や色の変化、不正出血などが見られます。骨盤内炎症性疾患を引き起こすと、発熱や腹痛が起きることもあるでしょう。また、卵管不妊症、子宮外妊娠、慢性骨盤痛といった不妊の原因となる病気につながることもあります。

HIV

HIVとはヒト免疫不全ウイルスのことです。これにかかると免疫にとって大切な細胞が体の中から徐々に減っていき、さまざまな病気を発症します。この病気の状態をエイズ(後天性免疫不全症候群)と言います。感染してからエイズになるまでの潜伏期間は数年から10年以上と非常に長いのがHIVの特徴です。
HIVの感染経路として最も多いのは性行為による感染です。男性は性交によって生じる亀頭部分の細かい傷から、女性は膣(ちつ)粘膜から、精液・膣分泌液に含まれるHIVが侵入することで感染します。
現在、HIVを体内から完全に排除する治療法はありません。しかし、によってウイルスの増殖を抑えてエイズの発症を防げば、健康なときと変わらない日常生活を送ることもできますし、HIVを持っていない人と変わらないくらいの寿命も期待できます。HIVに感染したらエイズ発症前のできるだけ早い段階で、抗HIV薬の服用を開始することが勧められています。

B型肝炎・C型肝炎

B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)に感染することで起きる肝臓の病気です。
B型肝炎は急性肝炎と慢性肝炎に大別され、成人の急性B型肝炎の多くは性感染によるものと考えられています。急性肝炎の場合は、感染してから1~6ヵ月の潜伏期間の後に全身倦怠(けんたい)感や食欲不振、悪心(おしん)、嘔(おう)吐、褐色の尿、黄疸(おうだん)などの症状が出現します。
C型肝炎は主に血液を介して感染するため、出血を伴う可能性がある性行為、生理中のセックス、アナルセックスによって感染する可能性が高くなります。多くの場合が慢性肝炎となり、気づかないまま放置してしまうと肝硬変や肝がんに移行する可能性があります。

保健所で受けられない検査は検査キット、クリニックで

保健所で受けられない検査は検査キット、クリニックで

保健所では検査が受けられる性病の種類が限られています。罹患者が増加傾向にある性器ヘルペスや尖圭コンジローマなどは、保健所では検査が受けられません。保健所で受けられない検査を希望する場合は、検査キットを使用するかクリニックの受診が必要です。検査キットやクリニックでは、基本的に検査は有料になります。しかし、性病は早期発見・早期治療が大切です。健康を守るためにも、気になる場合は必ず検査を行いましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

性病検査は自治体の保健所、クリニック、検査キットでの検査が可能であり、HIVは全国の保健所で無料・匿名での検査を受けることができます。保健所では梅毒クラミジア淋病、HIV、B型肝炎、C型肝炎も同時に検査できることもありますが、自分のタイミングで検査したい場合や、保健所で検査できない項目を検査したい場合は、クリニックや検査キットで検査しましょう。
性病は自覚症状がないことも多く、気づいたときには症状が進行していたというケースも多くあります。早く治療を行えば症状の進行を抑えられることも多いので、少しでも不安がある場合は、ぜひ一度性病検査を受けておきましょう。

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