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性病検査 7項目で検査できるのは?各病気と検査方法を解説

 公開日:2024/05/10
性病検査 7項目で検査できるのは?各病気と検査方法を解説

「自分は性病にかかったことがない」「性病検査を受けたことがない」そういった人は多いでしょう。風邪やインフルエンザ同様、性病に関しても心配な症状が現れたら、病院に行って検査を受ければいい、そう考えているかもしれません。

しかし、一度でも性行為を行ったことがあるのであれば、性病検査を受けるべきです。なぜなら、性病、つまり性感染症は無症状に進行することも多く、そのまま放置することで重篤な症状を引き起こす可能性があるからです。性病検査を受けることはご自身の体を守るだけでなく、大切なパートナーのリスクを低減させることにもつながります。本記事では、性病検査7項目で調べられる代表的な性感染症の特徴や、性病検査を受ける方法などについてまとめています。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

性病検査 7項目とは

性病検査 7項目とは

性病検査7項目とは、HIV、梅毒、B型肝炎、淋病クラミジアといった一般的な性感染症にかかっているかどうか、まとめて調べることができるスクリーニング検査のことを指します。

一般的に感染者数の多いものを7種ピックアップしたものなので、検査項目が一部違うもの、項目数がさらに多く、9種や10種といったものも存在します。
 
 

性病検査7項目は早期発見に役立つ

スクリーニング検査は一度の検査で複数の性感染症を調べることができるため、目立った症状が出ていない場合や、どのような病気にかかっているか心当たりがない場合に活用されています。

ひとつひとつの項目で検査するよりも時間も手間も省け、健康状態の把握に役立ちます。
  

性病検査7項目はクリニックでも自宅でも受けられる

性病検査7項目はクリニックでも自宅でも受けられる

性病検査を行う方法は、クリニックや大学病院といった医療機関で行う場合と、検査キットで行う場合の2パターンがあります。ここからは、それぞれのメリット・デメリットなどをご紹介します。

 

クリニックによる性病検査7項目

性病検査が行えるのは、性病科、内科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、皮膚科、婦人科などです。特に、性病科であれば検査はもちろん治療にも特化しているため、治療までの流れがスムーズに進むでしょう。

ただ、これらの診療科であっても性病検査に対応していなかったり、クリニックによって検査項目が異なったりするため、どのような検査が受けられるかホームページなどで確認しておくことをおすすめします。また、検査はキットで行い、結果説明はオンラインで行うというクリニックもあります。この方法はなかなか時間が取れず、クリニックにいけないという方、待合室などでほかの患者と顔を合わせたくないという方に向いています。

  
 

検査キットによる性病検査7項目

検査キットによる性病検査は、主に、ネット上で希望の検査キットを購入し、説明書の手順に沿って自身で検体を採取したうえで返信用封筒に入れ、ポストに投函するという流れで行います。7項目の疾患を検査する場合、検査キットの費用は1万円前後が相場となっています。検査キットでの性病検査をするメリットとしては、「クリニックで人に会う心配がない」「場所や時間を選ばず検査ができる」「自宅の近くにクリニックがなくても検査を受けられる」といった点が挙げられます。
  

性病検査7項目で検査できる病気

性病検査7項目で検査できる病気

クリニックや検査キットによって、どのような病気を検査できるかは異なりますが、性病検査7項目はスクリーニング検査としての役割が大きいため、感染者数が多いものが項目としてまとめられていることが一般的です。ここからは、実際に7項目に挙げられていることが多い疾患について、それぞれの特徴や感染経路などをご紹介します。

 

淋病(性器・のど)

淋病とは、淋菌という細菌に感染することで発症します。淋菌はとても弱い菌で、日光や温度差・乾燥などによって死滅するのですが、人間の粘膜にいる間は生存できるという特性を持っています。そのため、粘膜に寄生しながら感染を広げていきます。主な感染経路は性行為で、男性であれば尿道や肛門に、女性であれば膣に感染しやすいと言われています。また、オーラルセックス(口腔性交)などを行うことでのどに症状が出ることもあります。さらに、出産を通して母子感染する可能性もあります。

ここからは、淋病の種類をいくつかご紹介します。一つは淋菌性尿道炎です。これは、尿道から淋菌が侵入して炎症を起こすもので、男性に多く発症します。排尿時の痛みや尿道口の炎症、膿のような分泌物が見られるようになります。放っておくと感染が広がって精巣上体炎を引き起こし、最悪の場合に不妊につながります。

二つ目は淋菌性子宮頸管炎です。これは、女性の膣や子宮頸管に淋菌が入り込み、おりものの異常や下腹部痛、不正出血、かゆみなどを引き起こす疾患です。気付かずに放置していると不妊症の原因となります。

三つ目は咽頭淋菌です。性器から口腔内の粘膜に淋菌が感染する疾患で、のどの痛みや腫れ、発熱といった症状が現れます。

四つ目は淋菌性結膜炎です。性器分泌物が目に入ってしまったり、出産時に母子感染することもあります。重症化すると失明する危険性もあるため注意が必要です。

 

クラミジア(性器・のど)

クラミジアは、クラミジア・トラコマチスという病原菌が原因の、性感染症の中でも特に感染者数が多い疾患です。一般的なセックスやオーラルセックス(口腔性交)、アナルセックス(肛門性交)が感染経路となり、男性の場合は尿道のかゆみや不快感、軽度の排尿時痛、尿道からの粘り気のある分泌物、精巣上体の腫れといった症状が現れます。

女性の場合はおりものの増加や不正出血、下腹部の痛み、性交痛といった症状が現れます。また、フェラチオやクンニリングスなどを行うことで、のどの腫れや痛み、発熱などを伴うこともあります。

クラミジア感染で起こる病気としては、尿道炎、精巣上体炎、子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎、卵巣炎、骨盤腹膜炎、肝周囲炎、子宮外妊娠、咽頭感染、直腸感染、成人型封入体結膜炎、新生児封入体結膜炎などが挙げられます。ただ、クラミジア症状が出ないことも多いようです。実際、2013年から2014年に行われた調査では、32万人の妊婦の中で2.4%の方が妊婦健診を受けるまでクラミジア感染に気付いていなかったことがわかっており、定期的な検査の必要性が叫ばれています。

 

膣カンジダ

膣カンジダとは、膣の中にいるカンジダ菌が増殖し、おりものやかゆみといった不快な症状を引き起こす疾患のことです。カンジダ菌は、女性であれば皮膚や口の中、消化管、膣といった場所に誰にでも存在します。これを常在菌と言いますが、この常在菌が風邪や疲労、ストレス、免疫力の低下、ホルモンの変化などで増殖することで発症します。

主な症状は膣周辺のかゆみや粘度が高く白くてぽろぽろとしたおりもの、排尿時や性交時の痛み、外陰部の発疹や赤みなどが見られます。一度、治療をしても常在菌によって再発する可能性があるため、性器を清潔に保って菌の繁殖を抑えることが非常に重要です。

 

梅毒

梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌に感染することで発症する疾患です。梅毒は皮膚や粘膜から体内に侵入し、数時間でリンパ節・血液を巡っていきます。感染してから3週間ほどで性器や口周りにできものが出現し、3カ月ほどたつと手のひらや足の裏、体に赤い発疹ができるようになります。3年ほどたつと全身の皮膚や筋肉にゴムのような腫瘍が発生し、10年ほどたつと脳や心臓に病変ができます。

このように、時間の経過と共にさまざまな症状が現れ、治療をせずに放置すると最悪の場合、死に至ります。これらの症状は一時的に消失することがありますが、自然に治ることは決してありません。そのため、「症状が気にならなくなったから」と言って治療をやめてしまうと、症状が進行・再発してしまう恐れがあります。

 

HIV

HIVとは「Human Immunodeficiency Virus」の略称で、日本語ではヒト免疫不全ウイルスと言います。血液や体液を介して感染するため、性行為によって感染する可能性もあります。HIVが体に入ると、免疫細胞であるTリンパ球やマクロファージが破壊され、健康な体ではかかりにくいあらゆる疾患にかかりやすくなり、この状態をエイズと呼びます。

感染初期には、発熱や倦怠感、食欲不振、咳、鼻水、下痢、吐き気、のどの痛みといったインフルエンザのような症状が現れますが、その後無症候期に入り、数年がたつとエイズを発症する恐れがあります。

 

B型肝炎

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスが血液や体液を通して感染する疾患です。この疾患は、感染した時期や健康状態によって、一時的な感染に終わる一過性感染と、生涯にわたって感染が継続する持続感染に大別されます。現在、日本国内のB型肝炎感染者数は、110万~140万人と言われていますが、そのほとんどが母子感染によるものです。また、急性B型肝炎の多くは性行為によって感染したものとされています。

急性肝炎の場合、全身の倦怠感や食欲不振、嘔吐のほか、濃いウーロン茶のような褐色尿が出る、目の白い部分や皮膚が黄色くなる黄疸といった症状が現れます。ただ、無症状で進行していくことも多いため「疲れやすい」「食欲が湧かない」「しっかりとご飯を食べているのに体重が落ちていく」「目や皮膚が黄色い」といった症状があれば、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

 

膣トリコモナス

膣トリコモナスは、トリコモナスという原虫(寄生虫)によって引き起こされる性感染症です。女性では、泡状で黄緑色の生臭いおりものが出たり、外陰部に痛みが生じたりします。

男性に症状が出るケースは少ないですが、陰茎から泡状の分泌物が出たり、排尿時に軽度の痛みや不快感が生じたりすることがまれにあります。性感染症と言えばクラミジアや淋菌が代表的ですが、実は膣トリコモナスも世界的に見ると非常に感染者数が多い疾患となっています。

 

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルスに感染することで発症するのが尖圭コンジローマです。ヒトパピローマウイルスと聞くと「子宮頸がんのウイルスでは?」と考える方もいらっしゃるでしょうが、これはハイリスクヒトパピローマウイルスと呼ばれるものであり、尖圭コンジローマとは別のウイルスです。

尖圭コンジローマは、性器周辺や肛門周辺にイボができるのが特徴的です。このイボに痛みやかゆみはありませんが、放っておくとサイズが大きくなったり数が増えたりします。粘膜だけでなく傷がある皮膚にも感染する可能性があり、パートナーにうつすリスクや不妊症の原因となってしまう場合があるため、少しでもイボ症状などを感じた際は医療機関に相談するようにしましょう。

どんな時に受けるべきか

どんな時に受けるべきか

最後に、性病検査を受けるべきタイミングについてご紹介します。「性病検査ってどれくらいの頻度で受ければ良いのだろう?」と疑問に感じている方はぜひ参考にしてください。
 
 

性器に違和感がある

排尿時の痛みや性器にイボを見つけた場合、おりものの異常など、ご自身の体に違和感を覚えた時は一度検査を受けるようにしましょう。また、もし治療が完了したとしても、体内に菌が残っていて再発する可能性もあるため、一度性感染症を発症した方は定期的に検査を受けることをおすすめします。

 

パートナーが性病に感染していた

性行為を行った相手に性病の症状が現れている場合も注意が必要です。性病には潜伏期間というものがあり、感染していても症状が現れないケースがあります。「自分は無症状だから大丈夫」と過信せず、検査を受けるようにしましょう。

 

結婚・妊活の準備として

近年では、ブライダルチェックとして、結婚を機に性病検査を受ける方が増えています。これは「いつかは子どもが欲しい」と考えている方が、妊活を始める事前準備としてまずは性病検査を受けて体に問題がないか調べておくというものです。カップルやご夫婦で検査を受ける方々もいらっしゃいます。

 

複数パートナーとの性交渉があった

プライベートや仕事などで不特定多数の方と性行為をしている方も少なくないでしょう。このような方は性病感染のリスクが高まります。そのため、月に一度は性病検査を受けるようにしましょう。特に女性の場合は、ハイリスクHPVや子宮頸がんの検査も定期的に受けておくことが望ましいです。

 

性病は放置するとどうなる

性病は、放置することで一時的に症状が緩和したり消失したりすることはありますが、自然に治ることはありません。治療をしなければ病原菌は体内に生存し、病気を徐々に進行させてしまいます。病気が進行すればパートナーにうつしてしまったり、不妊の原因になったり、ほかの性病・疾患につながる恐れもあります。母子感染を引き起こす場合もあるため、早期の治療が重要です。
  

まとめ

まとめ

繰り返しにはなりますが、性感染症には症状が出ないものも多く、知らない間に人にうつしてしまっているケースがあります。感染拡大をさせないためにも、まずは自分の体と向き合い、検査を受けることをご検討いただければと思います。特に症状がない場合や、違和感はあるが何の病気か分からない時は、まずは性病検査7項目などのスクリーニング検査を受けると安心でしょう。

この記事の監修医師