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性病検査(性感染症検査)は即日でできる?性病の種類・検査内容について解説

 公開日:2024/05/10
性病検査 即日

性病(性感染症)の重症化を防ぐには早期発見・早期治療が重要です。

性病は自覚症状がないことが多く感染に気付きにくいことから、知らないうちに大切な人に感染させてしまうことがあります。

少しでも感染の不安がある場合は積極的に検査を受けることが大切です。

こちらの記事では性病検査が即日でできるのかについて、性病の種類・検査内容とともに解説します。性病検査を受けるきっかけとなれば幸いです。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

性病検査(性感染症検査)は即日でできる?

医師
性病検査(性感染症検査)は性病の種類や検査機関によっては、即日でできるものがあります。
例えば東京都ではHIV(エイズ)・梅毒を対象に、保健所・検査室で即日検査を実施しています。
通常1〜2週間で結果が出るところを、検査当日に結果を知ることができるのが即日検査です。
ただし、感染が疑われる機会があってから3ヵ月以上経過していなければ正確な結果が出ないなど、前提条件があるためご注意ください。
また即日検査であっても、判定保留となり結果が出ないこともあります。その場合は通常検査と同様に1〜2週間後に結果がわかります。
自治体のほか医療機関でも即日検査を行っているため、居住地の近隣の情報を確認してみましょう。医療機関の場合、受診科は性感染症科・泌尿器科(男性)・産婦人科性(女性)です。
医療機関で検査を受ける場合は保険適用外の自費検査となるため、事前に検査費用を確認することをおすすめします。
すでに症状が出ている場合や検査の結果が陽性の場合の治療は保険適用となります。

性病(性感染症)の種類

ハート
性病(性感染症/STI/STD)は性的接触により性器・口腔・肛門の粘膜や皮膚から感染する病気の総称です。
日本で発生動向が調査されている6つの性病について解説します。性病の特徴を知って、予防・早期発見に努めましょう。

梅毒

梅毒梅毒トレポネーマという細菌によって発症する感染症です。
日本国内では感染者数が増加傾向にあり、男性は20~50歳代・女性は20歳代を中心に年間5,000~8,000件の発症報告があります。
感染者との皮膚・粘膜の接触により感染し、膣性交だけでなく肛門性交・口腔性交でも感染します。
梅毒は無症状の場合もあり、検査を受けなければ気付きにくい感染症です。
感染後約3ヵ月は痛みのないできもの・発熱・倦怠感などの症状が出る場合があります。ただし、症状が自然に消えるのが特徴です。
その後数年~数十年の症状のない潜伏期間を経て、ゴム腫による臓器の破壊や血管・脊髄・脳に異常が現れ、死に至ることがあります。
梅毒は抗菌薬での治療が可能なため、早期発見が重要です。一度感染しても免疫ができることはなく何度でも再感染するため、パートナーとともに検査・治療を受けるようにしましょう。

HIV・エイズ

聴診器
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は免疫を司る白血球などに感染し、無症状のまま数年~十数年の時間をかけて増殖します。
感染初期に発熱・頭痛・筋肉痛など風邪に似た症状が出ることがあっても、自然に治ります。
HIVによる免疫低下により日和見感染症・悪性腫瘍など特定の疾患を発症した状態がエイズ(AIDS/後天性免疫不全症候群)です。
日和見感染症とは、健康状態ではかからない弱い病原体による感染症を指します。
日本国内における年間の新規発症報告数はHIVが約500名、エイズが約200名です。感染者との性的接触のほか、母子感染や血液(輸血・臓器移植・注射の使い回し)により感染します。
不治の病とされたこともありますが、現在では抗HIV薬によりウイルスの増殖を抑えることが可能です。
HIVに感染すると継続的な治療が必須となるため、まずは感染予防に努めましょう。

性器クラミジア感染症

性器クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスが病原体の性病です。日本では最も多い性病で、20代の女性を中心に年間30,000件近い発症報告があります。
女性は無症状のため感染に気付きにくく、知らないうちにパートナーや新生児に感染させてしまう場合があるため注意が必要です。
感染者ののど・分泌物・尿・直腸などから出た菌により感染します。
男性のうち症状がある人は約半数で、代表的な症状は排尿時の軽い痛みや、尿道の不快感・むず痒さ・分泌物などです。
女性は無症状が大半ですが、おりものの異常・下腹部痛・頸部リンパ節の腫れなどの症状が出る場合があります。
性器クラミジア感染症と診断された場合は、抗菌薬を正しく服用することで治療が可能です。
一度感染しても免疫はできず何度でも再感染するため、注意しましょう。

性器ヘルペスウイルス感染症

軟膏
性器ヘルペスウイルス感染症は、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)または2型(HSV-2)を病原体とする感染症です。
根本治療が不可能で、一度感染すると繰り返し再発する疾患です。日本では年間9,000件前後の発症報告があります。
性器ヘルペスウイルス感染症は感染部位に痛み・痒みを伴う水疱・潰瘍ができるという特徴がありますが、70~80%は無症状です。
ほかの症状には、初感染時の発熱・倦怠感や足の付け根のリンパ節の腫れ・痛み、尿道分泌物や排尿障害があります。
性的接触によって性器・口・口唇・肛門などから感染します。無症状であってもウイルスを持っていれば感染するため、予防が難しい感染症です。
水疱・潰瘍は抗ウイルス剤の服用・塗り薬により治癒できますが、疲労や免疫低下により再発します。

淋菌感染症

淋菌感染症は、淋菌によって引き起こされる性病です。日本では20歳代の男性を中心に年間8,000~10,000件の発症報告があります。
淋菌は弱い菌のため、性的接触以外で感染することはほとんどありません。男性の主な症状は、尿道の痒みや膿・排尿時の痛み・陰茎や精巣の腫れなどです。
女性は無症状が大半ですが、おりものの異常・発熱・下腹部痛・のどの違和感などの症状が出る場合があります。
男女いずれも進行すると不妊の原因となるほか、HIVの感染率を上げるとの報告もあります。
淋菌感染症は抗菌薬により治療が可能です。しかし、一度感染しても免疫ができることはなく何度でも再感染します。

尖圭コンジローマ

男性医師
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が病原体の性病です。日本では年間5,000~6,000件の発症報告があります。
皮膚や粘膜の傷から侵入・感染するため、性的接触により感染しやすいです。感染から数週間~3ヵ月程で生殖器や周辺に特徴的な形のイボが発生するのが特徴です。
白~淡紅色~褐色の病変で、小さな尖ったイボが集まった様子はカリフラワー状・鶏のトサカ状と称されます。
痛みはほとんどなく、20~30%は3ヵ月以内に自然に治ります。感染していてもイボの症状が出ない場合もあり、感染に気付かないこともあるため注意が必要です。
塗り薬の使用や、外科治療によりイボを取り除くことで治療します。尖圭コンジローマも、免疫ができることはありません。

性病(性感染症)検査の検査内容

血液検査
性病(性感染症)検査の検査内容は性病によって異なります。症状が出ていない場合は、検査を希望する性病に応じた検査をします。
症状が出ている場合は、症状の出ている部位に応じた医療機関を受診しましょう。医師の判断で必要な検査と治療を受けることができます。
性病の多くは早期発見・早期治療により合併症・後遺症を防止できるため、積極的に検査を受けることが大切です。

視診

性器ヘルペスウイルス感染症・尖圭コンジローマは医師の視診による検査です。
性器ヘルペスウイルス感染症では水疱・潰瘍が感染症によるものかどうかを医師が判断します。場合によっては水疱の組織を採取し、追加で検査を行うこともあります。
尖圭コンジローマでは生殖器周辺にできる特徴的な形のイボが診断対象です。

血液検査

HIV(エイズ)・梅毒は血液検査による検査です。血液を採取し、抗体検査を行います。
感染があった場合にウイルスを体内から排除するために抗体が作られる体の仕組みを利用して、血液中に抗体があるかどうかを調べるのが抗体検査です。
抗体ができるまでの期間は結果が正確に出ないため、感染が疑われる時から一定の期間が経過している必要があります。
梅毒の場合は1ヵ月以上・HIVの場合は2ヵ月以上で、HIVの即日検査の場合は3ヵ月以上の経過が目安です。

尿検査

尿検査
性器クラミジア感染症・淋菌感染症は尿検査により検査が可能です。最後の排尿から一定の時間が経っている必要があるため、検査を受ける前に確認しましょう。
月経中の女性の場合は正しい検査結果が出ない場合があります。また、性器クラミジア感染症・淋菌感染症は口腔に感染する場合もあります。
口腔への感染は尿検査ではなく、咽頭の組織を擦って採取したものや、うがい液を調べることで検査が可能です。

おりものの検査

女性については、性器クラミジア感染症・淋菌感染症はおりもの検査でも検査が可能です。
子宮内のみに病原体が存在する場合は、尿検査では陰性でもおりもの検査で陽性になる場合があります。
検査時は綿棒のようなもので膣内のおりものを採取します。採取時に痛みはありません。

家族や周りにバレずに性病(性感染症)検査を行う方法

検査
性病感染の疑いがある行為をしてしまったが、家族や周りにバレたくない場合もあるかもしれません。
そういった場合は、匿名で検査を受ける・市販の検査キットを使用するなどの方法があります。早めに検査を受けることで、感染を広げてしまうリスクを減らしましょう。
なお検査結果が陽性だった場合は、医療機関でしっかりと治療を受けることが大切です。

匿名で検査を受ける

匿名で検査を受ける方法として、自治体の保健所や検査所を利用する方法があります。
自治体によって対象となる性病・検査費用・実施日時が異なるため、居住地の自治体のホームページを確認しましょう。事前に電話予約が必要な場合もあります。
東京都の場合、HIV・梅毒・淋菌・クラミジア感染症の検査を匿名・無料で受けることができます。
検査結果は口頭で伝えられ、証明書は発行されない場合があるためご注意ください。
保健所では検査を受けられるだけでなく、匿名での相談を受け付けている場合も多いです。
性病について心配なことがある場合は、ひとりで悩まずに相談することをおすすめします。

検査キットを活用する

検査キット
性病検査は検査キットを活用する方法もあります。検査の詳細は検査会社によって異なりますが、大まかな流れは次のとおりです。

  • インターネットや電話で申し込みを行う
  • 検査キットが届く
  • 検査に必要な血液・尿などを採取して返送する
  • 結果が通知される

郵送先の工夫次第で家族に知られずに検査を行うことが可能です。検査費用や検査にかかる日数は会社によって幅があるため、事前に確認しましょう。
また、地域によっては病院で検査キットを活用した匿名の検査を行っている場合もあります。

編集部まとめ

手を繋ぐ
性病は種類や検査機関によっては、即日での検査が可能です。ただし感染が疑われる機会があってから一定期間以上が経過していなければ、正確な結果が出ない場合があります。

性病は症状が出ないことがあり、検査が感染に気付くきっかけとなる場合も多いです。検査方法は性病によって異なり、視診・血液検査・尿検査・おりもの検査があります。

自治体の保健所や検査所での匿名検査や検査キットの利用など、医療機関に行かなくても検査を行える方法があります。少しでも不安がある場合はまずは検査を行い、感染を広げないよう努めましょう。

この記事の監修医師