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レーシックとICL手術はどっちがいい?違いや選び方を徹底解説!

 公開日:2025/10/17
レーシックとICL手術はどっちがいい?違いや選び方を徹底解説!

レーシックICL手術はいずれも視力矯正のための手術ですが、どちらが自分に合っているのかと悩む方もいるでしょう。どちらの治療法が適しているかは、目の状態や生活環境、職種などによって異なります。

本記事ではレーシックICL手術の基本知識を整理のうえ、両者の違いと選び方のポイントまで解説します。視力矯正手術を検討中の方はぜひ参考にしてください。

レーシックとICL手術の基本知識

レーシックICL手術はいずれも視力を矯正する点は同じですが、手術方法や特徴は大きく異なります。まずはレーシックICL手術それぞれの基本を押さえましょう。

レーシックとは

レーシック(LASIK)は、エキシマレーザーで角膜を削って形状を変え、屈折力を調整することで視力矯正を目指す屈折矯正手術です。

20年以上の歴史がある手術方法で、角膜にフラップと呼ばれる蓋状の薄い膜を作成してレーザー照射を行います。手術当日から視力の回復が見込めて日常生活への復帰が早い点が特長です。角膜を削る手術であるため元の状態に戻せない点には注意が必要で、角膜が薄い方や強度近視の方は適応外になることがあります。

ICL手術とは

ICL手術(Implantable Contact Lens:眼内コンタクトレンズ)は、虹彩(黒目)と水晶体の間に薄いレンズを挿入して視力を矯正する手術で、角膜を削らない視力矯正手術として世界で300万眼以上の手術実績があります。(※1)

参照:有水晶体眼内レンズ|日本眼科学会による病気の解説

レンズに使用される親水性素材はやわらかく、長期間入れていても違和感や拒否反応が起きにくいとされており、レンズは外からはほとんど見えません。

レンズは半永久的に使用できますが、視力の変化や合併症が起きた際はレンズを取り出したり交換したりして元の状態に戻すことが可能です。この可逆性はICL手術の大きなベネフィットで、将来の視力変化にも柔軟に対応できます。
また、この手術は涙の分泌に影響を与えにくくドライアイのリスクが低い点や、強度近視や乱視にも対応可能で適応範囲が広いことが特長です。
角膜の薄い方や-10Dを超えるような強度近視の方など、レーシックでは矯正が難しい場合でもICL手術なら治療できる可能性があります。

レーシックとICL手術の違い

レーシックICL手術はどちらも視力矯正を目的とした手術ですが、仕組みや適応条件、術後の特徴に違いがあります。自分の目やライフスタイルに合った方法を選ぶために、違いを正しく理解しましょう。
ここからは、レーシックICL手術の違いについて7つのポイントに分けて解説します。

施術方法

レーシックICL手術は、視力矯正の仕組みが根本的に異なります。

項目 レーシック ICL手術
手術内容 角膜をレーザーで削って形を変え、屈折を矯正 角膜を削らず、眼内レンズを虹彩と水晶体の間に挿入
所要時間 両眼で20〜30分程度 両眼で20〜30分程度
麻酔 点眼麻酔 点眼麻酔

いずれも短時間で終わる日帰り手術(※)のため基本的に入院は不要で、術後の視力回復は早いといえます。

※術前検査・術後の経過観察が必要です。

術後の見え方

どちらの手術でも多くの場合、翌日には裸眼でクリアに見えますが、感じやすい症状や見え方の特徴が異なります。

レーシックICL手術どちらも手術翌日には良好な視界が得られ、日常生活に支障がなくなる傾向がありますが、ICL手術はレーシックよりもコントラスト感度が良好だといわれています。
また、どちらも夜間に光がにじんで見えるハロー・グレア現象が起こる可能性もありますが、多くの場合は時間経過で視力が安定してくると解消されるといわれています。

レーシックは、角膜を削る影響でドライアイになることがあり、目の乾燥によるかすみや異物感が起こることがありますが、ICL手術はドライアイになりにくい点が異なります。

持続性

視力矯正の効果がどのくらい長く続くか、安定するかにも差があります。

項目 レーシック ICL手術
効果の持続性 近視の戻りの可能性がある 近視の戻りは生じにくく、必要に応じレンズ交換も可能

レーシックは多くの場合、長期にわたり安定した視力が保たれますが、近視の戻りが起きる可能性があります。ICL手術は角膜を削らないので角膜形状の変化による近視の戻りが生じにくく、長期にわたり良好な視力が維持できる傾向があります。(※2)

どちらも加齢による視力変化は避けられませんが、ICL手術は視力の変化に合わせてレンズ交換で対応が可能です。

適応となる条件

レーシックICL手術では手術を受けられる条件にも違いがあり、手術の安全性を高めるための基準が設けられています。(※3)

項目 レーシック ICL手術
年齢 一般的に18歳以上が対象 一般的に21歳以上で視力が安定している方が対象
適応範囲 軽度〜中等度の近視・乱視 軽度〜強度の近視・乱視
角膜の厚み 一定以上の厚みが必要 厚みに関係なく手術可能な場合が多い

レーシックで矯正できる度数の目安は近視で-6D程度までが基本ですが、慎重に適応判断すれば最大で-10D程度まで可能とされています。強度の近視になるほど角膜を大きく削る必要があるため、-6Dを超える場合はレーシックを受けられない可能性があります。

また、重度のドライアイや円錐角膜などの角膜疾患がある方、重篤な眼疾患や糖尿病などの全身疾患がある方は適応外となることがあります。術前検査で角膜形状や視力の安定性などを総合的に評価し、医師が安全と判断した場合にのみ手術が行われます。

ICL手術はレーシックより適応範囲が広く、強度近視や厚みの少ない角膜の方でも手術可能です。矯正できる近視の度数はおおよそ-3Dから-18D程度までと広範囲で、乱視も矯正が可能です。
また、軽度の円錐角膜でレーシックが難しいケースでも、条件を満たせばICL手術が検討できる場合があります。ただし、眼の中にレンズを入れるため、十分な前房の深さ(角膜と虹彩の間のスペース)や角膜内皮細胞数があるかなども確認します。緑内障やぶどう膜炎など重篤な眼疾患がないこと、全身的に手術に耐えられる健康状態であることも条件です。

費用

どちらも自由診療なのでクリニックによって費用が異なりますが、レーシック両眼で20万〜40万円(税込)程度、ICL手術は両眼で40万〜80万円(税込)程度が相場です。
ICL手術は特殊なレンズを使用するため、レーシックより費用が高めです。費用は術式や乱視の有無、保証内容によって変動するので、術後ケアや保証内容まで含めて検討することが大切です。

元に戻せるかどうか

レーシックICL手術では、手術後の可逆性が大きく異なります。

項目 レーシック ICL手術
手術の不可逆性 角膜を削るため不可逆的 レンズを取り外せば元の状態に戻せる
再手術 条件によって可能 レンズ交換や調整が可能

レーシックは角膜を削る量や形によっては再手術が可能な場合がありますが、角膜の厚みが不足していると再手術はできません。一方ICL手術は眼内に挿入したレンズを交換したり、度数を調整したりすることができるため、視力の変化や新たな技術への対応がしやすいといえます。
レーシックICL手術のどちらを選ぶか迷った際、可逆性は大きなポイントだといえるでしょう。

手術によるリスク

どちらも安全性が高い手術ですが、手術にはリスクが伴います。

項目 レーシック ICL手術
主なリスク ドライアイ、ハロー・グレア、角膜混濁など 白内障発症リスク、眼内炎リスクなど

レーシックは角膜の知覚神経を切断するため涙の分泌が一時的に減少し、手術直後から数週間、ドライアイ症状が出ることがあります。稀な合併症として、角膜形状の不安定化による角膜拡張症、感染症などが考えられます。

ICL手術は眼内に人工レンズを入れる手術であるため、稀に眼内炎という感染症を発症するリスクがあります。現在のICLレンズ(ホールICL)は中心に穴が空いたデザインで、術後の白内障や緑内障のリスクは大幅に低減されていますが、リスクはあるため定期検診が必要です。

どちらもしっかりと適応検査を行い、清潔な環境で手術が行われることが求められます。

レーシックとICL手術の選び方

視力矯正手術を選ぶ際は、レーシックICL手術の違いを踏まえ、目の状態や生活スタイル、将来のライフプランまで含めてどちらが適しているのか検討することが重要です。

目の状態やライフスタイル別の選び方

レーシックICL手術は、それぞれ適している目の状態や生活スタイルが異なり、近視の程度や角膜の状態によって推奨される手術は異なります。

  • 近視が軽度から中等度で角膜の厚みが十分ある方
    レーシックは細かな度数調整が得意で微調整しやすいので、一般的には費用面でも負担が少ないレーシックが適していると考えられます。
  • 近視・乱視が強い方や角膜が薄い方
    角膜を削らず広い度数範囲に対応できるICL手術の方が、矯正効果で適していると考えられます。
    角膜の厚みが薄くレーシックが難しいケースでも、ICL手術であれば角膜を削らないため手術できる可能性があります。
  • もともとドライアイ傾向がある方
    レーシックよりICL手術の方がドライアイ悪化のリスクが低い傾向にあります。普段から目の乾きに悩んでいる方や、オフィスワークでドライアイが酷くなりやすい方は、ICL手術の方が術後快適に過ごせる可能性が高いでしょう。

このように、目の状態とライフスタイルを踏まえて検討することが重要です。

将来のライフプランを考慮した選択

視力矯正手術は、一度手術を受けたら長くその状態で過ごすことになるため、目の状態とライフスタイルだけでなく、手術後のライフプランを考慮して検討するとよいでしょう。

  • 老眼など視力の変化への対応
  • 白内障など将来の目の病気の可能性
  • 職業や趣味への影響
  • 将来的な技術進歩の可能性

40代以降では、老眼や白内障のリスクが高まります。その際、レンズの交換や取り外しができるICL手術の柔軟性は大きなベネフィットだといえるでしょう。レーシックでも白内障手術は可能ですが、過去の角膜矯正の影響で眼内レンズ度数の計算が難しくなることがあります。

また、職業や趣味によっても選び方は変わります。例えば、激しいスポーツや衝撃を受けやすい環境では、角膜切除がないICL手術の方が適していると考えられます。また、ICL手術は将来的な技術進歩に合わせてレンズ交換が可能ですが、レーシックは角膜を元に戻せないため再手術には限界があります。

このように、長期的な視力維持やライフイベントへの対応を考慮して選ぶことが、QOL向上のためのポイントといえます。

QOL向上のための注意点

レーシックICL手術の術後のQOL向上のために、以下の点に注意しましょう。

  • レーシックICL手術それぞれのリスクや見え方の変化を理解する
  • 必要に応じて複数の医療機関で相談する
  • 十分な適応検査と説明を受ける
  • 経験と専門性のある医師やクリニックを選ぶ
  • 生活や職業への影響、将来のライフプランを考慮する
  • 希望や優先順位を医師に伝える
  • 費用だけで決めない
  • 術後のケアと通院を怠らない

レーシックICL手術それぞれのベネフィットだけでなく、リスクも理解したうえで選択することが重要です。
信頼できるクリニックで適応検査を受け、どちらが適しているかを含めて医師としっかり相談しましょう。相談する際は、「視力の安定性を重視したい」「将来の変化にも対応できるようにしたい」「スポーツへの影響を抑えたい」など、希望や優先順位を整理して医師に伝えるのがポイントです。

角膜を削らないため、視力が変化した際の再手術やレンズ交換が可能なICL手術は、将来の目の変化やライフプランに柔軟に対応しやすい手術方法です。強度近視や角膜が薄い方の治療の選択肢でもあるので、レーシックは難しいけれど視力を改善したいという方はICL手術を検討するとよいでしょう。

まとめ

レーシックICL手術はどちらも視力矯正の有効な手段ですが、施術方法や適応条件、持続性、費用、リスクなどが大きく異なります。
レーシックは角膜を削ることで視力を改善し、短期間で回復できるのが魅力ですが、元に戻せない点や適応外のケースもあります。ICL手術は費用が高めですが、角膜を削らず眼内レンズを挿入する方法で可逆性があり、強度近視や角膜が薄い人にも対応できます。

大切なのは、目の状態やライフスタイル、将来の視力変化を考慮し、十分に情報収集をして検討することです。信頼できる医師と施設を選び、自分に合う方法を選択すれば、長期的に快適な視力を手に入れることができるでしょう。

この記事の監修医師