ミノキシジルの副作用とは?効果や外用薬と内服薬の違いについて解説
ミノキシジルは、AGA(男性型脱毛症)の治療によく利用される内服薬・外用薬の1つです。
AGA治療・発毛効果などの効能が期待できる一方、頭皮の痒み・肌の乾燥・頭痛・顔の浮腫など、さまざまな副作用の要因にもなるので使用には注意が必要な薬でもあります。
薬の入手経路も、病院から処方箋を貰う方法以外に薬局での購入・個人での輸入などさまざまな入手方法があります。
今回はミノキシジルの効果と副作用や、安全に使用できるように内服薬や外用薬の違いについてご紹介するのでご参考にしてください。
監修医師:
坂本 好昭(医師)
目次 -INDEX-
ミノキシジルの基本情報
ミノキシジルには血管拡張作用があり、血流の増加によって頭皮に酸素と栄養を十分に行き渡らせることで、太く・長く・丈夫な髪の毛へと成長させて発毛の促進に繋げます。
また、壮年性脱毛症による脱毛の抑制効果もあるので、その効能によりAGAの治療に有用だとされています。
AGA治療薬としても用いられますが、FAGA(女性型脱毛症)にも効果的です。
また、内服薬と外用薬があり頭皮に塗布するタイプの外用薬が主流となっていますが、どの薬の形態であってもさまざまな副作用が存在するので使用には注意が必要です。
成分
ミノキシジルは一般的な発毛・育毛剤の主成分としてよく使用されます。
ミノキシジル外用薬を頭皮に直接塗布して使用すると、毛包へ効能がよく行き渡るので壮年性脱毛症による発毛・育毛・脱毛の抑制効果などを期待できるのです。
2つの窒素を含む環状構造をミノキシジルが持っているため血管拡張作用・毛髪の発毛促進作用などに関与していると考えられています。
元々は高血圧の治療薬として開発されていましたが、後に発毛効果が発見され発毛剤として用いられるようになりました。
用法・用量
ミノキシジルには内服薬と外用薬がありますが、内服薬の場合は「ミノキシジルタブレット」というミノキシジルを主成分とした錠剤状の薬が主に利用されています。
クリニックの場合は、2.5mgの錠剤なら1日1〜2錠の処方を受けることが多いです。
1日の服用上限は10mgですがその人によって効き方・副作用の出方が異なるため、リスクの低い少量から開始し様子を見ながら量の調整をしていきます。
外用薬の場合は頭皮に液状の薬を塗布する形になります。製品によって液状の薬をスポイトで塗布する物・スプレーで頭皮に吹きかける物など用法はさまざまです。
製品にもよりますが、1日に2回朝と晩に塗布します。
使用上の注意・併用禁忌
内服薬は毎日継続して服用することで良い効果を得られるので、飲み忘れのないようにご注意ください。忘れた場合でも、2日分まとめて飲むような行為は本来の効果と変わってしまいリスクも上がるため、避けるようにしましょう。
また、内服薬に関しての他の注意点は以下のとおりです。
- お酒類をよく飲む人
- 心臓などの循環器系に疾患のある人
- 妊娠中・授乳期間中の人
- 今までに薬を摂取してアレルギー症状を起こしたことがある人
- 高血圧・低血圧の人
外用薬の場合は、皮膚に疾患のある人・敏感肌の人は注意してください。
また、通販サイトなどのネットによる個人輸入は質の悪い偽物の薬も出回っているため、特に注意が必要です。
ミノキシジルの副作用は?
前述のとおり、ミノキシジルは元々が高血圧治療に用いられていた薬で血圧の変動をさせて心臓への負荷を高くするので、動悸・息切れなどの心拍数が上がる症状を引き起こす可能性があります。
薬の作用により心臓へ送る血流を低下させてしまうので、狭心症・心不全・呼吸不全など循環器系へ影響を及ぼす重い症状に繋がる場合もありますので、心疾患の持病をお持ちの人はミノキシジルの使用には十分にご注意ください。
また、ミノキシジルの薬を使用すると血管の拡張作用によって血圧の変動が起きるので、その影響により頭痛・めまいなどの精神神経系の症状が出る場合もあります。
他にも副作用のデメリットとして、肝臓などへの副作用も懸念されています。その為使用の際は十分注意してください。
ミノキシジル外用薬においては、頭皮にミノキシジル外用薬を塗布して使用していると皮膚炎・発疹などのアレルギー反応を引き起こすこともあるので、注意が必要です。
他にも、血流の変動により手足の浮腫を起こすこともあります。
毛の症状としては体毛の増加・毛髪の変色などの症状が起き得るので気になる症状が見られたら早めに医師に相談しましょう。
そして、ミノキシジルは服用をやめてしまうとAGAが進行する可能性があるので、服用は続けないといけない関係上、続けるハードルの高さもデメリットといえます。
内服の際は検討してから利用することをおすすめします。
初期脱毛
人によってはミノキシジルを使用した影響によって一時的な脱毛症状を伴う場合があります。ミノキシジルの使用開始後の数週間から数ヵ月で治まることがほとんどですが、この期間中は毛髪の脱毛量が増加します。
期間としては、ミノキシジルの使用開始後の1週間から数ヵ月程度の期間に症状が発現しやすいです。外用薬・内服薬のどちらにも発現する可能性があります。
この症状は、新しい髪の毛を生やして成長を促す際に古い髪の毛が抜けるヘアサイクルを行うために起きる症状です。
初期脱毛は副作用と勘違いをされやすいのですが、ヘアサイクルが正常な状態に戻る時の症状で、この症状が発現したら薬の発毛効果が出てきていると思ってください。別段、過度に心配する必要はありません。
皮膚炎
ミノキシジルの副作用の中でも現れやすいとされているのが皮膚の症状です。
皮膚炎の症状としては以下の症状が見られます。
- 頭皮の痒み
- 発疹・発赤
- 湿疹・かぶれ
- 頭皮の乾燥(フケ)
- 皮膚の乾燥・ひび割れ
- 皮膚の熱感・痛み
このようなアレルギー反応の症状が起きる場合があります。
この症状はミノキシジル外用薬による副作用として現れやすい症状です。また、原因としては初期脱毛と同様で髪の毛の成長を促す際に起きる皮膚の変化のためとされています。
症状は軽度から重度と個人差がありますが、重度であったり長期に渡り症状が見られた場合は早めに医師へご相談しましょう。
動悸・息切れ
ミノキシジルは心臓の収縮に関与しているため循環器系への影響が大きく、稀ですが循環器系のさまざまな症状を引き起こします。
動悸・息切れを起こす原因は、ミノキシジル内服薬を服用すると血管の拡張によって血流が上がるためです。
脈拍が上がるので、体を動かした後のような息切れを起こします。薬を継続して服用していると段々と落ち着いてくるかと思いますが、数ヵ月経っても症状が治まらない・症状が酷いといった場合は早めに医師へご相談ください。
主な症状としては動悸・息切れ・不整脈・胸痛などがあります。呼吸不全や、循環器系機能の悪化による腎不全などの重度の症状を伴う場合もあり、これはミノキシジルが心臓の収縮へ悪影響を及ぼすため起きる症状です。
頭痛やめまい
頭痛やめまいはミノキシジルの副作用でよく現れる症状です。
血管の拡張作用による血圧の変動で頭痛・めまいを引き起こす場合があります。血管が拡張した影響によって中枢神経系の血圧が急激に低下するのでめまいを引き起こすと考えられます。
期間としては、ミノキシジルの使用による頭痛の場合、通常は一過性ですので継続して長期間発症することはありません。長期間の継続的な痛み・激痛が起きている場合、別の理由で症状が起きている可能性が考えられますので、お早めに医師にご相談ください。
頭痛・めまいの症状は内服薬・外用薬のどちらのタイプでも起きる可能性がありますのでご注意ください。また、症状の程度には個人差が大きくあり、頭痛を全く感じない人から頭に激痛を感じる人まで範囲の幅が広いです。
手足や顔の浮腫
ミノキシジルは血管を拡張させ血流量を増加させる作用があるため、浮腫を引き起こす可能性があります。浮腫の症状は、一般的には手足に現れやすいとされています。
稀なケースですが顔に浮腫の症状が現れる場合もあり、対処方法として薬の服用を中止にする・量の調整を行うと症状が軽減されることがあり対処として効果的です。
ミノキシジルと併用で飲むことがあるプロペシア(フィナステリド)にも浮腫を起こす可能性があるとされるので、併用の際はご注意ください。
多毛症
ミノキシジルの内服薬・外用薬のどちらにも発現する可能性がある症状ですが、内服薬を服用した場合、薬効が全身に巡りやすいため全身の体毛が濃くなる可能性があります。
その一方で、外用薬の場合は使用している範囲が限定的なため薬を使用している部位周辺にのみ起きやすいので、全身の体毛が濃くなる可能性は低いです。
多くの場合は軽度で髭の毛の成長が増加する程度なので、ご心配するほどにはなりません。
肝機能障害
ミノキシジルの副作用の中では非常に稀ではあるものの、肝機能に弊害を及ぼす場合があります。症状としては黄疸・腹部の不快感・食欲不振などです。
この症状は内服薬であればミノキシジル以外のどの薬でも症状が起きる可能性があります。
また、健康診断などの検査で肝機能の数値が上がっていた場合はミノキシジルの服用を中止すれば数値は正常に戻ります。
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれているほどに症状の自覚が難しく、重篤化すると肝不全を起こす可能性もあるので、ミノキシジルの服用中は定期的に血液検査を行うなどの対処をすると良いでしょう。
心疾患
副作用の症状としてはかなり少ないですが動悸・息切れ・狭心症などの心疾患を引き起こす可能性があります。
副作用を発症しても動悸・息切れ・めまいなど軽度で、心不全などの重度の心疾患を起こすことは非常に稀です。
しかし、ミノキシジルの服用との直接的な関連があるのかは明確にされていません。
ですが、ミノキシジルに冠動脈を弛緩させる作用があるので、心臓への血流量が低下し心疾患を起こす原因になると考えられます。
ミノキシジルの効果
元々は高血圧の治療薬として開発されていた薬なので血流を増加させる効果があり、脱毛症であるAGA・FAGAなどの治療に効果的です。
頭皮に塗布するタイプの外用薬と内服薬が存在しますが、内服薬は特に発毛効果・脱毛進行の予防に期待できます。また、外用薬は頭頂部・前頭部の薄毛の部位に対して効果が高く出やすいです。
ミノキシジルは、プロペシア(フィナステリド)・デュタステリドによるヘアサイクルを正常に戻す作用も併用すると、より効果を期待できます。
発毛効果
ミノキシジルには毛母細胞に刺激を与えて活性化させ、細胞分裂を活発にして毛根の血流を増加させて発毛を促すという作用があるのです。
そのため、髪の毛を太く長く丈夫にする効果があり、この効果により発毛・育毛・毛の成長促進の期待ができます。
また、ミノキシジルは長く世界中で発毛剤として利用されているため安全性が高い点はメリットといえます。
育毛抑制効果
毛髪の成長を促すので、脱毛・薄毛の進行抑制となり早い段階で治療開始した場合、脱毛症の進行抑制に高い効果が出るのがミノキシジルの特徴です。
加えて薄毛を改善させるとの医学的証明がなされ、一定の効果が見込める点からも使うメリットが高い医薬品です。
ミノキシジルの使用に注意が必要な人
ミノキシジルの外用薬・内服薬使用時には以下の人は注意が必要です。
- 高血圧の人
- 低血圧の人
- 未成年者
- 妊娠中または授乳中の人
- 皮膚の状態が悪い人
- 他の症状により薬を服用している人
- 心臓に疾患を持っている人
- 体に浮腫のある人
ミノキシジル内服薬は血圧に変動を生じさせるため、高血圧治療に使用される降圧剤を併用すると薬剤の効果が重複するので併用は避けてください。
また、心臓に疾患のある場合は心不全などの重篤な症状に繋がりやすいためご注意ください。
外用薬と内服薬の違い
外用薬は液状の薬を塗布するタイプが多く、内服薬は錠剤の形で口から摂取する経口薬が主となります。
外用薬には液状の薬をスポイトで取ってから塗布するタイプと、スプレーボトルの容器に入った薬を頭皮に吹きつけるタイプのものがあります。1日2回、朝と晩に頭皮に直接塗布するタイプが主流です。
内服薬はミノキシジルタブレットという錠剤の形状の薬が主流で、クリニックでよく処方されます。
外用薬は皮膚からの吸収ですが、内服薬は体内から直接吸収するため効果が高く出やすいです。また、内服薬・外用薬でそれぞれ副作用のリスクなどは異なるので、使用の際は十分にご注意の上で使用してください。
どちらもAGA・FAGAの治療に一定の効果を期待できる治療薬である一方、粗悪な作りの薬も多く出回っているため個人での購入には注意が必要です。
また、内服薬と外用薬は保険適用されず全額自己負担の自費診療扱いとなります。
費用相場の目安として、1回の診察で1ヶ月分が処方され費用は1万円(税込)からの病院も多く見られます。
ミノキシジル配合治療薬の治療事例
30代男性が頭頂部・前頭部にAGAを発症した例では、医師がミノキシジル内服薬・デュタステリド内服薬を患者に処方し、適切なケア方法のアドバイスも行いました。
薬を服用し約6ヵ月後に頭頂部・前頭部の髪の密度が増え、脱毛も抑制されたことが確認されました。
また、薬の副作用面ではミノキシジル外用薬を使用中に動悸を訴えた使用者が、使用を中止したものの心不全で入院を余儀なくされたという事例があります。
他にも、肝機能検査異常・突発難聴・アナフィラキシー反応などの重篤な症状が起こる事例も報告されている治療薬のため、服用時は十分にご注意ください。
編集部まとめ
今回はミノキシジルについて詳しく解説してきました。
さまざまな副作用のあるミノキシジルですが、その欠点を上回るほどの利点も多くあります。
ただし、ご自身で購入、自己判断で内服開始するとトラブルになるケースもありますので、医師の診察のもとで診断の上、処方・治療を開始することをおすすめします。
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