片頭痛の予防注射があるって本当?予防注射の主な種類・費用について解説
片頭痛は、一側の頭部に発生する激しい頭痛が特徴的な疾患です。強い頭痛とともに、しばしば吐き気や嘔吐、光や音に対する過敏などの症状を引き起こす神経系の障害です。
片頭痛の発作は数時間から数日間続くことがあるため、多くの患者さんは、できるだけ発作が起きないようにと考えてしまいます。しかし、個人によって頻度や症状は異なり原因も複雑であることが知られていて、患者さんにとっては大きな悩みとなっています。
片頭痛に事前に対応する方法はないのでしょうか。近年話題になっているのが予防注射や予防薬などを使った予防法です。どのようなものなのか、種類や費用などを説明します。
監修医師:
山王 直子(品川ストリングスクリニック)
目次 -INDEX-
片頭痛の予防注射があるって本当?
片頭痛の予防注射は、片頭痛の頻度や重症度を軽減するために行われる治療法の一つです。これは、特定の薬剤を皮下注射や筋肉注射として投与することで行われます。
予防注射は、片頭痛発作が頻繁に起こる人や、予防薬を服用することが難しい場合に検討されます。予防注射に使用される薬剤に含まれる効果としては、片頭痛の発作を減少させるいうことです。
片頭痛は予防できる時代になった
2021年に片頭痛の発症に関与しているカルシトニン遺伝子関連ペプチドに対する薬剤が承認され、治療で使用できるようになりました。この薬は、頭痛を起こさせる物質を、痛みを感じさせる神経に届かないようにする効果があります。これは、片頭痛が抑制されるだけでなく、忍容性の高さも期待されています。
試験では、副作用も少なく約半数の患者さんが片頭痛日数を半分に抑えられているという報告があります。片頭痛は体質的な要因が強いのですが、この薬の効果によって片頭痛が全く起こらなくなる人もいます。片頭痛は体質的な要因が強いので完治しにくいといわれていますが、新たな予防薬の登場には大きな期待が寄せられ、片頭痛の予防療法に抗体医薬が使用できることは大きな進歩でしょう。
片頭痛の予防薬には飲み薬と注射がある
片頭痛の予防薬には飲み薬と注射があります。
飲み薬にはいくつかの薬剤があり、経口で服用されます。例えば、ベータブロッカー・カルシウム拮抗薬・抗うつ薬・抗てんかん薬などです。これらの薬には、片頭痛の発作を減少させる効果があるとされています。
また、近年いくつかの新しい薬剤が注射としても利用可能なものが認可されました。どの治療法がぴったりかは、患者さんの症状や医師の判断によって異なりますので、かかりつけ医や専門の医師と相談して適切な治療プランを立てることが重要です。
頭痛の種類や症状
頭痛には様々な種類があり、それぞれ異なる症状を引き起こします。代表的な頭痛の種類には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛があり症状も異なります。
片頭痛は、頭の片側に発生する激しい痛みで、通常は脈打つような性質を持ちます。光や音に敏感になったり吐き気や嘔吐が伴ったりします。
頭全体に広がる鈍い痛みや圧迫感を引き起こすのは、緊張型頭痛です。
ストレスや緊張に関連して現れることもあります。
群発頭痛は、突然発生し非常に激しい頭痛の発作を起こします。一日に何度も繰り返し起こしたり、目の周りの領域に痛みが集中したりするのが特徴です。
また、脳腫瘍が原因で起こる頭痛もあり、他の症状と併発し、徐々に悪化することがあります。
これらは一部の頭痛の例です。また、頭痛の種類は、原因によって一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。それぞれについて説明します。
一次性頭痛
一次性頭痛は、他の病態や医学的な原因によるものではなく、独立して発生する頭痛のことです。特定のトリガーや状況によって引き起こされるものであり、一般的に特定の頭痛のタイプを指します。
一次性頭痛としてあげられるのが、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛などです。これらの頭痛は前述しているように特定の状況や要因によって発生し、通常は特定の症状や特徴を持っています。
二次性頭痛
二次性頭痛は、他の基本的な病態や病気が原因で引き起こされる頭痛のことです。そのため頭痛は別の病状や要因によって発生し、その病態を反映している可能性があります。
これらの頭痛は特定の病気や状態が引き起こすため、その原因となる病気を治療することで頭痛の緩和や改善につながることが多くなります。二次性頭痛としてあげられるのは、下記のとおりです。
- 脳腫瘍や脳血管障害による頭痛・頭部外傷による頭痛
- 副鼻腔炎や歯の問題による頭痛
- 頭痛薬の過剰摂取による薬物過剰摂取性頭痛
- 中枢神経系感染症による頭痛・脳神経障害
頭痛の診断基準は?
頭痛の診断基準は、国際頭痛学会(IHS)によって定められた基準があります。典型的な片頭痛の診断基準は、脈動的な痛みと吐き気または嘔吐が伴い、光や音に敏感になることが含まれます。
緊張型頭痛は頭痛が持続的であり、両側性の鈍い痛みが特徴です。群発頭痛は、発作が突然発生・一日に複数回発生・目の周りに集中的な鋭い痛み・などが特徴です。脳腫瘍などの二次性頭痛は、それぞれの症状によりMRIなどの検査の結果に基づいて判断されます。
診断基準は症状や状態によって異なるため、具体的な症状に基づいて検査し、その結果で判断することになります。
頭痛の検査
頭痛の検査は、複数の検査を行い総合的に判断します。まず身体的評価として、頭部や首の動き・筋肉の緊張度・神経反射などを確認します。脳や頭部の異常を確認するために使われるのは、MRI・CTスキャンなどの画像検査です。これらは、脳腫瘍やその他の病変を検出するのにも役立ちます。さらに、必要に応じて血液検査が行われます。
これによって期待されるのは、頭痛の原因を特定する手がかりが得られることです。脳の電気的な活動を記録するために脳波検査が行われることもあり、発作性の頭痛やてんかんなどの状態を評価します。眼底検査や視力検査など眼科検査も重要になります。これらの検査は、頭痛の原因を特定し、適切な治療法を選択するために重要です。
片頭痛の発症抑制薬(注射)の主な種類は?
片頭痛の発症抑制薬として使用される主な注射薬には、抗CGRP抗体薬(エムガルティとアジョビ)と抗CGRP受容体抗体薬(アイモビーグ)があります。
片頭痛は、脳内にCGRPという神経伝達物質が増え、これらがCGRP受容体に結合することで、脳に痛みが伝わるものです。
抗CGRP抗体薬(エムガルティとアジョビ)は、CGRPと結合して、CGPR受容体への結合を抑制します。抗CGRP受容体抗体薬(アイモビーグ)は、CGRP受容体に結合して、CGRPとの結合を抑制します。これらの働きによって、片頭痛日数が減る・急性期治療薬を使う日数が減る・頭痛が続く時間が短縮するといった効果が期待できます。
注射部位に痛み・発赤・かゆみなどの副作用が出る場合もありますが、そのほとんどが軽度から中等度です。数日以内に症状は治まります。
片頭痛の予防注射の費用
片頭痛の予防注射は、月1回が基本です。しかし、今ではエムガルティ・アイモビーグは自己注射が可能になっていますので、通院せず自宅での対応も可能です。
注射は高いという感覚がありますが、片頭痛の注射はリウマチなどの他の疾患の生物製剤と比較すると、月1回で効果が期待できるため、対費用効果的には決して高いとはいえないでしょう。では、実際に価格を見てみましょう。
片頭痛の予防注射は保険適用される
片頭痛の予防注射は、高額医療費制度・付加給付・医療費控除が利用できます。そのため、保険と付加給付の適用で1本7,000円~8,000円(税込)で注射できる場合もあるのです。
長年頭痛持ちで悩んでいるのでしたら、頭痛がない生活に向けて保険適用される予防注射も検討してみてはいかがでしょうか。
主な片頭痛発症抑制薬(注射)の費用相場
片頭痛発症抑制薬を健康保険を適用して3割負担で実施できるとなると、本来の値段の7割引です。45,000円(税込)の注射は、13,500円(税込)でできることになります。
片頭痛でお悩みなら品川ストリングスクリニックへご相談を
今や頭痛は、現代日本で切っても切れないほど多くの方が悩んでいます。
本人にとって頭痛は軽い症状ではなく、寝込んだり・吐き気がしたり・光や音で痛みが悪化したりするものであり、仕事に行けない・人間関係に支障が出るといった生活に支障をきたすことも少なくありません。
品川ストリングスクリニックでは、待合スペースに「頭痛おたすけ掲示板」というものを掲示しています。
これは、患者さんがそれぞれ頭痛が改善した体験を専用の用紙に記入して貼付し、お互いに情報交換できるものです。
同じような悩みを掲示板を通して共有できれば、前向きな気持ちで治療に望めるでしょう。
女性ホルモン疾患・更年期疾患にも強いクリニック
女性にとって加齢と共に起こるさまざま症状は簡単に原因がわからない場合も少なくありません。
ホルモン異常があると、自身では原因が分からないものの何となく調子が悪いといった状態になりがちです。
このような時には、どこに相談したら良いか悩んでしまいます。品川ストリングスクリニックは、女性ホルモン疾患・更年期疾患の相談・治療にも注力されています。
片頭痛の発症抑制薬を3剤取り扱っている
頭痛に悩む中で少しでも症状が緩和したり、予防ができる発症抑制薬は、これからの頭痛治療に大きな進歩が期待されるものです。
現在の発症抑制薬はぞれぞれに特徴がありますので、自分の症状に合わせて選択したいところです。そのような場合におすすめなのが、品川ストリングスクリニックです。
ここでは、3剤ともに扱っていますので、自分にぴったりのプランを選べます。
片頭痛の発症抑制薬としてエムガルティ・アイモビーグ・アジョビの3剤は、品川ストリングスクリニックですでに多くの方が利用しています。
頭痛専門の医師が複数在籍、オンライン診療にも対応
品川ストリングスクリニックには、頭痛・漢方・甲状腺・糖尿病・リウマチ専門の医師が在籍しています。
それぞれが専門とする外来を受け持っていますので、安心して様々な症状を相談できます。
またオンライン診療にも対応していますので、頭痛など症状がひどいときなど、まずはオンラインでご相談することも可能です。
頭痛でお悩みの方は、諦めずにまずは品川ストリングスクリニックへ相談してみてはいかがでしょうか。
品川ストリングスクリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
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東京都港区港南2丁目16−1 品川イーストワンタワー 307-A
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