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閉経後の女性ホルモンの増やし方はある?女性ホルモンが減少すると起こることや更年期の症状をやわらげる方法・ホルモン補充療法の特徴も紹介

 更新日:2024/04/19
閉経 後 女性 ホルモン 増やし 方

女性ホルモンは体のバランスを整えるために大変重要なもので、健康的に過ごすために大切な役割を担っているホルモンです。

その女性ホルモンは閉経を迎えると減少し、心身のさまざまな不調にもつながります。

女性ホルモンが健康に関わることを知っていても、閉経後に減ってしまった女性ホルモンを増やす方法がわからない方は多いのではないでしょうか。

今回は閉経後に女性ホルモンを増やす方法を紹介します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

閉経後の女性ホルモンの増やし方はある?

考え事をしている女性
閉経後に減少してしまう女性ホルモンですが、閉経後にまったく分泌されなくなるわけではありません。
しかし自然な働きに任せているだけでは、閉経前のように役割を担ってくれる程の生成・分泌はされないため、女性ホルモンを増やす方法を考える必要があります。
女性ホルモンを増やすには、日々の生活習慣を見直すほか、ホルモン補充療法によって体外から取り入れる方法もあります。
女性ホルモンの分泌を促し、または補うことで、いつまでも健康的に過ごすことが期待できるでしょう。

女性ホルモンとは?

考える女性
女性ホルモンはエストロゲンプロゲステロンの2種類があり、それぞれ異なる役割を担っています。
女性ホルモンの増やし方を知る前に、まずはこの2つのホルモンがどのような働きをしているのかを解説します。

エストロゲン

エストロゲンはいわゆる「女性らしさ」をつくるための役割を担っている女性ホルモンです。
女性らしい体つきや髪・肌の潤いを守るなど、女性の美しさや若々しさなどの見た目に関わる働きをしています。
骨の形成にも関わっているため、体を支える骨の健康維持にも欠かせません。
このエストロゲンが減少すると、髪や肌の乾燥が目立つようになり、骨粗しょう症の原因にもつながります。
また自律神経に働きかけるホルモンでもあるため、減少するとイライラや食欲不振などの更年期障害の症状もあらわれます。
このように、エストロゲンは女性の心身の健康に深く関わっている女性ホルモンなのです。

プロゲステロン

プロゲステロンは主に女性の妊娠に関わる役割を担っているホルモンです。
基礎体温の維持や子宮内膜の環境を整える働きがあり、生理周期を整える妊娠機能を維持するために重要な役割を担っています。
ほかにも体内の水分量を保つ働きがあり、むくみや乾燥などのお悩みにも関係しています。

女性ホルモンが減少すると起こること

サロンで働くエステティシャンの女性
前述したとおり、女性ホルモンは女性が健康的に過ごすために重要な役割を担っています。その女性ホルモンが減少すると、具体的にどのようなことが起こるのでしょうか。
続いては女性ホルモンが減少すると起こる、具体的な不調をご紹介します。

肌の不調が現れる

女性ホルモンが減少すると、肌のハリ・乾燥・弾力が失われるなどの現象が進み、さまざまな肌の悩みがあらわれてきます。
また女性ホルモンの減少により肌の不調が続くと、肌のバリア機能も低下します。
これが敏感肌の原因となり、それまで特に問題なく使用していた化粧品やスキンケア用品が肌に合わなくなることもあるのです。
このように肌を若々しく保つための機能が低下すると、さまざまな肌の不調がみられるようになります。

髪のツヤ・コシがなくなる

発熱で額に手を当てている女性
女性ホルモンが減少すると髪のツヤやコシがなくなります
前述したとおり、エストロゲンは女性の髪のツヤを保つ役割を担っています。このエストロゲンの生成・分泌が減少することにより、髪の艶やかさが失われてしまうのです。
また健康的な髪質を維持するためにはプロゲステロンの働きも欠かせません。
プロゲステロンは髪を太く長く育てる働きを持っているため、プロゲステロンが減少すると髪が細く短くなってしまいます。
それによって健康的な髪質を維持できなくなり、髪のツヤやコシも失われて老け込んだ印象につながってしまうのです。

精神的に不安定になる

体調不良の女性
女性ホルモンの減少により、精神的に不安定になることも考えられます。エストロゲンは自律神経に働きかけ、精神的な安定を維持する役割を担っています。
自律神経は心身を健康で安定した状態に整える役割があり、精神的な安定を維持する機能もコントロールしているのです。
この自律神経は女性ホルモンとも密接に関わっており、どちらかのバランスが崩れるともう一方もバランスが崩れてしまう性質があります。
閉経後に女性ホルモンが減少すると、体のホルモンバランスが崩れます。これにあわせて自律神経もバランスを崩し、精神的に不安定になってしまうのです。
自律神経が乱れるとイライラや気分の落ち込みなどがあらわれます。

閉経後の女性ホルモンの減少による症状をやわらげる方法

薬剤師の女性
女性ホルモンが減少するとさまざまな不調があらわれますが、早めに予防することで不調をやわらげる方法があります。
続いては閉経後の女性ホルモンの減少による症状をやわらげる方法をご紹介します。

しっかりと睡眠をとる

まず症状をやわらげるために有効な方法の1つがしっかりと睡眠をとることです。
睡眠不足の状態が続くと自律神経が乱れやすく、女性ホルモンにも悪影響を及ぼします。
しっかりと良質な睡眠をとるように心がけることで自律神経のバランスが整い、女性ホルモンの減少による不調もやわらぐでしょう。

栄養バランスのとれた食事を心がける

栄養バランスのとれた食事を心がけることも、ホルモンの減少による症状をやわらげる方法の1つです。
ホルモンは人の体内で生成されるもののため、特定の食材を食べれば補充できるものではありません。
しかし、栄養バランスの悪い食事を続けているとホルモンの生成や分泌そのものが乱れ、ホルモンバランスが崩れてしまいます。
そうなってしまうと不調が長く続いてしまうため、栄養バランスのとれた食事でホルモンバランスを正常に保つ必要があります。
特に、女性ホルモンと似た働きをする栄養素を含む食材を積極的にとることを心がけましょう。
例えば、大豆に含まれるイソフラボンはエストロゲンと似た働きをします。また小魚などに含まれるカルシウムは骨の形成を助けてくれます。
このように、閉経後に生成や分泌が激減する女性ホルモンの代わりを担ってくれる栄養素を食事で取り込むことで不調をやわらげられるでしょう。

運動の習慣を取り入れる

運動の習慣を取り入れることもホルモンの減少による症状をやわらげる方法の1つです。
女性ホルモンの働きを促すには、血行を改善し、体の代謝を高めることが有効だとされています。
運動不足の状態では筋肉が固まって血行や代謝が悪くなっている可能性があります。
ストレッチやヨガなどの適度な運動を習慣化することで、体全体の緊張をやわらげ、血行や代謝の改善が期待できるでしょう。

ホルモン補充療法を受ける

指を立てるポーズをする白衣の女性
閉経後に激減してしまった女性ホルモンを増やす方法として、ホルモン補充療法という選択肢があります。
これまで紹介してきた方法は、生活習慣を見直すことでホルモンの減少による症状をやわらげるものであり、効果を実感するまでに時間がかかります。
手軽に症状をやわらげる方法ですが、効果がなかった方や重い症状で悩んでいる方には向いていません。
減ってしまったホルモンを十分に補い、医学的に治療したい方にはホルモン補充療法がおススメです。
ホルモン補充療法では不足しているホルモンを薬剤によって補充し、ホルモンバランスを整える方法で、内服薬貼り薬塗り薬などのタイプがあります。
治療方法は1人1人異なり、現れている症状や生活スタイルに合わせて、医師がその人に最適な治療法を判断します。
また、ホルモン補充療法は心身の健康維持のためにも有効なため、自由診療としても広く取り入れられている治療法です。
一般的に、処方前には血液検査などが行われ、検査代は15,000円〜50,000円(税込)程度が相場です。
またクリニックによっては1ヵ月単位で処方を行っている場合や、3ヵ月程での処方を行っている場合もあります。
1ヵ月単位では22,000円(税込)から、3ヵ月程では110,000円〜150,000円(税込)程が相場です。

ホルモン補充療法の特徴

カウンセリングにきた女性と日本人女性
不足しているホルモンを補充するホルモン補充療法ですが、聞いたことはあっても具体的にどのような治療なのかわからない方もいるのではないでしょうか。
ホルモン補充療法更年期障害の症状の改善エイジングケアの効果が期待できますが、使用する薬によっては副作用が起こる可能性があります。
ホルモン補充療法に興味はあるけれど、副作用が気になって治療を躊躇っている方のために、ホルモン補充療法の特徴と副作用をご紹介していきます。

不足しているホルモンを補充する

前述したとおり、ホルモン補充療法では不足しているホルモンを薬剤によって補充することで、ほてり・のぼせ・発汗・不眠などの更年期障害の症状を治療していきます。
また、閉経を迎える年代になってくると、エイジングケアをしたいと感じている人も多いのではないでしょうか。
ホルモン補充療法では、ホルモンのバランスが整うことによって、肌のハリや潤いを改善するエイジングケアの効果が期待できます。
副作用については後述しますが、ホルモン補充療法にはデメリットを上回るメリットがあるといえるでしょう。

副作用が起こる可能性がある

妊娠中に体調不良になる女性(吐き気)
どのような治療法でもそうであるように、ホルモン補充療法のリスクとして、副作用が起こる可能性があることも忘れてはいけません。
ホルモン補充療法の副作用には、以下の4つが挙げられます。

  • 乳房の張り・痛み
  • 不正出血
  • 下腹部の張り
  • 吐き気

一過性のものであり、体が慣れてくると徐々に落ち着いてきますが、症状が続く場合は早めに医師に相談しましょう。薬の種類や量を減らして調整していきます。
また、重度の肝臓疾患・乳がんなどの既往症・妊娠中の方など、ホルモン補充療法が受けられない人もいるので、事前に確認しましょう。

編集部まとめ

妊娠中に体調不良になる女性(吐き気)
閉経後に女性ホルモンが減少したことによりあらわれるさまざまな不調は、ホルモンバランスを整えることで改善が見込まれます。

いますぐ始められる手軽な方法として、睡眠環境を整える・栄養バランスのとれた食生活など生活習慣を見直す方法があります。

生活習慣を見直しても症状が改善されなかった、医学的に治療がしたい方にはホルモン補充療法がおすすめです。

ホルモン補充療法には、更年期障害の治療だけではなくエイジングケアの効果も期待でき、心身ともに健康的に過ごせるでしょう。

ホルモン補充療法は千差万別です。効果を十分に発揮するためにも、不安なことは事前に医師に確認し、自分に合った治療法を続けていくことが大切です。

この記事の監修医師