生活習慣病はなぜ起こる?本当の原因と今日からできる対策を専門家が解説

生活習慣病は、日常生活の積み重ねによって発症する病気の総称です。糖尿病や高血圧、脂質異常症などが代表的な例として知られていますが、これらの病気は自覚症状がほとんどないまま進行し、気づいたときには重篤な合併症を引き起こしているケースも少なくありません。食事や運動、睡眠といった日々の習慣が身体に影響を及ぼし、複数の要因が重なり合うことで発症リスクが高まります。本記事では、生活習慣病が起こる本当の原因と、今日から実践できる具体的な対策について、専門家の視点から詳しく解説します。

監修医師:
林 高史(はやしクリニック)
目次 -INDEX-
生活習慣病とは?まず押さえたい基本とリスク

生活習慣病は、現代社会において多くの方が直面する健康課題です。病気の特徴や進行のリスクを正しく理解することは、予防や早期発見につながる重要な第一歩となります。ここでは、生活習慣病の基本的な概念と、注意すべきポイントについて見ていきましょう。
生活習慣病とはどんな病気?共通する特徴
生活習慣病は、食事や運動、喫煙、飲酒、睡眠などの日常的な生活習慣が原因となって発症する病気の総称です。具体的には、糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満などが含まれます。これらの病気に共通する特徴は、発症までに長い時間をかけて身体に負担が蓄積されることです。一度の暴飲暴食や運動不足が直ちに病気を引き起こすわけではなく、数年から数十年にわたる生活習慣の積み重ねが、徐々に身体の機能を低下させていきます。
また、これらの病気は互いに関連し合っており、一つの病気がほかの病気を引き起こすリスクを高めることも知られています。
自覚症状がほぼないまま進行するリスク
生活習慣病の大きな特徴の一つは、初期段階ではほとんど自覚症状がないことです。
血糖値が高くても、血圧が上昇していても、多くの場合は日常生活に支障をきたすような症状が現れません。そのため、健康診断で異常値を指摘されても「体調は悪くないから大丈夫」と考えてしまう方も少なくないでしょう。しかし、症状がないからといって放置すると、知らないうちに病気が進行し、血管や臓器に深刻なダメージが蓄積されていきます。症状が出たときには、すでに合併症が進んでいるケースも多く、治療が困難になることもあります。自覚症状がない時期こそ、定期的なチェックと予防的な対策が重要なのです。
日本で増え続ける背景と現代生活特有の問題点
日本では、生活習慣病の患者数が年々増加しています。その背景には、食生活の欧米化による脂質や糖質の過剰摂取、デスクワーク中心の労働環境による運動不足、慢性的なストレスや睡眠不足といった、現代社会特有の生活スタイルがあります。
また、高齢化の進展も一因です。加齢とともに代謝機能が低下し、若い頃と同じ生活習慣を続けていても身体への負担が大きくなります。さらに、便利で快適な生活環境が整ったことで、意識的に身体を動かす機会が減り、エネルギー消費量が低下しています。こうした社会構造の変化が、生活習慣病のリスクを高める要因となっているのです。
生活習慣病の原因はひとつではない—複数の要素が重なり合う仕組み

生活習慣病の発症には、単一の原因ではなく、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。食事や運動、睡眠、ストレス、嗜好品など、日常生活のあらゆる場面が身体に影響を及ぼし、それらが積み重なることで病気のリスクが高まります。ここでは、主な原因となる要素について解説します。
食生活の乱れ—糖・脂質・塩分の過剰摂取
現代の食生活では、糖質や脂質、塩分を過剰に摂取しやすい環境が整っています。加工食品やファストフード、清涼飲料水などには、多量の糖分や脂質が含まれており、手軽に摂取できる反面、カロリー過多になりがちです。
特に糖質の過剰摂取は血糖値の急激な上昇を招き、膵臓に負担をかけることで糖尿病のリスクを高めます。また、脂質の摂りすぎは血液中の中性脂肪やコレステロール値を上昇させ、脂質異常症につながります。塩分の過剰摂取は血圧を上昇させる主要な要因であり、高血圧の発症に直結します。
さらに、食事の時間が不規則であったり、早食いや夜遅い時間帯の食事といった習慣も、代謝機能の乱れを引き起こし、生活習慣病のリスクを高める要因となります。
運動不足と筋肉量の低下
身体活動の不足は、エネルギー消費量の減少を招き、肥満や代謝機能の低下につながります。特にデスクワーク中心の生活では、一日の大半を座ったまま過ごすことになり、筋肉を使う機会が極端に少なくなります。筋肉量が減少すると基礎代謝が低下し、同じ食事量でも太りやすくなるほか、血糖値を調整する能力も衰えます。筋肉は糖を取り込んでエネルギーとして利用する重要な組織であり、筋肉量が少ないと血糖値が上がりやすくなるのです。
また、運動不足は血液循環を悪化させ、血管の柔軟性を損なうことで高血圧や動脈硬化のリスクも高めます。適度な運動習慣がないことは、身体全体の機能低下を招く重大な要因なのです。
睡眠不足・ストレスが引き起こすホルモン異常
現代社会では、仕事や家事、育児などによる慢性的な睡眠不足やストレスが蔓延しています。
睡眠不足は、食欲を調整するホルモンのバランスを崩し、過食を招く原因となります。また、睡眠中には成長ホルモンが分泌されて身体の修復や代謝が行われますが、睡眠時間が不足するとこれらの機能が十分に働かず、代謝異常につながります。
ストレスも同様に、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌を促し、血糖値や血圧を上昇させます。長期間にわたるストレス状態は、自律神経のバランスを乱し、血管の収縮や心拍数の増加を引き起こすため、高血圧や心臓病のリスクを高めます。
心身の休息が不足することは、生活習慣病の発症に深く関わっているのです。
喫煙・飲酒・遺伝要因など見落としがちな原因
喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を促進する大きな要因です。
タバコに含まれる有害物質は血管内皮にダメージを与え、血圧を上昇させるだけでなく、血液をドロドロにして血栓ができやすい状態を作ります。
また、過度な飲酒は肝臓に負担をかけ、中性脂肪の増加や血糖値の上昇を招きます。アルコールは高カロリーであるため、肥満のリスクも高まります。
さらに、遺伝的な要因も無視できません。家族に糖尿病や高血圧の方がいる場合、遺伝的にこれらの病気を発症しやすい体質である可能性があります。ただし、遺伝的な素因があっても、生活習慣を整えることで発症を予防したり、発症時期を遅らせたりすることは十分に可能です。
生活習慣病は、複数の要因が絡み合って発症する病気であるため、包括的な視点での対策が求められます。
代表的な生活習慣病の特徴と早期発見の重要性

生活習慣病にはいくつかの代表的な病気があり、それぞれに特有の病態や進行パターンがあります。これらの病気を早期に発見して適切に対応することが、重篤な合併症を防ぐ鍵となります。ここでは、主な生活習慣病について見ていきましょう。
糖尿病—血糖値のコントロールが崩れる病気
糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度である血糖値が慢性的に高い状態が続く病気です。インスリンというホルモンの分泌不足や働きの低下が原因で、血糖値を正常範囲に保てなくなります。初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、高血糖状態が長く続くと、喉の渇きや頻尿、疲労感などの症状が現れることがあります。
さらに進行すると、神経障害や網膜症、腎症といった重大な合併症を引き起こし、失明や人工透析が必要になることもあります。また、糖尿病は動脈硬化を促進するため、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも著しく高まります。
血糖値のコントロールが適切に行われないと、全身のさまざまな臓器にダメージが及ぶため、早期発見と継続的な管理が非常に重要です。
高血圧—血管に負担が蓄積していく病態
高血圧は、血管内の圧力が慢性的に高い状態が続く病気です。血圧が高いこと自体には自覚症状がほとんどないため、「サイレントキラー」とも呼ばれています。
高い圧力が血管壁にかかり続けることで血管が硬く厚くなり、柔軟性を失っていきます。この動脈硬化が進行すると、血管が詰まったり破れたりするリスクが高まり、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる疾患を引き起こします。また、高血圧は心臓にも負担をかけるため、心不全のリスクも上昇します。腎臓にも影響を及ぼし、腎機能の低下を招くこともあります。
高血圧の原因は、塩分の過剰摂取や肥満、運動不足、ストレスなど多岐にわたりますが、早期に発見して生活習慣を改善することで、血圧を適切にコントロールすることが可能です。
脂質異常症—気づかないうちに動脈硬化が進む病気
脂質異常症は、血液中のコレステロールや中性脂肪の値が基準値から外れている状態を指します。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い、中性脂肪が高いといったパターンがあります。
この病気も自覚症状がほとんどなく、健康診断で初めて指摘される方が多いです。しかし、脂質異常症を放置すると、血管の内側にコレステロールが蓄積し、動脈硬化が静かに進行していきます。動脈硬化が進むと血管が狭くなり、血流が悪化するため、心臓や脳への酸素供給が不足し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。食生活の改善や運動習慣の導入で脂質の値を正常範囲に戻すことは可能ですが、そのためには早期に異常を発見することが不可欠です。
早期発見が重要—なぜ症状が出てからでは遅いのか
生活習慣病の多くは、自覚症状が現れたときにはすでに病気がかなり進行している状態です。
たとえば、糖尿病で神経障害や腎症が出現している場合、これらの合併症は元に戻すことが困難です。高血圧や脂質異常症によって動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中を発症してからでは、命に関わるだけでなく、後遺症によって生活の質が大きく低下する可能性があります。
一方、症状が出る前の段階で異常を発見し、生活習慣を改善したり適切な治療を開始したりすれば、病気の進行を遅らせたり、合併症を予防できる可能性が高まります。定期的な健康診断を受け、血糖値や血圧、脂質の値をチェックすることは、将来の健康を守るために欠かせない行動なのです。早期発見こそが、生活習慣病と上手に向き合うための有効な手段といえるでしょう。
今日から始められる生活習慣病の予防と対策

生活習慣病は、日常生活の中での小さな工夫や行動の積み重ねによって予防することができます。特別な道具や高額な費用をかけなくても、今日から実践できる対策は数多く存在します。ここでは、具体的な予防策について解説します。
食事改善—制限ではなくバランスを整える
食事の改善というと、厳しい食事制限を想像される方もいるかもしれませんが、大切なのは「何を食べてはいけないか」ではなく、「バランスよく食べること」です。主食、主菜、副菜を揃えた食事を心がけ、野菜や海藻、きのこ類などの食物繊維を積極的に摂ることで、血糖値の急上昇を抑えたり、コレステロールの吸収を穏やかにしたりする効果が期待できます。
また、塩分を控えるために、だしの旨味を活かした調理法を取り入れたり、加工食品の使用を減らしたりすることも有効です。脂質についても、揚げ物を控えめにし、魚や植物油に含まれる良質な脂質を選ぶことで、血液の状態を改善できます。
食事のタイミングも重要で、規則正しい時間に食べることで体内リズムが整い、代謝機能が安定します。
完璧を目指すのではなく、できることから少しずつ取り組むことが長続きの秘訣です。
週に数回の運動が体質改善を後押しする理由
運動習慣を取り入れることは、生活習慣病の予防において極めて有効です。運動によって筋肉が動くと、血液中の糖が筋肉に取り込まれ、血糖値が下がりやすくなります。また、筋肉量が増えることで基礎代謝が上がり、太りにくい体質に変わっていきます。さらに、運動は血液循環を促進し、血管の柔軟性を保つ効果もあります。週に数回、30分程度のウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を行うだけでも、十分な効果が期待できます。運動の種類や強度は、自分の体力や生活スタイルに合わせて選ぶことが大切です。無理をして続かなくなるよりも、楽しみながら継続できる運動を見つけることが重要です。日常生活の中で階段を使う、一駅分歩くといった小さな工夫も、積み重ねることで身体に良い変化をもたらします。
質の良い睡眠とストレス管理がホルモンバランスを整える
睡眠の質を高めることは、生活習慣病の予防において見過ごせないポイントです。十分な睡眠時間を確保することで、身体の修復機能が働き、ホルモンバランスが整います。寝る前にスマートフォンやパソコンの画面を見ない、寝室の環境を整える、規則正しい時間に就寝するといった工夫によって、睡眠の質を向上させることができます。
また、ストレスを溜め込まないことも大切です。趣味の時間を持つ、信頼できる方に話を聞いてもらう、深呼吸やストレッチでリラックスするなど、自分に合ったストレス解消法を見つけることが心身の健康を保つ助けになります。ストレスが軽減されると、自律神経のバランスが整い、血圧や血糖値の安定にもつながります。
心と身体は密接に関係しているため、メンタル面のケアも生活習慣病予防の重要な要素なのです。
定期的な検査で変化を見逃さない生活を
どれほど生活習慣に気をつけていても、自分の身体の状態を客観的に把握することは難しいものです。そのため、定期的な健康診断や検査を受けることが不可欠です。血糖値や血圧、脂質の値を定期的にチェックすることで、わずかな変化にも早期に気づくことができます。異常が見つかった場合でも、早い段階であれば生活習慣の改善だけで数値を正常範囲に戻せることも少なくありません。また、医師に相談することで、自分に合った具体的なアドバイスを受けることができ、安心して予防に取り組むことができます。
検査結果を記録し、経年変化を確認することも、自分の健康状態を理解するうえで有効です。定期検査は、症状が出る前に対策を講じるための大切な機会であり、将来の健康を守るための投資といえるでしょう。
生活習慣病ははやしクリニックにご相談を

生活習慣病は、症状が出る前から適切な対応を始めることが、健康を長く保つための鍵となります。はやしクリニックは、生活習慣病の早期発見と進行予防に力を入れ、患者さん一人ひとりの状態に合わせたきめ細やかな診療を提供しているクリニックです。自覚症状がない段階からでも気軽に相談できる体制が整っており、地域の方々の健康を支えるかかりつけ医を目指しています。ここからは、はやしクリニックの特長を紹介します。
生活習慣病を早期発見できる体制が整ったクリニック
はやしクリニックでは、生活習慣病の早期発見を目的とした各種検査を実施しています。血糖値やHbA1c、血圧、脂質といった基本的な項目から、必要に応じて詳細な検査まで幅広く対応しており、身体の状態を正確に把握するよう努めています。
検査結果は医師がわかりやすく丁寧に説明し、現在の健康状態やリスクについて理解を深められるようサポートしているといいます。また、定期的な検査を通じて数値の変化を追跡し、わずかな異常にも早期に対応できる体制を整えているそうです。
さらに、忙しい日常の中でも受診しやすいように予約システムや診療時間にも配慮がなされており、患者さんが無理なく通院を継続できる環境を整えています。早期発見こそが生活習慣病対策の出発点であり、はやしクリニックはその第一歩をサポートしています。
重大な合併症を引き起こす前に進行をコントロールする治療方針
はやしクリニックでは、生活習慣病の進行を食い止め、重大な合併症を未然に防ぐことを治療の基本方針としています。
検査で異常が見つかった場合でも、すぐに薬物療法を開始するのではなく、まずは生活習慣の改善を中心とした指導を行うそうです。食事内容の見直しや運動習慣の導入、睡眠やストレス管理についての具体的なアドバイスを提供し、患者さんが無理なく実践できる方法を一緒に考えるといいます。生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られない場合には、適切な薬物療法を併用し、血糖値や血圧、脂質の値を適切にコントロールします。
治療は画一的ではなく、患者さんの年齢や生活スタイル、持病の有無などを総合的に考慮し、一人ひとりに適切な方法を提案しているそうです。進行を抑えることで、糖尿病の合併症や心筋梗塞、脳卒中といった命に関わる疾患のリスクを減らせるよう努められています。
自覚する前から通える「かかりつけ医」として患者さんをサポート

生活習慣病は、症状が現れてからではなく、症状が出る前の段階から対策を始めることが効果的です。はやしクリニックは、地域のかかりつけ医として、患者さんが気軽に相談できる存在であることを大切にされています。「健康診断の結果について不安がある」「家族に生活習慣病の方がいるので自分も心配」「最近体重が増えてきた気がする」など、どんな些細なことでも相談できる雰囲気を大切にし、専門の医師が親身に対応しているといいます。また、一度きりの診察で終わるのではなく、長期的な視点で患者さんの健康を見守り、継続的なサポートを提供されています。
生活習慣の改善には時間がかかるため、定期的な通院を促し、進捗を確認しながら、必要に応じてアドバイスを行っているそうです。はやしクリニックは、患者さんが安心して健康管理に取り組めるよう、信頼できるパートナーとして寄り添っているそうなので、生活習慣病に関する不安や疑問があれば相談してみてはいかがでしょうか。
はやしクリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
シーサイドライン 並木中央駅より徒歩5分
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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| 9:00〜12:00 | ● | ● | ● | - | ● | ● | - | - |
| 14:30〜18:00 | ● | ● | ● | - | ● | - | - | - |
参考文献




