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低気圧頭痛はなぜ起きる?原因・対処法をご紹介します

 公開日:2024/01/24
低気圧頭痛

「雨が降る日は頭が痛くなる」「体調がだるくなる」など、天気の変化で体調を崩す方は多いです。低気圧で体調が悪くなってしまうことを気象病や天気病などと呼んでいます。

低気圧によって体調を崩す方はおよそ1000万人もいるといわれていて、男性に比べ女性の方が低気圧頭痛を引き起こす傾向にあります。

今回はなぜ低気圧頭痛が起こるのか、また対処法・予防方法を解説していきますのでぜひ参考にしてみてください。

我慢はせずに自分に合った対処法・予防方法を見つけ、少しでも症状が和らぐようにしましょう。

白水 寛理

監修医師
白水 寛理(医師)

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長崎大学医学部卒業。現在は九州大学大学院医学研究院脳神経外科所属。専門は脳神経外科。日本脳神経外科学会専門医・指導医。

低気圧頭痛はなぜ起きる?

原因を見つける医師
低気圧頭痛は実は、大気の気圧が大きく影響しているようです。大気の気圧変化に対応するために、体内でも同じように空気圧の調整が行われています。
この際の調整は頭蓋内でも行われていて、血管の拡張が大きく影響していると考えられています。
また気圧のみに限らず気温・湿度も関係していることがあり、人によっては気圧だけではなく、気温や湿度で頭痛を引き起こしている方もいるのではないでしょうか。
低気圧頭痛の主な症状は頭痛、肩・首こり、めまい、倦怠感などが挙げられます。ひどい方は、吐き気・手足の痺れなどもあります。

低気圧頭痛の原因は?

雨の日
低気圧頭痛の原因は、主に気圧変化です。雨の日や梅雨の時期は大気の気圧が大きく低下しています。
しかし雨の日や梅雨の時期だけ気をつけていれば良いわけではありません。気圧が主な原因にはなるのですが、その他気候にも注意しなければなりません。
また頭痛には自律神経も深く関係していることが判明しています。自律神経の乱れによって、引き起こされている場合もあるので、自律神経を整えることも大切になります。
今回は気圧変化がどのように体内に影響して、頭痛を引き起こしているのか詳しく見ていきましょう。

内耳が気圧の変化に反応

内耳は鼓膜のさらに奥にあり、受けた情報を脳や神経に伝える働きをする器官です。また内耳には、気圧の変化を感じ取る能力があることが明らかになっています。
気圧変化は内耳で感じ取り、その情報を脳に伝達し、体が環境に順応させるように体内の空気圧を調整します。
そのときに自律神経が乱れ、頭痛や倦怠感が引き起こされるのです。
内耳は人によって感じ取る情報量が違うようです。生まれたときから敏感に感じ取る方もいるため、人によって症状にばらつきがあり症状がひどくなる方もいます。

脳内の血管の拡張

頭痛の原因は血管の拡張にあります。
雨の日は、大気中の酸素濃度が低下している状態です。大気中の酸素濃度が低下すると、人間の身体は酸素を取り込もうとします。
体内では血管を拡張させ、血液中に多くの酸素を行き渡らせます。こうした血管の拡張に伴い神経が圧迫され、頭痛が引き起こされるのです。
このように人間の体内では少しの変化を感じ取り、環境に順応するためにさまざまな器官が働きます。その結果として頭痛が引き起こされたり、体調を崩してしまったりするのです。

低気圧頭痛の対処法は?

悩む医師
低気圧頭痛に限らず、頭痛は他人には理解されにくい症状です。
自分に合った対処法を見つけることで、症状を和らげられます。あくまで対処法ですので、症状が重い方やよく症状が出る方は、迷わず病院を受診することをお勧めします。
3つ紹介しますので、ご自身に合った対処法を見つけましょう。

漢方薬や鎮痛剤を飲む

漢方薬や鎮痛剤を飲むのが、最も症状の緩和につながります。また漢方薬と鎮痛剤では現れる効果が違うので、ご自身の症状に合った薬を服用しましょう。
例えば漢方薬では五苓散(ごれいさん)が良いとされています。
五苓散は身体の働きを高め、身体から余分な水分を出す漢方薬です。低気圧頭痛のときは血管が拡張されていることが多く、血管内から余分な水分を出すことによって血管の拡張を抑えられます。
血管内の水分を整えることで、頭痛を和らげられます。
鎮痛剤のタイプとしては「アセトアミノフェン」「非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)」のものが良いです。
アセトアミノフェンは、総合風邪薬によく含まれている成分です。
体温調整中枢への作用があり、解熱・鎮痛効果があります。また副作用が少なく、授乳中の方や小さなお子様も服用できる薬の成分です。
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)は、痛みの元となる物質の生成を抑制する働きがある鎮痛剤です。解熱・鎮痛効果に加えて抗炎症作用があります。
漢方薬や鎮痛剤を飲むタイミングは、ひどくなる前が良いとされています。低気圧頭痛になりやすい方は家やかばんの中に薬を常備しておき、いつでも服用できる状態にある方が良いです。
これらの紹介した薬は、副作用が起きる場合があります。服用の際には説明書をよく読み服用しましょう。薬の飲み過ぎはさらに頭痛を引き起こす原因となることがあります。
また我慢せず、医師の診断を受けることも重要になります。

マッサージ

低気圧頭痛にはマッサージも有効な手段です。
内耳という耳の器官が大きく関係していることから、耳のマッサージを行うのが良いとされています。
耳周りの血流をよくすることで、頭痛やめまいの症状を未然に軽度なものにできます。「くるくる耳マッサージ」という医師の佐藤純先生が考案した方法があるので参考にしてみてください。

ツボ押し

低気圧頭痛になっているときは、身体の中に余分な水分が含まれていることがあります。
ツボ押しには、余分な水分を体外へ排出するよう促す作用と、症状の軽減に効果があります。ツボ押しは1人でできるのでおすすめです。
他にもツボ押しには自然治癒力を高めたり自律神経を整えたりと、お手軽なのに効果が期待できます。時間もそこまで多く必要としないので空き時間などで行えます。
そのときの症状によって押すツボの位置が違い現れる効果も違うので、気になった方はツボ押しを行うのも良いでしょう。

静かな場所で安静にする

安静にする女性
人によっては症状が重く、動きたくない場合もあるでしょう。そういうときは、静かな場所で安静にすることが大切です。自分の一番楽な体勢で、また気分が落ち着くのであれば、好きな音楽を流しても良いでしょう。
低気圧頭痛が起こりやすい方は鎮痛剤を常備しておき、動けないときには服用して安静にしていましょう。無理をするとかえって悪化させることもあります。
また低気圧で湿度が高い場合は、エアコン等を活用し体温調整を怠らないようにして症状を緩和させましょう。

低気圧頭痛の予防方法は?

医師に相談する女性
低気圧頭痛の予防法は自律神経を整えるのが良いとされていて、適度な運動や規則正しい生活を送り自律神経が大きく乱れないようにすることが必要です。
またストレスを抱えるのは自律神経に負担をかけてしまいます。生活環境・仕事環境など思わぬことがストレスになることがあります。
ストレスの他にも、働きすぎや怪我・気温や音も自律神経を乱す原因です。
自律神経を安定させ、低気圧頭痛を少しでも予防していきましょう。

適度な運動をする

適度な運動によって自律神経を鍛えられます。運動の種類は負荷の大きいものではなく、散歩・ジョギングなどの有酸素運動の方が良いです。
適度な運動はストレス解消になることがあり、適度に運動している方はしていない方に比べて、ストレスと上手に向き合えるといわれています。
他にも運動することによって適度な疲労感を得られるのです。疲れすぎはよくないですが、適度な疲れは睡眠の質を向上させたり、身体機能の向上を図れたりします。
適度な運動を心がけましょう。

栄養バランスの取れた食事をする

バランスの取れた食事
バランスの取れた食事によって自律神経を整えることが可能です。また3度の食事を決まった時間に取ることで、体内のリズムを整えられます。
バランスの取れた食事を心がけることによって、自律神経を効率良く合成できたり身体をリラックスさせたりストレスの軽減など多くの効果があります。
それとは逆に自身の調子を乱しかねないものもあるので注意が必要です。アルコールやカフェインには脳を興奮させ、睡眠を阻害させる作用があります。できるだけ控えた方が良いでしょう。
またバランスの取れた食事以外にも、コーヒーなどのカフェインが含まれたものも良いとされています。
カフェインには血管を収縮させる効果や利尿作用があり、血管の拡張に効果が期待できます。しかしカフェインの取り過ぎには注意が必要です。

睡眠不足に気をつける

自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があります。交感神経は日中起きているときに働いている神経で、副交感神経はリラックス時・寝ているときに優位になる神経です。
睡眠には副交感神経が関わっていて、寝る前にスマートフォン・タブレットなどを使用していると交感神経の働きが大きくなり睡眠が阻害されます。
睡眠不足は自律神経を大きく乱すことがあるので、注意しましょう。

湯船につかる

40℃以下のぬるめの湯船に浸かることで、リラックス効果が期待できます。
湯船に浸かることによって身体に適度な静水圧をかけられ、強ばった身体の緊張を解けます。
炭酸泉はより効果を高められるようです。気分転換で温泉・銭湯に行くことで、身体の健康はもちろんリラックス効果があるので、ストレスも解消されます。
また半身浴がブームになっていますが、半身浴は低気圧頭痛の改善には不向きです。全身に均等な圧力をかけることで血行促進による疲労回復が見込めます。

頭痛の記録をつけて対策する

記録をつける女性
どのようなときに頭痛が起きるか・どんな痛みが多いかを記録することは、対処法として有効な手段です。
記録したものを見返すことで、自身がどのようなときに頭痛に悩まされているかが明確になり、病院で診察してもらうときも的確に症状を伝えられます。
書き方などにこだわる必要はありませんので、自分のわかりやすいように記録しておきましょう。その際に服用した薬も一緒に記録し、効果が合ったかどうかも記録して置くのが良いです。
紹介した対処法は主に自律神経を整える方法が多いですが、自律神経を整えることが頭痛には有効な手段になります。しかし自律神経はふとしたことで乱れる可能性のあるものです。
どのようなときに頭痛が起こるか・頭痛の種類はどのようなものかなどの自身の症状にもしっかり理解を深めることによって、頭痛と向き合えます。
身近にできることから行っていきましょう。

女性が低気圧頭痛になりやすい理由は?

体調の悪い女性
冒頭でも述べたように男性より女性の方が、低気圧頭痛に悩まされています。
理由としましては、内耳の働きが敏感にあるためです。些細な気圧変化を感じ取り、頭痛を引き起こすようです。
ストレスも男性より多く感じ、それに加え気象状況などさまざまな要因で身体の調子が乱れることもあります。またホルモンバランスが生理周期や出産後に大きく乱れます。
詳しくみていきましょう。

ホルモンバランスが変化するため

女性はホルモンバランスが男性に比べて、大きく変化します。
生理周期・出産後などホルモンバランスが大きく変化するタイミングがあり、そのタイミングで自律神経が乱れることで頭痛が引き起こされています。
それに気象状況などの要因が加わるため、女性の方が低気圧頭痛に悩まされていることが多いようです。

筋肉量が少なく冷えが起こりやすいため

低気圧頭痛には筋肉量が大きく影響していることがあります。
低気圧頭痛になる方には冷え性持ちで筋肉量が少ない方が多く、体温を維持しにくくなるためです。
筋肉量が少ないと身体の血液や水分の循環が悪くなり体調を崩しやすくなるので、適度な運動を心がけましょう。
女性の多くの方が低気圧による頭痛に悩まされていることが多いです。頭痛がひどい場合は無理をせずに安静にしましょう。

低気圧頭痛で病院を受診する目安は?

薬を処方する医師
低気圧頭痛による痛みは人によりさまざまで、我慢して生活するのは体に大きく負担をかけてしまいます。
天気が悪い日に体調がよく悪くなる方は病院を受診してみましょう。自分ではわかっていない要因が、実は深く関わっているかもしれません。
薬を月に4〜5回服用・痛みがひどくなった・薬が効かなくなったなどという方は低気圧以外の原因があるかもしれません。
また普段は薬を飲むだけで済ませている方もいらっしゃると思いますが、薬によって慢性的な頭痛を引き起こしていることもあるようです。
無理せずに一度受診し、ご自身の身体としっかり向き合ってみてください。

編集部まとめ

笑顔の女性
低気圧頭痛について解説してみましたが、いかがでしたか?

低気圧頭痛に限らず、頭痛は他人に理解されづらく多くの方が悩まされています。普段の生活に大きく支障が出る前に病院を受診してみましょう。

また頭痛の記録を取ることは大変有効です。ご自身の症状をしっかり判断できる材料となり、受診されたときも的確に症状やご自身の体調を伝えられます。

普段の食事・生活にも気を遣うと改善することもあります。また適度な運動もできれば心がけてみて、自律神経が乱れにくい身体を目指しましょう。

この記事の監修医師