シミを薄くする方法はある?シミの種類・原因・治療方法をご紹介します
年齢を重ねるとともに増えていく悩みの一つとして、シミが挙げられます。
シミにはさまざまな種類があります。どのようなシミも見た目に影響を与えるため、シミを薄くしたいと考える方は多いのではないでしょうか。
シミを薄くする方法はシミの種類によって違います。ご自身に現れているシミを見極め適切な方法をとることが重要です。
本記事ではシミを薄くする方法に加え、シミの種類・原因・治療方法をご紹介します。
監修医師:
金 仁星(医師)
化粧品検定2級、英語発音指導士® 所有
目次 -INDEX-
シミを薄くする方法はある?
さまざまなシミの種類に対し、そのシミに合った薄くする方法はいくつか考えられます。シミを薄くする方法として、以下が挙げられます。
- レーザー治療
- 光治療
- 外用薬
- 内用薬
肌に現れているシミは一つの種類とは限りません。
そのため一つの方法で治療するのではなく、例えばレーザー治療と内用薬を合わせるなど組み合わせて治療を行い複数のシミにアプローチします。
ただしシミの種類によって治療方法は異なり、同じシミの種類であってもその方の肌質や生活習慣によって取り入れる方法は違います。
自分の肌に現れているシミは何が原因で、どのような治療方法が適しているのかを見極めることが重要です。
せっかくシミを薄くする治療を受けても肌質に合わない・誤った方法を取り入れてしまうと、かえってシミが濃くなる場合も考えられます。
またシミを薄くする方法としてクリニックでの治療や、内・外用薬の使用以外に、日々の生活習慣にも注目してください。
肌のお手入れ時に顔を擦る・日焼け止めを塗布せず紫外線対策を怠るなどの何気ない行動が、シミを発症させてしまう要因となります。
自己判断でシミの種類を見極めることは困難です。シミを薄くしたいと考えているのなら、クリニックで診断を受け、ご自身のシミに合った方法を取り入れましょう。
シミの種類は?
先述したように、シミはいくつか種類があります。シミでよくみられる種類を4つご紹介します。
老人性色素斑
老人性色素斑は、シミに悩む30代以降の男女に多くみられます。
輪郭がはっきりした平たい見た目で、形状はさまざまです。発症し始めは薄いですが、徐々にはっきりとした褐色の色合いになってくることが多いでしょう。
老人性色素斑の主な原因は紫外線です。紫外線が多くあたりやすい頬骨やこめかみなどに現れやすく、顔以外に手の甲や腕にもみられます。
また紫外線のほか、ストレスや喫煙は肌に悪影響を与える一つである活性酸素を増やし、シミの原因となるメラニン色素を増加させます。
炎症後色素沈着
炎症後色素沈着は、ニキビ跡や傷跡など皮膚が何らかの刺激を受け炎症を起こした後、色素沈着として残った状態を指します。
皮膚表面にある表皮はいくつかの層に分かれており、最下層にあたる基底層にはメラノサイト(色素形成細胞)が存在しています。
皮膚に強い刺激が加わることで、メラノサイトからメラニン色素が過剰分泌され色素沈着が起こるのです。
ただし炎症後色素沈着は、皮膚の新陳代謝であるターンオーバーにより、そのまま放置していても徐々に薄くなってきます。
しかし、ターンオーバーの乱れや紫外線の影響により消えにくく残ってしまう場合があります。
肝斑
肝斑は30〜40代くらいの女性に多くみられ、頬・目の下・額など左右対称に現れる大きさや形が同じシミです。
輪郭がはっきりしている老人性色素斑に対し、肝斑はぼやけた形にみえます。
はっきりとした原因は不明ですが出産や妊娠を機に現れ、閉経とともに薄くなることから女性ホルモンが関係していると考えられます。
肝斑は刺激に弱いため、肌のお手入れ時に擦ったり強い照射力のあるレーザー治療をしたりすることにより、悪化する場合があるため注意しましょう。
また左右対称にシミが現れているから肝斑とは限りません。老人性色素斑・雀卵斑・後天性メラノーシスなどのシミと混在していることも多いため、医師でも判別が困難なシミです。
雀卵斑(そばかす)
雀卵斑は、若年性に多くみられる鼻を中心に両頬や額などに現れる点々とした見た目が特徴のシミです。ほかのシミに比べ一つ一つは小さく、1〜5mm程の大きさです。
雀卵斑の原因は紫外線や遺伝的要素が関係しているといわれています。紫外線にあたると濃くなる場合があるため、日々の紫外線対策が重要です。
シミの原因は?
シミの原因は種類により異なりますが、紫外線の影響が大きく関係しています。そのほか、女性ホルモンやニキビ跡なども原因として挙げられます。
それぞれ詳しくみていきましょう。
紫外線
紫外線の影響は、シミが現れる原因の大半を占めています。
紫外線を浴びると皮膚は身体を守ろうと防御反応が働き、チロシナーゼといわれる酸素が活性化され、シミの原因となるメラニン色素を産生します。
皮膚を黒くすることで紫外線への影響を抑えようとするため、メラニン色素が産生されるのです。
日焼けをしてもしばらく経つと皮膚の色が元へ戻る方は多いでしょう。
その理由としてターンオーバーが関係しています。ターンオーバーにより古い細胞は新しい細胞によって押し上げられ、メラニン色素は剥がれ落ちるからです。
しかし、紫外線を浴び続けることでメラニン色素が産生され続けてしまうと、皮膚内部にメラニン色素が残ってしまいシミとなるのです。
紫外線は季節により強さの度合いはありますが、天候関係なく降り注いでいます。
また太陽に直接あたらなくても、空気中に散乱していたり地面や建物の壁から反射したりし、知らず知らずの内に浴びている場合もあります。
日焼け後のお手入れは重要ですが、日焼け止めを塗ったり帽子や日傘で肌を守ったりなど、日々の紫外線対策をしっかり行いましょう。
女性ホルモンの影響
女性の場合、女性ホルモンの影響が関係しています。
妊娠・出産・女性特有の疾患などにより女性ホルモンのバランスが乱れると、ホルモンが直接メラノサイトに働きかけメラニン色素を産生させてしまうのです。
女性ホルモンの影響を受けるシミに肝斑があります。先述したようにはっきりとした原因はありませんが、女性ホルモンであるプロゲステロンの分泌が関係しているのです。
プロゲステロンの分泌が活発になることで、チロシナーゼが活性化しメラニン色素を増加させてしまうことで肝斑が発症すると考えられています。
また、皮膚のハリやツヤによい影響を与える女性ホルモンであるエストロゲンの低下も関係しています。
例えばエストロゲンが低下する要因として、ストレスが挙げられるでしょう。ストレスがかかると交感神経が高まり、エストロゲンの低下につながってしまうのです。
エストロゲンが低下することでターンオーバーが乱れ、メラニン色素が残りシミにつながります。
ニキビ・虫さされ・傷など
ニキビ・虫さされ・傷などの跡は、炎症後色素沈着が発生する原因です。
先述したように、皮膚が何らかの刺激を受け炎症を起こすことでメラノサイトからメラニン色素が分泌され色素沈着が起こります。
炎症を起こしている際に潰したり触ったりすることで跡が残りやすいため、なるべく触らないように気をつけることが重要です。
またニキビや傷などの跡は、紫外線の影響により悪化し濃くなる場合があります。
シミの治療方法は?
シミの治療方法として、レーザー治療や皮膚科で処方される内・外用薬の使用があります。
シミの種類により治療方法は異なりますが、メラニン色素の破壊とターンオーバーの促進が非常に重要です。
それぞれの治療方法についてご紹介します。
レーザー治療
レーザー治療は、皮膚の表皮や周囲の組織にダメージを与えず、メラニン色素を含む組織だけを狙い熱伝導させる治療法です。
レーザーは濃い色に反応するため、老人性色素斑や雀卵斑の治療に向いています。
肝斑は刺激に弱いためレーザーは禁忌とされていましたが、弱い力で数回に分けて照射させるレーザートーニング治療が選択肢として登場しました。
レーザー照射後はかさぶたが形成されますが、1週間程度を目安に剥がれます。個人差はありますが、一度の治療でシミの改善がみられる方もいます。
レーザー治療はシミ治療に高い効果を期待できますが、熱伝導の仕組みを適切に把握していないと、色素沈着として残ってしまう場合があるため注意が必要です。
そのため、治療を受けるクリニックの医師の知識や経験が重要となります。
また、レーザー照射後は紫外線や擦るなどの刺激を与えないように注意してください。
レーザーを照射した箇所は炎症状態となっているため、炎症後色素沈着の要因につながる場合があります。
皮膚科で処方される外用薬
シミ治療として皮膚科で処方される外用薬の中に、ハイドロキノンとトレチノインがあります。先述したシミの原因として挙げた4つに効果がみられるでしょう。
それぞれ以下の効果が期待できます。
使用方法としてトレチノインでメラニン色素を外へ排出し、ハイドロキノンで新たなメラニン色素が産生しないように併用していく形がとられる場合が多いです。
外用薬はシミの種類や皮膚の変化に合わせ、濃度を変更していきます。2〜4ヶ月ほどで効果がみられますが、使用し始めは皮膚に赤みやかさつきが起こる場合があります。
しばらく経つとおさまりますが、刺激が強いと感じる場合は医師に相談しご自身に合った方法をとりましょう。
注意点として、トレチノインは妊娠中や妊娠予定の方は使用できません。また外用薬を使用中は、紫外線対策を怠らずに行ってください。
皮膚科で処方される内用薬
皮膚科で処方される内用薬はさまざまな種類がありますが、ここではよくみられる処方としてシナール・ユベラ・トラネキサム酸についてみていきましょう。
シナールはビタミンCとビタミンの一種であるパントテン酸を配合した薬です。ビタミンCにはチロシナーゼの活性を阻害し、メラニン産生を抑制させる働きがあります。
ビタミンEであるユベラは、メラニン色素の排出を促す効果が期待できます。ビタミンEは細胞の酸化を防ぎ、抗酸化作用を持つ成分です。
ビタミンCと一緒に服用することで、ビタミンCの効果を高める働きもします。
トラネキサム酸は、肝斑治療の第一選択薬です。メラニン色素の活性因子であるプラスミンを抑制する働きをします。
個人差はありますが、効果がみられるのに2〜6週間かかります。なかなか効果がみられないからと使用を中止せず、継続し様子をみましょう。
内用薬の組み合わせはシミの種類によって異なるため、医師の診断を受けご自身に合う薬を選択してください。
市販の化粧品に含まれる主な美白成分は?
市販の化粧品を使用し、日々お手入れする方は多いでしょう。
市販の化粧品の中で医薬部外品と明記されている中には、厚生労働省から承認された美白有効成分が配合されているアイテムがあります。
よくみられる成分として、ビタミンC誘導体・アルブチン・トラネキサム酸についてご紹介します。
ビタミンC誘導体
ビタミンC誘導体は、ビタミンCを吸収しやすいように安定化させた成分です。安定な誘導体として、リン酸アスコルビルマグネシウムなどが開発されています。
先述したとおり、ビタミンCはチロシナーゼ活性阻害やメラニン産生の抑制作用があります。
近年ビタミンC誘導体配合の化粧品は、紫外線にあたる前に使用するとより効果が期待できることが判明しました。
朝に使用することで表皮にビタミンCが吸収され、紫外線による細胞の影響が抑制されるため、紫外線の影響を防ぐことが期待できるでしょう。
アルブチン
アルブチンは、コケモモやウルシなどの植物から排出される成分です。ビタミンC同様に、チロシナーゼ活性阻害が期待できます。
アルブチンは表皮に浸透しにくいため、浸透を高めるよう工夫が施されています。
またハイドロキノンの誘導体で作用としては弱いですが、濃度が高いと刺激になる場合もあるため注意が必要です。
トラネキサム酸
トラネキサム酸は、人工的に合成されたアミノ酸の一種です。先述したように抗プラスミン作用のほか、抗炎症やメラニン生成の指令を抑制させる働きを持っています。
つまり炎症を抑えようと働くことで、メラニン色素の生成が抑制されるのです。
化粧品として配合される場合、表皮への吸収性が低いため吸収性を高めるよう配合されています。
市販の化粧品でシミを薄くできる?
市販の化粧品でシミが薄くできるかどうかは、シミの発症時期によります。時間が経っているシミはメラニン色素が残ってしまっているため、効果はあまり見込めないでしょう。
できつつあるシミやできたばかりの薄いシミには効果がみられる場合があります。
ただし、使用し続けることで確実に効果がみられるわけではありません。
そもそも化粧品は「人体に対する作用が緩和なもの」を指します。化粧品としてシミの効果を謳っている場合、特定の成分ではなく成分全体で効果を発揮するため、有効成分として提示できません。
先述したようなビタミンC誘導体やトラネキサム酸などの有効成分が配合されているものは、医薬部外品や指定医薬部外品と明記されています。
市販のアイテムを選ぶ際、表示されている成分を確認しご自身の肌質に合ったアイテムを使用しましょう。
またインターネットやSNSで情報が飛び交う中、シミの効果に対し過剰表現されている場合があります。シミの作用に対し正しい知識を持ち、選択することが重要です。
編集部まとめ
シミを薄くする方法はさまざまあります。自分の肌に現れているシミを把握し、適切な方法を選択することが重要です。
シミが気になる・悩んでいる場合、クリニックへ行き肌に現れているシミはどのようなシミなのか確認し、適切な治療をとりましょう。
また、治療のほかに日々のお手入れやシミの原因の大半である紫外線対策も重要です。
ご自身のシミや肌質に合った有効成分が配合されているアイテムを選択肢し、シミの発症を防ぎましょう。
参考文献