白内障の治し方を解説!原因・症状・予防方法もご紹介します
白内障の患者数は非常に多く、軽度の白内障を含めれば80代の100%が白内障を抱えているともいわれています。
白内障の罹患率は年齢とともに上昇しますが、そもそもなぜ多くの方が白内障になるのでしょうか。
この記事では、白内障の原因・症状・白内障と診断された場合の治し方についてお伝えします。
毎日の生活の中で行える白内障の予防方法についても解説するので、眼の健康を守る参考になさってください。
監修医師:
柿崎 寛子(医師)
目次 -INDEX-
白内障とは
眼球の中には、レンズの役割を果たす水晶体という部分があります。この水晶体が黄白色・白色に濁ることにより、視力低下などが起こる病気が白内障です。
水晶体が濁る理由は、水晶体を構成するタンパク質が変質することだといわれています。変質の原因として最も多いのは加齢です。
しかし、加齢のほかに遺伝・持病・生活習慣なども白内障のリスクにつながります。
白内障の主な原因
白内障は高齢者の病気というイメージがあるかもしれません。しかし、白内障には加齢以外にも複数の原因が考えられます。
加齢
白内障の原因として、最も多いのは加齢です。年齢を重ねることにより、組織の老化・外的要因の蓄積が進むと白内障を発症しやすくなります。
自覚症状はさまざまですが、60代の約70%、80歳以上ではほぼ100%の方に白内障による何らかの症状がみとめられます。
遺伝
生後まもなく水晶体の白濁がみられる「先天白内障」や、成長とともに発症する「発達白内障」の、約25%が遺伝性です。
遺伝性の白内障では、白内障のみを発症する場合と、眼球形成異常・代謝異常・全身性疾患などを併発する場合があります。
一方、加齢による白内障の発症率と遺伝的要因の関係は、はっきり分かっていません。
しかし、白内障の発症時期・発症率には個人差があることから、原因への抵抗性に遺伝的要因による差があるのではないかと考えられています。
持病
白内障以外の眼科疾患や全身疾患も白内障の原因となります。白内障を併発することがある
病気として代表的なものは、下記のとおりです。
- ぶどう膜炎
- アトピー
- 糖尿病
ぶどう膜炎やアトピーでは、かゆみにより目をこすってしまうなどの外的刺激・繰り返す炎症が水晶体を白濁させる原因となります。
また、炎症を抑える薬剤の副作用により白内障を発症することもあるため注意が必要です。白内障の原因となる代表的な薬剤としては、ステロイドが挙げられます。
一方、糖尿病の場合は体内に過剰に糖がある状態が続いて、水晶体への糖老廃物の蓄積が水晶体を濁らせる原因です。
生活習慣
年齢的な加齢のスピードは誰でも同じですが、身体的な老化のスピードは生活習慣から大きな影響を受けます。
例えば、過度な飲酒・喫煙が習慣化している方は、飲酒・喫煙習慣の無い方と比較すると白内障の発症率が高い傾向にあるという研究結果があるそうです。
また、強い紫外線を浴びる・長期間にわたり紫外線を浴びるといった生活スタイルも白内障の進行を加速させる原因となります。
白内障の主な症状
白内障を早期発見するためには、白内障の症状を知ることが大切です。水晶体の濁りが進行すると、どのような自覚症状が現れるのかをまとめました。
視力の低下
遠視や近視はピントを合わせる機能に問題がある状態です。そのため、視力低下を感じても眼鏡をかけることで視力を矯正できます。
一方、白内障の場合はピントを合わせてもレンズ自体が曇っている状態のため「眼鏡をかけても見えにくい」と感じる方が多いでしょう。
ただし、例外として水晶体の中心部が濁る「核白内障」では、視力が良くなったと感じる方もいるようです。
これは水晶体の中心が固くなることで近視化が進み、老眼(遠視)による視力低下が軽減されるためと考えられます。
まぶしく感じる
以前と比べてまぶしく感じるのも、白内障の方によくみられる症状です。しかし、一方で発症前より薄暗く感じるという方もいます。
一見すると正反対の症状ですが、いずれも水晶体が濁ったことが原因です。
健康な方の眼球では、目に入った光は水晶体で直線的に屈折して眼球の奥に鮮明に像を結びます。しかし、白内障は濁った水晶体で光が散乱している状態です。
光がいろいろな方向に散乱すると、明るい場所を中心に周辺まで光って見えるため、視界全体が白く飛んだようにまぶしく感じる場合があります。
また、光量の少ない場所では健康なときに比べて薄暗く感じるのも、水晶体が濁ることで光が眼内に通りにくくなるためです。
目がかすむ
白内障は、いわば曇ったレンズを通して風景を見ているような状態です。そのため、症状が進行すると霧がかかったような目のかすみを自覚する方が多いでしょう。
また、ぼやけるのでなく物が二重に見える場合もあります。ただし、物が二重に見える症状は白内障以外の眼科疾患・脳神経系の疾患などでもみられるため注意が必要です。
早期に適切な治療を受けるためにも「見え方が以前と違う」と感じたら症状のセルフチェックだけで済ませず、医師に相談することをおすすめします。
白内障の治し方
白内障の治療方法には、大きく分けて2つの選択肢があります。それぞれ、どのような治療なのでしょうか。
点眼による治療
白内障の症状が日常生活に大きな支障をきたさない段階では、点眼薬による治療が主な選択肢となります。
現在、日本国内で承認されている点眼薬はこちらの2種類です。
- グルタチオン点眼液(タチオン)
- ピノレキシン点眼液(カタリン・カリーユニ)
どちらの点眼薬にも水晶体内にあるタンパク質の変質を抑制する成分が含まれ、白内障の進行を遅らせる効果が期待できます。
ただし、点眼薬による治療はあくまでも症状の進行抑制が目的であり、水晶体の濁りを軽減するものではありません。
手術
白内障の症状により日常生活に支障を感じている場合には、手術を受けることで症状が改善する可能性があります。
白内障手術は、濁った水晶体を取り出して人工の眼内レンズに入れ替える手術です。
水晶体の取り出し・眼内レンズ挿入は水晶体を包んでいる水晶体嚢という膜に数ミリの穴をあけて行います。
白内障手術に使用する眼内レンズは、大きく分けて下記の2つです。
- 単焦点レンズ
- 多焦点レンズ
単焦点レンズを使用した手術が医療保険の適用対象となるのに対して、多焦点レンズを使用した手術は治療費の一部またはすべてが自費診療となります。
単焦点レンズは、一定の距離のみにピントが合うレンズです。そのため、ピントが合わない距離を見るときはコンタクトレンズや眼鏡を使用する必要があります。
単焦点レンズの焦点距離は数種類の中から選べるので、患者さんの生活スタイルに合わせて頻繁に見る距離のレンズを選ぶと良いでしょう。
一方、多焦点レンズはピントの合う距離を近方・中間・遠方の中から2種類もしくは3種類選びます。
単焦点レンズと比較すると利便性が高い多焦点レンズですが、人間の目とは焦点距離を変える仕組みが異なるため、慣れるまでは違和感を覚える方もいます。
近年では多焦点に加えて青色光カット・乱視矯正などの機能が付いたレンズもありますが、使用できるレンズは患者さんの持病や年齢によっても異なるので注意が必要です。
そのため、手術の方法・使用するレンズなどについては、自分の希望も伝えた上で担当の医師と十分に話し合って決めることをおすすめします。
また、眼内レンズは医療機関によって取り扱いの有無・取り扱っている製品が異なるため、希望するレンズがある場合は事前に確認が必要です。
白内障手術前後の注意点
日帰りでの白内障手術を行っている医療機関も多く、白内障は「手軽な手術」「簡単に終わる手術」と認識されることもあるでしょう。
しかし、眼という繊細な器官に穴をあけて行う治療なので、確率は低いとはいえ手術の合併症が起こる可能性があります。
合併症のリスクを減らすために、白内障手術の前後に注意すべきことはあるのでしょうか。
手術前の注意点
細かい注意点は治療方法や医療機関によって異なりますが、ここでは一般的な手術前の注意点を3つ紹介します。
1つめの注意点は「事前に処方された抗生剤を忘れずに点眼すること」です。
手術後に炎症が起きるリスクを減らすために、手術当日までに眼球周辺の細菌をできるだけ減らしておく必要があります。
そのため、白内障手術の数日前からは自宅で1日に4回ほど抗生剤の点眼を続けます。
さし忘れの頻度によっては、術後感染のリスクが高いと判断され手術が延期になる可能性もあるため、忘れずに点眼を行いましょう。
2つめの注意点は「手術前に顔・頭をしっかり洗っておくこと」です。
白内障手術を受けた後は、感染症を防ぐために1週間ほど洗顔・洗髪を避けます。そのため、手術前には顔・頭をしっかり洗っておきましょう。
3つめの注意点は「手術当日はお化粧をしないこと」です。
手術の際、化粧品の粉などが目に入ると感染症のリスクが高まります。手術の当日は、お化粧はせずに手術に臨みましょう。
手術後の注意点
手術後は、眼球に傷がついた状態になっているため手術前よりもさらに注意が必要です。白内障手術後の主な注意点は2つあります。
1つめの注意点は「処方された薬を忘れずに使用すること」です。
手術の後には、細菌感染を防ぐための薬が処方されます。細菌感染による炎症は重い合併症につながる可能性もあるため、処方薬は忘れず使用しましょう。
2つめの注意点は「指示された方法・期間を守って眼を保護すること」です。
白内障手術の後は、細菌感染だけでなく衝撃や圧力を避ける必要があります。眼帯・保護メガネなど指示された方法で目を保護しましょう。
また、自宅に帰ると入浴・運転・運動・化粧・飲酒・喫煙など普段通り行いたくなる方も多いかもしれませんが、医師の許可が出るまでは制限が必要です。
今回紹介した注意点はあくまでも多くの医療機関に共通する一般的なものです。実際に治療を受ける際は、各医療機関や担当医師からの指示に従ってください。
白内障の予防方法
白内障を一度発症すると、手術以外には症状を改善する方法がありません。そうなる前に、白内障の予防はできるのでしょうか。
紫外線対策
加齢とともに、白内障の大きな原因として挙げられるのが紫外線です。
日常生活ではもちろん、アウトドアや屋外スポーツを頻繁に行う方は特に、短時間で強い紫外線を浴びることが多いため紫外線対策を行いましょう。
主な紫外線対策は下記の2つです。
- つばの広い帽子をかぶる
- UVカットのサングラス・コンタクトレンズを使用する
紫外線を浴びる量は、帽子を使用することで20~30%、サングラスを適切に使用した場合は約90%軽減できるといわれています。
ただし、サングラスをかける際には、正面だけでなくレンズの横からも紫外線が入ってくるため注意が必要です。
眼の両脇からの紫外線は、フレームを囲むようにフードが付いたサングラスや、UVカットコンタクトレンズを使用することで大幅に軽減できます。
生活習慣の改善
白内障を予防するための生活習慣として重要なのは以下の2点です。
- 生活習慣病の予防・治療を行う
- 身体の酸化・糖化を抑えるための栄養を摂る
白内障のリスクを高めやすい生活習慣病としては、糖尿病・高血圧症・心疾患・高脂血症などが挙げられます。
特に、体内の糖が過剰になると水晶体のタンパク質と糖が結合することで水晶体が濁る原因になるといわれています。
定期的に健康診断などを受け、必要に応じて生活習慣の改善を行うなど、生活習慣病予防を心がけましょう。
また、すでに糖尿病などの診断を受けている場合は、適切な治療の継続が大切です。
加えて、毎日の食事で酸化・糖化を抑えるマルチビタミン・βカロテン・ミネラルなどを十分に摂取するのも白内障予防に有効と考えられます。
これらの栄養素には、白内障の発症だけでなく進行を抑える効果が期待できます。
禁煙・飲酒量の調節
喫煙や過度の飲酒は、白内障の発症リスク因子です。特に喫煙習慣のある方は、非喫煙者と比べて白内障のリスクが1.5~3倍ともいわれています。
また、適量の飲酒と白内障の関係は明確ではありませんが、アルコール大量摂取者は非飲酒者と比べて白内障の件数が多いというデータがあります。
※「アルコール大量摂取者」とは、1日あたり60g以上のアルコール(日本酒換算3合以上)を摂取している方です。
このような研究結果から、禁煙すること・受動喫煙を避けること・飲酒量は適量にとどめることで白内障のリスクは下がると考えられます。
編集部まとめ
睡眠薬には大きく分けて4つの種類があり、特徴や副作用は薬によってそれぞれ異なります。
また作用時間もそれぞれ4つのタイプに分けられ、入眠障害・早朝覚醒・熟眠障害など、生じている睡眠障害によって睡眠薬は使い分けられます。
このように、睡眠薬にはさまざまな種類があるため、自分の症状に合ったものを服用することが大切です。
参考文献