淋病検査キットとは?自宅で簡単にできる性感染症の検査について!
本記事では、淋病の検査キットについて以下の点を中心にご紹介します。
・淋病の検査キットとは
・淋病の原因や診断・治療法
・淋病の検査キットのメリット
淋病の検査キットについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
目次 -INDEX-
そもそも淋菌の検査キットとは
性器淋菌感染症の郵送検査キットは、自宅で検体を採取し、厚労省の認可を得た登録衛生検査所で検査してもらうためのツールです。
男性用と女性用のキットがあり、男性は尿を、女性は綿棒で性器を拭き取り検体を採取します。
感染が疑われる場合、症状がなくても検査を受けることが推奨されています。
検査結果はオンラインで確認でき、紙媒体での結果の郵送が可能な場合もあります。
性器淋菌は多くの場合無症状とされ、女性ではおりものの異常、男性では尿道炎の原因となることがあります。
治療は抗生剤の点滴で、耐性菌の可能性もあるため、治療後の再検査が重要です。
感染の可能性がある日から、2~3日後の検査が適切とされています。
淋菌感染症の原因・診断・治療
淋菌感染症は、性感染症の一種で、淋菌という細菌によって引き起こされます。
感染経路は主に性行為ですが、潜伏期間は2~9日程度とされており、無症状の場合もあります。
以下に、その原因、症状、診断、治療について詳しく解説します。
淋菌感染症の原因と感染経路
淋菌感染症は、淋菌によって引き起こされる性感染症です。
淋菌は、性交やそれに類似した行為によって、感染部位の粘膜や分泌物との接触を介してヒトからヒトへと感染します。
特にコンドームを使用しない場合は、感染のリスクが高まります。
また、感染者の性器、口、直腸の粘膜から分泌される体液に触れることでも感染する可能性があります。
淋菌は比較的弱い菌とされ、患者の粘膜から離れると数時間で感染力を失うため、性交以外の手段での感染はまれといわれています。
しかし、オーラルセックスによる淋菌性咽頭炎などのケースも報告されており、性行為以外の経路での感染の可能性もあります。
また、淋病は母子間での産道感染も起こりえます。
淋菌は、日光、乾燥、温度の変化、消毒剤などで容易に死滅する特性を持っています。
そのため、淋菌感染症の診断には、菌の培養と同定検査が重要とされています。
淋菌感染症の症状:男性
男性の場合、尿道に淋菌が感染すると、排尿時の痛みや尿道からの膿性分泌物の出現などの症状が見られます。
尿道のかゆみや違和感、尿が濁る、性器から黄白色のドロっとした膿が出るなどの症状が典型的です。
これらの症状は自覚しやすく、多くの場合「急性尿道炎」によるものといわれています。
淋病が進行すると、「精巣上体炎」など、より深刻な病態に発展することもあります。
症状が明確でない場合もあり、感染を放置すると男性不妊の原因になることもあります。
また、肛門性交による、肛門の感染の可能性もあります。
潜伏期間は2~9日程度で、この期間中に症状が出ない場合もありますが、感染の可能性は否定できません。
淋菌感染症の症状:女性
女性の場合、おりものの増加や色の変化、不正出血などが主な症状です。
症状が軽微であったり、自覚できなかったりすることもあります。
咽頭や直腸にも感染することがありますが、こちらも症状が自覚されないことが多いようです。
症状がある場合は、むずむずしたかゆみや不快感、痛み、出血が見られます。
直腸の場合はこれに加えて、下痢、血便、ねばりのある血便などが見られます。
淋病が進行すると、卵管炎や腹膜炎などの「骨盤内炎症疾患」を引き起こすことがあり、発熱、下腹痛が自覚症状としてあらわれます。
これらは、不妊症や子宮外妊娠の原因になることがあります。
妊娠中の女性が淋病に感染すると、流産や早産、破水などのリスクが高まります。
女性は男性よりも症状が軽く、自覚されないまま感染が進行することが多いとされるため、定期的な検査が重要です。
潜伏期間は数日~1週間程度とされており、無症状の場合でも感染している可能性があるため、注意が必要です。
淋菌感染症の診断
淋菌感染症の診断と検査には、さまざまな方法があります。
排尿時の痛みや膿、おりものの異常、オーラルセックス後に咽頭の痛みなどの症状がある場合は、検査が推奨されます。
病院での検査方法としては、主にグラム染色検査、尿検査、咽頭検体やうがい液による検査が挙げられます。
これらの検査は、淋菌やクラミジアの有無を確認するために実施されます。
また、淋菌のDNAを検査する方法や、尿や分泌液、おりもの、咽頭擦過物、咽頭うがい液を採取する培養検査もあります。
検査には、即日簡易(迅速)検査、精密検査(SDA法やPCR法)、即日精密検査(TMA法)があり、それぞれ検査可能な時期や検査の種類が異なります。
即日簡易検査は約15分後に結果が出ますが、精度が劣る場合があります。
即日精密検査では、医療機関で専門の機器を用いられ、結果は当日または翌日に出ます。
精密検査では、症状の有無にかかわらず検査が可能とされ、結果は約2〜7日後に出ます。
これらの検査は、淋菌感染症の確定診断に必要であり、治療の方針を決定するためにも重要です。
特に性行為による感染が疑われる場合や、パートナーが感染している場合は、早めに検査を受けることが推奨されます。
淋菌感染症の治療
淋病の治療には主に、筋肉注射や経口薬が用いられます。
静脈注射も有効とされていますが、日本では保険適用外です。
淋菌感染症の対策としては、性的接触時のコンドーム使用が推奨されます。
また、患者だけでなく、接触した方も早期診断と治療が重要です。
淋菌感染症の治療では、耐性菌の出現に注意が必要です。
抗菌薬の投与方法や使用頻度が耐性菌の検出率に影響を与えるため、地域によって推奨される治療法が異なることがあります。
淋菌検査キットについて
淋菌検査キットは、性感染症の1つである淋病の診断を自宅で行うためのツールです。
自宅で検体を採取し、専門の検査機関に送付することで、医療機関を訪れることなく検査結果を得られます。
淋菌検査キットの概要
性病の検査キットには、主に尿検査、うがい液検査、膣分泌物検査などがあり、性病の種類によって異なる検査方法が用いられます。
淋菌やクラミジアの検査では、尿やうがい液、膣分泌物からDNAを検出する方法があります。
これらの検体を専用の容器に採取し、検査機関へ郵送します。
検査結果はインターネット上で確認でき、検査方法には高精度のTMA法などが用いられています。
匿名での検査が可能であり、プライバシーが守られる点が大きなメリットです。
なお日本では、ドラッグストアを始めとする一般店舗での性病検査キットの販売は認可されていません。
検査キットを利用する方法として、以下のようなものがあります。
【性病の郵送検査サービス】
性病の郵送検査サービスでは、自宅で検体を採取し郵送することで検査を受けられます。
このサービスはインターネット上で申し込み、自宅に届いたキットで検体を採取後、返送します。
郵送検査サービスの利点は、自宅で検査が完結し、誰とも顔を合わせずに匿名で検査ができることです。
ただし、性感染症の治療はできないため、陽性の場合は医療機関での治療が必要です。
陽性であった場合に備え、検査後のアフターサービスや、提携医療機関の有無を確認しておきましょう。
【オンライン診療】
オンラインで性病検査を実施しているクリニックでは、医師の問診後に検査キットが送付され、採取した検体を返送して検査します。
オンライン診療は、通院による待ち時間がないことや、医師によるアドバイスが受けられることがメリットです。
ただし、郵送検査サービスよりもやや費用が高い傾向にあります。
【総合ECモール】
総合ECモールとは、オンラインショップで性病検査キットを購入し、自宅で検査後に返送することで検査を受ける方法です。
購入手続きが簡単である点がメリットですが、模造品や粗悪品が出品されているリスクがあるため、購入時には注意が必要です。
オンラインショップで性病検査キットを購入する際は、正規の販売者によって出品されているかどうか、しっかり確認しましょう。
淋菌検査キットの使い方
淋菌検査キットは、男性と女性で使用方法が異なります。
検査キットが自宅に届いたら、キットの内容物と使用方法を確認しましょう。
尿検体やうがい検体は、専用カップに採り、検査容器にスポイトで移します。
膣検体は、綿棒を使用しておりものを採取します。
注意点として、検体採取方法を誤ると正確な検査結果が得られない恐れがあるため、取扱説明書を確認して正しい手順で検体を採取することが重要です。
また、オンライン診療を利用する場合は、診療を受けた後に検査キットを使用する必要があります。
検査結果は即日ではなく、数日かかるとされています。
淋菌検査キットの信頼性
淋菌検査キットは、正確な結果を提供できるといわれていますが、検査キットの使用方法に誤りがあると、結果に影響が出る可能性があります。
そのため、検査キットの使用前には、医師の説明や説明書の確認が重要です。
また、淋菌検査キットの信頼性に関しては、感度と特異度が重要なポイントです。
感度とは、感染している方のうち検査結果が陽性になる確率を指し、特異度は陰性のものを正しく陰性と判定できる確率を意味します。
これらが100%に近いほど、検査結果の正確性が高まります。
簡易検査キットは、精密検査であるPCR法に比べると、感度や特異度が劣る場合があります。
PCR法は、淋菌のDNAを増幅して検出するため、高い感度を持つとされ、少量の淋菌でも検出できます。
一方で、市販の簡易検査キットは、迅速な結果を得られる利点があるものの、PCR法ほどの精度は期待できないことが指摘されています。
したがって、簡易検査キットで陽性反応が出た場合は、確定診断のために医療機関でのPCR検査を受けることが推奨されます。
また、検査キットの選択に際しては、信頼できるメーカーや検査機関を選ぶことが重要です。
極端に安い郵送検査は、登録衛生検査所として承認されていない検査機関が実施している可能性があるため、信頼性が低い場合もあります。
淋菌検査キットの注意点
日本では、ドラッグストアや一般店舗で性病検査キットの販売が認められていないため、これらの場所での購入はできません(2023年5月9日時点)。
したがって、検査キットは主にオンラインで入手することになります。
インターネットで購入する際は、信頼できる医療機関や検査サービス事業者を選ぶことが重要です。
また、海外製のキットを購入する場合は、粗悪品や模造品のリスクがあるため、慎重に選ぶ必要があります。
購入したキットが検査したい性病に対応しているか、結果が出るまでの期間や提携医療機関の詳細などを事前に調べておくことも大切です。
また、もし検査結果が陽性であれば、速やかに医療機関での治療を受ける必要があります。
性感染症は自然におさまることはなく、市販薬での治療もできないとされています。
完治までは、適切な処置や再検査が必要です。
また、性的パートナーにも検査を勧め、お互いにうつしあうことを避けましょう。
淋病をはじめ、性病は早期発見・早期治療が重要なため、不安や疑問があれば積極的に検査を受け、必要に応じて医師のアドバイスを受けることが推奨されます。
淋菌検査キットのメリット
淋菌検査キットには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
以下で詳しく解説します。
プライバシーの保護
病院での検査に抵抗がある方や、家族や知人など周囲の目が気になる方もいるかも知れません。
郵送タイプの検査キットであれば、検査する場所を選べるため、プライバシーの保護につながります。
また、自由診療系のクリニックであれば診療記録にも残らず、のちのち家族や知人に知られずにすみます。
プライバシーに配慮し、内容物やクリニック名を記載せずに検査キットを発送しているクリニックもあるようなので、事前に確認しておきましょう。
時間とコストの節約
淋菌検査キットは、時間とコストの節約にも役立ちます。
医療機関での検査では、性病の症状がない場合には健康保険が適用されず、自由診療となるため、費用が高くなる場合があります。
一方、淋菌検査キットの使用には、症状の有無は関係ありません。
ただし、キットによって金額は異なりますので、事前に確認しましょう。
また、病院への移動時間や待ち時間を考えると、検査キットの使用は、時間や交通費の節約につながります。
保健所では性病の無料検査が実施されていることがありますが、実施日や場所の制限があるため、淋菌検査キットはより手軽な選択肢といえるでしょう。
早期発見の可能性
淋菌検査キットは、症状が出る前に性病の感染を確認する手段であるため、淋病の早期発見につながる可能性があります。
なかでも、イムノクロマト法を利用した即日検査キットでは、結果が約30~60分で判明するため、早期に治療を開始できます。
ただし、イムノクロマト法の精度には限界があり、偽陰性や偽陽性のリスクもあるため、検査結果に疑問がある場合は医療機関での確認が必要です。
淋菌検査キットは、これらのメリットを提供する一方で、検査の正確性や結果の解釈には注意が必要です。
また、結果が陽性であった場合は医師による治療が必要であり、検査方法によっては特定の部位の感染を見逃すリスクもあります。
検査キットの利用はあくまで初期スクリーニングとして考え、必要に応じて医師の診断を受けることが重要です。
検査キットと医療機関での検査の違い
検査キットと医療機関での淋菌検査には、いくつかの違いがあります。
【検査キットを使用した検査】
検査キットを使用するメリットは、自宅で手軽に検査ができる点です。
プライバシー保護の観点から匿名での検査が可能とされ、結果もインターネットや郵送で受け取れます。
費用も安い傾向にあり、時間の節約にもなります。
しかし、検査キットの精度はメーカーや検査方法によって異なり、自己採取であるため、採取方法の誤りが結果の正確性に影響する可能性があります。
また、検査結果が陽性の場合は、治療のために医療機関を受診する必要があります。
【医療機関での検査】
医療機関での検査は、医師による診断と治療を受けられるという利点があります。
また、医師による検査であるため高い精度が期待でき、検査方法の誤りによる不正確な結果は出にくいでしょう。
ただし、医療機関での検査は、保険が適用されない場合は費用が高くなる傾向にあったり、プライバシーの面で抵抗を感じたりする場合もあります。
また、検査を受けるためには医療機関を訪れる必要があり、移動や待つための時間がかかることもあります。
検査キットは手軽さやプライバシー保護を重視する方、初期スクリーニングや症状が軽微な場合に適しているでしょう。
一方、医療機関での検査は、精度や治療の即時性、より正確な診断を求める方や、深刻な症状の方におすすめです。
淋病の検査方法は、症状やニーズも考慮して選びましょう。
検査キットで調べられる他の性感染症
性病検査キットは、淋病の他にも、以下のような幅広い性病を検査できます。
性病検査キットを使う場合は、検査したい性病に対応するキットを選ぶことが重要です。
また、男女で使用するキットが異なる場合もあるため、キットの検査可能項目を確認して適切なキットを選ぶ必要があります。
HIV:重要なウイルス性感染症で、早期発見が重要
梅毒:古くから知られる性病で、治療が必要
性器・咽頭クラミジア:男女ともに一般的な感染症
性器・咽頭淋病(淋菌感染症):性的接触により伝播し、症状が明確であることが多い
皮膚・性器カンジダ:皮膚や性器のカンジダ感染症
HPV(ヒトパピローマウイルス):子宮頸がんのリスクを高めるウイルス
B型・C型肝炎:性的接触以外にも伝播する肝炎ウイルス
性器・咽頭マイコプラズマ/ウレアプラズマ:炎症を引き起こす可能性がある細菌
トリコモナス:性器に感染する原虫性疾患
これらの性感染症の中には、自覚症状がない場合も多いとされ、感染に気づかないことがあります。
また、感染を放置すると、症状の悪化や周囲への感染拡大、不妊症を引き起こす可能性もあります。
そのため、性的活動が活発とされる10~20代にかけての若年層を中心に、自己検査が推奨されます。
まとめ
ここまで、淋病の検査キットについてお伝えしてきました。
淋病の検査キットの要点をまとめると以下の通りです。
・淋病の検査キットとは、自宅で使用可能な医療用キットで、尿や膣分泌液などの検体を採取し、淋病の感染有無を確認するために使用される
・淋病は淋菌によって引き起こされる性感染症であり、注射や抗生物質により治療される
・淋病の検査キットは、手軽に自宅で検査ができ、症状が出る前の早期発見にも役立つ点にメリットがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。