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GLP-1のダイエットは効果がある?GLP-1ダイエットの効果や方法・注意点について解説します

 公開日:2023/12/18

短期間で痩せたいけれど、運動はしたくないし食事を抜くのも嫌…という人は多いです。

そんな人の間でGLP-1ダイエットが話題を呼んでいます。GLP-1ダイエットは効果があるのでしょうか。

こちらではGLP-1ダイエットの効果や方法、またGLP-1ダイエットで注意すべき点などを解説しています。

GLP-1ダイエットを始めたいと考えている人は、GLP-1のことをきちんと理解した上で開始できるよう参考にしてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

GLP-1のダイエットは効果がある?

ストレッチをする女性
GLP-1(グルカゴン様ペプチド1)はもともと体内にあるホルモンで、食べ物を摂取した時に小腸から分泌されます。
GLP-1は特に食べ物が消化する時に分泌され、身体の中で主に次のような働きをしていると考えられるのです。

  • インスリンの分泌を調整する
  • 胃の動きを抑える
  • 食欲を抑える

これらの働きはGLP-がGLP-1受容体と結合することにより起こります。このような働きからダイエットに有効だと考えられているのです。
ただ、体内で分泌されたGLP-1はすぐに分解してしまいます。そのため、GLP-1を分解されにくい構造に変化させたものがGLP-1受容体作動薬です。
GLP-1受容体作動薬は本来糖尿病治療薬として開発されたもので、急激な血糖値の上昇を抑える働きがあります。
血糖値が急激に上昇するとインスリンが過剰に分泌され、血液中の糖を脂肪として蓄えるため脂肪が付きやすくなります。
そこでGLP-1受容体作動薬を使用することで、インスリンの分泌を抑え余分な脂肪を付きにくくすると考えられるのです。

そもそもGLP-1とは?

ハートを持つ女性
すでに解説したように、GLP-1は私たちの身体の中で自然に分泌されているホルモンで、食べ物の糖質や脂質に反応して小腸から分泌されます。
血糖値の急激な上昇を抑えることで糖尿病の治療薬として使用されますが、自然分泌されるGLP-1は分泌後すぐに分解するという特徴があるのです。
そのため分解されにくい形に変えたGLP-1受容体作動薬が開発されたのです。
GLP-1受容体作動薬は、食事による血糖値の上昇を防ぎインスリンの分泌を調整するなど、糖尿病の治療に用いられています。

GLP-1は体内にあるホルモンの名称

GLP-1は体内で自然分泌されるホルモンの名称です。GLP-1には食事後の急激な血糖値上昇を防ぎインスリンの分泌を調整する作用があります。
GLP-1は食事後の消化が進んだ小腸で分泌され、インスリンの分泌を促進する・食欲を抑える・胃の動きを抑えるなどの働きを持つホルモンです。

糖尿病の治療薬として使われる

血糖値
GLP-1は糖尿病の治療薬として使用されるホルモンの名称ですが、自然分泌されたものはすぐに分解されてしまう特質を持っています。
GLP-1受容体作動薬は分解されにくく開発され、糖尿病の治療薬としての効果も十分に期待できるため広く使われています。
またGLP-1受容体作動薬は糖尿病以外の、肥満・脂質異常などにも使用されることがある薬物でもあるのです。

アメリカでは肥満治療薬として一般的に利用

GLP-1は食後の血糖値を上昇させない働きがあり、インスリンの分泌を調整し食欲を抑えるなどの特徴を持ちます。
GLP-1の食欲を抑える・摂取カロリーを減らすという作用から、アメリカでは一般的に肥満治療薬として使われることが多いのです。

GLP-1ダイエットの効果

ウエストを測る女性
糖尿病の治療薬であるGLP-1受容体作動薬をダイエットに取り入れたものが、GLP-1ダイエットです。
GLP-1は血糖値の急激な上昇を抑えることで、インスリンの分泌を抑えます。また胃の運動を抑え消化を遅らせる効果もあります。
このことから長く食べ物が体内に留まるため、食欲を抑える効果も期待でき体重の減少につながりやすいのです。
GLP-1の摂取でのダイエット効果には基礎代謝が上がり、脂肪を燃焼してくれることも挙げられます。
GLP-1ダイエットについては、アメリカを含めEUなどでは承認されていますが、日本ではまだ承認されていません。
そのためGLP-1を使用するためには医師の診断を受けて処方してもらう必要があるのです。
GLP-1注射がダイエット薬として日本で承認されていないのは、アメリカやEU諸国においてのBMI平均値と日本の平均値の違いにあるでしょう。
また日本での新薬認可については、アメリカやその他の諸国に比べて認可までの期間がかなり長引くことも承認されない理由の1つではないでしょうか。
GLP-1がアメリカなどで認可を受けているのは、その安全性は高く副作用などもほとんどないことの証ともいえます。また、GLP-1ダイエットは肥満による生活習慣病の予防としてもアメリカなどではおおいに推奨されています。
それではGLP-1ダイエットの効果についてもう少し詳しく解説していきましょう。

無理な運動や食事制限が不要

GLP-1ダイエットは無理な運動も食事制限もいりません。通常のダイエットは食事を制限して、しっかりと身体を動かすことが推奨されます。
ところがGLP-1ダイエットはGLP-1受容体作動薬を摂取することで、基礎代謝を上げ脂肪の付きにくい身体へと変えてくれるのです。
そして食事を制限することなく、食欲が抑制されるため無理なくダイエットに向き合えます。
無理な食事制限をした場合、その反動でより多く食べてしまいリバウンドしてしまう人もいるでしょう。
GLP-1ダイエットは、そのようなリバウンドの少ないダイエットであるとともに、リバウンドしにくい体質に変えてくれるダイエットでもあるのです。

リバウンドが起こりづらい

先に少し触れましたが、GLP-1ダイエットはリバウンドしにくいダイエットです。
これはGLP-1受容体作動薬が食欲を抑制し、体重減少を目指すダイエットだからといえるでしょう。
またGLP-1受容体作動薬を摂取した後は食事後の急激な血糖値の上昇を防ぐため、インスリンの分泌を抑えることが可能になります。
そのために脂肪を身体に溜めにくい体質に変えてくれる効果も期待できるのです。無理に運動を続ける必要もなく、食事制限も特に必要ありません。
特に食べたいものをがまんするのでなく、少量で満足でき空腹を感じないというダイエットなのです。
がまんしないので、途中で投げ出し一気に食べてしまうことで起こるリバウンドも防げます。リバウンドを繰り返す人に合うダイエットといえるでしょう。

GLP-1ダイエットの方法

需要体作薬
GLP-1ダイエットはGLP-1受容体作動薬の投与で行う医療ダイエットです。
医療ダイエットですから健康的に痩せることが目的の、医師の診断・処方の下でのダイエット方法になります。
GLP-1受容体作動薬は本来糖尿病、それも2型糖尿病への治療薬として処方されるものですが、アメリカなどでは肥満治療薬として承認されています。
まず医師の診断が必要なので、GLP-1ダイエットを行えるクリニックなどを受診してください。
そして医師からの説明・指導の下で行うことが大切です。GLP-1ダイエットの方法としては、注射によるものと服用するタイプがあります。

注射による投与

GLP-1ダイエットの方法の1つは、GLP-1受容体作動薬を注射により投与することで体内に取り入れ、体重減を目指すダイエットです。
医師より処方された薬剤を、決められた量を自分で注射して摂取します。注射には1週間ごとに投与するものと毎日投与するものがあります。
クリニックなどで処方される、主な注射の種類を使用回数とともに紹介しましょう。

  • トルリシティ:週1回
  • オゼンピック:週1回
  • ビグトーザ:1日1回
  • サクセンダ:1日1回

上記の4種類が主なものですが、GLP-1ダイエットとして比較的多く処方されるのはアメリカで抗肥満症薬として承認されたサクセンダです。
サクセンダは胃での消化をゆるやかにする効果や食欲を抑える効果が見込まれるため、無理なく食事の量を減らすことができるでしょう。
使用方法は医師に処方された注射キットで、決められた容量を1日1回自分で注射を行います。
ペン型の注射器で針はごく細いため、痛みを感じることは少ないのが特徴です。同じ場所に打つのではなく少し位置を変えて打つようにしてください。
もちろん定期的な医師の診察は必要です。状況を見ながら問題なければそのままダイエットを続けることが可能になります。
GLP-1受容体作動薬の注射については必ず医師の診察を受けた上で、しっかりと指導を受けてから行うようにしてください。

内服薬の利用

GLP-1ダイエットのもう1つの方法が内服薬の利用です。2021年に発売されたリベルサス錠で内服薬の利用が可能になりました。
それまでは注射でのみ可能だったGLP-1ダイエットですが、内服薬が発売され注射での対応が難しかった人にも無理なく行えるようになったのです。
内服薬は3㎎・7㎎・14㎎の3種類で、まず3㎎を1ヶ月服用して次に7㎎を服用するという風に段階を経て服用すると効果的です。
注射も内服薬もほとんど同様の効果が期待できますが、副作用も同じように起こる可能性があります。
内服薬も必ず医師の診察を受けて開始し、副作用の心配がある場合は速やかに医師の診断を仰ぎましょう。

GLP-1ダイエットの注意点

✕を示す医者
GLP-1ダイエットは比較的手軽に行え、効果が期待できるダイエット方法ですが、注意点も多いため慎重に行いたいダイエット方法でもあります。
まずGLP-1ダイエットは医師の指導の下で行う必要があるので、自分だけで個人輸入などで行うのは絶対にやめましょう。
その他、GLP-1ダイエットのできない人には次のような人が挙げられるので、該当する人は行わないように注意が必要です。

  • 体脂肪率が男性9.0% ⼥性18%未満
  • 18歳未満・70歳以上(高齢の場合は要相談)
  • 糖尿病・内臓疾患がある
  • 薬剤による肥満

その他にもGLP-1ダイエットに向かないと医師が判断する場合もあります。必ず医師に相談してダイエットを開始してください。
またGLP-1ダイエットは比較的副作用の出にくいダイエットといわれますが、まったくない訳ではありません。副作用には次のことが挙げられます。

  • 吐き気
  • 便秘
  • 食欲減退

これらの副作用といえる症状はダイエットを進めるうちに軽減する場合もありますが、食欲を抑えることで減量を目指すのがGLP-1ダイエットです。
そのために食欲が減退する症状が出やすくなります。その場合は栄養が減ることのないように気を付ける必要があるでしょう。
副作用で不安なことがあれば、早めに医師に相談して解決していくことが大切です。無理に続けるのはやめて医師の診断を仰いでください。
GLP-1ダイエットで考えられる副作用について、もう少し詳しく解説していきましょう。

吐き気を感じることがある

GLP-1ダイエットは食べ物を胃の中に長く留め、ゆっくりと消化させることで満腹感を強め食欲を抑制するダイエットです。
そのため、胃もたれのような症状が起こる可能性があります。時には軽い吐き気を感じることもあるでしょう。
薬の量を調節することで改善される場合も多いですが、あまりひどい吐き気が続く場合には医師に相談してください。

便秘気味・栄養不足になる恐れがある

野菜を持つ医者
GLP-1ダイエットは満腹感が継続することで、食事の量を抑え体重軽減を行うダイエットなので、食事の量が減り便秘になる可能性があります。
身体が慣れることで改善する可能性も大きいのですが、体調が悪くなるほど便秘が続く場合は医師によっては便秘改善の薬を処方されることもあります。
また食欲が減退してしまい、しっかりと栄養が摂れないという場合もあるでしょう。そのためにしっかりと栄養の摂れる食事が必要になります。
クリニックによっては、バランスの良い栄養を摂るための食事指導を行う場合もあるほど、食事の質にこだわることが大切です。
便秘や栄養不足といった副作用を解消するために、日頃からバランスの良い食事を心掛けることや適度な運動で身体を動かすことも大切になります。
自分で対処できることは試しながら、便秘が改善されず辛い場合はためらわずに医師に相談しましょう。

人によってはGLP-1ダイエットは利用できない

先に少し触れましたが、GLP-1ダイエットは誰にでも行えるのではなく、人によってはGLP-1受容体作動薬の使用を控える必要があります。
まず基本的にGLP-1ダイエットは肥満症などで、病気のリスクのある人の改善方法として利用されるべき方法なのです。
痩せる必要のない人は、使用すべきでないと考えられます。他に妊娠中・授乳中の人、内臓に何らかの疾患のある人なども利用できません。
GLP-1ダイエットは、以上のように利用不可の場合があるため、開始にあたって必ず医師の診断を受ける必要があります。
医師は個人個人に合わせた方法やダイエットの進め方など、説明しながら最適な薬を処方します。そして途中経過のための診察も行います。

GLP-1ダイエット開始にはクリニックなどで診療を受ける必要がある

医師から説明を受ける女性
GLP-1は本来2型糖尿病の治療薬として使用されています。GLP-1を分解しにくくしたものがGLP-1受容体作動薬です。
このGLP-1受容体作動薬は、急激な血糖値の上昇を抑えることでインスリンの分泌を抑えて脂肪を蓄えにくくすることが期待できます。
また胃の運動を抑えることで食欲を抑制して、体重を減らす効果も見込まれるのです。
そのため、アメリカやEU諸国では抗肥満症薬として認可されて多くの肥満症の人がダイエットを行っています。
ただ日本ではGLP-1受容体作動薬は糖尿病治療薬としては認可されていますが、肥満治療薬としては未承認です。
GLP-1受容体作動薬使用に際しては、まれに吐き気・便秘・頭痛・ふらつきなどの副作用が確認されています。
それらの理由から、ダイエットとしてGLP-1を利用する場合は医師の診断と指導が必要なのです。
GLP-1ダイエットを開始する場合は必ずクリニックを受診して、医師に処方してもらう必要があります。
そして医師の指導の下に、無理のないGLP-1ダイエットを行うことが必要なのです。

GLP-1ダイエットについてより詳しく知りたい方は

二人の医者
GLP-1ダイエットについて解説しましたが、無理なく効果的にダイエットを進めるためには医師の診断と指導が必要になります。
また注射での摂取や内服薬での摂取そして容量など、個人により摂取方法が違う場合もあるのです。
GLP-1ダイエットについてより詳しく知りたい場合には、信頼のおけるクリニックを受診して相談することをおすすめします。
何よりも安全にGLP-1ダイエットを行い、できるだけ早く効果をあげるためにも医師の診断は不可欠です。
安価だからという理由で、医師の診断なしでのGLP-1ダイエットはやめましょう。

編集部まとめ

ポイントを示す女性
GLP-1ダイエットは、GLP-1 受容体作動薬を使用するダイエット方法です。

本来2型糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬を、ダイエット目的として利用することは懸念され、日本では承認されていません。

使用方法は注射で行うものと内服薬の2種類ですが、どちらも医師の診断と指導が必要なダイエットとなります。

医師の指導の下で、適切なダイエットを行うことでリバウンドの少ない体重の減少が見込まれるのです。

信頼のおけるクリニックを受診して、注意事項を理解した上でGLP-1ダイエットを行うようにしてください。

この記事の監修医師