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性病検査は受けた方がいい?受けるべきケース・タイミング・検査方法を解説

 公開日:2024/05/21
性病検査は受けた方がいい?受けるべきケース・タイミング・検査方法を解説

性病検査を受けた方がよいのかどうかは、周囲に相談しにくく一人で悩んでしまいがちです。

この記事では、性病検査を受けるべきケースやタイミングのほか、検査を受ける際はどのような方法があるのかについてご紹介します。

性病検査を受けるかどうか迷っている方は参考にしていただければ幸いです。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

性病検査は受けた方がいい?

困惑している女性
性病検査はそもそも受けた方がよいものなのでしょうか?検査を受けなかった場合はどのようなリスクがあるのかについてご説明します。

治療が遅れると合併症や後遺症が起こることがある

お腹が痛い女性
性病検査を受けないと、性感染症の発見が遅れるケースがあります。
性感染症によっては自覚症状がないものもあり、知らない間に病気が進行しているかもしれません。場合によっては心臓・神経・肝臓など重要なところに感染し合併症が起きたり、後遺症が残ったりします。
性感染症に罹ったまま母親となった場合、妊娠中に赤ちゃんに感染して障害が残るだけでなく、死産や新生児期の死亡につながる恐れもあるため注意が必要です。
また、治療が遅れている間にもパートナーなどほかの人にうつすかもしれません。

治療が遅れると不妊の原因になることがある

落ち込んでいる女性
性感染症のなかには、自覚症状がほとんどないケースがあります。
女性の場合、卵管まで炎症が広がってしまうと卵管がくっついて細くなったり詰まったりすることがあり、卵子の通り道が塞がれてしまうのです。
これにより、卵巣から飛び出した卵子が正常に受精して子宮内にたどり着けなくなるため、不妊や子宮外妊娠の原因になります。
さらに、妊娠中に感染したままでいると、流産や早産も起こります。

性病検査を受けるべきケース

聴診器
症状がある方や感染する機会があった方は、放置せずに性病検査を受けた方がよいとわかりました。
検査を早めに受けるべきケースはどのようなものがあるのか具体的にご説明します。

性器にかゆみがある場合

女性ではカンジタ・ヘルペス・トリコモナス・細菌性膣炎などの感染症になると性器にかゆみが出やすく、かゆみのほかにおりものの異常を伴う場合があります。
男性の場合も性感染症によってかゆみが出ます。
ただし、下着やおりものシートなどの刺激による皮膚のかぶれもかゆみの原因の1つです。

性器に痛みがある場合

性器に激しい痛みがある場合は、ヘルペスによって水疱や浅い潰瘍ができているかもしれません。
ヘルペスの場合は足の付け根にあるリンパ節が腫れたり、発熱を伴ったりします。
ヘルペスウイルスは一度治っても完全に体から消えず、体力が落ちると何度も再発しやすいです。
また、男性では淋菌やクラミジアでも排尿時に痛みを感じたり膿が出る場合があります。

性器にしこりができている場合

性器にしこりができている場合は、尖圭コンジローマや梅毒による症状が疑われます。どちらの場合も、触ってしこりに気付く程度で、痛みなどの自覚症状がないことが多いです。
尖圭コンジローマの場合はカリフラワーのような見た目のイボが特徴です。梅毒の場合はしこりのほかに足の付け根にあるリンパ節の腫れが起こります。
梅毒による症状は、時間が経てば自然に消えますが治癒したわけではありません。特に梅毒は全身に症状が及ぶ感染症であり、しこりがあることに気付いたら早めの検査が大切です。

手のひら・足の裏・身体に発疹ができている場合

手のひら・足の裏・身体に淡い赤い色の発疹ができる症状は、バラ疹という梅毒の症状のひとつかもしれません。
これは梅毒の第II期の症状であり、感染後数ヵ月たって梅毒が全身に広がるために起こります。しこりの場合と同様に数週間以内に自然とおさまりやすく、いったん消えても再発するケースもあります。
発疹はアレルギーなどほかの原因によるものかどうか鑑別診断が必要ですので、自己判断せず専門の医師を受診することが大切です。
また、梅毒であればこのとき細菌が全身に広がっているため、肝臓・腎臓・骨などほかの臓器にも影響が及びます。
このまま放置するとさらに悪化していくため、早めに病院を受診して治療を始める必要があります。

おりものに異常がある場合

女性の場合、性感染症によっておりものの異常がみられます。

  • 灰色や、膿のような緑色になっている
  • カッテージチーズのように白くポロポロしている
  • 異臭がする
  • 量が多い
  • 不正出血がある

おりものの性状は普段から観察しておき、いつもと違うときには感染症を疑い早めに検査するのが大切です。
特に不正出血の場合は感染症だけではなくほかの病気の可能性もありますので、早めに性病検査を行いましょう。

性感染症に対する不安がある場合

気になる症状はないものの不安な性交渉があった場合も、検査を受けておきましょう。
自覚症状がほとんどない性感染症もあるため、感染の機会があったときには検査しておくと見逃さずにすみます。
性的接触で感染する病気のなかには、すぐに症状が出なくても命に関わるようなものもあります。B型肝炎など、性感染症とは無関係に思える病気も性的接触により感染する可能性がある病気です。
どの性感染症も避妊具を使うことで感染のリスクを減らすことはできますが、ゼロにはなりません。
オーラルセックスやキスなどの行為でも感染する可能性はあります。不安な行為があったときには一度検査を受けましょう。

性病検査を受けるタイミング

自身のある男性
症状がある場合はなるべく早く検査を受けることが望ましいです。症状があるときは診断がつきやすいため検査や受診に適したタイミングです。
治療が遅れると病気が進行して後遺症が残る場合もあり注意が必要です。ただし、感染症は潜伏期間があるため不安な性行為があってからすぐに検査してもわからないことがあります。
主な性感染症において、症状が出る時期と検査が可能な時期は次のとおりですので、検査を受けるタイミングを考える際の参考にしてください。

  • クラミジア:1〜3週間で症状が出ることが多く、検査でわかるのは24時間経過してから
  • 淋菌:2〜9日で症状が出ることが多く、検査でわかるのは24時間経過してから
  • トリコモナス:1〜2週間で症状が出ることが多く、検査でわかるのは24時間経過してから
  • 梅毒:1〜13週間で症状が出ることが多く、検査でわかるのは通常検査の場合1ヵ月、即日検査の場合2ヵ月経過してから
  • HIV:2〜6週間で症状が出ることが多く、検査でわかるのは通常検査で2ヵ月、即日検査で3ヵ月経過してから

病原体の種類によって検査は細かく種類が分かれており、検査で採取するものも異なります。女性の場合は膣分泌物、男性の場合は尿の検査が多く、採血が必要な検査もあります。

検査方法の種類

お腹を抑える女性
性感染症を調べるためには、どのような検査方法の種類があるのでしょうか。
それぞれメリットやデメリットがあるので、ご自身に合った検査方法を選ぶとよいでしょう。

クリニックを受診する

説明中
専門の医師が診察するので、症状や所見から診断し適切な検査を受けられます。直接陰部の診察をして診断する性感染症の場合は、クリニックの受診が必要です。
クリニックでは保険診療で検査できるため薬代を含めて安くすみます。症状があって辛い場合にも検査結果が出ればすぐ薬が処方されるので早めに対処できるのもメリットです。
また、クリニックによっては女性の医師を希望して診察してもらえます。検査結果をネット上で確認できるようにしてあるクリニックもあり、忙しくて何度も受診できない方は検討するとよいでしょう。
一方、デメリットとしては医師に会って診察となるため羞恥心を感じやすいです。また、保険証を使うと利用履歴が家に届くため、家族に知られるリスクがあり不安に思う方もいます。
保険証を使用せず匿名で検査しているクリニックもありますが、その場合は検査費用などは自費となり、保険診療に比べて高額です。
クリニックによっては、検査結果を聞くために再度受診が必要です。受診には仕事などの時間調整が必要ですし、何度も病院へ出向くことに煩わしさを感じる場合もあります。
クリニックや病院の受診を検討している方は、保険診療なのかどうか・女性医師がいるかどうかなどご自身で気になる条件をよく調べてから受診するとよいでしょう。
土日診療可能なクリニックなど、通いやすいところを探してみるのもおすすめです。

保健所に相談する

笑顔の女性
保健所の場合は匿名で受けられるためプライバシーが守られます。
費用はHIVや梅毒などは無料でできる場所もあり、自治体によりますがクリニックの受診よりもさらに安価に検査を受けられるのもメリットです。
一方、デメリットとしては検査できる感染症の種類や方法が限定されるため、すべての性感染症の診断は不可能です。事前に予約が必要なことも多く、思い立ってすぐに検査に行くことができません。
また、保健所では薬の処方はできない点も要注意です。検査結果が陽性のときにはクリニックなどを紹介され、受診・処方してもらう必要があります。
保健所での検査を希望する方は、検査項目・検査方法・検査できる日時は自治体によって違いますので、お住まいの地域の保健所のサイトで調べるか電話で確認してみるとよいでしょう。

性病検査キットを使用する

検査キッド調整中
検査キットは郵送で完結するため、誰にも知られずに検査できることが大きなメリットです。
いつでも検査できるので手軽ですし、わざわざ受診のために時間を作る必要もありません。
クリニックが監修し販売している検査キットの場合は、提携しているクリニックを受診して処方まで対応可能です。
検査項目が複数セットになっているものを選ぶと、同時に複数の性感染症について検査できます。
デメリットとしては、検査キットの場合は郵送で検査機関に送るため病院などでの検査に比べ検査結果が出るのに時間がかかります。
陽性だった際に、オンライン診療を利用して投薬治療まですると薬もすべて自費です。この場合は保険診療での検査・処方や、保健所での検査に比べて高額です。
検査内容に応じて膣分泌物などを自分で採取する必要があるため、採取の仕方によっては正しい結果が得られません。
尖圭コンジローマやヘルペスなど実際に医師が患部を見て診断する病気は調べられないため受診が必要です。

編集部まとめ

自信のある女性
症状がある場合はもちろん、症状がない場合でも不安な性行為があり性病検査を受けるかどうか迷っているときは性病検査を受けておくことが重要です。

自覚症状がない性感染症の場合、気付かないうちにパートナーに感染させる原因にもなります。

大切な人を守るためにも心配なときは検査を受けて適切な治療をしましょう。

参考文献

この記事の監修医師