胃カメラ前日の食事の注意点|検査後の食事についても解説
胃カメラ(内視鏡検査)は、胃や食道の状態を確認するための検査です。
胃カメラ(内視鏡検査)を受ける方は、前日の食事に注意する必要があります。食べるものにより、検査結果に影響が出る場合もあるからです。
本記事では、胃カメラ(内視鏡検査)前日の食事の注意点についてご紹介します。また、検査後の食事についても解説します。
胃カメラ(内視鏡検査)前後の食事について知りたい方は参考にしてみてください。
監修医師:
田中 茉里子(医師)
目次 -INDEX-
胃カメラ(内視鏡検査)前日の食事の注意点
胃カメラ(内視鏡検査)前日の食事は、次の日の検査に備えていくつかの注意点があります。検査を受ける病院によっても異なりますが、次のような指示が多いでしょう。
- 基本的には21時頃までに食事を終わらせる
- 21時以降はコーヒーや牛乳など色のついた飲み物も控える
それぞれの注意点について解説します。
基本的には21時頃までに食事を終わらせる
1つ目は、食事の時間についての注意で、基本的には21時頃までには食事を終わらせる必要があります。胃カメラ(内視鏡検査)を行う際には、正確に検査するために胃の中を空っぽの状態にしなければならないからです。
また、食事の時間が遅いと胃液の分泌が増えるため、胃の粘膜が刺激されて検査時の痛みや不快感を生じやすくするケースもあります。
食事を早めに済ませることにより、胃の中の食べ物が十分に消化され、検査時に胃の壁をきれいに見られます。
胃カメラ(内視鏡検査)の当日も当然、何も食べずに病院に向かいましょう。なお、午前中に胃カメラ(内視鏡検査)の検査がある場合は食事の時間が前日21時頃までですが、午後の検査の場合は検査開始予定時間の6~7時間前まで食事が可能な場合もあります。
21時以降はコーヒーや牛乳など色のついた飲み物も控える
もう1点は、飲み物についての注意で、21時以降はコーヒーや牛乳など色のついた飲み物も控える必要があります。理由は食事と同じで、検査に影響を与える可能性があるからです。
色のついた飲み物は胃の中に残りやすく、検査時に胃の壁が見えにくくなります。特にコーヒーや牛乳は胃酸と反応して黒い粘液を作りますが、この粘液は胃カメラでの吸引が難しく、検査を妨げる原因になるでしょう。
水・お茶・紅茶・スポーツドリンクなど、濃い色がついていない飲み物は飲んでも構いません。ただし、あまり量を多くしないようにしたほうが良いでしょう。
また、検査当日も、間違えて色のついた飲み物を飲まないよう注意しましょう。
胃カメラ(内視鏡検査)の後の食事はいつから大丈夫?
ここまで、胃カメラ(内視鏡検査)前日の食事について説明してきましたが、検査後の食事について知りたい方もいるでしょう。胃カメラ(内視鏡検査)の後の食事はいつから大丈夫なのでしょうか。
答えは、1時間後くらいから食事をしても大丈夫です。しかし、検査後に食事をする際にはいくつか注意すべき点もあります。
次に、胃カメラ(内視鏡検査)の後の食事について詳しく解説します。
1時間後くらいから食事をしても良い
胃カメラ(内視鏡検査)の後の食事は、1時間後くらいから摂っても問題ありません。胃カメラ(内視鏡検査)の際には喉頭麻酔を行っているため、検査直後に食事をすると、食べ物が食道に入らず気管に入る可能性があります。
また、検査中は胃に空気を送り込むので、胃が膨らんで食欲がなくなる場合も多いでしょう。麻酔や空気は1時間ほどで影響がなくなるので、それまでは時間を空けるようにしましょう。
次に、検査後の食事について注意すべき点をご紹介します。
急に多く食べないように注意する
まず、胃カメラ(内視鏡検査)の後に食事する際は、急に多く食べないように注意しましょう。胃カメラ(内視鏡検査)の検査では前日から絶食や水分制限を行う場合もあります。
検査後は空腹感が強い場合もありますが、急に多く食べると胃に負担がかかり、吐き気や胸やけなどの症状が出る可能性があるでしょう。
また、先に述べたように麻酔を使用した場合、食べ物が気管に入る可能性もあります。麻酔の効果がまだなくなっていない場合もあるので、最初は少しずつ水を飲んでみて、むせたり気分が悪くなったりしないことを確認してから少量ずつゆっくり食事をしましょう。
消化の良い食べ物がおすすめ
胃カメラ(内視鏡検査)の後の食事でも、検査前と同様、消化の良い食べ物がおすすめです。胃カメラ(内視鏡検査)の検査では胃の粘膜を観察したり、組織を採取したりする場合があります。
そのため、検査後は胃の粘膜が刺激されやすい状態です。油分の多い食事・刺激の強い食べ物・過度の飲酒など胃の粘膜を刺激する食事は控えましょう。
具体的には、やわらかいごはん・おかゆ・うどんなどの食事がよいでしょう。また、飲み物についても、お酒・コーヒー・炭酸飲料などよりも麦茶やスポーツドリンクなどがおすすめです。
組織の採取をした場合は特に食事内容に注意が必要
胃カメラ(内視鏡検査)で組織の採取をした場合は、特に食事内容に注意が必要です。刺激の強い食事や飲み物によって胃もたれが起きたり、組織を採取した部位の出血などがあったりするからです。
また、細菌感染のリスクも高まります。出血があったとしてもほとんどの場合はすぐに止まりますが、出血の可能性がある以上、注意は必要です。消化の良い食べ物を心がけましょう。
また、消化の良い食べ物を食べるようにするとともに、血液凝固を阻害したり、細菌感染を引き起こしたりするものは避けましょう。具体的には、アスピリンやワーファリンなどの血液をサラサラにする薬や、生魚・牛肉などの生ものなどは控えます。
胃カメラ(内視鏡検査)前日におすすめの食べ物
次に、胃カメラ(内視鏡検査)前日におすすめの食べ物をご紹介します。具体的には、次のような食べ物がおすすめです。
- うどんやおかゆなど消化の良い食べ物
- スープ
それぞれの食べ物について詳しく解説します。
うどんやおかゆなど消化の良い食べ物
胃カメラ(内視鏡検査)前日には、うどんやおかゆなど消化の良い食べ物がおすすめです。消化の悪い食べ物だと胃の中に繊維などが残ってしまい、正確に検査できなくなるでしょう。
消化の良い食べ物にすれば、検査前に胃の中をきれいにできます。消化の良い食べ物とは、胃内滞留時間が短いものです。
胃内滞留時間は栄養により異なり、糖質はタンパク質や脂質より短い傾向があります。そのため、糖質の多いうどんやおかゆがおすすめです。
また、胃内滞留時間は調理方法によっても変わります。煮込んだり、細かく刻んだりすれば、消化を助けて胃内滞留時間を短くできるでしょう。
スープ
検査前日におすすめの食べ物にはスープも挙げられます。スープは水分補給と栄養補給に優れた食べ物です。
スープといっても具だくさんのものではなく、コンソメスープやポタージュスープのような具の入っていないスープがおすすめです。コーンスープのようにツブツブが入っているものは避けましょう。
また、乳製品や野菜などが入ったスープも避けてください。具が入っていないと寂しい方は、豆腐を入れたみそ汁なども良いでしょう。
食べても良いか判断に迷う場合は、検査を受ける病院に相談することをおすすめします。
胃カメラ(内視鏡検査)前日に避けたほうが良いもの
反対に、胃カメラ(内視鏡検査)前日には避けたほうが良いものもあります。具体的には、次のようなものです。
- 油分の多い食べ物
- 食物繊維の多い食べ物
- アルコール類
それぞれの食べ物をなぜ避けたほうが良いのか詳しく解説します。
油分の多い食べ物
胃カメラ(内視鏡検査)前日には避けたほうが良いものの1つは、油分の多い食べ物です。油分(脂質)はもっとも胃内滞留時間が長いため、消化に時間がかかってしまうからです。
前日に油分が多い食べ物を摂ると、胃の中に残った食べ物が内視鏡の視界を妨げたり、検査中に吐き気を引き起こしたりする可能性があります。
油分が多い食べ物には、揚げ物・ベーコン・ソーセージなどの加工肉・豚バラ肉などがあります。肉や魚も食べられますが、鶏もも肉・むね肉・淡白な白身魚などを選びましょう。
また、調理方法もできるだけ油で揚げるのではなく、煮たり焼いたりしたものやスープなどを中心にすると良いでしょう。
食物繊維の多い食べ物
胃カメラ(内視鏡検査)前日には避けたほうが良いものには、食物繊維の多い食べ物もあります。食物繊維の多い食べ物は消化されにくく、体内では溶けないため、繊維が胃の中に残ってしまうからです。
また、食物繊維の多い食べ物は腸の働きを活発にするので、検査当日に下痢や腹痛を起こす可能性があります。さらに、食物繊維には水分を吸収する性質もあり、十分に水分補給しないと便秘になる可能性もあります。
食物繊維は少量でもなかなか消化されないので、注意しましょう。食物繊維が多い食べ物には、野菜・果物・海藻・玄米などが含まれます。
また、全粒粉・胚芽・ブラン・ライ麦の入ったパンや、野菜サンドイッチなどもできるだけ避けたほうが良いでしょう。
アルコール類
最後に、アルコール類も胃カメラ(内視鏡検査)前日には避けたほうが良いものになります。アルコールは刺激が強いため、飲酒をすると胃の炎症や出血が起こるなど胃を荒らしてしまう可能性があるからです。
さらに、胃潰瘍や逆流性食道炎などの病気が悪化する可能性もあります。もし検査前に胃が荒れると、検査結果が正確なものとはならないでしょう。また、アルコールには血管を拡張する作用もあり、組織を採取した際に出血するリスクもあります。
ほかにも、アルコール類は睡眠の質を低下させるため、検査当日の体調不良やストレスにつながる可能性もあるでしょう。クリニックによっては飲酒をOKとしている場合もありますが、基本的には避けたほうが良いでしょう。
胃カメラ(内視鏡検査)当日の流れは?
胃カメラ(内視鏡検査)当日の流れをご紹介します。病院に行ったら受付で必要な書類を提出し、検査の説明を受けましょう。
検査の説明では、検査の目的・方法・リスクや注意点などを医師や看護師から聞きます。質問や不安な点がある場合は遠慮せずに質問しましょう。
次に、検査室に移動し、検査着に着替えます。上着・ネクタイ・アクセサリーなどを外しましょう。検査室では、口にガーゼを噛んだり、麻酔スプレーを噴射したりして喉の痛みの緩和したり嘔吐反射を抑えたりします。
検査が始まると、医師が機器を口から喉に挿入します。経鼻内視鏡の場合は、鼻から細い管を挿入する形です。機器の先端には超小型カメラとライトがついていて、胃や十二指腸内部を映像で確認できます。
胃カメラ(内視鏡検査)では体内を通るときに空気を送り込むため、おなかの張りやげっぷが出そうになります。これは正常な反応なので心配する必要はありません。検査中は医師の指示に従ってゆっくり呼吸したり、体位を変えたりしましょう。
検査は通常5~10分ほどの短時間で終了します。胃カメラ(内視鏡検査)終了後は検査室から出て、休憩室に移動します。休憩室でしばらく安静にしましょう。
麻酔の効果が切れるまでは飲食は控えます。また、運転や重いものの持ち運びなども控えましょう。
検査結果については休憩後、もしくは後日医師から説明があります。
胃カメラ(内視鏡検査)当日は水分を摂っても大丈夫?
胃カメラ(内視鏡検査)当日は水分を摂っても大丈夫なのか心配な方もいるでしょう。結論からいえば、基本的にお茶や水なら大丈夫です。
ただし、検査を受ける病院の指示に従うことが大事です。ここでは、胃カメラ(内視鏡検査)当日の水分摂取について解説します。
基本的にお茶や水なら大丈夫
胃カメラ(内視鏡検査)当日は、基本的にお茶や水なら水分を摂っても構いません。すでに説明したとおり、コーヒーや牛乳など色のついた飲み物は検査結果に影響を与えるため、控えましょう。
濃い色がついていない飲み物を飲みましょう。また、カフェイン入り飲料・炭酸飲料・甘い飲料などは胃の動きや分泌物に影響を与える可能性があります。胃カメラ(内視鏡検査)の精度や安全性を高めるため、こうした飲料は控えましょう。
検査を受ける病院の指示に従うのが大事
胃カメラ(内視鏡検査)当日の水分摂取については、検査を受ける病院によって細かな点で指示が異なる場合もあります。病院によっては、当日の水分摂取をしないように指示するケースもあるでしょう。
例えば、鎮静剤を使用する場合は、検査の2時間前から水分を控える必要があります。鎮静剤を使用しない場合は検査の直前まで水分を摂っても問題ありません。特に指示がない場合は病院に確認しましょう。
編集部まとめ
ここでは胃カメラ(胃内視鏡検査)は何歳から受けると良いのか、推奨される年齢や受診の頻度も解説しました。
胃カメラの検査は何歳から受けられるといった年齢制限はありませんので、医師の判断によっては子どもでも受けることが可能です。
ただし、胃がんや十二指腸がんなどのリスクが高まる40歳前後から胃カメラによる検査が推奨されています。
胃カメラによる検査の受診の頻度として、症状がない場合は2〜3年に1度は実施しましょう。
また、ポリープがある場合やポリープを切除した場合は年に1回の受診をおすすめします。
参考文献