大腸カメラ(大腸内視鏡検査)後は運転できないって本当?検査後の制限や対処法を紹介
大腸カメラは、肛門から内視鏡を挿入し、大腸と小腸の一部の異常を直接調べます。一般的には、大腸の腫瘍・炎症など、大腸内の病変が疑われる際に行われる検査方法です。
「大腸カメラはつらい」と漠然と認識されている方も多いでしょう。しかし、近年は検査に伴うリスクの少ない方法として認識が広がりつつあります。
なかなか馴染みのない検査のため、知らない方も多いかもしれませんが、大腸カメラ検査後は運転を避けるよう指導されます。そのため、患者さんは帰宅方法を事前に確保しておくことが必要です。
この記事では、大腸カメラ検査後に運転を避けるよう指導される理由や、検査前後に設けられる行動制限について詳しく紹介します。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)後は運転できない?
通常、大腸カメラ検査を受けた当日は運転を避けるよう指導のされます。検査が予定されると、医師・看護師などから事前に注意事項の説明があります。
検査に伴うリスクを最小限に抑えるために重要なため、運転に関する制限も含め内容をよく確認しておきましょう。
検査後に行動制限される理由と制限期間
大腸カメラ検査を無事に終えたことに安堵し、安心感から気が緩んでしまうかもしれません。
しかし、検査後にも細かな行動制限が設けられており、よく理解しておくことが必要です。病院からの指導に従い、検査後の体力の回復に専念することが重要です。
運転制限の場合
検査の苦痛緩和のために、感覚を鈍らせる薬剤が使用されます。検査後しばらく薬剤の効果は持続します。
麻酔から覚めていると感じていても、薬剤により副作用が生じる可能性を考慮し、検査当日の運転を避けるよう指導されます。
公共交通機関を利用するなど帰宅方法を事前に確認し、安全を確保しておくことが非常に重要です。
食事制限の場合
大腸カメラ検査のみと、大腸ポリープ切除手術を受けた場合とでは、食事に関する制限にやや違いがあります。
原則として、どちらのケースでも、検査後・手術後はすぐに食事をとることはできません。
詳細な制限内容については、病院の方針・個人の健康状態などによって異なるため、検査を実施する医療機関の指導に従ってください。
大腸カメラ検査のみの場合、検査後、喉の麻酔の効果がなくなるまでの約1時間は飲食を控えることが推奨されます。
少量の水を飲んでみて、吐き気など気分が悪くならなければ食事を再開していただけます。
ただし、検査による組織刺激により少量出血が伴うことも少なくありません。検査当日は、急激な消化器活動や血流増加を引き起こす食べ物は避け、おかゆ・うどんなど消化に負担の少ない優しい食事から始めていきます。
検査翌日、体調が良好であれば、通常の食生活に戻しても問題ありません。
大腸カメラ検査のみの場合では、検査後、喉の麻酔の効果がなくなるまでの約1時間は飲食を控えることが推奨されます。
少量の水を飲んでみて、吐き気など気分が悪くならなければ食事を再開していただけます。
ただし、検査による組織刺激により少量出血が伴うことも少なくありません。検査当日は、急激な消化器活動や血流増加を引き起こす食べ物は避け、おかゆ・うどんなど消化に負担の少ない優しい食事から始めていきます。
検査翌日、体調が良好であれば、通常の食生活に戻しても問題ありません。
大腸ポリープを切除した場合は検査のみと比べ、出血のリスクはより高まります。切除したポリープの数・大きさなどにより異なりますが、基本的には当日の夕食から食事再開可能です。
検査後から3〜4日程度は、おかゆ・豆腐・うどん・白いパンなど消化の良い食事を心がけます。
血流を促進させる原因となる、刺激物・過度な脂質・アルコールは避けてください。
また、普段体に良いとされる麦ご飯・胚芽パン・ライ麦パンなどの食物繊維を含む食材も避けることが推奨されます。
食物繊維は小腸で吸収されず、大腸に蓄積されるため、消化活動を刺激するため注意が必要です。
運動制限の場合
検査当日は、家事や軽い労働など生活に必要な動作は問題ありません。しかし、激しい運動や腹部に過度な力を加える行為は控えてください。
検査中にポリープ切除が行われた場合は、約1週間は出血などの術後トラブルのリスクがあります。そのため、検査当日から2〜3日程度は過度な身体活動を避け、より安静に過ごすことが大切です。
また、旅行をはじめとした遠方への外出に関しても、1週間は控えるよう指導があります。内視鏡の検査では、鎮静薬を使用し体内に器具を挿入するなど、身体は一時的に大きな負担を受けています。
意識的に体を労わる生活を心がけ、身体回復のためのケアに集中することが大切です。
大腸カメラ検査後によくある制限とは
検査前日から検査後まで、非常に細かな行動制限が設けられています。一般的な制限内容を以下に紹介します。
自転車・バイク・車などの運転制限
鎮静薬 ・麻酔薬の使用により、大腸カメラ検査中の不安感・苦痛などさまざまな症状を軽減することができます。ただし、これらの薬剤には必ず副作用が伴うことを患者さん側も理解しておくことが大切です。
特に、血圧低下・呼吸抑制による低酸素血症といった副作用には注意が必要といえるでしょう。これらの薬剤効果は検査後もしばらく持続することから、通常当日の運転を避けるよう指導されます。
事故リスクを最小限に抑え、安全を確保するための措置であると認識することに努めましょう。
刺激物・ハイカロリーな食事・アルコール飲料の制限
通常、検査後約1時間後に飲食が可能になります。最初は少量の水から試し、気分が悪くならなければ、徐々に食事を再開して問題ありません。
ただし、検査により組織が刺激され出血が生じることがあります。刺激物・アルコールなど、消化器官を急激に活発にし血流を促進するような食べ物は避けてください。
また、脂質が多い食材は、水に溶けにくく、消化から吸収までに時間がかかります。正常な消化活動に影響を与える可能性があるため、過度な脂質摂取をしない食生活が望ましいです。
過度な飲食を控え、消化の良い食事を心がけます。また、検査のための下剤内服・食事制限により身体は脱水傾向にあるため、こまめな水分補給を行うことも大切です。
- 消化の良い食品:うどん・白米・豆腐・卵・乳製品・白いパン・肉・魚など
- 避けた方が良い食品:茸類・海藻類・豆類・こんにゃく・玄米・胚芽パン・ライ麦パン・繊維の多い野菜・アルコール・香辛料・脂質の多い食材など
激しい運動や長風呂の制限
内視鏡による組織への刺激から、検査後は肛門から少量の出血が生じることがあります。異常がなければ、2〜3日で自然に収まります。
しかし、運動・長風呂などの血流を促進させる行動を取ると、出血量が増加する可能性が高まりかねません。出血が想定よりも長引くこともあるため、指導された行動制限に従い、出血リスクを軽減する安静な環境で過ごすことが必要です。
検査のみの場合、検査当日の入浴は、軽いシャワー程度にとどめておくことが無難です。
大腸ポリープを切除した方は、検査のみと比べて出血リスクが高くなります。そのため、検査から3日間はシャワーのみで過ごし、血流を促進させないよう注意が必要です。
運動に関しても、切除部位からの出血を予防するため、10日間程度は自宅で安静に過ごすよう行動制限が設けられることが一般的です。
スポーツ全般はもちろん、散歩など軽い運動も、できる限り控えることが望ましいでしょう。
大腸カメラ検査後に運転したい場合
大腸カメラ検査では、鎮静剤・鎮痛剤の使用による身体への影響が考慮され、検査後は運転を避けるよう指導されます。
大腸カメラ検査が原因で起こる体調不良と対策
内視鏡検査では、薬剤・器具の挿入・組織への刺激など、さまざまな医療行為が含まれています。
これらが要因となって引き起こされる症状は様々です。ここでは、一般的によく見られる症状の一部を紹介します。
腹部の張りや痛み
これらの症状を和らげるには、ガスを排出することが重要です。積極的にガスを出すことで、腹部の圧迫感が解消され、痛みも徐々に緩和されます。
検査中、気分がすぐれない・強い不安感・我慢できないほどの痛みなどが生じた場合、速やかに医師・医療スタッフに症状を伝えて対処を受けてください。
少量の出血
内視鏡による組織への接触で、検査後に数時間肛門から軽い出血が見られることがあります。
検査時にポリープが見つかった場合、検査の途中で切除処置を同時に行うことがあります。処置中の痛みはありませんが、2週間程度は出血が続くケースもあり得るため、注意です。
肛門からの出血が少量であれば心配する必要はありません。しかし万が一出血量・痛みが増加し、症状が継続する場合は、速やかに病院に連絡する必要があるため注意してください。
頭痛や嘔吐
大腸カメラ検査では、腸の状態を詳細に観察するために腸内を空っぽにする必要があります。腸内に詰まりなどの汚れが残っていると、微小な病変を見落としてしまうことになるからです。
そのため、検査前日には下剤の内服が必要です。また、検査当日には苦痛緩のための麻酔薬を投与しています。
このように、大腸カメラ検査には様々な薬剤を用いて実施されるものです。その結果、薬剤の副作用として、頭痛・嘔吐などの症状を認めることがあります。
これらの症状は発現頻度が高く、通常は自然に改善されることがほとんどです。しかし、長時間症状の改善が見られず我慢できないほど症状が重篤な場合は、速やかに担当医師に相談してください。
大腸カメラ検査をする上で大切なポイント
検査実施までの注意事項を順守できず予定通り検査を受けられなかった場合、病気の発見が遅れ、病状悪化のリスクが高まります。
ご自身の健康のためにも、検査を実施する医療機関からの指導の重要性をよく理解することが大切です。
検査前後の行動制限は事前に確認
大腸の内部を詳細に観察するために、検査前日から検査後にかけて多くの行動制限が必要です。こうしたプロセスは、単に検査の精度を向上させるだけではありません。
患者さんの安全性を確保し、検査に伴うリスクを最小限に抑えるために非常に重要な役割を持っています。
検査前後の細かな制限事項を十分に理解し、検査が円滑に進むよう心がけましょう。
検査後はゆっくり休める環境を準備
便を強制的に排出し、体力が低下した状態で行う大腸カメラ検査は、自分が思う以上に身体への負担がかかるものです。
さらに、検査当日は麻酔・鎮痛剤の使用による副作用が発生する可能性も考えられます。さらに、検査中にポリープが発見された場合は、基本的に切除処置が行われます。
ポリープの大きさや、患者さんの状態によっては、入院が必要とされることも少なくありません。その場合、回復にはより時間・特別な行動制限が必要となります。
検査が予定された時は、身体への負担が大きいことや入院の可能性も考慮し、余裕を持ったスケジュールと準備が大切です。
検査プロセスに入る前に、帰宅方法も含めて自宅でゆっくりと休息できる環境を確保しておくことが重要です。
おならは我慢しない
患者さんとしては、大腸カメラ検査の際に、ガスが出てしまう場面に対して羞恥を覚えることは少なくないでしょう。
空気が送り込まれ腹部が膨張することで、痛み・不快感を生じることもあります。これらの症状を軽減するためには、しっかりとガスを出すことが非常に重要です。
無理に我慢することで、体調不良を起こし検査が中断されれば、病気発見の遅れに繋がりかねません。大腸カメラ検査において、ガスの排出は必然的に起きる現象と認識し、我慢せずに排出することを心がけましょう。
体調不良は我慢せず医師に相談
近年、大腸内視鏡検査のリスクは低減傾向にあり安全性が向上しています。
しかし、組織検査やポリープの切除といった処置には、まれに出血や穿孔などの偶発症が発生するリスクも避けられない現実として存在します。
大腸内視鏡検査を受ける患者さんは、検査の前段階だけでも苦痛・不快感を伴う準備が必要とされ、心身への負担は予想以上に大きいものです。
検査前・検査中・検査後に関わらず、体調がすぐれない場合や違和感を覚えた際は、躊躇わず速やかに担当の医師に相談してください。
正直に伝えることで、医師は患者さんの状態を把握し、必要な処置を迅速に行うことができます。
編集部まとめ
今回は、大腸カメラ検査後に運転を避けるよう指導される理由や、検査前後に設けられる行動制限について解説しました。
検査後の運転制限・食事制限などの行動制限は、患者さんの安全を第一とし、検査の効果を最大化するために設けられています。
大腸カメラ検査は様々な薬剤・医療行為が用いられるため、できればしたくない検査の一つかもしれません。しかし、病気の早期発見に重要な役割を担う検査です。
健康への投資として検査を受け、検査前後のケアは医師の指示に従うよう心がけましょう。
参考文献