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適応障害とうつ病の違い:症状、原因、治療方法について解説

 更新日:2023/09/27
吉岡先生

うつ状態を来たす代表的な2つの疾患「適応障害とうつ病」について、それぞれ解説します。

吉岡 鉱平

監修医師
吉岡 鉱平(Baseクリニック赤坂)

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Baseクリニック赤坂院長。福井大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学麻酔科を経て麻酔科専門医として活動後、精神医学研究所附属東京武蔵野病院で日本精神神経学会精神科医専門医を取得。2023年、東京都港区に「Baseクリニック赤坂」を開院。心と身体の土台(Base)からの健康をコンセプトにした医療の提供を心がけている。日本精神神経学会専門医、精神保健指定医、麻酔科標榜医、日本医師会認定産業医。

症状と診断基準

症状と診断基準

適応障害の症状と診断基準

  • 明確なストレス(きっかけ)に反応して、その始まりから3ケ月以内に症状が出現。
  • 原因となるストレスに不釣り合いなほどに著しい苦痛、仕事、学校、家庭など社会的活動に大きな支障を来している。
  • 正常な死別反応や、うつ病などの他の精神疾患の診断基準を満たさない。
  • 原因となるストレスとその影響が収まれば、6ヶ月以内に症状が消退する。
  • (DSM-5より一部抜粋)

適応障害では、下記の様な症状が表れると考えられますが、その持続期間や症状の数などに明確な基準はありません。

抑うつ症状

抑うつ気分、興味や喜びの消失、気力減退、不眠や過眠、 集中力低下、記憶力低下、拒食や過食(体重増減)

不安症状

不安や恐怖、イライラや焦燥感、過度な囚われや反芻思考

身体症状(自律神経失調症状)

センターラインの痛み(頭痛、首痛、胸痛、腹痛、背部痛、腰痛など)、 微熱、めまい、耳鳴り、ふらつき、動悸、倦怠感、吐き気、肩こり、関節痛、便秘や下痢など

問題行動

自傷、暴力、暴飲暴食、依存行動(ギャンブル、買い物、アルコールなど)、癇癪、ひきこもり、夜尿、素行不良や問題行動等、多岐にわたる

うつ病の症状と診断基準

一方、うつ病の診断基準は、より細かく設定されています。以下の9つの症状のうち、1か2のどちらかを必ず含み、合計で5つ以上が同時に2週間以上、ほとんど1日中、ほとんど毎日持続し、その為に仕事や日常生活に支障をきたしている場合となります。

  • 1.抑うつ気分(注:子どもや青年では易怒的な気分を生じる場合もある)
  • 2.ほとんど全ての活動における興味または喜びの著しい減退
  • 3.体重の増減または、ほとんど毎日の食欲の減退または増加
  • 4.不眠または過眠
  • 5.精神運動焦燥または制止
  • 6.疲労感、または気力の減退
  • 7.無価値感、または過剰であるか不適切な罪責感
  • 8.思考力や集中力の減退、または決断困難
  • 9.死についての反復思考や自殺念慮
  • (DSM-5より抜粋)

例えば、大切な人との死別や重篤な病気への罹患など、誰にとってもつらい出来事に遭遇すると、強い悲しみ、喪失の反芻、不眠、食欲不振、体重減少などが現れることがあります。
これらは、人としてごく自然な反応であるかもしれませんが、抑うつエピソードを認め、診断基準を満たす場合はうつ病であると考え、治療対象となります。

原因

原因

適応障害の原因

適応障害は、明確なストレスとなる出来事がきっかけとして症状が出現します。持続的なストレスにより、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌により、交感神経の持続的な興奮で自律神経系のバランスが乱れ、身体の様々な症状として表れると考えられます。

うつ病の原因

うつ病の原因やメカニズムには諸説あり、単一の原因というよりは様々な機序が複雑に絡み合っていると考えられます。

代表的なものとしては、

  • 脳内のセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の不足や調節不全
  • 脳神経細胞の萎縮や細胞間のネットワーク不全

などが提唱されており、上記を引き起こす種々の要因として、持続的ストレス遺伝的要因栄養素不足など様々な要因が考えられています。

また、性格特性として、物事を悲観的に捉えやすい人や責任感が強く自分を追い込んでしまう人に多いという特徴があります。あるいは、対人過敏性の高さや自発的なコミュニケーションが苦手で自分の気持ちを伝えることが不得手だったり、上手く周りに助けを求められなかったり、問題を解決する為の主体的な行動に移れないタイプの方も、うつ病に至りやすいと言われます。

これらは遺伝的な側面もありますが、過去のトラウマや対人関係での苦い体験を通して、その人の認知の癖が形成される場合もあります。

あるいは、よくよく調べていくと、背景に発達障害や境界知能などがあり、その二次障害として、適応障害やうつ病を併発しているケースも存在します。

検査

まず、抑うつ状態の原因検索と鑑別を行います。具体的には、ステロイドなどの薬剤性うつの鑑別、さらに、採血検査により甲状腺機能低下など、うつ状態を引き起こし得る身体疾患の除外を行います。
当院では、採血検査で貯蔵鉄(フェリチン)や亜鉛など、うつを引き起こす可能性のある栄養素不足もチェックしています。

治療

治療
抑うつ状態が強い場合、まずストレスによる過剰な交感神経の興奮を解除する必要があり、落ち着いてリラックスできる環境、充分な休息、休養が必要となります。また、悩みを共有できる他者の存在が精神的な負担を軽減する場合もあり、カウンセリングも有効と言えます。

さらに、不眠や不安、焦燥感、身体症状が強い場合は、睡眠薬、抗不安薬などで症状を和らげる治療を行います。しかし、これらは原因に対する治療ではありませんので、あくまでも一時しのぎです。単に薬で症状を抑え込むだけでは、依存や離脱症状のリスクなどもあるので、漫然とした投薬には注意が必要です。

適応障害の治療

適応障害の場合、最もシンプルな治療法は環境調整です。つまり、ストレスの原因となっている問題の早急な解決です。勿論、全ての問題が簡単に解決できない場合もありますので、その場合は、関係者との話し合いの中で落とし所を見つけたり、現実的な見通しを立てていくことで症状が改善されていく場合が多いと言えます。逆を言えば、ストレスを放置し続けると、うつ病に移行してしまう可能性もあります。

うつ病の治療

抗うつ薬

最も代表的な治療は抗うつ薬による薬物治療です。しかし、抗うつ薬では寛解率は3〜6割と言われており再発も多く副作用や離脱の問題もあります。

TMS

TMS治療は、薬物治療に変わる治療法として近年注目を浴びています。脳の特定の領域に磁気刺激を加えることで神経細胞の活動を調整する治療法です。
TMS治療のメリットは、薬物療法と比較して副作用が少ない点です。抑うつ、不安、集中力改善に対して効果が期待できます。何らかの理由で薬が飲めない方、飲みたくない方の選択肢として有効です。当院でもTMS治療をお受け頂けます。

心理療法

少し精神的な余裕が生まれ、状況の振り返りが出来るようになってきた際は、心理療法が有効です。エビデンスの確立されている心理療法としては、認知行動療法対人関係療法があります。
認知行動療法は、物事の認知(捉え方)を修正し適切な行動を取れるようにしていく心理療法で、対人関係療法は、重要な他者との関係性の中からコミュニケーション分析や対人スキルの習得を行うことで改善を目指す心理療法です。当院では心理士によるオンライン心理療法を実施しています。

予防

予防
うつ病は再発率の高い病気であり、改善した後も将来的なストレスに備えて、ストレス耐性や回復力(レジリエンス)の強化に取り組むことが大切です。

具体的には、食事と栄養運動睡眠休息捉え方対人スキルなど、メンタルマネジメントにおける正しい知識の理解と実践スキルの習得自助グループなどの有用なコミュニティの活用などを通して、新たなメンタル不調を予防します。時には、人生の価値観に基づき、生き方を見つめ直す作業が必要となる場合もあります。

オンライン診療を含め、限られた診察時間の中だけで必要なことを全てお伝えすることは難しく、当院では、患者さんが自宅にいながら好きなタイミングで正しい知識や必要な情報に触れ、コミュニティとしても利用できる場所として、メタバースを利用したメンタルプログラムの提供をスタートさせています。

適応障害、うつ病のご相談はBaseクリニックへ

適応障害、うつ病のご相談はBaseクリニックへ
一口にうつと言っても、病態や原因は様々です。当院では初診からの保険診療によるオンライン診療も可能で、全国から患者さんがいらっしゃいます。(処方制限など一定の条件があります。)

通り一辺倒な薬物治療ではなく、患者さん毎にどういう状態かを見極め、原因や背景を考慮し、適切なアプローチを提案できることがこれからのメンタル医療のスタンダードであると考えます。是非、当院へご相談下さい。

アクセス・住所・診療時間

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東京都港区赤坂2-10-15 溜池ミツワビル 7F

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○:10:00〜17:00
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※最終受付は、診療終了の1時間前です。

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