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大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は鎮静剤なしでもできる?痛みを軽減する方法も紹介

 公開日:2024/02/07
大腸カメラ 鎮静剤なし

大腸カメラ大腸内視鏡検査)は大腸の状態を詳しく調べる検査です。しかし、大腸検査は痛いというイメージがあり、恐怖や不安を感じる人もいるでしょう。

痛みを軽減するには鎮静剤が有効ですが、副作用のリスクやアレルギーがあるために使用できない人もいます。鎮静剤を使用しない場合は、検査中に痛みや不快感が生じる可能性があるでしょう。

そのため、大腸カメラ大腸内視鏡検査)は鎮静剤なしでもできるのか知りたい人もいるのではないでしょうか。

本記事では、大腸カメラ大腸内視鏡検査)は鎮静剤なしでも可能かどうかを解説します。また、検査中の痛みを軽減する方法も紹介します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

大腸カメラとは

大腸カメラとは
大腸カメラ大腸内視鏡検査)とは、そもそもどのような検査なのでしょうか。最初に、大腸カメラ大腸内視鏡検査)の目的・検査方法・検査にかかる時間と費用について解説します。

検査の目的

大腸カメラ大腸内視鏡検査)とは、大腸の中をみる検査で、「下部消化管内視鏡」と呼ばれることもあります。
肛門から直腸・大腸・盲腸までの下部消化管の中をカメラで直接みるため、ポリープ・がん・潰瘍性大腸炎・クローン病などの疾患がないかを確認し、適切な治療を考えられます。
ポリープやがんがみつかった場合は生検や切除を行い、病気の診断や治療まで行えるのもメリットです。
便秘・下痢などの便通異常・血便・慢性の腹痛などの症状がある人は、大腸カメラ大腸内視鏡検査)を受けることをおすすめします。
また、自費診療になりますが、希望により人間ドック等で受けることも可能です。ポリープやがんは初期段階では自覚症状がないことも多いため、定期的に検査を受けることが推奨されています。

検査方法

大腸カメラ大腸内視鏡検査)の検査方法は、最初に前処置を行います。準備なしに大腸にカメラを入れても便が視界を妨げ詳細に診断できないからです。
前処置は下剤を飲んで腸の中をきれいにします。当日は鎮静剤や局所麻酔を使用する場合もありますが、必ずしも使用しなければならないわけではありません。
その後、お尻から細いファイバースコープについたカメラ(内視鏡)を挿入して大腸の1番奥まで進み、カメラを抜きながら下部消化器官を観察していく流れです。
検査中は腸の中をしっかりとみるため、空気を入れて大腸が膨らんだ状態で隅々まで観察します。後で詳しく解説しますが、空気ではなく、水を使用して内視鏡を腸の中で進める方法もあります。
もし、ポリープやがんがみつかった場合は、組織を一部切除して生検を行ったり、切除可能な病変であればその場で切除したりできるでしょう。

検査にかかる時間と費用

大腸カメラ大腸内視鏡検査)にかかる時間ですが、検査そのものは10〜15分前後で終了します。ポリープを切除する場合は少し時間が延びますが、多くの場合は30分程度で終了するでしょう。
検査が終了した後は必要に応じて休憩します。鎮静剤を使用した場合は、眠気が覚めるまで30分〜1時間程度休憩する必要があるでしょう。
次に大腸カメラ大腸内視鏡検査)にかかる費用についてですが、保険適用の3割負担の場合で診察料を含めて8,000~9,000円程度、病変を切り取る処置を受けた場合は13,000~20,000円程度です。
また、鎮静剤や局所麻酔をする場合は別途費用が必要になります。

大腸カメラは鎮痛剤なしでもできる?

大腸カメラは鎮痛剤なしでもできる?
結論からいえば、大腸カメラ大腸内視鏡検査)は鎮静剤なしでも行えます
ただし、大腸カメラ大腸内視鏡検査)の検査方法のところでも説明したように、お尻から細いファイバースコープについたカメラ(内視鏡)を挿入して大腸の1番奥まで進めます。そのため、鎮静剤なしだと痛みや不快感を覚える可能性があります。
痛みや不快感を軽減するために役立つのが鎮静剤です。しかし、鎮静剤はすべての人が使用できるわけではありません。
鎮静剤の成分にアレルギーがある人は使用できませんし、副作用が生じる可能性があるために使用したくない人もいるでしょう。また、鎮静剤を使用した場合はしばらく影響が残るため、運転ができないなどのデメリットがあります。
鎮静剤を使用しなければすぐに日常生活に戻れるのもメリットです。鎮静剤は検査中の痛みや不快感を軽減するのに有効ですが、それ以外にも痛みを軽減する方法はあります。
本記事では、鎮静剤以外の痛みを軽減する方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

大腸カメラの痛みについて

大腸カメラの痛みについて
大腸カメラ大腸内視鏡検査)を受ける際には、痛みを感じる場合があります。どのような痛みなのか気になる人もいるでしょう。次に、大腸カメラ大腸内視鏡検査)で生じる痛みの特徴・痛みの原因・痛みを感じやすい人の特徴をご紹介します。

大腸カメラで生じる痛みの特徴

大腸カメラ大腸内視鏡検査)で生じる痛みの特徴ですが、痛みを感じる原因により異なります。これから痛みの原因について詳しく解説しますが、痛みは主に検査器具が大腸を通過する際に発生します。
大腸カメラ大腸内視鏡検査)の検査器具は細いファイバースコープにカメラとライトがついたものです。このファイバースコープが大腸の曲がり角や狭い部分を通るときに、大腸が引っ張られたり圧迫されたりして痛みや不快感が引き起こされます。
このときの痛みは、鈍い痛み・圧迫感・ひねられるような痛みと表現できるでしょう。

痛みの原因

痛みの原因は、主に検査器具が大腸を通過することによります。この痛みは特に、固定されておらず、ぐにゃぐにゃと曲がった状態になっているS字結腸と横行結腸で起きやすいでしょう。
また大腸をみやすくするため空気を送って腸内を広げますが、空気による圧が腸管にかかるのも、痛みの原因の1つです。お腹が張ったような痛みを感じる場合があるでしょう。
さらに、憩室炎・虫垂炎・帝王切開などお腹の手術の既往歴がある人は腸の癒着が生じているケースがあります。この場合もファイバースコープが癒着部分を通過するときに痛みを感じるでしょう。

痛みを感じやすい人の特徴

痛みを感じやすいのは次のような人です。

  • 痩せ型・体が小さい・便秘がちな人
  • 腸に癒着がみられる人
  • 腸の神経が過敏になっている人

痩せ型・体が小さい・便秘がちな人は通常の人と比較して腸が折りたたまれた状態でS字になった部分が多いです。
そのため、内視鏡を無理やり通そうとすると腸に圧力がかかり痛みを感じやすいでしょう。また、お腹の手術により腸に癒着がある人も癒着している部分で内視鏡が曲がってしまい、本来はかからない力が腸管にかかって痛みが発生します。
別のケースとして、腸の神経が過敏な人も痛みを感じやすいです。特に、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患の人にはこうした傾向がみられるでしょう。
大腸カメラ大腸内視鏡検査)で痛みが生じやすい人でも痛みを軽減しながら検査を受けられます。次に、大腸カメラの痛みを軽減する方法をご紹介します。

大腸カメラの痛みを軽減する方法

大腸カメラの痛みを軽減する方法
大腸カメラ大腸内視鏡検査)の痛みが不安な人は、次に挙げる4つの方法で痛みを軽減できます

  • 経験豊富な医師を選ぶ
  • 軸保持短縮法を選択する
  • 空気の代わりに水を注入する
  • 鎮静剤を使用する

それぞれの方法を詳しく解説します。

経験豊富な医師を選ぶ

経験豊富な医師を選ぶ
痛みを軽減する1つ目の方法は、経験の豊富な医師を選ぶことです。検査中の痛みは医師の腕が影響するからです。
大腸の曲がり角をカメラが通るときに痛みを感じやすいですが、この痛みも医師のスキルによって軽減できます。腕の良い医師かどうかは資格や実績からある程度判断できるでしょう。
例えば、消化器内視鏡専門の医者に関係した資格を有しているかどうか確認できます。この資格は一定の経験を積んで試験に合格することにより得られるものです。また、検査の実績が豊富かどうかもチェックしましょう。
ただし、経験豊富な医師でも入りにくい大腸の人(痛みを感じる人)はいますし、その日の医師の体調にも左右されることもあります。

軸保持短縮法

痛みを軽減するためには、検査を受ける病院が、「軸保持短縮法」を採用しているかを確認することも大切です。大腸カメラ大腸内視鏡検査)には、「ループ挿入法」と「軸保持短縮法」があります。
ループ挿入法は内視鏡を腸に押し込みながら進めていく方法です。S字結腸が伸びて突っ張ってくるため、痛みを感じやすくなります。
軸保持短縮法は、腸を折りたたんで結腸まで直線的に内視鏡を挿入する方法です。腸に当たる部分が少なくなるため、痛みを軽減するのに役立ちます。

空気の代わりに水を注入する

ほかにも、痛みを軽減するためには、腸に空気を送り込む代わりに水を注入する方法もあります。これは「浸水法」と呼ばれる方法です。
一般的には空気で腸管を膨らませて内視鏡を進めますが、腸が空気で無理に伸ばされるため痛みや不快感の原因になります。
しかし、気の代わりに水を腸に注入し、内視鏡を滑らせるように進めることにより、お腹の張りを軽減できます。浸水法は、検査後にお腹の張りや苦痛が少ないのもメリットです。

鎮静剤を使用する

鎮静剤を使用する
最後に、大腸カメラ大腸内視鏡検査)で痛みを軽減するためには、鎮静剤を使用する方法もあります。鎮静剤は少しウトウトした状態になる麻酔で、検査中の苦しさや痛みを軽減するのに役立つものです。
鎮静剤は、年齢・性別・体格などにより、種類や量の調整が必要になります。また、まれに呼吸抑制・血圧低下・アレルギーなどの副作用が起こるリスクもあります。
そのため、こうしたリスクを把握したうえで、鎮静剤の種類や量を調整できる医師がいる医療機関で検査を受けることがおすすめです。鎮静剤のデメリットについては次に詳しく解説します。

鎮静剤の使用にはデメリットもある

鎮静剤の使用にはデメリットもある
鎮静剤は、大腸カメラ大腸内視鏡検査)で痛み・不安・ストレスを軽減するのに役立ちますが、デメリットもいくつかあります。具体的には、次のようなデメリットが挙げられるでしょう。

  • 副作用がある
  • 服用当日は運転の制限がある
  • アレルギーがある人は使用できない

それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

副作用がある

1つ目のデメリットは、副作用があることです。鎮静剤には、まれですが呼吸抑制・血圧低下・アレルギー反応などの副作用が起こるリスクがあります。
呼吸抑制や血圧低下に関しては、生体モニターと呼ばれる血圧や酸素飽和度を監視する機器を使用して、安全に麻酔が行われているかを確認する必要があるでしょう。
モニターをみながら鎮静剤の投与量を調節しながら、検査が行われます。また血圧や酸素飽和度が極端に下がる場合は、点滴が行われたり、酸素を投与したりする場合があるでしょう。

服用当日は運転の制限がある

服用当日は運転の制限がある
2つ目のデメリットは、鎮静剤の服用当日は運転の制限があることです。当日は鎮静剤の影響が残る可能性があり危険なため、自動車・バイク・自転車などの運転はできません
病院が近ければ歩いて通えますが、遠い場合はバスやタクシーなどを利用するか、家族や付き添いの人に送迎してもらう必要があります。
検査翌日からは通常通り運転を行っても問題ないでしょう。また、検査で鎮静剤を使用しない場合は運転しても構いません。

アレルギーがある人は使用できない

最後に、鎮静剤はアレルギーがある人には使用できないというデメリットもあります。鎮静剤に含まれる成分に対してアレルギーがある人もおり、そうした場合は使用できません。
アレルギーの症状としては、発疹・かゆみ・呼吸困難・ショックなどがあります。過去に鎮静剤を使用してアレルギー反応があった人や、アレルギー体質の人は事前に医師や看護師に伝えておきましょう。
鎮静剤を使用しなくても検査は受けられますが、その他の方法で痛みや不快感に対応する必要があります。

安心して大腸カメラを受けるなら

安心して大腸カメラを受けるなら
ここまでみてきたように、大腸カメラ大腸内視鏡検査)は鎮静剤なしでもできますが、検査中に痛みや不快感が生じる可能性があります。
特に、カメラが曲がりやすい部分や狭い部分を通過するときは、圧迫感やひねり感があるでしょう。また、カメラに空気を送り込むことにより大腸が膨らんで張りやけいれんが起こる場合もあります。
これらの症状には個人差がありますが、小柄な人・便秘がちな人・腸に癒着がある人などは強く感じるでしょう。そのため、安心して検査を受けたい人は鎮静剤を使用することがおすすめです。
鎮静剤は点滴や注射で投与され、意識はあるものの眠気やリラックス感が得られ、痛みや不快感を軽減します。ただし、鎮静剤には副作用やリスクがあるため、事前に医師とよく相談することが大切です。

編集部まとめ

大腸カメラ 鎮静剤なし まとめ
鎮静剤なしで大腸カメラ大腸内視鏡検査)を受けることはできますが、検査中に痛みや不快感が生じる可能性が高いでしょう。

しかし、鎮静剤を使用しなくても、腕の良い医師を選ぶこと・軸保持短縮法で検査すること・空気の代わりに水を腸に注入することなどにより痛みや不快感を軽減できます。

ただし、病院により医師のスキル・設備・対応している検査方法などが異なるため、安心して検査を受けられる病院を探すことが大切です。

大腸カメラ大腸内視鏡検査)は大腸の健康にとって大切な検査になります。恐怖や不安に負けず、適切な方法で検査を受けましょう。

この記事の監修医師