大腸カメラの費用はどのくらい?保険適用になるケース・検査当日の流れについて解説
大腸カメラは大腸がんをはじめとした病気の早期発見に繋がるため、健康診断の結果で受けるよう勧められる場合や人間ドックで行われる場合もある検査です。
しかし費用にいくらかかるかや、カメラを飲み込む必要があるといった知識しかない人も珍しくありません。
今回は大腸カメラの費用やどういった条件であれば保険が適用されるか解説すると共に、検査当日や検査後注意するべき点も解説します。
大腸カメラでの検査に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
大腸カメラ(内視鏡検査)の費用はどのくらい?
大腸カメラの費用は、保険が適用される場合とされない場合とで大きく変わります。さらに保険によって負担額が変動するため、受ける際は自身の負担額が何割かを確認して費用を計算しましょう。
また大腸カメラは大腸にポリープが見つかるかどうかや、大腸内の組織を採取し検査するかといった要素で最終的な金額が大きく左右されます。
ポリープの切除数によっては提示された金額より高額になる場合もあるため、現金払いの場合は多めに用意しておきましょう。
事前診療の費用
大腸カメラを受ける場合、事前診療と呼ばれる診察を受ける必要があります。
この診察は、血液検査や前日に服用する下剤を受け取るためなど、治療をスムーズに行うために必要です。
3,000円前後が相場です。事前診療の際は現在服用している薬や、過去の治療歴を聞かれる場合があります。
お薬手帳を用意したり、自身の治療歴を答えられるようあらかじめ準備しておきましょう。
治療歴によっては大腸カメラで使用する器具を変える必要がありますが、医師から治療を進められた場合であれば変更後も保険が適用されます。
内視鏡検査の費用
内視鏡検査の費用は、保険適用内であれば5,000~6,000円の間が相場となっています。
相場より高い病院も存在するため、検査を受けたいと考えている病院の料金表はあらかじめ確認しておきましょう。
検査中に病気が疑われる組織・大腸ポリープが見つからない場合は、事前診療と内視鏡検査の料金で請求が確定します。
問題が見つからず内視鏡検査が完了した場合の相場は約10,000円です。
検査中に見つかった病気が疑われる組織を分析する生検や、大腸ポリープの切除が行われた場合追加で費用が発生します。
組織を採取した場合の費用
検査中に病気が疑われる組織が見つかった場合、その組織を採取し生検を行う場合があります。
費用は採取した箇所や採取した組織の場所によって異なりますが、5,000~7,000円の間が相場です。
また組織採取とは別に大腸ポリープが見つかった場合も、大きさによってはその場で切除され生検に回されます。
大腸ポリープの切除手術は17,000円前後かかるため、生検費用と合わせると約30,000円かかる計算です。
大腸ポリープは大きさ・見た目から危険かどうかを判断することができ、出血のリスクや健康に問題があるかを見極めて医師が切除を判断します。
そのため見つかったら切除して欲しい場合は、事前に医師へ相談しましょう。
大腸カメラの費用が保険適用になるケースは?
大腸カメラは保険適用となる場合と、自由診療となる場合の2種類が存在します。自由診療の場合検査費用は全額負担となるため、上記の金額より費用が高くなることに注意しましょう。
ここからは保険が適用される場合の検査とされない場合の検査は、どのような違いがあるのかについて解説します。
今後大腸カメラを受ける予定がある場合、ぜひ参考にしてください。
検査の必要性がある場合は保険適用
大腸に関する不調を感じている場合や健康診断などで精密検査を受けるよう指示され、大腸カメラを受ける場合は保険適用の対象です。
主治医が大腸カメラが必要と判断した場合に保険が適応され、医師が不要と判断したが不安だから受けたいという場合は自由診療となるため注意しましょう。
また過去の手術歴や事前診療で検査に用いる器具を変更した場合でも、追加料金などは原則かかりません。不安がある場合は医師に相談し、検査の方針を確認しましょう。
人間ドックの場合は自由診療
人間ドックは検査を行う必要性があるから受けるのではなく、病気を予防するための検査です。そのため、原則全額負担の自由診療となります。
また病院によっては人間ドックの中に大腸カメラが検査項目に入っていない場合もあるので、その場合は追加で受けたいと自己申告しましょう。
また国民健康保険・社会保険・民間の保険会社に加入している場合、人間ドックの割引や費用補助が適応される場合があります。
現在加入している保険を上手く活用すれば、治療費を抑えることが可能です。国民健康保険による助成金はさまざまな条件があり、市町村によって異なります。
自治体のホームページでの確認や、電話で問い合わせを行い条件を確認してから受診の予約を行いましょう。
検査当日の流れ
ここからは検査当日の流れがどうなるかを解説していきますが、大腸カメラは前日から準備しておくべき点があります。
検査の数日前から消化に時間のかかる繊維質の多い食品は避け、前日は21時までに食事を終えるなど複数あるため事前に確認しておきましょう。
検査当日は、検査が終了するまで水分摂取以外の食事は禁止です。また薬に関しても種類によっては検査当日は種類を減らす、または飲まないようにする必要があります。
そのため、事前診療ではお薬手帳を忘れずに持参しましょう。
腸管洗浄剤で腸内をきれいにする
大腸カメラでより正確に大腸を観察するために必要なのは、腸内を綺麗にすることです。
そのために用いられるのは腸管洗浄剤と呼ばれ、一般的には下剤と呼ばれています。
病院に来院して腸管洗浄剤を飲む方法と、検査当日の朝自宅で飲んでから来院するかを事前診療で聞かれるため自身が行いやすい方を選択しましょう。
自宅で飲んでいる最中に具合が悪くなったり嘔吐してしまった場合は一度飲むのを中断し、病院に残りを持ち込んで飲むことも可能です。
人によっては排便が始まらない場合もありますが、その場合は病院で浣腸などを行い排便を促すといった処置を受けましょう。
鎮静剤を使用する
飲んだ腸管洗浄剤が全て排出された後、検査室に移動し検査が始まります。大腸カメラを受ける際の痛みが気になる場合、鎮痛剤や静脈麻酔が利用可能です。
これらを利用することで検査中はウトウトした眠りに落ちているような状態になり、意識が覚醒する頃には検査が全て終了しています。
検査後は病院に備え付けられているベッドや休憩室で、体を休めましょう。
注意点として鎮痛薬や静脈麻酔を使用した場合、車・バイクといった運転を行っての帰宅は原則禁止です。
公共交通機関を使って来院するか、家族・知人に運転してもらうように準備をしておきましょう。
大腸カメラ検査を行う
麻酔を利用する場合、麻酔が効き始めたら検査を開始します。
その際空気や炭酸ガスといった気体を腸に注入し、カメラによる観察を行いやすくしますが術後お腹が張るような感覚に襲われるため注意が必要です。
大腸カメラで分かる病気の代表例である大腸がんは、大腸カメラによっての早期発見が重要となります。
40代以上であれば不調を感じていなくても人間ドックなどで検査を受けるようにしましょう。
必要に応じて組織の採取やポリープ切除をする
検査時間は15~20分程度で終了しますが、大腸ポリープの切除や組織採取を行った場合は予定より時間がかかります。
ポリープは金属製の輪であるスネアで縛り、切除した後は傷口を縫い合わせクリップで止める方式が現在主流です。
ポリープの数・大きさ・状況によってはその場で切除を行わず再度来院しての手術か、ほかの病院に入院して切除を行う必要があります。
医師の検査結果の報告を聞き、よく相談して今後の方針を決定しましょう。
またポリープ切除が行われた場合、アルコールやカフェインを始めとする一部の食品の摂取を避ける必要があります。また、腹部に負担をかける行為や運動も控えましょう。
検査結果の説明を受ける
検査後の休憩が終わった後は、その場で検査結果の説明を受けることができます。
説明の内容としては今回の内視鏡検査の結果や、結果を受けて生活習慣の改善が必要かどうかといった内容が中心です。
また採取した組織や大腸ポリープは生検などに回されて検査が行われるため、検査後の説明ではなく後日改めて説明を受けることになります。
再度日程を調整し、検査結果を確認しましょう。大腸カメラの結果によっては、来年再度検査が必要な場合もあれば数年行わなくてもよいと判断される場合もあります。
医師と相談を行い、検査方針を決めましょう。
大腸ポリープを切除した場合の費用は?
ここまで大腸カメラの治療内容や費用について解説してきました。ここで一度大腸ポリープを切除した場合の費用がいくらになるか、整理しましょう。
まず必ずかかる費用として、事前診療での採血や腸管洗浄剤代として3,000円前後かかります。
そして大腸内視鏡検査の相場は7,000円前後のため、組織検査やポリープ切除が行われない場合の合計は10,000円前後です。
大腸ポリープの切除を内視鏡検査と同時に行う場合、かかる費用は大きさやいくつ切除するかで変動します。
一つ切除する場合、生検の金額も含め10,000~15,000円と病院によって費用の設定が大きく異なるので注意しましょう。
以上のことから大腸ポリープの切除を行った場合、費用は20,000~25,000円となります。現金で支払う場合は、ポリープが見つかるかもしれないことを念頭に置いて現金の用意を行いましょう。
大腸カメラを受ける施設を選ぶポイント
ここからは大腸カメラを受ける施設を選ぶポイントについて解説していきます。大腸カメラは検査のために行う場合、設備によって金額は大きく変動しません。
そのため費用面ではなく、施設の方針や実績面が重要となります。人間ドックで大腸カメラを受ける場合は自費になるため、その点は注意しましょう。
保険が適用されるのは、医師が検査を必要とした場合や定期健診などで検査を受けるように指示をされた場合のみです。
大腸カメラの経験が豊富かどうか
施設によっては大腸カメラやポリープ切除の治療件数をホームページで公開しています。これらの情報は大腸カメラを受ける施設を選ぶ際に、非常に重要です。
治療件数がホームページのわかりやすい位置にある場合、その件数をアピールポイントとしていると考えられます。
その施設がどういった点をアピールしているのか、ホームページのレイアウトから考えてみるのも有効な選択方法です。
ポリープ切除を積極的に行う施設かどうかを知ることは、治療方針を決める際に重要となります。治療件数を公開しているかどうか、一度確認してみましょう。
痛みに配慮してくれるかどうか
大腸カメラは痛いという先入観を持たれて敬遠する人が多いため、各施設はそういったイメージを払拭しようとさまざまな対策をしています。
そのため、現在は殆ど痛みを感じることなく大腸カメラを受けることが可能です。
痛みを感じにくい器具での検査を受けることもできるため、どうしても痛いかどうか気になる場合は候補にあがっている施設に電話などで相談してみましょう。
鎮痛剤・静脈麻酔を組み合わせて使用することで、痛みを感じずに検査を受けることが可能です。
ポリープ切除に対応しているかどうか
ポリープ切除に対する考え方は施設によって異なります。
医師によっては切除による身体への負担を考慮し、軽微なものであれば観察に留め来年の検査で再度切除するかどうか考えることも珍しくありません。
そのため事前診療の段階でポリープが見つかった場合、積極的に切除してほしいかどうかきちんと意思表示をしておきましょう。
施設によっては見つかったポリープは切除が原則の場合もあります。
大腸カメラの前後は食事制限がある?
大腸カメラを受ける際注意する必要があるのは、検査前と検査後どちらも食事に関して制限があることです。
ここからはどういった食事制限があるかを解説していきます。
大腸カメラを受ける数日前から、できるだけ食物繊維を多く含む食品や消化されにくい食品は避けましょう。
前日の食事に何を食べていいか迷う場合は、大腸検査の効果をより高める前日食を病院で購入する方法が確実です。
検査当日は食事を取ることはできません。水やお茶といった大腸検査に支障の出ない飲み物や、色の薄い飴であれば可能な場合もあるため確認しておきましょう。
検査時にポリープ切除を行わなかった場合は、刺激物を避ける程度で食事制限は特にありません。
ポリープ切除を行った場合は、当日はおかゆやヨーグルトといった消化しやすい物を取り1週間程度かけて通常の食事に戻しましょう。
編集部まとめ
今回は大腸カメラの費用について解説してきました。大腸カメラは大腸がんをはじめ、さまざまな病気を事前に防ぐことができる検査です。
痛みや苦しいというイメージがありましたが、現在は技術の進化により痛みを感じることなく検査が終わることも珍しくありません。
医師から大腸カメラを受けるよう提案された場合や定期健診で受ける必要が出た場合でも、きちんと相談し悔いのない選択を行いましょう。
参考文献