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クラミジアの潜伏期間はどのくらい?期間中の注意事項や検査についても解説!

 公開日:2024/03/06
もう生理痛に悩まない!痛みを和らげる方法と自宅でできる対策を解説

性感染症と言えば多くの人がクラミジアを連想するかもしれませんが、具体的な病状や検査方法については知っているでしょうか。本記事では、クラミジアの原因、感染経路、症状、検査のタイミング、検査方法、そして予防策について詳しく解説します。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

クラミジアとは

クラミジアとは

性感染症には、エイズをはじめ、淋病梅毒、尖圭コンジローマ、性器カンジダ症、毛じらみ症などがありますが、国内で感染者数が多いのはクラミジアです。ここでは、クラミジアの原因、感染経路、症状などをお伝えします。

クラミジアの原因と感染経路

クラミジアに感染する原因は、性行為による接触です。クラミジア感染者と性行為をすると、性器や咽頭などを通じて、50%の確率で感染するとされています。クラミジアHIVの発症を高める要因ともなりますので、違和感を覚えたらすぐに検査を受け、治療を開始しましょう。なお、タオルの共有やジュースの回し飲みなどで感染することはほとんどなく、プールや大浴場といった公共の場での感染リスクは低いとされています。

クラミジアの症状

クラミジアによる感染は、男性と女性で現れる部位や症状が異なります。男性は尿道炎や精巣上体炎などにかかり、排尿痛やかゆみ、精巣上部の痛み、発熱などの症状が現れます。女性は子宮頸管炎、子宮付属器炎、骨盤腹膜炎、肝周囲炎などを患い、おりものの増量や不正出血、腹痛、性交痛などが症状として現れます。ただし、症状が現れないこともあります。女性の症状は男性よりも軽度に見えるかもしれませんが、重大な合併症や後遺症に発展する可能性があるため、細心の注意が必要です。

クラミジアの種類

人に感染するクラミジアはChlamydia trachomatis(トラコーマ・クラミジア)、Chlamydia psittaci(オウム病クラミジア)、Chlamydia pneumoniae(肺炎クラミジア)、Chlamydia pecorum(クラミジア・ペコルム)の4つに分類されます。このうち、性感染症の原因となるのはトラコーマ・クラミジアです。

クラミジアの潜伏期間について

クラミジアの潜伏期間について

次は、クラミジアの潜伏期間や検査を行える時期について説明します。

クラミジアの潜伏期間

潜伏期間とは、感染してから症状が現れるまでの期間を指し、クラミジア1~3週間潜伏するとされています。注意しなければならないのは、潜伏期間中に異変に気づかずに、性行為で他者に感染を広げる可能性があるということです。性風俗店で働いている方はもちろん、パートナーからクラミジアの感染を告げられた方は検査を受けましょう。

クラミジアの検査ができる時期

検査方法によって、検査を行うタイミングが異なります。抗原検査の場合は、感染してから1日以上経過してから検査が可能で、抗体検査の場合は感染してから4週間後に検査が受けられます。ただし、生理中の女性の方は、抗原検査が受けられません。

クラミジアの潜伏期間中の注意事項

クラミジアの潜伏期間中の注意事項

クラミジアに感染した際、その存在に気づかないまま放置すると病状がどんどん進行します。特に複数の人と性的な関係がある場合は、感染が拡大する可能性があります。感染の早期発見と治療が大切になるため、次の記事では検査を受けるタイミングや注意点をまとめています。

潜伏期間中でも感染する可能性がある

潜伏期間中も体内に菌が存在するため、性行為による接触を行う機会があれば、感染する恐れがあります。性器に何らかの異常があったり、パートナーからクラミジアに感染したことを告げられたりしたら、性感染症内科や泌尿器科、または婦人科を受診し、検査を受けましょう。

感染しても何年も気がつかないことがある

クラミジアの潜伏期間についてお話ししましたが、感染していても症状が現れないことがあります。しかし、症状がなくても、体内での炎症は着実に進行しています。病気が進行すると、より深刻な問題につながるからこそ、自己判断は禁物です。

疑いを持ったら早めに検査をする

前述したようにクラミジアの感染に気づくことは難しいですが、性器にかゆみや痛みを感じたり、薬を飲んでものどの異変が続いたりする場合は、感染を疑いましょう。また女性の場合は、おりものの臭いや色、量などに何らかの変化が見られます。自身の症状はもちろん、パートナーの異変に気づくことも大切で、性病に感染していると思ったら早めに検査を受けることを検討ください。

クラミジア検査について

クラミジア検査について

クラミジアの感染の有無は、主に抗原検査(PCR法やTMA法など)で調べます。抗原検査は症状がなくても検査が可能で、尿・うがい液・膣分泌物・肛門分泌物など、部位ごとの検査が行われます。性行為による感染から1日以上経過していれば、検査を受けることが可能です。

病院でできるクラミジア検査

クラミジアの検査には、即日簡易検査(迅速検査)・精密検査・即日精密検査などの方法があります。それぞれの検査方法や検査条件、特徴について説明します。

即日簡易検査(迅速検査)

男性の場合、膿などの性器に強い症状が出ている方向けには「イムノクロマトグラフィー法」を使用した即日簡易検査があります。女性の場合も、おりものの色や臭いに変化があれば、同様に検査が可能です。」検査結果は約30分後に分かります。注意点としては、精密検査よりも精度が劣るということです。陰性と判定された場合であっても、後日精密検査を受けたら陽性の判定にくつがえることがあります。

精密検査

即日簡易検査とは違い、目立った症状がなくても検査が可能です。検査会社に委託して行いますが、医療機関によって手続きが異なります。検査結果は、2〜7日後に分かります。精密検査はPCR法で行われます。PCR法とは、特定のDNA断片を増幅させ、異常を調べる検査方法です。まず、DNAを加熱して分解し、それから目的の断片を特定するプライマーとともに酵素を使って増やします。これにより、微量のDNAからも目的の遺伝子を見つけ出すことができます。

即日精密検査

精密検査と同様に症状がなくても検査が可能ですが、検査方法がTMA法に変わります。TMA法では、一つの細胞に1個しか存在しないDNAの遺伝子ではなく、数千個存在しているrRNAの遺伝子を対象にします。ターゲットとなったrRNAに酵素が結合し、DNAの合成と分解を繰り返すことでRNAを増幅させます。この方法により、より迅速で効率的な検査が可能となります。そのため、検査当日または翌日に検査結果を知ることができます。

自宅でできるクラミジア検査キット

性感染症の心配があっても、医療機関を受診することに抵抗を感じる方は少なくありません。そうした方におすすめなのが、クラミジア検査キットの利用です。自宅で検査ができ、他の人の目を気にせずに済みます。検査キットによっては、クラミジアだけでなく、他の性感染症も同時に調べることができます。ただし、検査キットの精度は販売会社によって異なるため、購入前にホームページの情報を注意深く確認しましょう。

検査結果の解釈について

検査結果は、4つの判定に分かれます。

「IgA(-)、IgG(-)」は、初期のクラミジア感染の可能性が少なからず残っていますが、クラミジアに感染していません。

「IgA(+)、IgG(-)」は、現在、クラミジアに感染している可能性を示しています。

「IgA(-)、IgG(+)」は、過去にクラミジアに感染していた可能性があります。

「IgA(+)、IgG(+)」は、過去も現在もクラミジアに感染していることを表しています。

クラミジアの予防方法について

クラミジアの予防方法について

クラミジアは、予防方法を理解していれば、感染する確率を下げることができます。その方法は、コンドームの着用や、不特定多数との性行為を避けること、検査を定期的に受けることなどです。詳しい予防方法を説明します。

コンドームを使う

避妊具として知られるコンドームは、クラミジア感染を予防する手段の一つとしても利用されています。ただし、ゴムは性質上、長期間の保管には適しておらず、劣化しやすいため、使用前に保管状態を確認し、劣化していないことを確認することが重要です。性行為の前にコンドームを着用することで、感染のリスクをより効果的に防ぐことが可能です。

不特定多数との性行為を避ける

性行為は愛情を伝えるコミュニケーションの一環であり、個々の選択や価値観により、不特定多数の人と性的な関係を持つこともあります。しかし、このような行為は性感染症の発症リスクを高める可能性があります。特に、性風俗店の利用は危険が伴います。パートナーを限定することは、性感染症に感染するリスクを減少させる効果的な手段と言えるでしょう。性風俗店を利用する場合は、コンドームの使用や定期的な健康チェックなどの予防策が重要で、性感染症に関する知識を深めることも大切になります。

定期的に性病検査を受ける

性風俗店を利用している方や働いている方は、定期的に検査を受けることが重要です。クラミジアは発症しても、目立った症状が現れないことがあり、感染に気づくことに遅れてしまう場合があります。そのため、パートナーが変わったり、コンドームを着用しない性行為を行ったり、不特定数の人と関係性を持ったりといったことに該当する場合は、3、4カ月に一回は検査を受けましょう。

パートナーが感染したら自身も検査する

もし自身がクラミジアに感染していることが分かった場合、パートナーにも検査を受けるようにお願いすることが重要です。クラミジアは繰り返し感染する可能性があり、片方だけが治療を終えたとしても再感染をするリスクが残ります。感染したことをパートナーに伝えることは難しいかもしれませんが、パートナーの健康はもちろん、男女ともに不妊を招く原因にもなりますので、包み隠さずに伝えてください。

まとめ

まとめ

最後まで記事をご覧いただきありがとうございます。性行為は愛情表現の一つですが、それ以上に性感染症が発症したら、パートナーに告げることが大切です。本記事を読んで、クラミジアに感染する方が一人でも減ることを願っています。

この記事の監修医師