頭痛の原因・種類|小児の頭痛・放置するリスク・治療方法を解説
大人でもつらい頭痛は子どもも経験するものです。風邪に伴う頭痛なら原因がわかりますが、なかには本人にも原因がわからない頭痛があります。
頭痛が起きている原因に心当たりがないと、不安が付きまといます。お子さんが頭痛を訴えているなら、なおさら何かの病気ではないかと心配になるでしょう。
そこでこの記事では頭痛の原因・種類を中心に、放置が引き起こすリスクから治療法まで解説します。
監修医師:
古川 和博(ひさい脳神経外科クリニック)
2008年4月 三重中央医療センターにて初期研修開始
2010年4月 三重大学脳神経外科入局
三重中央医療センター 脳神経外科医員
2014年4月 三重大学大学院医学系研究科 脳神経外科学 入学
三重大学病院脳神経外科 非常勤医師
2015年4月 桑名西医療センター 脳神経外科
2018年3月 三重大学大学院医学系研究科 脳神経外科学 卒業
2018年5月 桑名市綜合医療センター 脳神経外科医長
2019年4月 ひさい脳神経外科クリニック 開設
目次 -INDEX-
頭痛の原因・種類
誰にも身近な頭痛ですが、実は種類があり、起こる原因もさまざまです。
原因がわからないままでは、適切な対応ができません。自分に起きている可能性がある頭痛を理解するために、頭痛の種類ごとに痛みを引き起こす原因を解説します。
一次性頭痛
一次性頭痛とは、原因となる疾患が特定できない頭痛を指します。
疾患による症状ではなく頭痛そのものが疾患で、生活習慣・ストレスなど身体的または精神的不調に起因する慢性的な頭痛です。
一次性頭痛のなかで特に経験する有病者の割合が大きいのが緊張性頭痛で、日本での年間有病率は約22%と報告されています。頭・首・肩などの筋肉が緊張し、頭を締め付けられるような痛みが生じます。
また、緊張性頭痛の次に多く診断されるのが片頭痛です。特に20〜40代の女性にみられる頭痛で、加齢に伴い改善傾向にあります。動けない程の強い痛みが長く続きやすいのが特徴です。
さらに、稀な疾患に涙・鼻水を伴う三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)があります。そのうちに含まれる群発頭痛では、短時間の頭痛が数週間〜数ヵ月にわたり続きます。
二次性頭痛
二次性頭痛とは原因の疾患が明らかで、突然生じる頭痛です。頭痛を主症状とする代表的な疾患は以下の通りです。
- 脳出血
- くも膜下出血
- 脳梗塞
- 脳腫瘍
上記の疾患以外では頭部外傷あるいは細菌・ウイルス感染により、頭痛が引き起こされるケースもあります。
発熱を含む全身疾患をはじめとする症状が伴う、または姿勢を変えたり運動したりすると頭痛が誘発される場合には、重大な疾患が隠れていると考えましょう。
突発的に生じた頭痛が、時間の経過とともに増していく場合も危険です。なお、一次性頭痛は二次性頭痛が否定されて初めて診断されます。
小児の頭痛
小児期に生じる頭痛の原因もいくつか考えられます。小児期にみられる頭痛の主な分類は以下の通りです。
- 睡眠不足からの起立性調節障害
- 片頭痛
- 精神疾患からの頭痛
- もやもや病・キアリ奇形など先天性の脳の病気
子どもの頭痛でも片頭痛の割合が大きい傾向にあり、患者さんの約40%が片頭痛と診断されています。
小児の片頭痛で痛む箇所は主に前頭側頭部であり、後頭部に痛みが生じている場合は慎重な診断が必要です。また、精神疾患が緊張性頭痛を引き起こすケースもみられます。
頭痛を主訴とする不登校児には精神疾患の共存率が高い傾向にあります。さらに、先天性の脳の病気を抱えている可能性にも注意しましょう。
幼い子どもは自分が感じている頭痛の症状をうまく伝えられません。そのため周囲の大人がよく気を配り、話を聞いてあげるのが大切です。
頭痛を放置するリスク
頭痛は日常的に起こりやすい症状のため、時間が経てばおさまると考えて放置する場合もあるでしょう。しかし、頭痛を放置するのはリスクがあります。考えられる2つのリスクを取り上げます。
日常生活に支障が出ることも
通常、軽度の一時性頭痛であれば普段と同じように生活を送れる方が多いでしょう。ところが、放置していると日常生活に支障をきたすケースもあります。
頭痛は、適切な治療が遅れると慢性化し、脳が痛みを感じやすくなったり頭痛の頻度が高くなったりします。頭痛によって、吐き気を伴うことや、光や音・匂いに敏感になるといった症状がみられることもあります。症状が重い場合は寝込んだり、仕事や学校を休むこともあるでしょう。
2005年の報告によると、毎日約60万人の日本人が片頭痛発作による苦痛を感じ、頭痛の苦痛による生産性の低下が、毎年2,880億円の経済的損失をもたらしているとも発表されました。
頭痛を軽く見ていると頭痛を感じている本人の生活のみならず、社会全体に不利益を被ってしまうともいえるのです。
脳の疾患など重大な病気に気付くのが遅れる危険性
生じている頭痛が疾患による二次性頭痛だった場合、単なる頭痛と考えて放置すると原因となっている疾患の発見も遅れます。
小児では、良性の一次性頭痛が多いことから、深刻でないと見過ごされるケースも多いです。
しかし前述したように、二次性頭痛が起こる原因の多くは脳に関わる重大な疾患です。早期発見・早期治療を行わなければ生命の危険があります。
そこまで進行していなくても、後遺症あるいは予後の悪化によって苦しい思いをするかもしれません。
頭痛の治療方法
二次性頭痛の場合は頭痛を引き起こす疾患の治療が重要となります。一方、一次性頭痛は頭痛の原因に応じた治療によって改善が可能です。頭痛の種類別に効果的な治療方法を解説します。
片頭痛の治療方法
片頭痛に対する治療は、頭痛発作時に感じる痛みの緩和および片頭痛の予防を目的に行われます。
発作中の急性期治療に行われる頓挫療法の第1選択薬は、トリプタン製剤です。脳動脈に発現しているセロトニン1B受容体に作用し、発作時に拡張した血管を収縮させます。
その他、エルゴタミン製剤および非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)も用いられます。予防療法が行われるのは、発作の頻度が高く急性期治療が禁忌あるいは無効の場合です。
予防には、主にカルシウム拮抗薬・抗セロトニン薬・抗てんかん薬・抗うつ薬などが使用されてきました。
それに加え、令和3年から片頭痛予防に高い効果を発揮するCGRP関連抗体薬の発売が、日本で開始されました。
この薬物療法が広まってきたために、より幅広い片頭痛患者さんの症状が改善されています。
緊張型頭痛の治療方法
緊張性頭痛の患者さんには、主に対症療法として薬物療法が行われます。
痛みに対しては鎮痛薬であるNSAIDsが中心です。
緊張性頭痛の痛みは軽度な症例が多く、基本的には鎮痛剤を必要としません。鎮痛剤の服用が習慣化しているとかえって薬物使用過多による頭痛を引き起こすため、1回の服薬回数はよく守りましょう。
また、首・肩の凝りが強い状態であれば筋肉に作用する筋弛緩薬が使用されます。緊張性頭痛が頻繁に起こる場合の予防療法は、薬物療法ならびに非薬物療法です。
緊張性頭痛は、心理的ストレス・感情障害などによる疼痛抑制機能不全が根底にあると推測されます。
実際にうつ・不安を合併している患者さんもみられるため、薬物療法では抗うつ薬による内服療法が中心です。
非薬物療法では運動・ストレッチで身体を動かしたり、睡眠衛生・ストレスマネジメント指導を行ったりする場合もあるでしょう。
その他の頭痛の治療方法
三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)ならびに群発頭痛の場合、急性期治療の頓挫療法には片頭痛と同様にトリプタン系薬剤が使用されます。
皮下注射による使用の効果発現が早いものの薬価が高くやや使いにくいため、一定の効果が認められる点鼻薬による鼻腔内投与が用いられます。
さらに高濃度の純酸素をマスクで吸入する酸素吸入療法も、発作を早く収めるのに有効です。
純酸素吸入の効果を測る目的で行われた室内気吸入群との二重盲検ランダム化比較試験では、純酸素吸入群の約80%で頭痛の改善が認められています。
また、予防療法ではカルシウム拮抗薬・ベラパミルなどが使用されています。なおこれらの頭痛は、飲酒・喫煙などによる血管拡張によって引き起こされやすいです。
発作期間中は禁酒・禁煙の対処が不可欠です。
頭痛の検査の重要性
頭痛で受診した患者さんには、頭部CT・MRI検査のほか、血液検査・髄液検査など考えられる原因に応じた検査が行われます。
脳神経内科・脳神経外科を専門とする医師の検査を受けるなら、頭痛の原因を適切に診断できます。そして原因が判明すれば、頭痛の種類に応じた治療が可能です。
市販の頭痛薬では改善しなかった症状が改善されるとともに、つらい頭痛を予防できる期待が高まります。これまで耐えてきた慢性的な頭痛から解放されるため、QOL(生活の質)が向上し生産性も上がるでしょう。
さらに、重大な疾患に早い段階で気付ける確率も高まります。いつものことで慣れているからと我慢している頭痛が、実は重い症状だった患者さんは少なくありません。
頭痛は身体の不調を知らせるサインであり、我慢する症状ではなく治療すべき症状です。普段から頭痛を感じている方も突然頭痛に見舞われた方も、なるべく早期に受診しましょう。
頭痛でお悩みならひさい脳神経外科クリニックにご相談を
つらく不安を引き起こす頭痛は、原因を正しく知るために病院での検査が重要です。ご自分または子どもが頭痛のお悩みを抱えているなら、ひさい脳神経外科クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。ひさい脳神経外科クリニックの3つのポイントをご紹介します。
子どもの頭痛外来にも対応
子どもが頭痛を訴えている場合には、小児の頭痛外来に対応しているクリニックへの受診が必要です。
ひさい脳神経外科クリニックは、一般的に患者さんが脳神経外科に対して持っているイメージを下げ、誰でも受診しやすいクリニックを目指しています。その想いから、小児の頭痛外来も積極的に行っています。症状を伝えるのが難しい子どもに対しても親身な診療を期待できるでしょう。
また、クリニックには見えない一軒家のような親しみのある外観、清潔感のある広々とした院内も受診の際に感じる緊張感を和らげてくれるでしょう。アクセスがよく駐車場も十分設けられているため、ご家族で通院しやすいクリニックです。
低線量で高精度なCTによるスピーディーな検査
頭痛を適切に検査・診断するには、CTの精度がポイントです。ひさい脳神経外科クリニックでは、16列マルチスライスCTを導入しています。低線量撮影が可能で、高精度な画質を短い時間で得られるのが特徴です。頭蓋内・頭蓋骨・背骨の状態を詳しく検査でき、重大な疾患の恐れがある患者さんに対してもスピーディーに治療を開始できます。
またMRIによる精密検査が必要なケースでは、近隣の連携病院を紹介していただけます。ひさい脳神経外科クリニックを受診後、緊急を要する疾患が発見された際にはスムーズな紹介ならびに迅速な搬送も可能です。まずはひさい脳神経外科クリニックへの受診をおすすめします。
頭痛の予防も重視した検査など患者さんに寄り添った診療
ひさい脳神経外科クリニック院長の古川和博先生は、日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医の資格をお持ちです。大規模病院にて専門性の高い症例に対応されてきた経験から、患者さんの症状に合わせた検査・診断を行ってもらえます。
古川先生は、家族のように患者さんに寄り添った医療を心がけており、患者さんを苦しめる頭痛の予防にも注力されています。予防を目的とした検査・治療により、その後の生活もサポートしてもらえるでしょう。慢性的な頭痛に悩みながらも改善を諦めていた方は、ひさい脳神経外科クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
ひさい脳神経外科クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間・費用・治療回数・治療期間
近鉄名古屋線 久居駅 車で8分
三重交通バス 三重中央医療センター下車徒歩1分
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参考文献