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白内障手術の術後の注意点は?術後のリスクもご紹介

 公開日:2024/01/22

白内障は目に存在する水晶体と呼ばれる部分が白く濁り、ものがかすんで見えたりまぶしくみえる症状です。進行すると視力低下に繋がるため、手術で水晶体を取り除きレンズを挿入する手術を行います。

今回は白内障手術の術後に注意する点や、術後のリスクについての解説を行います。術後リスクを正しく理解することは、治療後の生活を健康的に過ごすためには欠かせません。

目や身体への負担を減らし、少しでも早く元の生活に戻れるようにしましょう。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

白内障手術の術後の注意点は?

白内障手術の術後の注意点は?
白内障手術術後の注意点が多く、きちんと守らない場合後遺症のリスクがあります。特に術後最初の1週間は、術後を問題なく過ごすために重要な期間です。

まずはじめに、術後に守るべき注意点について解説していきます。これらのルールは手術を終えた後のダメージが残っている目を保護するために重要で、必ず守らなくてはいけません。

手術を行った医師の指示に従い、決められたルールを守ることで術後リスクを大幅に減らせるので気を付けましょう。

目を触らない

 

白内障手術を行ってから1週間は、手術を行った目を押さえたり擦ったりしてはいけません

これは術後のダメージがまだ目に残っているためです。触ってしまうと手術で開いた傷口が開き、ばい菌などが入り込む恐れがあります。

以前は白内障の手術後は眼帯を付けていましたが、眼帯を付けると目薬を打つ際邪魔になるという弱点がありました。現在は保護メガネと呼ばれる特殊なメガネをかけることで、目を保護しながら必要なタイミングで外して目薬を打つことが可能です。

目を強くつぶるといった行為も眼球に強い負担を掛けます。目薬をさした時の瞬きは強くつぶらず、ゆっくり優しく行うようにしましょう。

保護メガネをかける

 

保護メガネとは、手術後の目に負担となる紫外線カットの効果が期待できるメガネです。また風・ほこりにも効果があるため、術後の帰宅時にも着用する必要があります。医院によって着用時期の推奨は異なりますが、一ヶ月は昼の間着用するのが一般的です。

またこの保護メガネは、白内障手術で重要な最初の一週間は夜でもつけておく必要があります

これは無意識のうちに手術した片目を手で擦ってしまい、ダメージを受けてしまわないようにするためです。

使い慣れていないメガネを掛けることに抵抗がある人もいますが、術後の繊細な期間を安全に過ごすための処置のため指示に従いメガネを着用しましょう。

指示通りに目薬をさす

指示通りに目薬をさす
手術後の炎症を防ぐため、複数の目薬を使用します。主に使われるものは抗菌作用のある目薬に加え、炎症に効果のある目薬の二種類です。

炎症に効果のある目薬は非ステロイド型とステロイド型があり、術後に応じて切り替えて使用していきます。術後数ヶ月は受診を行う必要があるため、副作用や回復具合に応じて目薬を変更することも可能です。

注意点として、決して自己判断で目薬を中断してはいけません。また目薬によっては保存環境を守る必要があります。医師に保管方法や一日のうちどのタイミングで使用するかを確認し、用法を守ってケアを行いましょう。

白内障手術の術後に考えられるリスク

白内障手術の術後に考えられるリスク
ここからは白内障の術後リスクについて解説していきます。術後リスクとして考えられるものは手術前の視界とのギャップや、術後に発症リスクのある病気などです。術後は見え方が大きく異なるため、人によっては違和感を覚え苦しむ場合があります。

これまでと見え方が変わると、転倒や体調不良といった白内障以外のリスクが発生するため注意が必要です。どういった変化が発生するかをあらかじめ把握し、術後を安全に過ごしましょう。

視界のまぶしさ

視界のまぶしさ
手術後しばらくはこれまでと同じように生活していても、以前よりまぶしいと感じる頻度が高くなる場合があります。

これは白内障の手術で行う治療として、目の中にある水晶体を取り除いてレンズを挿入するという手術を行うためです。

白内障が進行すると水晶体が濁ってしまい、その結果近視が進むことやものが二重に見えるといった症状が発生します。

その水晶体を透明な水晶体に取り替え正常に見えるようになった反動で、普段通りの生活でも眩しいと感じるようになるという仕組みです。

しかしまぶしくなると同時に目がかすむといった症状も同時に発生している場合、後発緑内障と呼ばれる症状が疑われます。この場合は改めて治療が必要なため、まぶしい以外にも自覚症状がある場合は医師に相談しましょう。

青白く見える

 
手術後の視界の変化として、これまでよりも色が鮮明に見えやすくなると感じる人は多く存在します。
その際視界が青白く見えるように感じ、不安になる場合がありますが青白い変化の場合であれば時間経過で馴染んでくるため基本的に問題はありません。
青白く見える症状は術後数週間経過することで感じなくなります。それでも見える色の変化に戸惑う場合は、一度医師に相談しましょう。

目に異物感がある

 
目に異物感がある
術後は目が変化に対応するまで異物感を覚えることは珍しくありません。これは次第に安定していきますが、注意すべき点としてドライアイやアレルギーを持っている場合症状が強く耐えがたい症状が出る可能性があります。
そのため過去ドライアイで治療を受けたことがある場合や、アレルギーを持っている場合は医師にそのことを伝えておきましょう。術後に服用する目薬を追加するなど、対処法を検討してくれます。
異物感は数日から1週間程度で収まることが多いため、それまでは医師に指示された目薬を服用し過ごしましょう。

飛蚊症

 
飛蚊症とは目の前に黒い小さな浮遊物が、常時視界に飛び回っているように見える症状です。これは硝子体と呼ばれる、目の中央にあるゼリー状の透明な液体が何らかの理由で濁ることで発生します。
厳密にいえば白内障の治療を行ったことで白内障が発生する、というわけではありません。白内障の治療を行う前の濁った水晶体では認識できなかった硝子体に存在した濁りが、手術後に認識できるようになったため自覚症状が強くなるためだと考えられています。

また後発白内障の治療でレーザー治療を行う場合も飛蚊症が発症してしまうケースが報告されているため、治療後に飛蚊症を自覚した場合は一度医師に相談してみましょう。

眼圧上昇

 
手術を行った直後に眼圧が上昇する、という症状が発症する可能性があります。眼圧が上がる病気として代表的なものは緑内障ですが、過去に緑内障の治療を行った場合眼圧が上がりやすくなるため注意が必要です。
それ以外に考えられる原因として、炎症により眼圧が上昇するなどが考えられます。白内障手術が終わった後は別室で休憩を取ってから、視界の変化や健康状態を確かめるためこのタイミングで眼圧の上昇に気づくことが多いです。
眼圧を下げるには目薬や内服薬といった対応を取ります。医師の指示に従い、決められた期間を忘れずに使用しましょう。

後発白内障

 
後発白内障は、白内障の手術を受けて時間が経ってから発症する可能性のある症状です。実際に白内障が再発するわけではありません。
白内障治療後に残る水晶体嚢(すいしょうたいのう)と呼ばれる手術で抜き取られた水晶体を覆っていた膜が混濁することで、白内障と同様の症状が発生します。
白内障は水晶体の濁りが原因のため、レンズに交換された時点で再発の恐れはありません。
この後発白内障は白内障の手術を受けた人の3割が5年以内に発症するため、視界のぼやけや視力低下を術後に感じたら医師に相談してみましょう。水晶体嚢を取り除く簡単な手術で完了し、その後再発することは殆どありません。

白内障手術の術後はいつから入浴できる?

白内障手術の術後はいつから入浴できる?
白内障手術を行った直後は手術した目に負担を掛けないよう生活することが求められます。そのため入浴に関して、いくつか制限があるため注意しましょう。
入浴はシャンプーやお湯といった目に刺激を与える要素が非常に多く、顔を洗う際に目に触れることも多いため感染症を予防するために避ける必要があります。そのため洗顔や化粧といった行為は数日の間行ってはいけません。
手術翌日から濡らしたタオルで顔を拭いた後、乾いたタオルを入浴の代わりとして行えます。段階を踏んで入浴に関する制限は解除されるため、医師の指示に従ってシャワーや湯船につかるようにしましょう。

首から下は翌日から

 
首から下のシャワー及び入浴は術後の翌日から可能です。もし湯船につかりたい場合は、目に負担を掛けないよう保護メガネを掛けるなどの対策を取りましょう。
また薬品を用いた洗顔も、水やお湯を顔に掛ける洗顔もまだ行えません。洗髪を自宅で行うのは禁止ですが、美容院で仰向けになった状態で受ける洗髪であれば術後1週間以内でも許可される場合があります。
仕事復帰に向けてどうしても洗髪を行いたい、といった理由がある場合一度医師に相談してみましょう。

洗顔・洗髪は1週間後から

 
自宅で行う洗顔・洗髪は、術後1週間経過してから行うのが一般的です。この際、目に水や洗顔・洗髪用の薬液が目に入らないよう注意しましょう。
また一人暮らしでお湯の温度を自由に調整できる場合、お湯の温度を35-40度のぬるま湯にするとより効果的です。もし家族で暮らしているなどの理由でお湯の温度を調整できない場合、水を入れてぬるくするなどの対策を取りましょう。
温泉・サウナといった入浴施設は、目に強い負担を掛けるため術後2週間は医師の許可が出るまで利用してはいけません。
また現在行っている趣味が目に負担をかける可能性があります。術後に行っていいかどうか、あらかじめ確認しておきましょう。

白内障手術の術後はいつから仕事復帰できる?

 
白内障手術の術後はいつから仕事復帰できる?
白内障手術を終えた後仕事に復帰できる期間は、仕事内容によって大きく異なります。異なる理由として、身体に強い負荷を掛ける仕事の場合目に入れたメスの傷口が開く可能性があるためです。
仕事復帰をスムーズに行うためには主治医に現在の職業と業務内容を申告し、会社・上司への報告がスムーズにできるよう準備しておきましょう。

デスクワークは翌日から

デスクワークの場合、身体の負担が掛からないように配慮してもらえば術後の翌日から復帰可能です。術後1週間は出勤時に保護メガネをかけ、仕事中も出来る限りつけておくように心がけましょう。
出勤時の徒歩移動程度であれば運動は問題ありませんが、自転車など目や体に負担のかかる出勤方法は控える必要があります。
手術内容によっては目の動かし方に気を付ける必要もあるため、出勤の経路や方法について手術前に相談しておきましょう。

力仕事は1ヶ月後から

配送業や重い物を頻繁に持つ必要がある作業を伴う仕事、また頻繁に外に出る必要がある仕事の復帰は1ヶ月程度控える必要があります。
理由として重い物や身体に負担をかける行為は、目に入れたメスの傷口が開いてしまう危険性があるためです。外出が多い仕事の場合、保護メガネをかけていても目にゴミが入ったり患部に指が触れたりした場合感染症になる危険があります。
職場の理解を得るためにも、現在行っている仕事を主治医に相談し安静にしている期間を作れるようにしましょう。

白内障手術の術後はいつから運転できる?

白内障手術の術後はいつから運転できる?
手術を受けた後の運転は、原則として翌日から可能です。運転を行うために必要な視力が裸眼・矯正後の基準に達していれば、手術後も問題なく運転できます。
しかし手術を受ける前と受けた後だと、眩しく感じることや色見の変化といった視界の変化があるため運転に支障が出る可能性があるため注意しましょう。
医師によっては運転にも制限が掛かる場合があるため、自己判断で運転は行わず相談をしながら運転は行うのが無難です。

白内障手術の術後で通院が必要な期間

 
白内障手術の術後で通院が必要な期間
白内障の術後は、感染症や傷口が開かないようにするため最初の一月は週に1度のペースで通院する必要があります。
通院の間隔は徐々に開いていきますが、どの病院でも3ヶ月程度は通院が必要です。
通院中は主に目薬の処方や、合併症や日常生活における疑問点の解消するための問診が行われます。3ヶ月目は月に2回程度のペースまで減少し、術後が安定していればその後は通院の必要はありません。
後発白内障を始めとした、通院時期が終わってから症状が出始める場合もあるため通院が終わった後も注意が必要です。もし手術を行った目に違和感や自覚症状が発生した場合は、速やかに医師に相談しましょう。

まとめ

 
白内障手術の術後の注意点は?
白内障手術は日帰りで終了するため、時間的負担は短く効果も明確ですが治療後の制限が多く働き盛りだと決断するのが難しい治療です。
しかし術後の対応を会社や医師とあらかじめ相談しておけば、スムーズに治療と職場復帰を行う事が出来ます。
目薬を忘れない・保護メガネをかけて目に負担を掛けないようにするといった約束をきちんと守れば、治療期間も伸びません。手術前の生活に戻るためには医師の指示に従い、通院を続けることが重要です。

この記事の監修医師