白内障の手術とは?術後の注意点や眼内レンズについても解説
目の中にある水晶体は、年齢とともに濁ってきます。白内障の主な原因は加齢であり、70代以上の高齢者のほとんどに白内障の症状があるといわれています。
白内障は初期の場合であれば点眼薬や飲み薬による治療を行いますが、これらはあくまで症状の進行を抑えるためのものです。
視力低下・目がかすむ・物が重なって見えるなどの症状を改善するためには白内障手術を受ける必要があります。
白内障の症状で日常生活に支障が出始めたので白内障手術を受けようか悩んでいる・親が白内障手術を受けるので心配という方もいらっしゃるでしょう。
この記事では白内障手術の流れについて解説しています。白内障手術後の注意点・眼内レンズの選択についても紹介しているので参考にしてください。
監修医師:
渡邊 一弘(セントラル眼科クリニック)
目次 -INDEX-
白内障の手術とは?
白内障手術は目の中にある濁った水晶体を取り除いて、人工の眼内レンズを入れるというものです。
それでは白内障手術の詳しい流れをみていきましょう。
手術の流れ
白内障手術当日の食事は3時間前、水分の摂取は2時間ほど前に済ませておきましょう。
白内障手術の1時間ほど前には瞳孔を広げる目薬をさして散瞳処理をします。白内障手術の流れは以下の通りです。
- 麻酔をかける:点眼麻酔による局所麻酔をかけます。
- 角膜に切れ目を入れる:眼内レンズを挿入するため角膜に小さな切れ目を入れます。
- 濁った水晶体を取り除く:超音波で水晶体の中身を砕いて吸い取る方法が一般的です。
- 眼内レンズを挿入する:水晶体を包む水晶体嚢に折りたたんだ状態の眼内レンズを入れしっかり固定させます。その後抗菌のための目薬をさして手術終了です。
- 待機時間:白内障手術後は30分程度待機時間を設けます。日帰り手術の場合、問題なければ帰宅できます。
帰宅する際は患者さん自身が自動車や自転車を運転するのは危険です。家族に迎えに来てもらう・タクシーを利用するなどあらかじめ帰宅する手段を検討しておくことをおすすめします。
また、手術を受ける患者さんの送迎をしている病院もあるので事前に確認しておきましょう。
麻酔方法
白内障手術では基本的に点眼麻酔を用います。この他前房内麻酔・テノン嚢下麻酔を使用する場合もあります。前房内麻酔は目の中にある前房という所に少量の麻酔液を注入する方法です。点眼麻酔より効果が高く、時間も約15分と長くなっています。
テノン嚢下麻酔は白目の下にあるテノン嚢という所に麻酔液を注射する方法です。麻酔時間・麻酔効果は高いですが、注射した所が内出血しやすいので手術後に目が赤くなる場合があります。
麻酔の効果には個人差があるので、効きにくい方には前房内麻酔やテノン嚢下麻酔を点眼麻酔と併用する場合もあります。
入院期間
白内障手術の所要時間は15~30分程度となっているので、日帰り手術(※術前の検査・術後の経過観察のため通院いただく場合があります)を受ける方が多くなってきています。
日帰り手術の場合は来院から帰宅まで約3時間です。日帰りの白内障手術は他に病気がなく、体力がある人に向いています。
また、認知症など自宅で過ごした方が負担が少ない場合も日帰りの白内障手術が良いでしょう。白内障以外の目の病気・糖尿病など経過観察が必要な方は入院手術をおすすめします。
また、一人暮らし・遠方から通院されている方は入院手術を検討してみても良いでしょう。患者さんにもよりますが、入院手術を受ける場合の日数の目安は1~3日です。
手術費用
保険診療での白内障手術の費用はおおよそ決まっていますが、健康保険の負担割合をはじめ日帰り手術か入院か・片眼か両眼か・同日手術か別日手術かによっても変わります。
単焦点眼内レンズの場合のおおよその費用は下記の通りです。
- 70歳未満(日帰り手術):3割負担となり片眼の場合は約50,000円(税込)です。両眼の場合は同日手術だと約80,000円(税込)、別日手術だと約100,000円(税込)となります。
- 70歳以上(日帰り手術):年齢・所得によって1~3割負担となります。3割負担の場合片眼だと約44,000円(税込)です。両眼の場合は同日手術だと約44,000円(税込)、別日手術だと約90,000円(税込)となります。
- 70歳未満(入院手術):3割負担となり片眼の場合は約80,000円(税込)です。両眼の場合は同日手術だと約80,000円、別日手術だと約130,000円(税込)となります。
- 70歳以上(入院手術):年齢・所得によって1~3割負担となります。3割負担の場合片眼だと約70,000円(税込)です。両眼の場合は同日手術だと約80,000円(税込)、別日手術だと約140,000円(税込)となります。
参考にしてみてください。
多焦点眼内レンズは保険が適用されないので自由診療もしくは選定療養となります。自由診療の場合は全額自己負担です。
選定療養では保険適用の単焦点眼内レンズの手術代にプラスして、多焦点眼内レンズの差額分を自己負担で支払うこととなります。
費用の相場は安価なものだと片眼20万円(税込)、レンズの性能によっては50〜80万円(税込)程度だそうです。
白内障手術の合併症
白内障手術を行った後に角膜浮腫・眼圧上昇・虹彩炎・細菌感染などの合併症がみられる場合があります。軽度な角膜浮腫・眼圧上昇・虹彩炎であれば、ほとんどの場合手術から1週間で改善します。
角膜浮腫
白内障手術では角膜を切開するため、処置後に角膜浮腫の症状が出る場合があります。角膜浮腫とは黒目を覆っている透明な膜がむくんだ状態になり、視力が低下する病気です。
白内障手術後の検診で角膜浮腫の症状がみられる場合は点眼薬で治療を行います。白内障手術後の一時的なむくみによる症状のため、ほとんどの場合は数日で改善します。
眼圧上昇
白内障手術では安全に処置を行うため、眼内に眼粘弾剤というジェル状の物質を注入します。白内障手術後の眼圧上昇の原因は多くの場合、眼に眼粘弾剤が残ることで眼内にて作られた水を外に出す機能が低下することです。
水を外に出す際にフィルターの役目を果たす線維柱帯という部分の通りが悪くなると眼圧が上昇して、頭痛・目の鈍痛・角膜浮腫を引き起こす場合があります。
白内障手術後に眼圧上昇がみられる場合は、点目薬や飲み薬によって眼圧を下げます。一過性の症状である場合が多いため、ほとんどの場合は数日で改善可能です。
虹彩炎
虹彩炎はぶどう膜を構成する虹彩・毛様体・脈絡膜のうち虹彩が炎症を起こす病気です。目が赤くなる・まぶしい・視力が落ちるなどの症状がみられます。
抗菌薬や抗ウイルス薬による治療で炎症がおさまれば改善します。
細菌感染
白内障手術では角膜を切開するので、手術の際や術後に細菌に感染する場合があります。白内障手術の前には眼表面を消毒し、切開する傷も小さいため細菌感染の発症率は0.05%と低いです。
白内障手術後に細菌感染の症状が出た場合は、抗生剤の点眼で治療を行います。放置して悪化してしまうと手術が必要になる場合もあるので、目に異常を感じたら早めに白内障手術を受けた病院に相談しましょう。
白内障手術後の注意点
白内障手術後は炎症を予防するために抗菌薬・抗炎症薬などの点眼薬を医師の指示通りに使用することが重要です。予後経過を観察するための定期検診も大切ですので必ず受けるようにしてください。
また、日常生活において運動・洗顔・飲酒・喫煙などを行うタイミングも医師の指示を仰ぐようにしましょう。
安静にする
白内障手術を受けた当日は安静にして過ごしましょう。散歩や家事といった負担が少ないものは翌日からでも可能です。
重いものを運ぶといった重労働、汗をかく激しい運動を行う目安は白内障手術から1週間ですが、検診で医師に相談してからにしましょう。
清潔を保つ
細菌感染を予防するため清潔に保つことが重要です。無意識に目を手でこすってしまう場合もあるので手は清潔にするようにしましょう。
眠っているときは自分でコントロールできないので眼帯を装着するのも効果的です。髪の毛が目にかかる場合は手術前に切っておくか、ヘアピンでとめるようにしましょう。
また、メイクは1週間、アイメイクは1ヶ月控えるようにしてください。
急な視力低下に注意する
白内障手術の後は一時的にまぶしく感じたり、物が青みがかって見えたり、視野の周りに幕がかかって見えたりすることがあります。これらの症状はほとんどが一時的なものなので、徐々に改善していきます。
しかし、急な視力低下や目の痛みなどがあった場合は注意が必要です。白内障手術を受けた病院に速やかに相談しましょう。
洗顔を控える
目に水が入る可能性があるので洗顔・洗髪は控えるようにして、固く絞ったタオルで拭く程度にとどめておきましょう。
首から下であればシャワーを浴びても大丈夫です。1週間後の検診で医師から許可が出れば洗顔・洗髪が可能です。
飲酒・喫煙を控える
白内障手術の後は1週間ほど飲酒・喫煙を控えるようにしてください。飲酒は血液を膨張させるため出血しやすくなり、喫煙は血流が悪くなるため傷の回復を遅らせます。
眼内レンズの選択方法
白内障手術で使用する主な眼内レンズには単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズがあります。単焦点眼内レンズは近方・遠方のどちらかに焦点を合わせるものです。
多焦点眼内レンズは2つもしくは近方・中間距離・遠方の3つに焦点を合わせます。近方・中間距離・遠方の目安は下記の通りです。
- 近方:30~50cm
- 中間距離:60cm~1m
- 遠方:5m以上
単焦点眼内レンズはデスクワークなど一定の距離を見ることが多い人に向いています。しかし、近方に焦点を合わせると遠方を見るときは近視用のメガネが必要になり、遠方に焦点を合わせると近方を見るためには老眼鏡が必要です。
多焦点眼内レンズは白内障手術後にメガネをかけたくないという方に向いていますが、選定療養もしくは自由診療となるため費用が高くなるというデメリットがあります。
眼内レンズを選択する際はデスクワークが多い・車を運転することが多いなど仕事や普段の生活を考慮することが重要となります。医師と相談して生活に適した眼内レンズを選ぶようにしましょう。
白内障手術ならセントラル眼科クリニックへ
白内障手術を受けるならおすすめのクリニックがあります。セントラル眼科クリニックは白内障・緑内障の手術・網膜硝子体疾患などの治療を専門としています。
また、通常の白内障手術だけでなく成熟白内障・難症例白内障にも対応しており、白内障で起こりうる合併症の手術も行っているのが特徴です。
より安全な手術をするための医療機器を備えており、眼を守るため定期検診を大事にされています。
先進的な眼科医療を提供
手術による感染症予防を徹底するため、高性能HEPAフィルターを利用した滅菌システムを持つ手術室を備えています。
また、より安全で患者さんの負担が少なくなるようさまざまな白内障手術装置を導入しています。
そのため、小さい切開で処置が可能なため手術後の回復が早いそうです。眼内の水量をコントロールすることで眼圧が低い状態を維持したまま処置できる白内障手術装置もあるので、短い時間で目に負担が少ない手術が可能となっています。
負担の少ない日帰り白内障手術に対応
セントラル眼科クリニックでは白内障の日帰り手術(※術前の検査・術後の経過観察のため通院いただく場合があります)を行っています。生活への影響が少ないためお仕事をしている方も受けやすく、入院手術よりも費用が安いのがメリットです。
また、自宅までの送迎にも対応しているので帰りにタクシーを利用したり、ご家族に迎えに来てもらったりする必要もないそうです。
定期検診も行っている“目”を守るかかりつけクリニック
セントラル眼科クリニックでは患者さんの目を守るため、手術後の感染予防を重要視しています。
重症化する感染症は手術から2週間以内のものが多いため、 手術後の点眼・入浴などの指示をしっかり行うとともに、患者さんに医師が指定した日に検診を受けてもらうようにしているそうです。
セントラル眼科クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
東京メトロ東西線線「行徳」駅より徒歩2分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:00~12:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | - | - |
15:00~18:30 | ● | ● | ● | - | ● | - | - | - |
休診日 木曜午後・土曜午後・日曜・祝日
※緊急手術が入った際には、受付時間が18:00 までになる場合がございます。 予めご了承ください。
※午前は8:30より受付を開始しております。
※午後は14:30より受付を開始しております。
参考文献