妊娠初期の腹痛は生理痛に似てる?妊娠の可能性を示す症状と注意すべき腹痛も解説
赤ちゃんを希望している方やそうでない方にとっても、妊娠の可能性には非常に敏感になるのではないでしょうか。
妊娠の可能性がある性交渉に心当たりがある方は、生理予定日の遅れや腹痛など体調のささいな変化が妊娠の初期症状ではないか気になることでしょう。
妊娠初期症状を感じた方は、生理痛に似た腹痛をはじめさまざまな不調を感じている方が多数います。
一方、妊娠初期症状の腹痛以外に注意すべき腹痛が隠れている場合があることも事実です。
この記事では、妊娠の可能性を示す初期症状や、気を付けるべき腹痛について解説します。
今感じている不調が、妊娠の初期症状ではないかと気になっている女性は、ぜひ参考にしてみてください。
監修医師:
阿部 一也(医師)
目次 -INDEX-
妊娠初期症状が現れ始める時期は?
妊娠の初期症状が現れ始める時期は、早いと妊娠4週頃から遅くとも妊娠16週頃までといわれています。
さらに早くから体調の変化を感じる方がいる一方、まったく不調などの症状がない方もいるなど個人差が大きいため、妊娠初期症状は必ずしもあるとは限りません。
また、妊娠3〜4週頃は次の月経が始まる時期と重なるため、体の不調が妊娠初期症状なのか月経前症候群(PMS)なのか判別が難しい時期といえるでしょう。
妊娠初期症状の一つにつわりがあり、症状の感じ方は人それぞれですが、妊娠5週頃から症状があったとされる方が大半です。
妊娠している場合には、妊娠の可能性のある性交渉があった日から1〜2週間経過後頃に、体調の変化など妊娠初期症状を感じる場合があるといえます。
妊娠初期症状で生理痛に似た腹痛を感じることがあるって本当?
妊娠が判明した方が感じた初期症状には、どのようなものがあるでしょうか。
体調の変化の感じ方には個人差があるため、妊娠初期症状を一つに絞ることはできませんが、生理痛や月経前の腹痛に似た痛みを感じる方が一定数いることは事実です。
生理痛は、子宮内膜が剥がれ落ちる際に痛みを発生させる物質が生成されるため引き起こされます。
そして、痛み物質の作用により子宮の筋肉が収縮しすぎることで血行不良を生じ、痛みにつながると考えられるでしょう。
妊娠している場合には、子宮内膜の剥がれはないものの妊娠継続しやすいよう子宮内膜が厚い生理前に似た状態が長続きし、同様の腹痛を感じると考えられます。
ホルモンバランスの変化や精神的な要因も大きく、腹痛程ではないものの下腹部に違和感がある方が多いのも事実です。
妊娠初期に起こる腹痛の対処方法
妊娠初期に現れる症状としてよくみられるものに、生理痛に似た腹痛があります。
腹痛の感じ方には個人差があり、なんとなくお腹が重い・チクチクと痛む・ズキズキ痛むなどさまざまです。
痛みの程度はあれど、腹痛や違和感があると憂鬱な気分になりがちです。
妊娠初期症状である場合には、痛みを完全になくすことはできません。
しかし、対処法を試すことでつらい腹痛を和らげられる場合があります。
妊娠初期症状かどうかに関わらず、つらい腹痛を和らげられるよう対処法をみていきましょう。
安静に過ごす
腹痛がある場合に有効な対処法の一つは、安静に過ごすことです。
腹痛の感じ方には差があるため、動いていた方が気が紛れる方もいることでしょう。
安静に過ごす方法に絶対はないため、少しでも楽に感じる過ごし方を優先することをおすすめします。
例えば、横になる・座って過ごす・暖かい飲み物を飲むなど、なるべく静かにかつ楽に過ごせる状態を目指しましょう。
体を温める
生理痛や月経前症候群の腹痛でも有効とされる対処法には、体を温める方法があります。
腹痛が引き起こされる原因として、子宮や周辺組織の血流が悪くなることが考えられます。
腹部を中心に体を温めることで血流の改善が期待でき、結果として腹痛が和らぐでしょう。
体を温めることで腹痛を直接取り除くことはできませんが、血流の改善を手助けするため有効な対処法といえます。
水溶性食物繊維の摂取を意識する
腹痛が引き起こされる要因の一つに便秘があるため、水溶性食物繊維の摂取を意識することが腹痛の緩和につながる場合があります。
安静に過ごしたり体を温めたりする対処法と異なり、痛みが和らいだと感じるには時間がかかるでしょう。
なかには、水溶性食物繊維を摂ることによって便意とともに腹痛が強く感じられる場合もあるため注意が必要です。
普段から生理痛や月経前症候群による腹痛を感じやすい方は、日頃から水溶性食繊維を摂取し、便を溜めないよう意識することをおすすめします。
要注意!腹痛の原因には病気やトラブルが潜んでいることも
妊娠しているかどうかに関わらず腹痛が長引く時は、ほかの病気やトラブルが潜んでいる場合があります。
妊娠検査薬で陽性になった場合でも、正しい位置で妊娠しているとは限りません。
対処法を試しても腹痛に改善がみられない場合には、早めの産婦人科受診をおすすめします。
さっそく腹痛の原因となる女性特有の病気やトラブルについて解説します。
子宮筋腫
生理痛や月経前症候群の痛みが強い原因として代表的なものに、子宮筋腫があります。
妊娠によって子宮筋腫は小さくも大きくもなり、できる場所や大きさによって痛みが強く出る場合が多数あります。
妊娠初期症状を疑う時期は、月経前症候群の症状が出る時期や生理予定日とも重なるため同じような痛みを感じることでしょう。
これらの痛みが強い場合には子宮筋腫がある可能性があり、妊娠自体にも影響を及ぼすため早めに産婦人科を受診し、筋腫の有無の正しい確認が大切です。
もし子宮筋腫がない場合にも、痛みを軽くする相談ができるため、気持ちが軽くなるのではないでしょうか。
感染症
腹痛や体の不調、膣炎を引き起こすものに性行為感染症があります。
なかでも腹痛や不妊症をはじめ、さまざまなトラブルを引き起こすものが性器クラミジア感染症です。
妊娠していない場合には、正しい治療をすると症状を改善できます。
クラミジアをはじめとした感染症の病原体によっては、出産時や妊娠中に悪影響を及ぼすものがあるため注意が必要です。
なかなか治らない腹痛や不調に加え、感染症のスクリーニングを受けていない場合には、産婦人科を受診し感染症の有無を確認するとよいでしょう。
異所性妊娠
長引く腹痛の原因として、注意すべき病気は異所性妊娠です。
受精卵が子宮内膜以外に着床している状態を指し、気付かず放置すると命にも関わる危険が潜んでいます。
自覚症状がない場合が多く、卵管などで着床および妊娠したことによる出血を生理と勘違いする場合も多く、長引く腹痛や激しい腹痛で判明するケースが多々あります。
妊娠の可能性がある性交渉があった場合には、生理がきたから妊娠していないと安易に判断するのではなく、妊娠検査薬で確認してみましょう。
異所性妊娠であっても妊娠検査薬は陽性と出るため、産婦人科を受診すると正常妊娠かどうか早期確認でき、自分の体を守ることにつながります。
生理痛に似た腹痛以外で妊娠初期に現れやすい症状
妊娠初期症状の一つとして腹痛がありますが、その他に妊娠初期に現れやすい症状にはどのようなものがあるでしょうか。
女性の体は、排卵すると女性ホルモンの一つであるプロゲステロンと呼ばれる黄体ホルモンが多く分泌され体温を上昇させるため、ほてりや微熱を自覚される方がいます。
プロゲステロンは、子宮内膜の環境を受精卵が着床しやすく整えたり、妊娠を継続させたりするはたらきをもっています。
このように排卵や妊娠によって、体内のホルモンバランスが変化するため、ほかにもさまざまな不調が引き起こされるでしょう。
では、具体的にどのような妊娠初期症状が現れやすいのか解説します。
着床出血
妊娠初期症状のうち、超初期といわれる妊娠3~4週前後に起こるものとして「着床出血」があります。
受精卵が着床する際に少量の出血があるものを指し、着床出血の期間は1〜3日程度と生理に比べ短い場合がほとんどです。
実際には、着床出血なのか生理やそれ以外の不正出血なのかわかりにくいのも事実です。
理由のわからない出血があると不安になる方が大半です。
着床出血は必ず起こるものではなく、次の生理のタイミングとも重なるため、着床出血の有無で妊娠を判断するのは難しいでしょう。
胸の張りや乳首の痛み
妊娠初期に感じる症状のなかに、胸の張りや乳首の痛みを感じる方も一定数います。
妊娠初期の胸の張りには、妊娠特有のホルモンが分泌されることによる影響が大きいです。
子宮の発達を促すエストロゲンという卵胞ホルモンが分泌され、乳腺組織や乳管を発達させる作用により胸の張りを感じると考えられます。
子宮内膜を妊娠継続しやすく維持するはたらきをもつプロゲステロンにも、乳腺組織を活発化させる作用があるため、より胸の張りを感じやすくなるでしょう。
気持ち悪さや吐き気
妊娠初期の症状としてあげられるものに気持ち悪さや吐き気などがあります。
いわゆるつわりで悪阻とも表現されます。
早い方では妊娠5週頃から症状が出始め、ほとんどの方は妊娠12~16週の妊娠中期に治まりますが、長引くこともあるので注意が必要です。
水分が取れない程気持ち悪さや吐き気が強い場合には、入院が必要になることもあるため、我慢や無理をせず産婦人科の受診をおすすめします。
倦怠感や眠気
排卵後から妊娠初期にかけて、プロゲステロンという黄体ホルモンが分泌され続け体温を上げることにより、倦怠感や眠気を感じる場合があります。
37度前後の微熱が続くことで、体がほてったように感じ、だるさや眠気が引き起こされると考えられるでしょう。
普段から月経前症候群の症状がある方にとっては、妊娠初期症状との区別が難しいのが現状です。
目安は、月経前症候群であれば、月経の開始とともに症状が和らぐ傾向があるため生理がくるかどうかによって判断することができそうです。
いつもと睡眠時間や生活リズムに変化がないにも関わらず、日中の眠気を感じたり倦怠感があったりするのであれば妊娠している可能性があるかもしれません。
頭痛
頭痛にはさまざまな要因がありますが、妊婦の方に多い頭痛は血管や筋肉が収縮することで引き起こされる緊張性頭痛といわれています。
その他の頭痛についても、女性ホルモンであるエストロゲンなどのバランスの変化で引き起こされる場合があります。
頭痛があるからといって、必ずしも妊娠しているとは限りませんが、つらい症状であることには変わりありません。
体を温めたり安静に過ごしたりするなど、対処法をとっても頭痛がよくならず鎮静剤を使う場合には、赤ちゃんへの影響が少ないアセトアミノフェンを含むカロナールを選ぶとよいでしょう。
便秘や下痢
排卵後に分泌され妊娠中も胎盤から分泌され続けるプロゲステロンは筋肉の弛緩に作用し、腸の動きが悪くなります。
腸の動きが鈍くなることにより、便が硬くなることで便秘を引き起こすと考えられています。
便秘を解消しようとすると一時的に下痢になり、また便秘になることを繰り返しがちです。
子宮が赤ちゃんのための準備をするために、子宮が大きくなり周辺の腸を圧迫することも便秘が引き起こされます。
単なる便秘と自己判断せず、医師に相談して便秘や下痢の症状を解決することが重要です。
イライラや強い不安感
妊娠初期症状としてイライラや強い不安感を感じる方も多数います。
妊娠しているかどうかに関わらず、排卵するとプロゲステロンが分泌されホルモンバランスが変化します。
こうしたホルモンバランスの乱れが継続すると、イライラや不安感が強く感じられるといえるでしょう。
普段から月経前症候群の症状がある方にとっては、その状態が長続きすると考えたらこうした精神面の症状が強く出ることにも納得できるのではないでしょうか。
精神面のトラブルが長引く場合には、妊娠初期症状であるといえます。
食欲の増大もしくは食欲不振
妊娠初期には、つわり症状の感じ方によって食欲不振になる方がいる一方、食欲が増大する方がいるのも事実です。
食欲が増大する例では、食べる量自体が増えることや特定の食材のみに食欲が湧くこと、苦手だったものが好きなること、その逆も考えられます。
こうした食欲の変化は、つわり症状の一つとされ妊娠初期にとどまらず中期や後期にも症状がある場合もあります。
症状の感じ方には個人差があるため、他人の意見はほどほどにご自身にとって症状が和らぐ対処法を見つけることが一番の改善策といえそうです。
妊娠検査薬を使うタイミングや病院へ行くタイミングはいつ頃?
妊娠の超初期症状には、生理の遅れや眠気・ほてり・微熱・なんとなく体調が悪いといった症状があります。
気のせいと見過ごされがちですが、このような前触れ症状があり妊娠の可能性がある場合には、まずは妊娠検査薬を使って陽性反応が出るか確認しましょう。
妊娠検査薬を使うタイミングは、生理周期が順調な方であれば生理予定日から1週間経過頃に検査することをおすすめします。
基礎体温をつけている場合には、3週間程高温期が続くようであれば妊娠検査をしてみましょう。
生理が不規則な方や生理予定日がわからない方は、心当たりのある性交渉の日から3週間以上経過後を目安に検査します。
いずれの場合も、妊娠中に増加する尿中のhCG濃度の影響が考えられるため、朝起きてすぐの尿で検査することをおすすめします。
妊娠検査薬で陽性反応が確認できた場合、産婦人科を受診して正常妊娠であるかや、正しい妊娠週数を確認しましょう。
産婦人科を受診する目安は、胎嚢が確認できる妊娠4週半~妊娠5週頃がよいでしょう。
編集部まとめ
妊娠の初期症状として感じる腹痛は、症状を感じる時期が生理予定日と重なるため月経前症候群の痛みや生理痛と似ているといえるでしょう。
また、排卵時や着床時に痛み物質が生成されたりホルモンバランスが変化したりするため、腹痛やそれ以外の体調の不調が引き起こされることが多々あります。
妊娠初期症状の感じ方には個人差があるうえ、すべての方に共通して症状が起こるわけではありません。
そのため、初期症状の有無から妊娠の可能性に一喜一憂するのは早計といえるでしょう。
万が一妊娠検査薬で陰性となった場合でも、腹痛などの体の不調が長引く場合には病気が潜んでいる場合があるため注意が必要です。
腹痛などの痛みがある場合には対処法を試しながら、妊娠検査薬を使って妊娠の有無を確認し、その後産婦人科を受診しましょう。
参考文献