生活習慣病の先にある心臓疾患を検査や治療で抑制し、地域の安心に貢献【富山県高岡市 医療法人高岡みなみハートセンター みなみの杜病院】


胸に圧迫感があるとき、病院で受診するのは何科になるのかご存じだろうか? 「循環器内科」と即答できる人は、案外少ないかもしれない。心臓の疾患は、日本人の死因としてがんに次いで多い病気なのだ。「高岡みなみハートセンター みなみの杜病院」の平瀬裕章理事長は、だからこそわかりやすい病院名で地域の安心を支えたいと語る。新しい検査システムを導入し、心臓疾患の予防にも力を注ぐ同院。カテーテル治療のスペシャリストでもある理事長に、心臓疾患や予防について詳しく話を伺った。
平瀬 裕章(ひらせ ひろあき)
医療法人高岡みなみハートセンター みなみの杜病院 理事長
1993年に金沢大学医学部医学科を卒業。日本循環器学会循環器専門医(北陸支部評議員)。高岡市民病院循環器内科主任部長を経て、2018年より現職。カテーテル治療のスペシャリストとして、多くの学会などで講演活動や実地指導を行い、後進の育成にも精力的に携わる。
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死因はがんに次いで多い心疾患。とりわけ「心筋梗塞」は危険
まず心臓の異常についてお聞きします。自覚症状にはどのようなことがありますか?
胸が締めつけられるといった圧迫感のほか、動悸や息切れが多いですね。特に、冬は不調を訴える方が多い。除雪作業中や早朝の散歩中、急に胸の痛みを感じたといって受診する方が増えます。
気温が下がると、血管が収縮して血圧が上昇するため、心臓に大きな負担がかかってしまう。寒さは突発的な心臓病の引き金になるので、注意が必要です。

突発的な病気とは、たとえばどのような病気ですか?
「心筋梗塞」の危険が高まります。心筋梗塞を起こすと、30%程度の方は死に至る重大な病気です。日本人の死因として、心疾患はがんに次いで多く、その約半数が心筋梗塞を代表とする虚血性心疾患です。

心筋梗塞になると、どのような症状が起こるのでしょう?
心筋梗塞を生き抜いた方に話を聞くと、半数以上の方が、「これまで心臓に何の症状もなかったが、突然、激烈な痛みに襲われた」と言います。つまり、初めての発作で、いきなり死に至る可能性があるのです。
なかには、「その前から何となく胸の重さは感じていた」という方もいますが、「病院に行くほどでもない」程度の不調だったそうです。いずれにせよ、心筋梗塞は急に発症して重篤な状態に陥る恐ろしい病気であることを知っておく必要があります。
突然死のリスクを下げるため、迅速な検査でスムーズな治療へ

「虚血性心疾患」について教えてください
心臓は「心筋」という筋肉が収縮や拡張を繰り返すことで、ポンプのように全身に血液を送り出しています。心筋に酸素や栄養を運んでいるのが、心臓を覆う「冠動脈」です。この冠動脈が狭くなったり詰まったりすると、心筋に血液が行き渡らなくなり、狭心症や心筋梗塞といった疾患を引き起こします。こうした病態を総称して「虚血性心疾患」といいます。
なぜ、血管が狭くなるのでしょうか?
大きな要因として、動脈硬化が挙げられます。動脈硬化になると、血管の柔軟性が失われて硬くなったり、プラークと呼ばれる脂肪のかたまりが血管の壁に蓄積したりすることで、血管の内腔が狭くなります。
「狭心症」とは、どのような病気でしょうか?
狭心症は、冠動脈が狭くなることで一時的に血流が悪くなり、心筋に必要な血液が不足した状態のことをいいます。胸の痛みや圧迫感などの症状が出てきますが、数分でおさまるため、見過ごされることも多い病気といえるでしょう。
しかし、狭心症から心筋梗塞に移行するケースもあるため、胸の異常を感じたらすぐに受診することが大切です。
一方の心筋梗塞は、どのような病気でしょうか?
心筋梗塞になると、冠動脈の血流が完全に遮断されてしまいます。動脈硬化の進行によってできたプラークが何らかの原因で破れると、冠動脈の中に血栓ができ、血管内を完全にふさいでしまいます。それで20分以上心臓への血流が途絶えると、心筋の細胞が壊死します。
心筋の細胞は再生しないため、細胞壊死の範囲が広いと機能低下を招いて、重い後遺症が残ることもあります。もちろん、死亡リスクも高くなります。
胸の異常を感じて受診した場合、どのような検査をするのですか?
レントゲンや心電図だけでは心臓の状態を把握できないので、冠動脈CTを撮影します。冠動脈CTは、一般的なCT検査とは異なり、心電図と同期させながら心臓の動きに合わせて冠動脈を撮影します。そして画像データを解析することで冠動脈の状態を見える化し、心臓を解剖学的・機能的から評価します。
当院では検査当日に結果がわかるので、突発的な病変をいち早く検知して、スムーズで適切な治療につなげることができます。
当日に検査結果がわかるとは、ずいぶんスピーディですね
はい。これまではCT画像を熟練の放射線技師が30分かけて分析し、立体画像にしていたのですが、AIの導入で立体画像の作成時間がわずか5分に短縮されました。このスピード感は当院の強みです。おかげで、患者さんが多い状況でも滞ることなく診断できます。
心臓疾患の診断はスピードが勝負です。実際、軽微な症状で受診したのに、検査すると血管の大部分が詰まっていたという患者さんもいらっしゃいます。
もし異常が見つかったら、治療はどのように行われるのでしょうか?
病気が疑われる場合は、カテーテル検査で血管内を調べ、必要に応じてカテーテル治療を行います。カテーテルとは、細いプラスチック製の管のことで、メスを使わずに心臓へのアプローチが可能です。体への負担を抑えて治療することができます。

家族に心筋梗塞や脳卒中の既往歴がある人は要注意

虚血性心疾患を予防するにはどうすればよいですか?
動脈硬化を防ぐことが最も重要になります。動脈硬化は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリック症候群と診断された方、喫煙習慣のある方、ご家族に心筋梗塞や脳卒中の既往歴のある方などがハイリスクだといわれています。
メタボリック症候群も、動脈硬化になる可能性が高いのですか?
メタボリック症候群の方は、すでに動脈硬化の入り口に立っている状態です。しかし、その認識がなかなか広がらず、特定健診で指摘されても受診しない方が多いのは残念ですね。
動脈硬化は自覚症状が乏しいため、気づかないうちに進行していることもよくあります。若くても、動脈硬化になる可能性は十分にある。だから働き盛りの方こそ一度検査して、自分のリスクを把握していただきたいと思います。そのために当院では、「心臓血管ドック」を実施しています。
それでは、「心臓血管ドック」での検査の流れを教えてください
問診、身体測定、血圧測定、血液検査、心電図検査といった一般的な検査のほか、動脈硬化検査、造影剤を使用した冠動脈CT、さらにエコー検査で心臓と頸動脈を調べます。
検査は半日/1回で終わり、当日のうちに循環器専門医が検査結果の説明まで行います。
※以前に造影剤を使って気持ち悪くなったことがある方や、妊娠中あるいは妊娠の可能性のある方、糖尿病の内服治療を行っている方は検査が受けられない事がございますので、予約時に必ず申告してください。
「心臓血管ドック」の費用はいかほどでしょうか?
心臓血管ドックの料金は、税込みで30,000円です。脳梗塞のリスクある場合は、オプションとして脳のMRIを撮ることもできます。この場合はプラス5,000円になります。
その日のうちに検査結果まで説明してもらえるのはありがたいですね
先ほどもお伝えしたとおり、冠動脈CTの画像解析をシステム化したことで、読影までの工程がスピードアップしました。検査結果の報告書は、後日ご自宅に郵送します。

あらゆるカテーテル治療に対応し、再発抑止で患者の人生を支える

先生のカテーテル治療の実績を拝見しました。細い血管内に挿入したカテーテルで治療ができるなんて驚きです
ひとことでカテーテル治療といっても、いまはさまざまな術式があります。カッターのようなもので病変組織を切除する手法や、レーザーの照射でプラークを蒸散させる方法、また超音波を用いて破砕させる治療法などいろいろです。
特殊カテーテルを含め、当院ではカテーテル治療のすべてに対応できます。充実した設備を備えていますので、安心して治療に臨んでいただけます。
治療するうえで、先生が一番大切にしていることは何でしょうか?
治療で現状を改善させるだけでなく、再発を防ぎたいと考えています。当院にはさまざまなカテーテル治療の選択肢がありますので、病変に応じた適切な方法で治療することができる。その強みを活用して、予後のよい治療に取り組んでいます。

私たちは動脈硬化にならないよう、検査を定期的に受けて、よい数値をキープすることが大切ですね
そうですね。ただ、注意すべきポイントもあります。虚血性心疾患のリスクを考えるうえで、やはり「糖尿病」がキーワードになりますが、データの数値だけを追いかけていても、正しく予防できません。
いまの血管の状態を把握してリスクを層別化し、治療をすることが何より重要です。治療の目的は数値を下げることではなく、命にかかわる病気を防ぐことにあるわけですから。
確かにそのとおりですね。最後にMedical DOCの読者にメッセージをお願いします
心筋梗塞による死亡率は、欧米人のほうが日本人の何倍も高いのですが、食の欧米化によって日本人の発症率も増えているような気がしています。だからこそ、他人事と思わずに、若くても自分の血管の健康状態を知ることが大切なんです。
ご自身はもちろん、ご家族のためにも、突然死につながる心臓疾患の予防に取り組んでいきましょう。
編集部まとめ
日本人の死因としてがんに次いで多い心疾患。その半数を占める心筋梗塞などの虚血性心疾患は、動脈硬化の延長線上にある病気です。近年、生活習慣病の予防が叫ばれていますが、その理由は、こうした重大な病気を防ぐためであることを改めて理解しました。特定健診でメタボリック症候群を指摘されたのなら、軽く考えずに、「心臓血管ドック」を受けて、血管の健康状態を把握することが大切です。そうすることで、心筋梗塞や脳梗塞など突然死につながる疾患を予防することができます。ご自身やご家族の将来のために、血管の健康チェックを始めていきましょう。

医院名
医療法人高岡みなみハートセンターみなみの杜病院
診療内容
心臓血管ドック 不整脈専門外来 下肢静脈瘤診療 など
所在地
富山県高岡市戸出町3-14-24
アクセス
JR城端線「戸出」駅より徒歩11分

