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0歳からの口腔育成(口育)で、子どもの健全な発達をサポート【新潟市西区 こやま歯科クリニック】

 公開日:2026/03/26

0歳からの口腔育成(口育)で、子どもの健全な発達をサポート
0歳からの口腔育成(口育)で、子どもの健全な発達をサポート

近年、子どもの口腔機能の問題が重要視されるようになっている。2018年には新たに「口腔機能発達不全症」という病名が制定され、保険治療が認められるようになった。実際、子どもの健全な成長のためには、「食べる」「話す」「呼吸する」という3つの口腔機能の発達が欠かせない。そして子どものお口の健康は親次第ともいわれるが、ではどんなことに注意すればよいのだろうか。新潟市「こやま歯科クリニック」の小山貴寛院長は、全身管理が必要とされる口腔外科で研鑽を積み、一般歯科診療に加えて子どもの口腔育成に力を入れている。今回は子どもの口腔機能発達のサポートのポイントなどについて、小山院長に話を伺った。

Doctor’s Profile
小山 貴寛(こやま たかひろ)
こやま歯科クリニック 院長

2001年、日本歯科大学新潟歯学部を卒業。その後、新潟大学医歯学総合研究科 顎顔面口腔外科学分野へ入局し、同大学院にて博士課程を修了(歯学博士)。日本口腔外科学会 口腔外科専門医。大学病院での豊富な経験を生かし、地域医療に貢献すべく2020年に「こやま歯科クリニック」を開院。一般歯科に加え、妊産婦向け歯科診療や小児歯科にも注力し、子どもの口腔機能発達を重視した口腔育成(口育)を通じて、健全な顎の発育と正しい歯並びの土台づくりに尽力している。

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口の機能は、姿勢や全身の健康にも深く関わっている

口腔育成(口育)とはどんなことを意味しているのでしょうか?

「口育」とは、お子さんの口の機能を健康に保てるよう育てることです。口には「食べる」「飲み込む」「呼吸する」「話す」といった大切な機能があります。赤ちゃんのうちから、これらの機能が正常に発達するように促すことで、きれいな歯並びや顔の形をつくり、むし歯を予防し、将来の全身の健康の土台を築こうという取り組みです。

口の機能は、姿勢や全身の健康にも深く関わっている

「口育」という認識を持っている親御さんはまだ少ないと思いますが、とても大切なことですね

そのとおりです。食べ物をしっかり噛んで飲み込むことで栄養が十分に吸収できるようになりますし、舌が正しい位置にあることで発音もしやすくなります。これから言葉を覚えて、身体も大きくなっていくお子さんにとって、口腔機能の発達はとても大事なことです。
「口育」という言葉は近年になって使われるようになりましたが、子どもの成長を支えるベースになるものなので、多くの親御さんに知っていただきたいですね。

近年、なぜ重要視されるようになったのでしょうか?

現代は顎の小さい子どもが多く、歯並びや噛み合わせの問題が増えてきていることが背景にあります。口の機能は、姿勢や全身の健康にも深く関わっているため、重要視されるようになってきたと思います。
「口腔機能発達不全症」の保険治療が認められるようになったことで、口腔機能を育成していこうという動きも高まってきました。

「口腔機能発達不全症」について詳しく教えてください

2018年に厚生労働省が定めた病名で、「食べる」「話す」「呼吸」といった口の機能が、年齢相応に発達していない状態を指します。具体的には、生まれた頃の原始的な飲み込み方(乳児嚥下)が残ってしまっていることや、舌の位置が低いこと、口呼吸などが原因で起こるといわれます。
日本歯科医学会と日本小児歯科学会が推奨するガイドラインがあり、診断基準にいくつか当てはまると、0カ月のお子さんから保険診療でトレーニングを受けることが可能です。

口呼吸の弊害について教えていただけますか?

口呼吸になると、鼻のフィルターを通さずに冷たく乾いた空気が喉から入ってくるため、空気中の細菌やウイルスが処理されにくくなります。そのため、風邪やアレルギーなどの病気にかかりやすいリスクがあります。口呼吸を続けていると、口の周囲の筋肉を使わなくなり、顎の正しい成長を妨げ、歯並びに影響を与えたり、睡眠時無呼吸などの問題につながったりすることもあります。
鼻呼吸ができないことから生じている場合も多く、骨の発達が影響しているのか、アレルギーがあるのかなど原因を見極めて対処していく必要があります。

口の機能は、姿勢や全身の健康にも深く関わっている

子どもの口腔機能の不全に気づくためのサインには、どんなものがありますか?

食事中や安静時には、「口がポカンと開いている」「食べ物がいつまでも口の中に入っている」「固いものを嫌がる」「丸のみしていることが多い」「食べるときに舌を前に突き出す」などがサインになります。
発音面では、舌たらず、滑舌が悪い(特に「サ・タ・ナ・ラ行」)、指しゃぶり、唇を噛む、爪を噛む癖などです。睡眠時にいびきをかくこともサインのひとつです。

年齢に応じた口腔育成トレーニングのポイントとは?

年齢に応じた口腔育成トレーニングのポイントとは?

歯科クリニックで行う口腔育成のトレーニングとは、どのようなものですか?

はじめに口腔機能をチェックする検査を行い、一人ひとりに合った口腔筋機能のトレーニングやマウスピース型の装置を使った治療、生活習慣の指導などを行います。
トレーニングでは、口まわりの筋肉をバランスよく使えるようにするために、舌を正しい位置に保つ練習や、唇を閉じる力をつける運動、呼吸の仕方の練習などをします。こうしたトレーニングによって基本的な口腔機能が整っていきます。
マウスピースは主に夜間に装着し、口呼吸を防いだり、顎の成長を促したり、舌の位置を改善したりします。

トレーニングはいつ頃から始めればよいのでしょうか?

上記のような本格的なトレーニングは3歳~6歳の就学前が効果的ですが、口腔育成を始めるのは0歳(生まれた直後)からが理想です。
赤ちゃんは生まれた直後から、母乳や哺乳瓶を吸う動作を始めます。しっかり吸うことが、自然なトレーニングになっているのです。授乳の姿勢や、哺乳瓶の選び方がポイントです。お母さんが妊婦健診を受けることで、スムーズに口育を始められると思います。

妊婦健診について教えてください

小児歯科では、マイナス1歳からのむし歯予防が推奨されています。妊婦さんはホルモンバランスの変化や体調の関係でお口のケアが不十分になりやすく、口腔内の環境が乱れがちです。この時期にむし歯や歯周病になると、ご本人が辛いだけでなく、赤ちゃんへの感染リスクもあります。
出産前にケアをして口腔環境を整えることは、お母さんにも赤ちゃんにも大事なことです。また、口育に取り組んでいるクリニックでは、妊婦健診の際に準備を始めることができます。母体が安定してきた妊娠中期(5~7カ月頃)に受診するとよいでしょう。

離乳食や幼児食で、親が意識すべきことは何でしょうか?

離乳食で大事なのは、乳児の飲み込み方から大人の飲み込み方に切り替えることです。開始のタイミングは、赤ちゃんが口に当たったものを舌で押し出す原始反射が消えてから。目安は5~6カ月です。ストローやスパウト付きのマグは、乳児の飲み込み方を残してしまうため、できるだけ避けてコップ飲みを練習しましょう。
食事をするときの姿勢は、背中を真っすぐにして、足は台につく状態で体が安定するように心がけてください。

歯磨き習慣について、親御さんに伝えておきたいことはありますか?

歯が生えてきたから急に磨きましょう、というのは難しいと思います。赤ちゃんのうちから親御さんがお口の中を触って慣れさせてください。リラックスした雰囲気で、お口の中をマッサージするとよいでしょう。
乳歯はすぐにむし歯になりやすいので、歯ブラシが入らない歯の間はデンタルフロスを使ってください。奥歯が生えてきたら、煎餅のような硬い食材を与えて、奥歯でしっかり噛む習慣をつけましょう。
むし歯菌の感染を防ぐために大人と食器を共有しないことも提唱されていますが、一緒に生活していると完全には難しいと思いますので、ケアをしっかりしてあげることが大事です。

年齢に応じた口腔育成トレーニングのポイントとは?

将来の子どもの健康を守るため、周囲が心がけたいこと

将来の子どもの健康を守るため、周囲が心がけたいこと

口育と小児矯正は重なる部分もあるのでしょうか? 一般的な大人の矯正との違いについても教えてください

小児矯正は、永久歯がしっかり並ぶ土台をつくるために顎の成長を促して土台を整えることが目的です。この点においては口育も同じですが、さらに広い年齢層を対象にしており、治療のアプローチ方法も多様です。
大人の矯正は、永久歯が生えそろった後に、歯並びや噛み合わせを整えるために歯を動かしていく治療になります。

乳歯はどのような役割を持っているのでしょうか? むし歯になるとどんな悪影響がありますか?

乳歯は、食べ物を噛んだり、顎の成長や発音のサポートをしたり、永久歯が正しい位置に生えてくるように導く役割があります。
乳歯がむし歯になると、食べ物を噛めなくなって栄養が取れなくなり、顎の発育にも問題が生じます。永久歯の歯並びが乱れやすくなり、口腔機能の発育に悪影響を及ぼすことになります。

子どもは歯肉炎になりやすいと聞きましたが、原因や予防法について教えてください

歯磨きがちゃんとできていないと、歯と歯の間に汚れがたまって歯肉炎になってしまいます。適切なブラッシングを教え、親御さんに仕上げ磨きをしてもらって、歯肉炎やむし歯にならない習慣をつけていきます。

歯医者さんに「痛い」「怖い」というイメージを持つ子もいると思います。それに対して、貴クリニックではどんな対策や工夫をしていますか?

当クリニックでは、お子さんとしっかりお話をすることを大切にしています。治療の方法や使う道具などについてちゃんと説明をして、子どもが納得してから治療をするようにしています。治療がなかなかできない子には、トレーニングをして理解したところで治療をスタートします。

貴クリニックでの小児歯科での診察の流れについて教えてください

診察の流れは、子どもの年齢や状態によって違います。理想としては、0歳から定期的に通ってもらうのが一番ですね。クリーニングを続けていればむし歯の予防につながりますし、歯の生え方や噛み合わせに問題があっても早期に対応することが可能です。
歯の痛みや口内のケガなどをきっかけに来院する子もいます。一人ひとりの状態に合わせて、適切な治療を行っています。

将来の子どもの健康を守るため、周囲が心がけたいこと

貴クリニックでの小児歯科治療の費用について教えてください

新潟市の助成金があるため、小児歯科の費用は一律530円です。定期的なメンテナンス、むし歯治療、口育のトレーニングも保険適用となります。マウスピース型の装置などは、別途料金がかかります。
自費での治療も行っておりますが、自費治療を行う場合は治療の過程で保険診療ではカバーできない場合にご案内いたします。詳しくはクリニックにて確認してください。

最後に、Medical DOCのサイトを訪れた読者の方にメッセージをお願いします

お子さんのお口の環境を整えることは、全身によい影響があり、将来の健康にもつながります。小さいお子さんは親御さんのサポートが不可欠なので、私たちもお手伝いしていければと思います。ぜひご家族で一緒に口腔ケアをして、皆さんに健康になっていただけるとうれしいですね。

編集部まとめ

お口には、食べる、話す、呼吸するなど重要な機能があることを改めて認識しました。むし歯のケアだけでなく、「口育」という広い視点から子どもを診てくれる歯科医院であれば、安心して通うことができます。妊婦健診から定期的にメンテナンスを続け、母子ともにお口の健康を守りながら、子どもの正常な発達をサポートしていくことが大事だと思いました。

こやま歯科クリニック

医院名

こやま歯科クリニック

診療内容

小児歯科 予防治療 一般歯科 など

所在地

新潟県新潟市西区五十嵐中島5丁目21番5号

アクセス

バス「西新町」バス停留所目の前
JR越後線「内野西が丘」駅より車で5分

この記事の監修歯科医師