変形性膝関節症による痛みを軽減する注目の新治療法「クーリーフ治療」とは?【東京都文京区 小石川整形外科】


年齢とともに膝の痛みや腫れ、変形といった症状を引き起こす「変形性膝関節症」。服薬や注射によるヒアルロン酸の注入、外科手術といった従来の治療法に加え、近年痛みを感じる神経をラジオ波によって焼灼する「クーリーフ治療」が保険適応となって注目されている。そこで今回は、実際にクーリーフ治療に取り組んでいる「小石川整形外科」の丸山剛先生に、治療の概要から診療の流れ、クーリーフ治療のメリットなどを詳しく伺った。
丸山 剛
医療法人真瑞会 小石川整形外科 院長
日本医科大学医学部卒。日本整形外科学会認定 整形外科専門医。日本医科大学付属病院整形外科・リウマチ外科、日本医科大学千葉北総病院、本川越病院整形外科等での勤務を経て、2021年7月に小石川整形外科を開業。「困りごとを気軽に相談できる診療所」をめざし、整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科の診療を通じて、地域の健康増進に取り組んでいる。
「膝の痛みや腫れ、変形」に悩む高齢者は増加傾向!?
「膝が痛い」「腫れている」といった症状で通院される方が多いと伺いました
そうですね。やはり女性を中心に膝の痛みや違和感に悩み、相談に来られる方は非常に多いです。
変形性膝関節症の症状は、最初は「動き始めに膝が痛む」といった軽いものでも、放置すると徐々に症状が進行し、「膝に水が溜まって腫れる」「安静にしているときでも強い痛みが治まらない」など、日常生活に影響するような苦痛や不快感を伴うことがあります。症状の進行を抑えるためにも、少しでも違和感があるようなら早めに受診し、適切な治療を受けることが望ましいといえます。

変形性膝関節症の原因としてどのようなことが挙げられますか?
原因としては肥満や過度な運動、O脚やX脚、遺伝的な要因などさまざまですが、特に大きいのは、加齢とともに軟骨をつくる軟骨細胞の働きが衰えてしまうことです。
膝の関節の軟骨は長年使い続けることで摩擦し、すり減っていきますが、軟骨細胞の衰えによって軟骨の新陳代謝も衰えるため、年齢と共に弾力性を失い、痛みや変形などの症状が進行していきます。

治療にはどのような方法がありますか?
膝の痛みでお悩みの患者さんには、まずはレントゲン検査、より詳しく状態を確認したほうがよいと判断した場合にはMRI検査も行い、状況を確認します。そのうえで、まずは鎮痛薬の服用や湿布などを使い、痛みを抑える治療から行います。
それでも痛みが引かないという方に対しては、関節の動きをスムーズにし、痛みや炎症を抑えるために、関節内にヒアルロン酸注射を行うケースもあります。ただ、症状が進行し、安静にしていても痛みが強い、日常生活に支障が出るといった場合には外科手術による治療をご提案しています。
また近年は、こうした従来の治療法のほか、当院のように神経にアプローチして痛みを軽減する「クーリーフ治療」を導入するクリニック、病院も増えてきています。
膝の痛みを軽減する新治療法 「クーリーフ治療」とは?

「クーリーフ治療」とは、どのような治療法ですか?
膝周辺には、痛みを感じる神経が20個くらいあるといわれています。「クーリーフ治療」は、それらの神経のうち、変形性膝関節症の痛みを感じる3つの神経をラジオ波という高周波で焼灼し、痛みを軽減させるという治療法です。
クーリーフ治療で使用するラジオ波は、通常よりも少し冷却されたものになります。多少の熱を感じることがあるかもしれませんが、やけど等の危険はほとんどなく、治療時は局所麻酔をしたうえで行います。それでも痛みを感じる場合には、状況を確認しながら麻酔を追加することも可能ですので、「すごく痛くて…」というようなことはまずないと思います。
クーリーフ治療はいつ頃から行われている治療法なのでしょうか?
「クーリーフ治療」は、2023年6月に変形性膝関節症の治療において保険適用となった、比較的新しい治療法となります。当院でもまだ導入から日が浅く、「これから治療を受ける」という患者さんがほとんどです。しかし皆さん、長く変形性膝関節症の痛みに悩まれている方ですので、治療にも非常に前向きで、不安を感じている方も少ない印象です。
このように注目度が高まっている一方、導入しているクリニック、病院はまだそれほど多くありません。これまで他院で治療を続けていたけれど「なかなか痛みがおさまらない」という方は、気軽にご相談いただければと思っています。
実際、治療には膝の痛みがどのくらい軽減するのでしょうか?
クーリーフ治療によって「痛みがまったくなくなる」ということはありません。治療によって焼灼する神経は3つで、膝周辺の神経をすべて焼くわけではありませんから。
ただ、アメリカではこの治療を受けた方の「痛みのスコア」の変化に関する論文が発表されており、そこでは最も痛みが強い状態を10として、治療前は7~8の痛みを感じていた患者さんが、治療後には2~3の痛みにまで軽減し、さらにその状態が2年間続く患者さんが全体の7~8割にのぼると発表されています。
服薬や湿布、ヒアルロン酸の注射を続けていても状態が改善しないという方であれば、十分に試してみる価値はあると思います。
特にどのような方に適した治療法だとお考えですか?
一般的に「膝が痛い」とお悩みの患者さんには、まずは状態を確認し、痛み止めの飲み薬や湿布などで痛みを抑える、それでも痛みが引かない場合はヒアルロン酸を注入するといった治療を行います。クーリーフ治療は、こうした投薬や注射での治療を行ったけれど、それでもあまり症状が改善しないという方に対してご提案する治療法になります。
外科手術を要するほど症状は進行していないけれど、薬や注射だけでは慢性的な痛みが取れないという方に、適した治療法だと感じています。
ヒアルロン酸に頼らなくても痛みが軽減できると考えてよいですか?
実際、クーリーフ治療後、痛みが軽減したことで、それまで定期的に行っていたヒアルロン酸の注入を中止したという方は多数いらっしゃいます。
ただし、ヒアルロン酸には痛み止めや炎症止めだけでなく、膝関節の滑りをよくするといった効果もありますので、関節への注入をする・しないの判断は、患者さんとの相談で決めるようにしています。
もちろん、クーリーフ治療後にヒアルロン酸の注入を続けることには問題ありませんので、膝の状態や症状を見ながら一緒に考えていきましょう。
実際にクーリーフ治療を受ける場合、治療の流れを教えてください
クーリーフ治療は「手術」ではありませんが、手術と同様に局所麻酔をし、感染などにも気をつけてやるべき治療法になりますので、麻酔や消毒など治療前の準備に10~20分程度の時間をいただくことがあります。
実際の治療時間は、それが片膝か両膝かによっても変わってきますが、早い人では10分程度と非常に短く、準備の時間を入れてもトータルで30分程度、両膝を治療する場合でも1時間かからずに終了すると思います。
治療後の制限事項については、当日は運動や湯船に浸かることは避けていただきます。しかし、日常生活レベルの運動は問題なくできますし、お酒も適度であれば飲んでいただいて大丈夫です。
治療にはどのくらいの費用がかかりますか?
クーリーフ治療は、変形性膝関節症の治療法として厚生労働省からも認められ、保険内でできる治療となります。ただ、保険点数がやや高く、片膝の治療で1万5,000点、金額にすると15万円となります。そのため3割負担の方ですと、片膝で4万5,000円、両膝で9万円となります。
この金額を高いと感じるかどうかは、治療を受けられる患者さんの悩みの深さにもよると思いますが、きちんと保険で認められている治療で痛みを抑制できるという点では、安心して受けられる治療ではないかと思っています。
また、保険治療ですので、患者さんご自身が加入されている医療保険などで対応できる場合もあると思います。当然、医療控除の対応にもなります。その点もぜひご確認いただき、ご不明点はご相談いただければと思います。
クーリーフ治療が受けられない、おすすめできないというケースはありますか?
クーリーフ治療は、あくまでも痛みを感じるもととなる神経を焼灼し、変形性膝関節症の「痛みを抑える」という治療です。この治療を受けたからといって、すり減った軟骨が元の状態に戻る、曲げ伸ばしのときに感じる違和感がなくなるというわけではありません。
そのため変形性膝関節症を診断する際の「グレード」で末期状態、たとえば軟骨がほぼ擦り減って骨と骨がくっついてしまっているような状態の場合は、この治療では根本的な問題解決にはつながりませんので、外科手術をご提案することになります。
クーリーフ治療を受けることによるリスク、デメリットなどはありますか?
もちろん、どんな治療でも合併症などが起こる可能性がありますので、100%とは言い切れませんが、基本的に治療によるデメリットはないと考えていただいてよいと思います。
治療時のリスクとしては、焼灼をする際のやけどや、局所麻酔を行う際の中毒症状、あとは感染などが可能性として挙げられますが、これまでの治療で報告はありませんし、非常に安全性の高い治療だといえると思います。
「神経を焼く」「麻酔を使う」と聞くと、不安を感じる方がいるかもしれません。しかし、変形性膝関節症による痛みに長くお悩みの方には、ぜひ一度ご検討いただければと思っています。

まずはつらい「痛み」を軽減してQOL(生活の質)の向上を!

先生が考えるクーリーフ治療の魅力、メリットは何でしょうか?
クーリーフ治療は、日帰りで簡便に受けられ、日常生活に制限が出る治療でもありません。したがって、ずっと長い時間「痛い」「つらい」思いをして定期的に病院に通い続けている方にとっては非常に有効な治療法だと感じています。
変形性膝関節症は年齢と共に徐々に進行し、日常生活に支障が出るほどの痛みに悩んでいる方も少なくありません。そうした痛みを手術なしで軽減できる治療であるということ、またきちんとしたエビデンスがあり、安全性の高い治療法だという点には非常に魅力を感じています。
クーリーフ治療後の通院はどのようなサイクル、内容になりますか?
変形性膝関節症には、痛みだけでなく、膝の曲げ伸ばしがしにくくなるといった症状も現れてきます。クーリーフ治療はあくまでも痛みを軽減する治療になりますので、それ以外の症状に関しては、状態に合わせて理学療法士によるリハビリを続けるといった治療が必要となります。
当院でも、クーリーフ治療後は引き続き定期的にリハビリに通っていただき、膝の状態を確認させていただいています。その際に、治療後の痛みの変化はもちろん、不安な点などがあればお気軽にお聞かせいただければと思っています。

年齢や既往症などで治療が受けられないというケースはありますか?
クーリーフ治療は、変形性膝関節症の痛みを軽減する治療ですので、治療を検討される方は70代、80代といったご高齢の方が中心になると予想されています。治療自体、体の負担が少なく安全性も高いので、年齢によって受けられないようなことはありません。
ただ、心臓の病気などで普段から血をサラサラにするようなお薬を飲まれている方は、治療前後でご相談の上、一時的に休薬をお願いする場合もあります。まずは診察時にご確認・ご相談ください。
それでは最後に、読者へのメッセージをお願いします
クーリーフ治療は比較的新しい治療法です。特に関東では、導入しているクリニック、病院はそう多くありません。とはいえ、しっかりとしたエビデンスのある、安全性の高い治療法として注目されていて、今後さらに治療を希望される患者さんが増えていくことも予想されています。
これまで痛み止めや湿布、ヒアルロン酸の注入など、長く膝の痛みと向き合ってきた方は少なくないと思います。ぜひそういう方にこそ、クーリーフ治療を検討していただき、まずは一度ご相談に来ていただきたいですね。そしてこの新たな治療によって、痛みのない快適な毎日を過ごすためのお手伝いができればと思っています。
編集部まとめ
膝が痛い、腫れて水がたまる、曲げ伸ばしがしにくくなるなど、変形性膝関節症の症状に悩み、長く治療を続けている患者さんは少なくありません。特に膝の痛みは、ひどくなると「ちょっとした動きにも支障が…」「室内の移動もつらい」など、日常生活にも大きな影響を及ぼすことがあります。
痛み止めはもちろん、ヒアルロン酸やステロイドの注射をしても改善しない痛みに悩みつつ、「手術は怖いしどうしよう」とお悩みの方は少なくないでしょう。新たに登場した「クーリーフ治療」は、まさにそんなときに検討したい注目の治療法でした。ぜひ一度、受診を検討してみてはいかがでしょう。

医院名
小石川整形外科
診療内容
整形外科 リハビリテーション科 リウマチ科 など
所在地
東京都文京区小石川1丁目5番1号
パークコート文京小石川 ザ タワー3階
アクセス
都営地下鉄各線「春日」駅より徒歩1分
東京メトロ各線「後楽園」駅より徒歩3分
JR中央・総武線「水道橋」駅より徒歩12分




