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不妊治療の正しい知識と選択肢を。医師がタイミング法から高度不妊治療まで対応【大阪府堺市 ルナレディースクリニック】

 公開日:2025/08/19

不妊治療の正しい知識と選択肢を。医師がタイミング法から高度不妊治療まで対応
不妊治療の正しい知識と選択肢を。医師がタイミング法から高度不妊治療まで対応

不妊に悩むご夫婦は年々増加しています。そんな中、2022年から不妊治療が保険適用となり、経済的負担が大きく軽減されました。大阪・堺市のルナレディースクリニックでは、タイミング法から人工授精体外受精顕微授精まで、一人ひとりに合った治療を提案。心と身体の両面から寄り添い、2003年に開業してから10年間で約1,300件の妊娠をサポートしてきました。(※公式HP参照)今回は同クリニック院長の根来良材先生に、不妊治療の基本から費用、生活習慣まで幅広くお話を伺いました。

Doctor’s Profile
根来 良材(ねごろ よしき)
ルナレディースクリニック 院長

愛知医科大学卒業、同大学院修了(医学博士)。泉佐野市立病院、愛知医科大学附属病院、国保坂下病院、西川婦人科内科クリニックなどを経て、2003年にルナレディースクリニックを開院。以来、地域に根差した不妊治療専門の医師として実績を重ね、妊娠希望のご夫婦に適切な治療と温かなサポートを提供している。所属学会:日本産科婦人科学会、日本生殖医学会、日本卵子学会、日本女性医学学会、日本東洋医学会ほか。

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妊娠を妨げる3つの要因「年齢、体質、生活リズム」

子どもが欲しいけれど妊娠しない。不妊の原因として多いのは何でしょうか?

よく見られるのは、排卵が不規則な方や、そもそも排卵が起こっていない方です。また、夫婦の生活リズムが合わず、性交のタイミングが取れないケースも増えています。
加えて、ストレスや冷えなどの体調不良、さらには性行為に対する心理的なハードルなど、現代ならではの複合的な要因も多くなっています。

妊娠を妨げる3つの要因「年齢、体質、生活リズム」

女性が結婚する年齢が高くなっていることもあると思いますが、妊娠しやすい年齢は何歳くらいまででしょうか?

統計的に妊娠しやすいのは、20代後半から30代前半です。この時期はホルモンバランスや卵子の質も安定しており、妊娠率が高くなります。逆に、35歳を過ぎると卵子の老化が進みやすくなり、妊娠率は下がり、流産のリスクも高くなります。

年齢が上がるにつれて、妊娠の割合はどのように減少していきますか?

年齢が進むにつれて卵子の質が低下し、妊娠の可能性が大きく下がります。たとえば体外受精では、20代の妊娠率が30~40%であるのに対し、40歳では8%程度にまで落ちていきます。また、流産率も上昇するため、早めの受診と対策が重要です。

妊娠しにくい理由として、旦那さんの方に原因がある場合もあると聞きました。男性側の問題点としては、どんなことがあるのでしょうか?

最近は、精子の運動率や質が低下している方が増えています。ストレスや睡眠不足、食生活、喫煙などが主な原因です。精液検査で状態を把握し、必要に応じて生活習慣の見直しや、漢方、サプリメントの併用を提案しています。

妊娠を妨げる3つの要因「年齢、体質、生活リズム」

妊娠しやすい状況をつくる日常生活や食事などについて、何かアドバイスなどはありますか?

基本は「バランスの取れた生活」です。しっかり眠る、適度に運動する、栄養バランスのよい食事をとるといった日常の積み重ねが、ホルモン環境によい影響を与えます。ビタミンDや亜鉛、葉酸といった栄養素を補うことも妊活にとって効果的です。

治療は気持ちに寄り添い、タイミング法から段階的に

治療は気持ちに寄り添い、タイミング法から段階的に

貴院では、不妊治療としてどのようなことを行っていますか?

まずはご夫婦への丁寧なカウンセリングから始め、最初のステップとしてタイミング法を行います。これは排卵時期に合わせて性交渉のタイミングを取る方法で、1~3周期試しても妊娠に至らなければ、次に人工授精AIH)へと進みます。AIHの妊娠率は1回で約9%です。
その後も妊娠が難しい場合には、体外受精IVF)や顕微授精(ICSI)へステップアップします。すべての治療は患者様の年齢・体質・ご希望に応じて選択し、進めていきます。

女性側の問題で、不妊治療が成功するケース、逆に困難なケースについて教えてください。男性側についても何らかの治療を行うのでしょうか?

排卵周期が安定しており、性行為のタイミングが取れる場合は比較的スムーズに治療が進みます。
一方で、性交痛や精神的ストレス、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)などを抱える方は、治療が長期化することもあります。男性には精液検査を行い、運動率や量に問題があれば、生活改善や漢方・サプリによるサポート、必要に応じた泌尿器科との連携も行っています。

それでは貴院の不妊治療や体外受精の治療の流れについて教えてください

タイミング法から始まり、次に人工授精AIH)、さらに体外受精IVF)や顕微授精(ICSI)へと進むのが一般的な流れです。AIHは3~6回を目安に、それでも妊娠に至らなければステップアップします。
体外受精は適応条件を満たせば保険適用で行え、経済的な負担を抑えながら質の高い治療を受けていただけます。

貴院での不妊治療は平均でどのくらいの期間がかかりますか? 体外受精の期間についても教えてください

個人差はありますが、早い方で3カ月以内、平均で6カ月~1年程度です。体外受精に進む場合は、排卵誘発・採卵・受精・胚移植といったプロセスを踏むため、1周期で1~2カ月かかります。
ただし、体調や卵巣の状態によっては、採卵を見送ることもあるため、無理のないスケジュール管理が大切です。

不妊治療や体外受精において、体へのリスクなどはありますか? あるとすれば、それはどんなことでしょうか?

大きなリスクはほとんどありませんが、排卵誘発剤によって卵巣が腫れる「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」が起こることがあります。
ただし、当院では排卵誘発の方法や投与量を細かく調整し、リスクを最小限に抑えています。漢方や体調管理にも配慮しながら、安全性を重視して進めています。

貴院の設備について教えてください

当院では、患者様がリラックスして通えるように、設備環境にもこだわっています。やさしい音楽が流れる待合室、無料のドリンクサービス、広いパウダールーム、マッサージチェア、そしてキッズルームも完備しています。
不妊治療はどうしても緊張や不安が伴うため、少しでも心が落ち着くような空間づくりを大切にしています。

治療は気持ちに寄り添い、タイミング法から段階的に

不安を希望に変えるために、治療に踏み出す勇気を

不安を希望に変えるために、治療に踏み出す勇気を

不妊を何とかしたいが、「デリケートな問題なので精神的に不妊治療に踏み切れない」といった悩みもあるかと思います。このような悩みの解決についてはいかがでしょうか?

治療への一歩が踏み出せない方が多いというのは確かな現実です。当院では、まずは「話すだけでも大丈夫」という姿勢でお迎えしています。平日夜間や土日にも診療を行っており、お仕事との両立も可能です。
さらに、不妊カウンセラー資格を持つ胚培養士が在籍していますので、医師には話しづらい内容も専門的な視点でフォローできます。無理のない範囲で、気軽にご相談いただける体制を整えています。

体外受精になると、不妊治療よりもさらに費用がかかるようなイメージがあります

以前は体外受精に数十万円かかるのが一般的でしたが、現在は保険適用により、自己負担が3割に抑えられるようになりました。人工授精であれば1回1万円前後、体外受精も大幅に負担が軽減されています。
また、医療保険の給付金が適用される場合もあります。このような制度を活用すれば、さらに経済的負担を減らすことができます。

不妊治療や体外受精について、先生が一番重要とお考えになっていることを教えてください

「その人にとって最も合った治療を見極めること」が一番大切です。不妊治療は年齢や体質、ライフスタイル、ご夫婦の関係性などによって正解が異なります。
当院では治療法を押しつけるのではなく、患者様と一緒に考え、納得のいく形で進めていくことを何より重視しています。ご夫婦の未来に寄り添う姿勢を常に持ち続けています。

不安を希望に変えるために、治療に踏み出す勇気を

貴院の不妊治療と体外受精の費用について教えてください

人工授精は1回あたりおよそ1万円(税込)、体外受精についても保険適用により自己負担は3割です。高度治療であっても、条件を満たせば十分に保険内で対応可能です。
また、生命保険や医療保険で給付金が出ることもあるため、費用面が心配な方にも安心して治療を受けていただけます。

治療を途中であきらめないために、必要なことは何でしょうか? このMedical DOCのWebサイトを見ている読者の方に対してメッセージなどをお願いします

治療が長引くと、気持ちが折れそうになることもあります。そんなときは「自分たちだけで抱えないこと」が何より大切です。
当院では、医師だけでなくカウンセラーやスタッフ全員でチームを組み、必要に応じてサポートを差し伸べます。小さな不安でも遠慮なく相談いただくことで、治療が継続しやすくなると感じています。どうぞお気軽に何でもお尋ねください。

編集部まとめ

治療を始めることに不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。不妊治療というデリケートなテーマに対して、同院は制度面の安心だけでなく、人の温かさと選択肢の幅広さで応えています。
「どんな状態の方でも、まず一歩を踏み出してほしい」と考える根来先生のこの言葉には、未来に向けた確かな希望が込められていました。

ルナレディースクリニック

医院名

ルナレディースクリニック

診療内容

不妊治療 体外受精 婦人科など

所在地

大阪府堺市堺区市之町西3丁目1-43
サンビル堺駅前2F

アクセス

南海本線「堺」駅より徒歩1分

この記事の監修医師