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歯の土台となる歯肉と骨を守り、全身の健康につながる歯周病治療の重要性【札幌市西区 えのもと歯科】

 更新日:2024/04/01

歯の土台となる歯肉と骨を守り、全身の健康につながる歯周病治療の重要性
歯の土台となる歯肉と骨を守り、全身の健康につながる歯周病治療の重要性

日本人が歯を失う原因の第1位は歯周病。成人の約8割が歯周病にかかっているといわれている。しかし、歯周病は痛みなどのハッキリした自覚症状がないため、気づかないうちに進行して重症化するケースも多い。近年では狭心症や糖尿病など、全身疾患への影響も明らかになり、歯周病治療が改めて重要視されている。歯周病を予防し、悪化させないためにはどうすればよいのだろうか。歯周病の専門医として多くの治療にあたっている「えのもと歯科」の院長・榎本拓哉先生にお話を伺った。

Doctor’s Profile
榎本 拓哉(えのもと たくや)
えのもと歯科 院長

2009年、北海道医療大学歯学部卒業。研修医を経て大学院に入学し、歯周病学を専攻。2015年、昭和大学大学院修了、歯学博士取得。2017年、日本歯周病学会専門医を取得。首都圏の歯科医院にて勤務医を経験し、2019年4月「えのもと歯科」を開院。日本臨床歯周病学会 歯周病認定医、日本顎咬合学会認定医。専門とする歯周病をはじめ、小児歯科、矯正、インプラントなど幅広く診療を行っている。

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気づかないうちに進行している歯周病

今や日本人の成人の8割が歯周病にかかっているといわれています。歯周病についてご説明いただけますでしょうか?

歯周病とは、口の中に溜まってしまった細菌によって炎症が起き、歯ぐき(歯肉)が腫れて、歯を支えている骨(歯槽骨)が溶けてしまう病気です。初期のうちは強い痛みを感じないため、気づかないうちに悪化していくケースが多く、自覚症状のない軽度の方も含めると、日本人の大人の5人に4人が歯周病にかかっているといわれます。

気づかないうちに進行している歯周病

多くの人が歯周病にかかってしまうのは、どんな理由からなのでしょうか? 外国での状況はどうですか?

ブラッシングが行き届いていないと細菌が溜まりやすくなり、清掃が不十分なことが歯周病を引き起こす要因となります。食生活や喫煙などの生活習慣とも密接な関係があり、喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病の発症率が高く、重症化する傾向があります。北海道は喫煙率が高いため、気づかないうちに歯周病が進行している人も多いのではないでしょうか。
日本だけでなく外国でも歯周病は多く、ギネスブックに「全世界で最も蔓延している病気は歯周病である。地球上を見渡してもこの病気に冒されていない人間は数えるほどしかいない」と記載されるくらい、誰もがなりうる病気です。

貴院を訪れる患者さんで、歯周病の進行進度はどのくらいの方が多いですか?

患者さんの年齢や性別はさまざまで、症状も人それぞれですが、歯周病の専門医ということで、ほかの医院と比べると重度の方が多いように思います。歯周病と診断され、専門的な治療を求めて来られる方もいらっしゃいますね。

気づかないうちに進行している歯周病

若年層でも歯周病になることはありますか?

歯周病が一番多い年齢層は50~60代ですが、30代、40代の方も珍しくありません。遺伝的な要因ともいわれますが、若年層でも罹患しやすい人はいます。
30代で歯がグラグラして来院した方の場合は、20代のうちから歯周病にかかっていて、徐々に進行してきたのだと思います。悪化すると若くても歯を失うことになってしまうので、なるべく早く治療し、改善していくことが大事です。

できるだけ早く発見し、根本的な治療によって完治を

できるだけ早く発見し、根本的な治療によって完治を

歯周病の自覚症状はほとんどないとのことですが、自分で歯周病だと気づく目安を教えてください

歯ぐきからの出血が、最もわかりやすい症状だと思います。歯ぐきの腫れが続く場合や、腫れを繰り返す場合も要注意です。
歯が揺れてきたり、ぐらついたりする症状があれば、かなり進行しています。その場合は早めに歯科医院を受診してください。

歯周病菌は歯や全身にどんな影響を及ぼすのでしょうか? 歯周病がひどくなると最悪どのようなことが起こりますか?

歯周病が悪化すると歯を支える骨が溶けて、最終的には大切な歯を失うことになってしまいます。重度になればなるほど治療に時間や費用がかかりますし、手術が必要になることもあります。
また、歯周病菌は歯肉から血管を通して心臓に運ばれ、全身に回ることがわかっています。免疫が極端に低下している場合は敗血症となり、最悪の場合は命に危険が及ぶこともあるともいわれます。糖尿病やアルツハイマー型認知症など、さまざまな病気のリスクを高めることが明らかになっています。

歯周病になりやすい体質などはありますか?

たとえば、唾液の性質によって歯石ができやすい方がいます。汚れが付着するとすぐに固まってしまうため、短期間で歯石ができやすく、そこに細菌が溜まって歯周病にかかりやすくなります。また、歯ぐきが腫れやすい方も、歯周病になりやすい面があります。こうした体質は、遺伝的な要素によるものではないかと思います。
まずはご自身の体質を理解し、普段のブラッシングに加え、歯科医院でのクリーニングや定期検診を継続していきましょう。しっかりケアをしていけば、歯周病を予防・改善することは十分可能です。

噛み合わせも歯周病に影響するそうですが、それはなぜでしょうか?

噛み合わせの状態によって一部に過度な負担がかかり、そこから歯周病が進行するケースが実際にあります。歯周病の治療をして歯ぐきがよくなっても、噛み合わせの問題がある方は根本的な原因を解決しないと再発してしまいます。
こういう場合には、インプラント歯列矯正も含めて、噛み合わせを整えていく総合的な治療が求められます。

治療をすれば歯周病の完治は可能ですか?

歯周病がかなり進行した患者さんを完治させるためには、骨再生などの手術が必要になりますし、軽度であっても放置しておくと再発するリスクがあります。本当に完治させるためには、徹底的な治療とメンテナンスの継続が不可欠で、患者さんと歯科医院が二人三脚で頑張っていくことが重要です。
実際に難しいと思われるケースでも、素晴らしい治癒力を発揮して完治した方もいますし、いくら治療をしても完治に至らなかった方もいます。一概には言えませんが、手遅れになる前に適切な治療を行い、患者さん自身も気をつけていけば完治は可能だと思います。

できるだけ早く発見し、根本的な治療によって完治を

10年、20年先を見据えた治療で、歯の健康を守る

10年、20年先を見据えた治療で、歯の健康を守る

それでは、貴院で歯周病治療を受けるときの流れを教えてください

基本的には歯周病治療のガイドラインに沿って、患者さん一人ひとりに合った治療を進めています。初診では問診や視診、X線検査で全体的な状態を確認します。必要に応じて、さらに詳しいX線検査やCT、噛み合わせのチェックをすることもあります。どんな治療が必要かを判断し、患者さんに状況を伝えて治療内容をご提案します。そして具体的な治療計画を立て、治療を進めていきます。
何回か治療をした後、歯ぐきの状態を診て改善状況を評価し、治っていればメンテナンスに移行します。状況に応じて、さらに治療を続けていくこともあります。

歯周病治療に関して、貴院にはどのような設備がありますか?

X線検査、歯科用CT、唾液検査や細菌検査の設備などがあります。

歯周病治療を受けた後、患者さんが一番気をつけるべきことは何でしょうか?

一番困るのは再発してしまうことなので、毎日のブラッシングと歯科医院でのメンテナンスを続けていくことが大事です。
当院では、患者さんが歯周病になった根本的な原因を理解していただき、相談をしながら再発防止に努めています。歯科医院でのメンテナンスの頻度は人によって違い、手術をした方は1カ月ごと、状態が落ち着いてきた方は3カ月ごとに来ていただいています。お互い再発に気をつけながら、一緒に歯の健康を守っていくよう努めています。

貴院で歯周病治療をされた患者さんから、どのような声が届いていますか?

治療後も継続してメンテナンスに通院される方が多いです。
一回でも危機感を持った方は、普段から気をつけてケアをされていて、歯の健康に対する意識が高いと感じます。

歯周病治療をする場合の費用について教えてください

基本的に当院の歯周病治療は、保険診療で対応しています。通常の治療であれば、検査を含めて数回通っていただき、程度にもよりますが3割負担でトータル10,000~20,000円(税込)ほどです。
重度の歯周病で歯周組織再生療法が必要な場合は、歯ぐきや歯槽骨をつくる保険適用外の手術を行うことになります。1本あたり50,000~100,000円(税込)程度です。

10年、20年先を見据えた治療で、歯の健康を守る

治療にあたって先生が心掛けていること、大切にしていることを教えていただけますか?

10年後、20年後、さらに30年後まで考えた治療を大切にしています。悪いところを部分的に治すだけではなく、将来的にも患者さんがしっかり噛めて、健康な歯を残せるような根本的な治療をしていきたいと考えています。健やかな人生を送っていただくために、お手伝いできればと思います。
患者さんとは家族と同じように大切な関係でありたいと思っています。気になることは何でも気軽にご相談いただけるとうれしいです。

最後に、Medical DOCのサイトを訪れる読者の方にメッセージをお願いします

歯周病治療は、早期発見と早期治療が何よりも大事です。早めに発見して治療しておくと、将来的にインプラント入れ歯を入れるタイミングを遅らせることもできます。
歯医者さんに行くのは気が進まない方も多いと思いますが、ひどくなる前にご来院いただくのが一番です。人によって抱えている歯周病リスクも違うので、予防のために一度診断を受けて、自分にどんなリスクがあるのか知っておくとよいでしょう。

編集部まとめ

歯周病は誰でもなりうる病気であり、日頃からのケアとメンテナンスが大事なことに改めて気づきました。歯科医師として専門分野を選ぶ際、「インプラントをはじめどんな治療も歯周組織が健康でないと難しい。すべての土台となるのが、歯周病治療だと思った」という榎本先生。確かな知識と技術をお持ちで、何でも相談できる親しみやすさもあります。患者さんの将来のことまで考え、誠実な診療をしてくれる歯科医院だと感じました。

えのもと歯科

医院名

えのもと歯科

診療内容

歯周病治療 予防治療 入れ歯 口腔外科 など

所在地

北海道札幌市西区八軒5条西9丁目4-21
NEO bldg.八軒

アクセス

JR函館本線「発寒中央」駅より徒歩13分
JR学園都市線「八軒」駅より徒歩20分
北海道中央バス「税務大学校前」停留所より徒歩1分

この記事の監修歯科医師