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局所麻酔と静脈内鎮静法を併用し、寝ている間に手術が終わるインプラント治療【大阪市生野区鶴橋 きむホームデンタルクリニック】

 更新日:2023/08/08

局所麻酔と静脈内鎮静法を併用し、寝ている間に手術が終わるインプラント治療
局所麻酔と静脈内鎮静法を併用し、寝ている間に手術が終わるインプラント治療

欠損歯を補う治療法として、入れ歯やブリッジとは比較にならない自然な噛み心地を実現するインプラント治療後は口中を清潔に保つことが患者自身に求められるが、しかしそれは一般的な虫歯予防も変わらない。入れ歯のように消毒や洗浄の手間から解放されるのもインプラントのメリットといえる。大阪市生野区で開業する「きむホームデンタルクリニック」は、インプラント治療をもっと一般化させるべく、日々の治療活動に取り組んでいる。口腔外科医として長年研鑽を積んできた同院の金龍門院長に、インプラント治療の現在について話を伺った。

Doctor’s Profile
金 龍門(きむ よんむん)
きむホームデンタルクリニック 院長

2013年3月、日本歯科大学卒業。京都大学医学部附属病院歯科口腔外科と舞鶴共済病院歯科口腔外科で研修、国立南和歌山医療センターで麻酔科研修を行い、勤務医を経て2022年4月に「きむホームデンタルクリニック」を開業。治療方針をわかりやすく提案し患者が納得する治療を受けられる、地域の人々に愛される歯科クリニックを目指している。
〔資格・所属学会〕日本口腔科学会会員、日本口腔外科学会認定医、日本口腔ケア学会会員、日本口腔インプラント学会会員ほか。

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手術中の痛みはほとんどなく、外見や咀嚼感覚も自分の歯とほぼ同じ

歯を失ったときの治療法としてはブリッジや入れ歯が一般的です。しかし、噛み心地のほか隣の歯、さらにほかの健康な歯に影響を及ぼすと聞いています

そのとおりです。とくにブリッジは支えを必要とするので、隣の歯を削ってそこにブリッジをはめ込むことになります。つまり、むし歯でもない健康な歯を削らなくてはならないのがブリッジの難点です。
3本ブリッジの場合、3本がひと塊になって固定されてしまうと、長期的に顎関節症を誘発するケースが多いという報告が上がっています。必ずそうなるわけではありませんが、顎関節に影響がないとはいえないと思います。

手術中の痛みはほとんどなく、外見や咀嚼感覚も自分の歯とほぼ同じ

となると、やはりインプラントがお勧めでしょうか?

インプラントは機能的に本来の自分の歯とほぼ変わらず、見た目の不自然さもありません。食べる、咀嚼するという点では患者さんの満足度が高く、ブリッジや入れ歯とは比較になりません。治療成績も良好です。
一方、デメリットもあります。ひとつは自由診療なので費用が高くなること。ほかにはインプラント咬合(咬み合わせ)という、本来生まれながらに備えている咬合とは違う状態を形成してくるという点です。
インプラントは顎の骨に植えて固定してしまうため、まったく動きがないのです。これはどういうことかというと、本来もっている歯の場合は、噛み締めたときに歯根膜がクッションになって2~3mmほど動きます。つまり、ほんの少し「遊び」があるのですが、インプラントには歯根膜がないので、噛み合わせたときにカチカチと音が出ます。
フルインプラントといって、上下すべての歯をインプラントにした場合だと1mmも動かない形になりますから、他人に聞こえるくらいの音が鳴ることもあります。

先生は口腔外科医として長年研鑽を積んでおられると伺いました。これまで、どのくらいの施術をされていますか?

一時期、すごくインプラントの治療をやっていたときは、年間100本を5年間ほどです。一人の患者さんに対して、同時に9本入れたこともあります。当然ながら、1本だけ入れるよりも9本入れるほうが患者さんの身体的な負担は大きくなりますね。

手術中の痛みはほとんどなく、外見や咀嚼感覚も自分の歯とほぼ同じ

患者さんの手術の負担を軽減するためには、どのような方法がありますか?

精神的な不安が大きな患者さんには、当院では局所麻酔と静脈内鎮静法を併用しています。意識が朦朧としてリラックスした状態になり、寝ているときに手術ができますので、不快感を覚えずに治療を受けていただけます。もちろん手術中の痛みはありません。
また、健忘作用、すなわち手術中の嫌な記憶を忘れさせる効果のある薬も使っています。これはボンヤリと記憶がなくなる作用がある薬です。術後すぐは「覚えているよ」とおっしゃる患者さんもいるのですが、後日、抜糸に来られたときは「全然覚えていません」とおっしゃいますね

検査から始まり、手術跡が落ち着くまでの過程は最長で半年強

検査から始まり、手術跡が落ち着くまでの過程は最長で半年強

患者さんによっては、希望してもインプラント治療が難しいケースがあるそうですね

手術に対して、リスクのある方は確かにいらっしゃいます。一例を挙げるならば、糖尿病の方です。傷の治りがよくありませんから、感染症のリスクが当然上がると思います。
たとえば、手とか足にはいちばん外側に上皮があって、その下に真皮、血管、結合組織、骨というようにいろいろなものがあります。しかし、口の中は骨の周囲に骨膜があって、あとは粘膜があるだけなんです。しかも、口の中は決してきれいではなく、菌が骨に感染しやすい環境です。
それと、骨粗鬆症の方も問題です。とくに60歳を超えた女性は、閉経後にホルモンバランスが崩れて骨がもろくなりがちです。
あとは心筋梗塞で、血液をサラサラにする薬を飲んでおられる方。血の固まりにくさをあらわすPT-INR値が3.0以下なら手術をしてもいいといわれていますが、その方がどれくらい薬で血液をコントロールされているかがわかりません。インプラントを入れる手術で骨に穴を開けるとき、ほかの人よりも出血するリスクがあります。

そのような患者さんは、やはりインプラントの手術は避けたほうがよいのでしょうか?

それぞれどれくらいのリスクがあるのかを事前に評価することが非常に大事です。かかりつけの内科の先生と連携していくことが重要ですね。
メリットのほうが上回れば、リスクを承知で取り組む患者さんはいらっしゃいます。たとえば歯を抜いて、そのままインプラントを入れるケースもあります。その方法だと、患者さん自身は麻酔が1回で済むわけです。患者さんの状態や条件、手術を行う部位などを勘案して、全身のリスクから局所的なリスクまで考慮した治療計画を立てています。

インプラント治療の流れを教えてください

ホームページでもご案内していますが、最初に行うのはインプラント治療の説明と精密検査です。治療が行えるとなったら、インプラント体を顎の骨に埋入します。これが一次手術で、所要時間は1~2時間です。
一次手術から10~14日後に抜糸をし、その後3~6カ月間の治癒期間を設けてインプラント体と骨の結合を待ちます。
次に、人工の歯が歯肉を貫通させるためのパーツを取り付ける二次手術。この10~14日後に、人工の歯をつくるための歯型をとります。
人工の歯が入るまでは食事に不便をきたしますから、仮歯を入れて代用します。しかし、患者さんによっては仮歯を入れない場合もあって、患者さん各々の対応になります。
人工の歯が出来上がってきたら装着し、粘膜が治癒するまでだいたい1カ月くらいかかります。その後は定期的に検診を受けていただくことになります。

検査から始まり、手術跡が落ち着くまでの過程は最長で半年強

治療中は禁煙し、治療後はとくに口中の清潔に注意

治療中は禁煙し、治療後はとくに口中の清潔に注意

インプラントにはいろいろな素材があるようです。貴院ではどこのメーカーのものを使用されていますか?

当院ではオステム社製のインプラントを使っています。インプラントの材質はメーカーごとに異なりますが、基本的には強くて長持ちするチタンやチタン合金が一般的です。
アストラテック、ストローマン、ノーベルバイオケアインプラントの3大メーカーといわれていますが、オステムの製品はバリエーションが多いのです。たとえば、骨がない場合のやり方が用意されているなど、そういったところに魅力を感じています。
どこのメーカーからも売り込みがあるのですが、異なるメーカー同士は互換性がありません。他院でインプラントを入れた患者さんが、当院で使っているメーカーと違う場合はメンテナンスができないのです。そこまで対応しようとすると、在庫量が膨大になってしまいます。

インプラント治療に使用する設備として、貴院にはどのようなものがありますか?

オステム社製の「インプランター」を使用しています。インプランターは、患者さんの顎骨に人工歯根を埋め込む際に使用する機材です。ほかの設備は、一般的な歯科医院と大きな差はありません。

手術後に患者さんが気を付けなければいけないことはありますか?

一般的なむし歯予防と同じですが、歯磨きを今まで以上に気を遣ってください。ほかには、とくに手術後の喫煙ですね。喫煙することによって静脈が収縮するので、傷の治りが遅くなります。喫煙する方は、できれば治療中は禁煙していただくのがベターだと思います。

治療中は禁煙し、治療後はとくに口中の清潔に注意

インプラント治療をする場合の料金を教えてください

使用する本数や設計によって異なりますが、目安として1本あたり約33~44万円(税込)です。インプラントは自由診療で健康保険が適用されませんから、患者さんの全額負担です。

それでは最後に、Medical DOCのサイトを訪れる読者の方に、メッセージをお願いします

すでに申し上げたように、手術に対して漠然と恐怖心をもっておられる方は、当院では局所麻酔と静脈内鎮静法を併用します。手術中は寝ている状態ですので、ご本人は治療されていることを覚えていません。それでも手術中の写真は撮りますから、手術の過程を後から見ていただけます。言葉でいうよりも、そのように可視化することを大事にしています。
また、治療を終えた患者さんからは「よく噛めるようになった」「インプラントを入れてよかった」という声をよくいただきます。インプラントを入れてみたいけれど不安があるという方は、どうぞお気軽にご相談ください。

編集部まとめ

患者さんがインプラント治療を躊躇するのは、自由診療なので治療費が高額になることのほかにも、手術そのものへの漠然とした不安があるからではないでしょうか。「きむホームデンタルクリニック」では、全身麻酔を併用して手術中の記憶が残らないようにし、いわゆるトラウマを残さないよう配慮しています。そのため、2本目3本目の治療も安心して受けられるだろうと感じました。一般的に、インプラント治療は骨の発育が完成する20歳前後から可能とのこと。上限はとくにないというので、高齢者の方も問題ありません。過去に治療したブリッジや入れ歯の調子がよくない、インプラントにしてみたいと希望される方は、金先生に相談してみてはいかがでしょうか。

きむホームデンタルクリニック

医院名

きむホームデンタルクリニック

診療内容

インプラント 口腔外科 歯科一般 訪問診療 など

所在地

大阪府大阪市生野区鶴橋2丁目15-29

アクセス

近鉄奈良線・近鉄大阪線「鶴橋」駅より徒歩5分
JR大阪環状線「鶴橋」駅より徒歩6分
大阪メトロ千日前線「鶴橋」駅より徒歩7分

この記事の監修歯科医師