FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. ドクターインタビュー
  3. 予防歯科診療からはじめる健康づくり【大阪市鶴見区 そめたに歯科クリニック】

予防歯科診療からはじめる健康づくり【大阪市鶴見区 そめたに歯科クリニック】

 更新日:2023/03/27

予防歯科診療からはじめる健康づくり【大阪市鶴見区 そめたに歯科クリニック】
予防歯科診療からはじめる健康づくり【大阪市鶴見区 そめたに歯科クリニック】

生活習慣病の予防に健診を役立てるという考え方は、すでに広く周知されている。虫歯や歯周病も生活習慣病の一つであることから、歯科健診も同様にメジャーとなっていいはずなのだが、健診をはじめとする「予防歯科診療」はまだ定着に至っていない。そもそも予防歯科診療とは、どのようなものなのか。予防とメンテナンスの重要性を訴える「そめたに歯科クリニック」の染谷真央院長に、詳しくお話をうかがった。

Doctor’s Profile
染谷 真央(そめたに まお)
そめたに歯科クリニック 院長

大阪歯科大学卒業後、同大学付属病院など複数の医療機関を経て、2014年11月に「そめたに歯科クリニック」を開業。「担当歯科衛生士制」など独自の取り組みで予防歯科診療の普及を目指す。「予防・メンテナンス」に特化したwebサイトもオープン。幅広い世代にその重要性を訴える。

基本的なことからお聞きします。予防歯科診療とは、歯科で行うものなのですか?

予防歯科診療とは、歯科診療の一つです。その名の通りトラブルの予防を目的としています。歯医者は「治療に行くところ」とお考えの方がまだ多くいらっしゃいますが、治療の必要がない状態をキープすることも歯科クリニックの大きな役割です。
歯を治療すれば、その歯は元に戻ると思われていませんか? 痛みがなくなっても、ダメージは残っています。ですから、繰り返し治療を続けるとダメージが蓄積されて、歯の寿命を縮めることにもなりかねません。痛みが出る前に手を打つことが、何より大切です。

予防歯科診療とは何か? 知ることから始めてみよう

歯の寿命は、努力で延ばせるものでしょうか?

もちろんです。歯の寿命を延ばすためにもっとも重要なのは、症状がないうちから診察を受け、ケアを続けることです。それが予防歯科診療ということになります。
特に歯周病は、自覚症状がないまま進行するため、ご自身が異変に気づいたときには、歯を失うこともある恐ろしい病気です。しかし、予防歯科診療で定期的に診察を受けていれば、歯周病で歯を失うようなことはまずないと言っていいでしょう。

予防歯科診療では、具体的にどのようなことを行うのでしょうか?

予防歯科診療は、歯科クリニックの定期健診で行う「プロケア」と、毎日ご自身で行う「セルフケア」で進めていきます。
定期健診では、専用の器具を使って、普段のブラッシングでは落としきれない汚れを徹底的に除去します。施術が心配と思われるかもしれませんが、痛みはほとんどありません。むしろ、「気持ちいい」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
クリーニングが終わると、虫歯予防のためにフッ素を塗ります。特にお子様の場合は、シーラントを施すこともあります。シーラントとは、虫歯ができやすい奥歯の溝を歯科用のプラスチックでふさぐ予防法で、生えたての乳歯や永久歯に大きな効果を発揮します。
また、噛み合わせのチェックも行います。被せ物の高さが合わなくても噛み合わせに不都合が生じたりして、歯周病の原因になります。就寝中の歯ぎしりや食いしばりも要注意ですね。歯や顎関節に必要以上に負荷がかかることでも、歯周病は進行します。その場合は、就寝中にマウスピースを装着していただくことで、トラブルを防止します。

予防歯科診療とは何か? 知ることから始めてみよう

いまのお話のなかで、子どもの予防にも触れられていましたが、予防歯科診療は何歳くらいから始めるべきですか?

乳歯が生え揃う時期を目安として始めていただきたいと思います。一般的には2歳半くらいでしょうか。その頃から歯科に通院する習慣がつけば、「歯医者さんは怖くない」ことがわかってもらえるはずです。ですから、もし治療が必要になった場合でも、リラックスして治療に臨むことができ、歯科に対する不安感やストレスも感じずに済むと思います。

予防歯科診療を成功に導くポイントとは?

予防歯科診療を成功に導くポイントとは?

予防歯科診療で一番大切なことは、先生は何だとお考えですか?

モチベーションを持ち続けることだと思います。先ほどお話しした通り、予防歯科診療はクリニックでのプロケアと、ご自身で行うセルフケアの両輪で進めます。セルフケアは毎日のことですから、予防に占めるウエイトも大きくなります。ただ、そこが難しいところではあるのですが……。

それでは実際に、貴院で行っている予防歯科診療の流れについて教えてください

セルフケアのサポートは歯科衛生士が行います。ブラッシング指導では、患者さんの生活スタイルや食生活などの情報があるとより適切なアドバイスにつながるため、コミュニケーションはとても重要です。
当院では歯科衛生士を担当制にして、どんなことでも相談できる関係づくりを大切にしています。担当制であれば経過がよくわかるため、「以前よりも、よく磨けている」と、患者さんの頑張りに気づくこともできます。患者さんも、ご自身の努力が成果につながることがわかれば、意欲的にもなれるはず。
私たちにとっても「同じ目標に向かって頑張ってもらえている」という実感は大きな喜びです。よいサイクルを生み出すことができれば、予防歯科診療はうまく進みます。

私たちが生活の中で気をつけるべきことはありますか?

虫歯や歯周病は生活習慣病の一つですから、食生活や飲酒、喫煙、歯ぎしりなど、毎日の習慣が病気の発症に深くかかわっています。甘い食べ物や飲み物をよく摂ったり、柔らかいものばかりを食べたりするような食習慣だけでなく、歯を磨かずに寝てしまう、夜食を食べる、よく間食をするという日常の積み重ねも危険です。
ただ、長く続けてきた生活習慣を変えることはなかなか難しいですね。そこで当院では、患者さんと深くコミュニケーションをとるなかで、「まず取り組めること」を見つけ、一つずつ改善を目指していきます。

予防歯科診療を成功に導くポイントとは?

豊かな人生のために、予防歯科診療は欠かせない

豊かな人生のために、予防歯科診療は欠かせない

現在、日本での予防歯科診療はどれくらい浸透していると先生はお感じになられますか?

最初のご来院は虫歯や歯周病がきっかけだったとしても、私たちが予防について詳しくご説明することで、定期的に通院される患者さんが増えています。年齢層も、小さなお子さんからご高齢の方までと幅広く、ファミリーで通院されることも多いですね。
とはいえ、予防歯科診療が定着しているアメリカやスウェーデンに比べると、まだまだ浸透しているとまではいえません。実際に、80歳時点での残存歯を日本と比較したデータでは、アメリカやスウェーデンのほうが高い確率で自分の歯を残していることがわかっています。さらに定期健診を受けていた方の場合は、高齢になっても天然歯が多いという結果もあります。
日本でも2022年6月に、年に1度の歯科健診を義務づける「国民皆歯科健診」の導入が検討されていると報じられ、話題になりました。少しずつではありますが、予防歯科診療が普及してきたという実感はあります。

歯科クリニックでの定期健診は、どれくらいの間隔で行うのですか?

基本的には3カ月に1度をおすすめしていますが、お口の状態によっては、4~5カ月に1度の場合も、半年に1度ということもあります。セルフケアがうまく進んでいれば、4カ月に1度から半年に1度に延ばせるケースもあり、患者さんに合わせて適した通院ペースをご案内しています。

ちなみに、定期健診の費用はどれくらいかかるのでしょうか?

健康保険が適用されるため、1~3割の自己負担で受けられます。3割負担なら、1回あたり2,000~3,000円程度です。
一方、虫歯や歯周病が進行して、痛みなどの症状が出てきてから通院すると、通院の回数も治療費も増えていくことになるでしょう。総合的に考えてみても、定期健診で歯の健康を保ち続けるほうがはるかに経済的ですし、治療で痛い思いをすることもありません。

豊かな人生のために、予防歯科診療は欠かせない

確かに、治療で痛い思いをしなくて済むというのは大きなメリットですね。しかも、経済的なんですね

そのほかにも、予防歯科診療のメリットはたくさんありますよ。歯が健康であれば、食事のときにしっかり噛むことができ、胃腸の負担を減らせます。すると食べたものの吸収も効率的になり、全身の健康につながっていきます。
また、最近では、歯科疾患が糖尿病や心疾患とも関連することがわかってきました。さらに、自分の歯が多く残っている人のほうが、寿命が長いという統計もあります。豊かな人生を過ごすためにも、予防歯科診療は欠かせないと思います。

それでは最後に、読者の方にメッセージをお願いします

しっかり噛んでおいしく食事ができるのも、思いっきり笑って楽しく話せるのも、歯の健康があってこそではないでしょうか。歯周病などで歯を失ってしまうと、食べることにも笑うことにも、ネガティブになってしまいます。
歯の健康維持は、そんなに難しいことではありません。正しいブラッシングの習慣をつけ、定期健診を受けることで、自然と歯の健康は保てるものです。私は、歯科医師だからこそできるサポートで患者さんの人生を応援したい。その一心で予防歯科診療を行っていますし、また予防歯科診療がより広く普及していくことを願っています。
「症状がないのに歯科に行くのは面倒」などとは思わず、一度きりの人生を思う存分楽しむために、ぜひ予防歯科診療を始めていただきたいと思います。

編集部まとめ

「人生100年」といわれる現在、歯の寿命についても真剣に考えなければ、長生きの時代を楽しむことはできません。国の医療費を抑えるためにも、今後、歯科診療の中心は予防歯科診療に移っていくのではないでしょうか。その恩恵を受けるためには、意識を高く持って、早く始めることが肝心。予防歯科診療からスタートする健康づくりが常識になる日も、そう遠くはなさそうですね。

そめたに歯科クリニック

医院名

そめたに歯科クリニック

診療内容

予防歯科診療 一般歯科 小児歯科 審美治療 など

所在地

大阪府大阪市鶴見区鶴見4-2-2

アクセス

地下鉄長堀鶴見緑地線今福鶴見駅(3番出口)徒歩2分

この記事の監修歯科医師