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画期的な手術でリストカットの傷跡を治療、心も癒す!【東京都江東区 きずときずあとのクリニック】

 更新日:2023/03/27


東京・豊洲の近代的なマンション1階メディカルモールの一角。「きずときずあとのクリニック豊洲院」は、形成外科医の院長が、主にリストカットによる傷や傷跡の治療を行う稀少な医院だ。リストカットなどの自傷行為は思春期の若者に多く近年増加傾向にあるといわれる。ほとんどの方がその辛い時期を乗り越えて自傷を止めることができているがその傷跡は消えることはない。傷跡の治療機関として“戻し植皮®手術”という画期的な治療法を実施。それとともに、患者の心の傷についてもメンタルサポートを行うという。その詳細を同院の村松院長に伺った。

Doctor’s Profile
村松英之(むらまつ ひでゆき)
医療法人社団CRS きずときずあとのクリニック豊洲院 院長

形成外科医・美容外科医。昭和大学医学部卒業。同大学形成外科に入局し、全国各地の病院で研鑽。前橋赤十字病院の形成外科部長に就任した後、シンガポールのKK Women’s & Children Hospitalへの留学などを経て、2017年10月、東京都江東区豊洲に「きずときずあとのクリニック」を開業。
日本形成外科学会専門医、日本熱傷学会専門医、日本創傷外科学会専門医、日本形成外科学会小児形成外科分野指導医

貴院は「きずときずあとのクリニック」という珍しい名称ですが、そこにはどんな意図が込められているのでしょうか?

形成外科クリニックとして、メインの治療対象をわかりやすく表現した名前です。そもそも形成外科が対象とするのは、外傷・皮膚種・先天奇形・美容外科の4つの分野ですが、そのなかに傷跡の治療も含まれています。
たとえば、ケガややけどなどを負ったとき、皆さんはどの科の病院に行きますか? 本来は形成外科が正解。形成外科ではケガの傷を縫ったり、やけどした直後の治療を終えたらその傷跡を治したりする、皮膚に関する幅広い外科的治療を行います。ただ現在、当院にはリストカットの傷跡の治療で来院される方が増えています。

リストカットの傷や傷跡治療は形成外科医の仕事

リストカットの患者さんが多く来院されるのには、何か理由があるのですか?

リストカット、すなわち自傷行為を行う、あるいは行っていた、主に思春期から20代くらいの人たち自体が増えているからでしょう。
ところが、リストカットの傷跡を治療するとなると、大病院ではあまり歓迎されない上に保険診療では診てくれません。そこでネットなどで探し、ようやく当院にたどり着いて来院されるケースが多いようです。

そもそも若者がリストカットをするのはなぜでしょう?

私は精神科医ではないので、専門的にはお答えできません。ただ、これまで患者さんを診てきた経験からいえば、若者、特に思春期の子たちが、虐待やつらい人間関係などによって強いストレスを感じていても、周囲に相談できる人がいない状況だと、そのストレスフルな感情に耐えかねてしまうというのが主な理由だと考えています。それで自傷行為に至ると、脳内麻薬が作用して心が軽くなり、一時的でもストレス解消になることを経験します。その後、周囲の状況が変わっていなければ、再び心に怒りや悲しみ、つらさなどネガティブな感情が蓄積するので、心をラクにしたくてリストカットを繰り返してしまう。そうして腕に傷跡が残っていくのです。
患者さん本人によれば、「死にたいくらいつらいから、逃避するためにリストカットしてしまう」と言います。しかし、問題は自傷行為そのものだけではなく、その傷跡も、後の人生に暗い影を落とすという事実です。

リストカットの傷や傷跡治療は形成外科医の仕事

傷跡が残ることで何か問題が、生活に支障が出るのでしょうか?

はい。自傷行為の時期を乗り越えても、腕に残る傷跡が本人にとって残ります。社会における偏見のため、1年中長袖を着て隠したり、友人と旅行に行けなかったりするなど、対外的におおっぴらにできない現実があります。いまの社会においても、自傷行為や障害に対する偏見がまだまだ想像以上に大きいからです。

傷や傷跡を目立ちにくくし、患者さんの心を明るくする“戻し植皮®手術”

傷や傷跡を目立ちにくくし、患者さんの心を明るくする“戻し植皮®手術”

リストカットの傷跡の治療法についてですが、種類があるのでしょうか?

傷や傷跡には、基本的には①レーザー治療、②切除術、③削皮術、④戻し植皮®手術の4つの方法があります。特に、リストカットの傷跡治療の場合、その大きさや状態にもよりますが、最近では傷跡が目立ちにくくなる可能性が高い“戻し植皮®手術”が有効で、患者さんにおすすめしています。
もっとも、傷跡を元の皮膚の状態に完全に戻すという意味での完治が可能なわけではありません。目立ちにくくする治療を行うことで、患者さんの精神面や、普段の生活に支障がないように計らうものとご理解ください。傷跡というのは、それを受け止める患者さん次第で、目立ったり、全然気にならなかったりと、個人差があります。ですから、いきなり手術をおすすめしたりはしません。初診時から患者さんの精神的な状況や費用のことも含め、じっくり話し合ってから治療法を決めることにしています。

“戻し植皮®手術”とはどのような治療法ですか?

比較的新しい術式で、リストカットの傷跡部分の上皮をいったん剥がしてから、90度回転させて、その場所に縫い付ける手術です。元の皮膚に戻すので、この名が付きました。
もともと腕に対して横向きになっていた傷跡が縦方向になり、その後のフォロー治療を経た半年から1年後には、移植部分を縫い合わせた部分のデコボコも目立ちにくくなって、全体にスムーズなやけどの跡程度の傷跡にしか見えなくなります。しかも、もとの位置にあった皮膚をそのまま利用するので、手術後に色調が変わることもありません。
従来行われていた、身体のほかの部位から皮膚を移植する方法だと、そこだけ色が変わってしまうので不自然さが残り、かえって目立ってしまうデメリットがありました。
戻し植皮®手術によって傷跡が目立ちにくくなれば、もう半袖を着て腕を出しても以前ほどは気にならないでしょう。手術を行いリストカットの傷跡が別の傷跡に変わったことで、長年傷跡について悩んでいた患者さんの気持ちに光が差せばと願っています。
手術についてはいくつかの症例を当院のウェブサイトにアップしていますので、ご覧ください。

手術を行うにあたり、先生が指針としていることは何かありますか?

傷と傷跡治療全般にいえることですが、傷跡は完全に元の皮膚には戻せないけれど、患者さん本人が気にならない、あるいは生活に支障がない程度には治せるよう努力したいと思っています。
私は形成外科医なので、精神科領域まではケアできません。でも、メンタルサポートも含めて患者さんと接することがリストカットの傷跡治療だと心得ています。実際の傷跡を治すことで、患者さんの心の傷を治すことに役立てば、私としてもうれしい限りです。

傷や傷跡を目立ちにくくし、患者さんの心を明るくする“戻し植皮®手術”

ただ高額なだけではない! 心の傷も癒やすことを目標にしたリストカット傷跡治療

ただ高額なだけではない! 心の傷も癒やすことを目標にしたリストカット傷跡治療

それでは治療の流れを教えてください

初診の患者さんには、まず看護師が対応します。患部の状態を拝見し、リストカットしていた期間や状況、来院された経緯などお話を事前に伺います。その上で私の診察となります。
先にいただいた情報などから判断し、可能な治療法やその金額をご提案しますが、当院の治療はほとんどが自費治療で高額となるため、半分くらいの方は即決はせずに一度持ち帰っていただきますね。その後、レーザーや手術などの治療を行い、フォロー治療も含め、「もう大丈夫」となるまで通っていただきます。
当院の患者さんの特徴としては、若い方が多いせいか、事前に多くのサイトなどをチェックして、リストカット治療法についての情報を集めてから来院されます。そういった準備をしてきていただけると効率がよく、診療を早く進めることができるので、より多くの患者さんを診ることができるようになるので助かります。もっとも、治療についての正しい情報、診断はクリニックにて受けてください。

確かに自費治療となると高額ですし、即決しづらいですね

たとえば、戻し植皮®手術をするとなると、これが自費治療で100万円近くかかる計算になります。保険治療をメインに行う病院と違って、当院のほとんどの治療は自費治療なので、決して手軽とはいえません。
特に若い患者さんの場合、説明や金額を聞いただけで決められる可能性は低いでしょうし、それが原因で、家族間で問題になるのも避けたいところです。
ただ、悩んでいる傷や傷跡の治療で得られる効果の対価としての価値は十分にあると思っています。実際、多くの患者さんが納得されて治療を受けていること、治療後にとても喜ばれていることからも、決して無駄な投資ではないはずです。悩んでいるなら、お金の問題にとらわれずに、まずは治療の相談をしていただきたいと思います。もちろん、当院ではクレジットカードや医療ローンなども受け付けています。

ただ高額なだけではない! 心の傷も癒やすことを目標にしたリストカット傷跡治療

リストカット傷跡治療の患者さんを診てきて、何か問題だと感じることはありますか?

ありますね。大きな問題として、自傷行為をする(繰り返す)人が助けを求められる場が少ないこと、リストカットに至るまでの過程で本人が孤立していること、また本来患者さんの悩みは精神科などで相談すべき内容でも、なかなかハードルが高くて専門家を頼れないことなどです。
つまり、リストカットの患者さんにとって、傷跡は私のような形成外科医が何とか治せても、もともとの悩みを解決するすべがなければ、患者さんが完全には救われないという現実です。これまで多くのリストカット傷跡の患者さんと接して、医療環境や社会および家庭内のトラブルなど、さまざまな問題が弱者である若者たちを文字通り傷付けているのだと感じています。

最後に、傷跡について悩みを抱える人たちへの先生の想いや、このサイトを見ている読者の方へのメッセージをお願いします。

リストカットなど自傷行為による傷跡で悩んでいる、生活に支障が出ているといった方は、まずは一度来院してみて下さい。遠方だったり時間が無い人には、オンライン診療も行っています。当院では傷跡の状況を見せていただき、お話を聞くことで、治療や生活改善のアドバイスを行っています。
特に、誰にも相談できずに孤立している方、小さいお子さまのいるお母さま、すでに治療を諦めている方など、私どもでしっかりお話を伺いますので、最善策を一緒に考えましょう。私はあくまで形成外科医なので、傷や傷跡の治療が専門ですが、それ以上に患者さんの心の傷の治療についても真摯に向き合っていきたいと思っています。

編集部まとめ

若い人のリストカット。そのときだけならまだしも、その後の生活にも影響があると知れば、このクリニックのように、自費でも改善治療ができる病院は必要だと感じました。しかも、小さい子どもを持つお母さんが、将来子どもやその友達などに、どう説明したらいいか悩んでいると聞けば、なおさら修復・治療の道を教示したいものです。ドクターである村松先生自身も、開業してからリストカットの傷跡で悩んでいる人が多いことを知って驚いたというのですから、やはりこれは社会的問題といえるでしょう。そんな問題を抱えている人たちにも、きっと心が晴れる道はある! 傷跡で悩んでいるなら、「きずときずあとのクリニック豊洲院」に相談してみてはいかがでしょう!

きずときずあとのクリニック

医院名

きずときずあとのクリニック

診療内容

形成外科 美容外科

所在地

東京都江東区豊洲5-6-29
パークホームズ豊洲ザレジデンス1F

アクセス

東京メトロ有楽町線・ゆりかもめ「豊洲」駅より徒歩5分

この記事の監修医師