予防歯科の実際を知ればハードルは高くない 身体の一部である大切な歯の健康を守るために【大阪市阿倍野区 ふくだ歯科クリニック】
日本でもようやく、予防歯科の重要性が一般に認知されるようになった。歯や歯茎の健康がむし歯や歯周病によって損なわれる前から予防に取り組むことで、口腔の健康寿命を延ばすことができる。ただ、予防歯科に馴染みのない人にとってはまだまだハードルが高いのが実情のようだ。なぜハードルが高く感じられるのか。具体的にどのような予防を行うのか。そして、どのように歯科医院を選べばいいのか。「医療法人優志会ふくだ歯科クリニック」の福田聡史院長に詳しい話を伺った。
福田 聡史
医療法人優志会ふくだ歯科クリニック 理事長・院長
奥羽大学歯学部卒業、大阪歯科大学臨床研修修了。2009年3月ふくだ歯科クリニック開業、2011年1月に法人化。一般社団法人日本顎関節学会所属。開業時より予防を柱とした診療を掲げ、定期検診では1時間の枠を確保する。かつて自身が歯医者嫌いだったからこそ「患者の心に寄り添った診療」を大切にしている。予防のための治療として矯正歯科・噛み合わせ治療にも力を入れる。
目次 -INDEX-
- セラミックも敵わない「健康な天然歯」の価値を見直してほしい
- 予防歯科はつらい「痛み」がほとんどありません。気軽なスタート、リスタートを
- 定期検診では、どのようなことが行われますか?
- ほかにプラスアルファできるような予防メニューはありますか?
- 予防歯科でも、多くの方が「痛み」を心配されているようです。予防の範囲内であれば、痛みはないのでしょうか?
- 基本的に痛みを伴う処置がほとんどないというのは、これから予防歯科に取り組もうと考えている患者さんにとってうれしいことですね
- 1回の定期検診では、だいたいどれくらいの時間がかかるものなのでしょうか?
- 次の予定を立てやすいのはありがたいですね。人によって違うかもしれませんが、どれくらいの頻度で通えばよいのでしょうか?
- 自宅でのケアには、具体的にどのようなものがありますか?
- 定期検診では、歯科衛生士さんだけがお口を診るのでしょうか?
- 定期的に通う前提で、気兼ねなく相談できる歯科医院選びを
セラミックも敵わない「健康な天然歯」の価値を見直してほしい
先生は開院から予防に力を入れているとのことですが、患者さんの意識の高まりは感じられますか?
はい。特に20~40代では、予防歯科を当たり前のものと考える患者さんが増えてきています。それに伴い、そのお子さんの世代のむし歯も少なくなりました。ただ、やはりまだ十分とはいえません。予防に取り組んでいれば防げたのに、というケースはたくさんあります。
予防をした方がいいということは誰もがわかっているはずなのに、なぜそういったケースが発生してしまうのでしょうか?
一般に、歯科医院は「楽しい場所ではない」ということが挙げられるかと思います。「できれば歯医者には行きたくない」というのが普通の考え方です。ただおっしゃる通り、ほとんどの患者さんが、頭では「予防をした方がいい」ということはわかっているのもまた事実です。
予防の重要性を伝えるだけでは、十分な理解を得るのが難しそうですね…
私がよくお伝えするのが、「定期検診だけなら年に3~4回通うだけですよ」ということです。一方でむし歯や歯周病になれば、それだけで3~4回、重度であればそれ以上の通院が必要です。さらに治療後のメンテナンスのための通院も必要になります。
通院回数が少ないということは、費用も抑えられますね
その通りです。むし歯や歯周病になってから通う場合と比べると、労力、時間、費用はかなり軽減されます。そして忘れてはならないのが、健康な歯と歯茎が残るということですね。これこそが予防歯科における最大のメリットなのですが、人は悲しいもので、実際に歯を失うまでその大切さに気づけないケースが少なくありません。
では、健康な歯を失う前にその価値を理解するには、どうすればいいでしょうか?
「1本数十万円のインプラントを入れたから、丁寧にケアする」という方がおられます。私がそれを見て感じるのは、「健康な天然歯は数十万円以上の価値があるのにな…」ということです。審美性においても機能性においても、天然歯以上の材料、治療法はありません。
むし歯や歯周病を完全に防げるわけではないということも、患者さんが今ひとつ予防歯科に踏み切れない原因かと思いますが、どうでしょうか?
予防歯科の成果は「ゼロか100か」では表現できません。少しずつ、むし歯や歯周病になりにくいお口へと改善していくものです。きちんと取り組めば、むしろ成果は得られやすいといえるでしょう。
ゼロに近かったレベルを予防に取り組むことで10にする、20にする、そして最終的には限りなく100に近づけることができると考えていただければと思います。
予防歯科はつらい「痛み」がほとんどありません。気軽なスタート、リスタートを
定期検診では、どのようなことが行われますか?
レントゲン撮影、口腔内撮影、歯周病検査でお口の現状を把握し、歯石取りと歯面清掃、ブラッシング指導を行うのが基本的な流れです。定期的にチェックを受けることで、むし歯や歯周病が発生したときにも早期に治療が開始でき、治療回数も少なくなります。
ほかにプラスアルファできるような予防メニューはありますか?
歯の再石灰化を促すとともに歯質を強化する「フッ素塗布」、歯科の専門家が行う特別な歯面清掃「PMTC」(※)などを追加できます。表面的な汚れであればPMTCでも落とすことができますので、ホワイトニングに少し抵抗があるという方にもおすすめです。
(※)Professional Mechanical Tooth Cleaning
予防歯科でも、多くの方が「痛み」を心配されているようです。予防の範囲内であれば、痛みはないのでしょうか?
歯茎の炎症が強い場合には、歯石取りのときにやや痛みが出ます。ただ、表面麻酔を塗り、麻酔注射を打つこともできます。当院では、電動注射器よりもゆっくりと麻酔液を注入することで、麻酔注射そのものの痛みを少しでも軽減できるよう努めています。健康なお口であれば、予防において痛みを伴う処置を行うことはほとんどありません。
基本的に痛みを伴う処置がほとんどないというのは、これから予防歯科に取り組もうと考えている患者さんにとってうれしいことですね
そうですね。その意味で定期検診は、小さなお子さんの「歯医者さん慣れ」にも適しています。歯科医院という場所のこわさを予防歯科で先に克服しておくことで、もし治療が必要になったときにも、比較的スムーズに受け入れてくれます。定期検診、予防を当たり前のものと子どもの頃から意識づけるという意味でも有効です。
1回の定期検診では、だいたいどれくらいの時間がかかるものなのでしょうか?
30分~1時間というのが一般的です。ただ当院では、予防歯科の枠として1時間の枠を確保しています。検査や処置、ブラッシング指導に加え、患者さんへの説明にも力を入れているためです。急患を除き、原則予約制なので、ほぼ待ち時間なく診療を開始し、時間通りに終わるよう心がけています。
次の予定を立てやすいのはありがたいですね。人によって違うかもしれませんが、どれくらいの頻度で通えばよいのでしょうか?
目安は3~6カ月に1回です。ただ、当院では患者さんのご都合なども考慮した上で、頻度を決定します。もちろん、1カ月に1回でも結構です。注意してほしいのは、歯科医院でのケアに加えて、ご自宅でのケアも予防には欠かせないということです。
自宅でのケアには、具体的にどのようなものがありますか?
歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシ、洗口液などを使ったセルフケアです。ブラッシング指導の際に歯科衛生士が丁寧に指導しますのでご安心ください。むし歯になりにくい歯磨きのタイミングや回数、食べ物などについても、知りたいことがあればお気軽にご質問ください。
定期検診では、歯科衛生士さんだけがお口を診るのでしょうか?
そういった歯科医院もあるようですが、当院では必ず最後に私がお口の中を診ます。ダブルチェックの意味もありますが、口腔全体の健康状態を把握し、今後の予防の見通しを立てるためには、やはり大切なことだと思います。
定期的に通う前提で、気兼ねなく相談できる歯科医院選びを
予防歯科は、基本的にどの歯科医院でも行われているかと思います。これから予防に取り組みたい方は、どのように歯科医院を選べばいいでしょか?
「嫌な場所だと感じない歯科医院」を選ぶというのはどうでしょうか。もちろん、好きになってくれればそれに越したことはありませんが、まずは一度受診してみて、歯科医師や歯科衛生士の対応、医院の雰囲気などを実際に体験してみるのがいいかと思います。
少しでも好きな場所になってもらうために、先生が大切にしていることはありますか?
自分が歯医者嫌いだったので、足が遠のいてしまったり、何となく歯磨きをサボってしまったりという気持ちはよくわかるつもりです。また、多忙でどうしても受診が遅れてしまうということもあるでしょう。そういった患者さんを注意する歯科医院もあるようですが、私はあえて「親戚のおっちゃん」くらいの距離感を保つようにしています。
「親戚のおっちゃん」というのは、近すぎず、遠すぎない存在ということでしょうか?
はい。長く歯科医院から足が遠のいたときなど「何か言われたら嫌だなあ」とどうしても受診が億劫になるようです。「親戚のおっちゃん」なら、そういったときもあまり気を遣わずに受診してもらえるのではないかと思っています。また予防を再開したいという気持ちがあるなら、当院はそのリスタートを精一杯サポートします。
泣いてしまうお子さんでも、定期検診に通えますか?
もちろんです。むし歯治療などでもそうですが、チェアに座ったりお口を開けたり喋ったりと、歯科医院に慣れるトレーニングから開始します。これは基本的にどの歯科医院でも行っていると思います。泣いてしまうから予防・治療できないということはありませんので、安心してご相談ください。また当院では、親御さんだけでなく、お子さんとの対話も大切にしています。
お子さんとの対話というのは、具体的にどういったものですか?
あやしたりするだけでなく、これから始める予防や治療の話をするということです。同じ目線に立って話をすると、意外と子どもでもわかってくれるものです。歯科医師と親御さんの間だけで話を進めるのではなく、三者が同じ方向を向くことで、お子さんにも自主性が生まれ、予防・治療に積極的になってくれます。
最後に、読者の方へのメッセージをお願いします
予防は、お子さんの頃から始めるのが理想です。しかし、何歳になってからでも効果が認められるものでもあり、また少しサボってしまったとしてもリスタートできるものです。
歯や歯茎も、身体の一部です。病気や怪我から身体を守るのと同じように、むし歯・歯周病をはじめとする口腔トラブルからお口を守りましょう。思い立ったその日に、一度当院にご連絡ください。
編集部まとめ
「治療のために歯科医院に通う」のではなく、「予防のために歯科医院に通う」ことで、労力・時間・費用といった点でメリットが生まれることがわかりました。それに加え、健康な歯や歯茎を長持ちさせることができるというのであれば、早くから予防を開始するに越したことはありませんね。長く歯科医院を受診していなかった方も、これを機に自分に合った歯科医院を探してみませんか? 定期的に受診することが重要な予防歯科だからこそ、相談のしやすさ、通いやすさに重点を置いてみるのもいいかもしれません。
医院名
ふくだ歯科クリニック
診療内容
所在地
大阪府大阪市阿倍野区阪南町5丁目17-4
ロータスビル2階
アクセス
大阪メトロ御堂筋線「西田辺」駅3番出口より徒歩1分