年間1,800本以上の抜歯を手掛ける経験豊富な医師に聞く、親知らずを抜く“メリット”と抜かない“デメリット”とは【大阪市西区 フリージア歯科クリニック】
親知らずは痛みやすく、「抜いたほうがよい」とよく言われる。放っておくと、虫歯や歯周病、歯並びの悪化などの原因になりやすいからだ。ただ、そう思ってはいても、抜歯の痛みや術後の腫れに不安があり、抜歯を躊躇している人も多いのでは? そこで、年間1,000例以上の施術を行い、専門的な知識から大学病院で行うような難症例にも対応しているフリージア歯科クリニックの浦栄吾先生に、親知らず治療の特徴や注意点について話をうかがった。
浦 栄吾(うら えいご)
フリージア歯科クリニック 院長
2000年大阪歯科大学歯学部卒業。04年に同大学院歯学研究科 博士課程を修了後、大阪歯科大学 口腔外科学第1講座 非常勤講師に。05年より兵庫県警警察本部 歯科医長に就任。07年から大阪市立総合医療センター 口腔外科に勤務。09年から北大阪インプラントセンター勤務を経て、11年にフリージア歯科クリニック オリックス本町ビル院を開院。「日本口腔インプラント学会(専修医)」「セブ医科大学 客員講師」「日本口腔外科学会」「日本歯科審美学会」「日本口腔科学会」「日本口腔診断学会」「日本歯内療法学会」に所属。
親知らずは虫歯や歯周病、歯並びの悪化、顎関節症の原因にも
そもそも「親知らず」とは、どんな歯なのでしょうか。なぜ痛みやすいのでしょう?
親知らずとは第3大臼歯、つまり3番目の奥歯のことです。一般的には18歳前後に生えてくる歯で、まれに30~40歳頃に出てくることもあります。
親知らずが痛む理由は人によってさまざまです。たとえば、上の親知らずが下に噛み合わせる歯のないところに伸びてくると、歯茎に当たってしまいます。それで痛みが出たりすることはよくあります。また、生えかけのときに歯茎を突き破って出てくるので、そのときに腫れたりして痛むことも多いですね。
やはり親知らずは抜いた方がいいのでしょうか?
基本的には抜いたほうがいいでしょう。親知らずは口の中の一番奥にあるのでブラッシングしにくく、どうしてもゴミが溜まって細菌の温床となりがちです。また、親知らずが斜めに生えてきたり、顎の骨の中で水平になったままといったケースでは手前の歯が虫歯になりやすく、そうなる前に抜いておくほうが賢明です。
痛みや腫れがまったくない場合は経過を見てもいいとは思いますが、頬を噛んだり、親知らずそのものが虫歯になったら、やはり抜いたほうがいいと思います。
親知らずを抜くことのメリットとして、虫歯や歯周病を防ぐほかにも何かありますか?
上下の歯の噛み合わせがよくなる効果が期待できますし、歯並びの悪化の予防にもつながります。特に横向きに生えてくる親知らずなどはほかの歯をどんどん押しながら伸びてくるので、そのままにしておくと、下の前歯の歯並びがガタガタになりやすいんです。1回ガタガタになってしまうと、親知らずを抜いても元に戻らず矯正が必要になってしまいます。ほかに、顎関節症の原因になることもあるので、親知らずの抜歯は審美面、健康面からもメリットは大きいと思いますよ。
抜歯の麻酔が切れた後の痛みも腫れも、独自の技術で少なめに
フリージア歯科クリニックでの、親知らずを抜くまでの手順について教えてください。
最初に簡単な問診票を書いていただき、基礎的な疾患がないかどうかを確認します。それからレントゲンを撮り、それを元に簡単な施術と難しい施術の2パターンに分けさせていただき、施術時間を決めています。
基本的には、簡単な施術だと30分枠、難しい施術は1時間のご予約枠でお取りする形です。おかげさまで多くの方にご予約いただいており、今ですと約1カ月~1カ月半後にご予約をいただけます。
親知らずを抜くとき、また麻酔が切れた後に痛みは出ますか? 顔は腫れるのでしょうか?
当院では、痛みに配慮した特別な麻酔を打ちますので、術中ほとんど痛みはありません。麻酔が切れた後の痛みは個人差がかなりありますが、当日と翌日は多少痛みがあると思っていただいたほうがいいですね。ただし、痛みがあったとしても、1回だけ痛み止めを飲んで終わる方が大半です。
また腫れについては、当日はあまりありませんが、翌日以降、赤くなる程度に少し腫れはあると思います。しかし、よく世間一般で言われる「顔がパンパンに腫れ上がる」というケースはほとんどありません。腫れにくいように工夫して抜いていますので。
親知らずを抜こうとしても抜けないという事例はありますか?
これまで、他院では「大学病院に」と言われる難症例も当院では数多く施術していますが、上の親知らずでかなり深く埋まっているものは施術しないこともあります。というのも、上は頬が邪魔して抜歯の器具が届かないという場合があるからです。そのときは大学病院で、全身麻酔を受けて抜くことをおすすめしています。
全身麻酔には筋弛緩剤が入っているので、頬を伸ばして処置することができます。下の親知らずの場合は、抜かないという事例はあまりないですね。
術後、患者さんはどんなケアが必要ですか? 普通の歯磨きやうがい以外に何かすべきことはありますか?
あまり気にしすぎないことが一番です。なぜかと言うと、うがいをしすぎると、抜いた後にできた血の塊で塞がっていたところが剥がれ、非常に痛くなる「ドライソケット」という状態になりやすいんです。ですから、ある程度放っておくほうがきれいに治ります。過度に歯ブラシやうがいをされるのが一番よくないので、当院ではうがい薬をお渡しして、「なじませる程度にうがいをしてください」と指導しています。
食事をするときも、必ず抜いた側と反対側で噛むようにして、抜いた側にはなるべくゴミを溜めないように気をつけていただきたいですね。
親知らずが抜けた後、その穴はどうなるのでしょうか。ちゃんと塞がりますか?
だいたい3カ月ぐらいで骨が出来上がって治りますが、その前に3週間程度でほぼ違和感がなくなり、支障なく生活が送れるようになります。
抜いた側でごはんを食べるのも3週間後くらいからですね。それまでに、抜けた後の穴に食べ物が詰まることがありますが、あまり取ったりはしないほうがいいです。爪楊枝で無理にほじったりすると感染を起こしてしまう危険性もありますので、歯ブラシや軽いうがいで取れる程度にしておいてください。
保険適用での親知らずの移植や、トータル治療の提案も
親知らずの治療に保険は適用されますか? 費用や時間はどれくらいかかるでしょうか。
基本的に保険証があれば適応されます。治療は1本2,200円くらいからで、難しい症例でも、CTを入れて6,600円くらいまでですね。施術時間に関しては、口をずっと開けていただくのも負担になりますから、できるだけ早めに抜くことを心がけています。ご予約時間の予定通り、または予定より早く終わることがほとんどです。まれに時間がかかる方もいらっしゃいますが、1時間以上かかることはまずありません。早い方であれば、2、3分で終わってしまうこともあります。麻酔が効くまでの時間もありますので、平均すると処置時間は10分前後ですね。
抜いた親知らずの歯は再利用できると聞いたことがあります。それはどのような場合ですか?
親知らずの移植、「歯牙移植」のことですね。たとえば、ほかの抜かないといけない歯があって、CTなどでしっかり調べて親知らずの形や根の長さが適応すれば、移植できます。
この施術は、移植しようとする歯を当院で抜いていただくところから行えば、保険を適用することが可能です。検討されるなら、移植する部位の歯を抜いていないことが前提です。移植するとご自身の歯と同じように、自然に噛むことができますよ。
最後にMedical DOCのサイトを訪問している読者の方に何かメッセージをお願いします。
親知らずを抜くのを怖がっている方は非常に多いと思うのですが、そういう方でも当院で歯を抜かせてもらうと、「こんなに楽に抜けるんだったら、もっと早く抜いておけばよかった」「親知らずで悩んでいる友達に紹介するわ」と言ってくださる方が多いので、ぜひ怖がらずに門戸を叩いてみてください。それでもやっぱり怖いという方には、「笑気(しょうき)麻酔」という鼻から吸う麻酔を使う方法もあります。少し恐怖感がやわらぎ、リラックスして施術を受けていただけますよ。
編集部まとめ
誰もが持っている親知らず。今回の浦先生のお話から、その親知らずについていろいろ理解を深めることができました。たとえ痛むようなことがなくても、親知らずは歯並びや噛み合わせなどに悪影響を及ぼす可能性があり、やはり抜いてしまったほうがいいのかもしれません。フリージア歯科クリニックでは毎年1,000本以上の親知らずの抜歯を行っており、術後のケアについても安心です。親知らずについて気になることがある方は、浦先生に相談してみてはいかがでしょうか。
医院名
フリージア歯科クリニック
診療内容
口腔外科 歯科一般 予防治療 審美治療など
所在地
大阪府大阪市西区西本町1丁目4番1号
オリックス本町ビル2F
アクセス
大阪メトロ四つ橋線「本町」駅19番・20番出口直結